砂漠の階層とオアシスからの声
ボス部屋攻略後、一日休養日を設けてから、再びダンジョン攻略に乗り出した。
その間勿論、瞑想も行っている。
エマの寝てるような瞑想も、もうアリだと思い、自由に参加して貰っている。
ウィルは元々、こういうことが好きなようで、大分様になってきた。
そう言えば、温泉施設で受けた指圧のツボ押しにハマって、自分でもやってるみたいだ。
さて準備に入るか。
『エリア結界』
『エリア状態異常耐性』
『索敵』
俺がまず魔法を掛けていく。
『エリア風のシールド』
ウィルが練習を兼ねて、シールドを掛ける。
「身体強化」
「身体強化」
「身体強化」
俺達3人、スキルを掛けていく。
そう、スキルがあるので各自かけることにした。
これで準備万端だ。
階段を降り、6階層に入っていく。
そこは薄暗い森だった。
夕方や夜のの森ではなく、鬱蒼とした深い森といった方があっているだろう。
なんにしても、今回は真面目に攻略をして進む。
自分のスキルの中にあるマップスキルを使い、完全に埋めて、地図を完成させるのだ。
他の冒険者もちらほらいる、今回もかち合わない様に進もう。
「暗いねー」
「ああ、木々が空を遮ってるって感じだな」
「ぶふっ、空っていうのも変だよな」
「まったくだ」
「あはは、変だねー」
辺りは暗いが俺達は呑気だった。
魔ベアの森は、魔ベアが集団で襲い掛かって来ることはない。
なので、一頭づつ、交代で倒していった。
「俺の番だ」
また一頭現れ相手にする。
熊は早い、以前はまともに、力や速さで敵わないので、落とし穴に落として攻略していたが、今はお陰様で、剣で勝負できる。
魔ベアは案外臆病だ、不利だと思うと逃げようとする。
そして、戦う時は直立して2本立ちなのに、逃げる時は4つ足になるのである。
逃がすか!
『スネア深く掘れ』
ドスンッ!
『パレット』
グォオオオオ大オオーーーーーーーンッ
逃げるなら、落とす!そして魔法で止めを撃つ。
「うん、いつものアロイスだ」
「そだね、定番だよねー」
「喧しいわ、ほれ、次来たぞ!」
次はウィルが出た。
一頭が相手なので、気負いもないようだ。
いつもの様に、強風で押してファイアーアローを撃ってる。
だが、火の矢はそんなに強い魔法ではない、重ね掛けをしていた。
広範囲にならず、一撃で倒せる魔法がほしいところだろう。
そして次はエマの番だ。
魔ベアは最初、体の小さいエマを舐めていたが、対戦するにつれ、用心深く応戦するようになっていった。
オークの時もそうだったが、エマは最終的に、魔ベアに跨り、頭を手甲武器で潰し、倒すのだった。
順調に進み、マップも埋まった、毛皮も魔石も大量だ。
時間を見ると、夜の7時だった。
今日も、ちゃんとした昼飯は食い損ねた。
途中、肉サンドパンと魔力回復ポーションで過ごしていたが、疲れた…
7階層に降りる階段の踊り場に、空間カスタマイズされたテントを、異空間収納から出して建てた。
俺達は空間テントに設置された、風呂にゆっくり浸かり、ソファに座って晩飯にするのだった。
そして就寝。
明けて朝。
「いよいよ最終7階層だ!
砂漠だが、熱砂ではないので、過ごしやすくなっている。
ワームは地中から飛び出してくるので注意だ。
最悪飲み込まれても、結界を貼ってれば、すぐにダメージを負うことはない。
っていうか、飲み込まれた仲間を救う為、ワームを倒して救出した件数が数多く報告されているそうだ。
ワームは巨大だが、硬さはあまりない。
魔法は、エアカッターや、ウインドブラストなどの、切り刻むタイプの方が有効だと思う」
いよいよ、7階層ということで、二人に既存の情報を説明した。
「分かった、ここでは風魔法で対応する」
「ワーム嫌い、なんか気持ち悪い」
「確かに…
体液が飛ぶそうだから、クリーン推奨だ」
「「うえっ」」
ドンびく二人だが、仕方ないんや。
仮にも最終階層、きっちり攻略しなければ、
カフェシナモンパーティーの名折れだからな。
俺達は、結界、シールド、状態異常耐性、身体強化、索敵と、スキルと、魔法を順々掛けていき、7階層に降り立った。
話に聞いていた通り、一面の砂漠と、大小の岩が転がっている。
暑くもなく、寒くもなく、空はやや曇っている?風だった。
ここでは、索敵から注意が離せない。
いつ地中を這うワームが飛び出て来るか分からないからだ。
耳を澄ませば、遠くで冒険者達の歓声や怒号が聞こえる。
岩くらいしか隔たる物がない地平に、彼らの声がよく響いた。
しばらく歩いて行くと、索敵の赤い点が、ぐ~~んとスピードを上げ迫って来る。
「来たぞ、
出たら、魔法を撃つ!」
「「分かった」」
出る瞬間、どうんっと地面が揺れ、次の瞬間巨体が飛び出した。
『トラップ槍、上から降れ!』
『ウインドブラスト!』
俺は金属の槍を上から降らせる。
いつもは落とし穴に仕掛けるやつだが、今日は逆だ。
ウィルの広範囲の風が更にワームを切り刻む。
思ったより、手早く倒すことが出来た。
エマの出番はなかったが、ワームが嫌いなのだろう、自分でやらなくて、ホッとした顔をしている。
ワームの魔石は巨体にも関わらず、オークより、ちょっと大きいくらいだった。
牙と皮、種が落ちていた。
牙は武器に、皮は、錬金や防水具などに使われるらしい。
種はランダムで、いろんな種類の植物の種を落とすのだ。
こうして次々倒していくのだが、砂漠は広い、段々疲れてきた。
いつものごとく、昼休憩なしのポーションと露店食品でやり過ごしていたのだ。
「オアシス?」
「ああ、この階層の安全地帯で、野営できる場所があるらしい」
「そいつは助かるな、階段まで戻るのは大変だし」
「最悪ここでも、結界、隠微、魔物除けを使い、野営できるぞ」
「うん、でも、オアシス行きたい」
「そうだな。
中央にあるそうだから、もうすぐだ。
あ、あの木みたいなのがある所じゃないか」
目標物が見えた途端、エマが元気になった。
いや、君、7階層何もしてないやろ?
まあ、ええわ。
そこは明らかに、砂漠とは違い、木々が茂り、草が生え、泉があった。
見ると他の冒険者達のテントが、あちこち建っている。
俺達も、適当な場所に空間テントを建てて、中に入った。
ひと風呂浴びて、夕食はラリックの常宿〔いぶし銀〕の大将に作ってもらった、熱々の肉まんじゅうと茸と卵のスープ、肉野菜炒めを出した。
「美味しい、最高、スープお替りー」
「まんじゅう美味いなあ、これってアマラの料理か?」
「ああ、大将、若い頃、アマラ聖王国とフィオレ王国に、料理修行に行ってたらしい」
「いいね、旅もいいなー」
飯時はほのぼのだな。
美味い飯食って、仲間と喋って、疲れもいやされるよ。
俺達は、明日中に7階層を攻略すべく、今日も早めに就寝した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
ん?
ここは?
あれ、泉?
俺、寝てたんじゃ…
そうか、夢か!
『 を… 』
え?
『 い て 』
何?
自分の手を見ると、 …を持っていた。
誰だ?
…をすればいいのか?
『 … 』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
早朝に目覚めた。
昨夜、なんか夢見てたような気がするんだけど、思い出せない…
皆で瞑想し、朝食を済ませ、準備を整えた。
さあ、オアシスを出るぞ、という段階になって、変なことが起きた。
オアシスから出られない…
他の冒険者が次々と出て行く中で、俺達だけ、出ても、いつの間にかまた、オアシスに戻ってしまってしまう。
「どうなってるんだ?」
「わからない…」
「これって引き止めてるの?」
俺とウィルの困惑に、エマが不思議そうにそう言っている。
「引き止める? 誰が?」
「ん~、こいうことするのは精霊だって、おじいちゃんが言ってた。
ね、アロイス、ウィル、昨夜、夢を見なかった?」
言われて、俺もウィルも、はっとした。
「見た…けど、思い出せない」
「俺もだ」
「うん、あたしも。
困ったね」
俺達は泉の前に座り込み、途方にくれた。
やることもないので、ドロップ品の整理でもするかと、出していく。
整理と言っても、収納がきちんと管理してくれているので、出しては仕舞っての繰り返しだ。
最後に、この階層の、ワームの牙、皮、種をだした。
と、その途端、
さあ~~っと風が吹き、大量の種が、全部飛んで行ってしまった。
「ああ、ちょ、待てっ」
「あ~あ、高値で売れたのに」
「何の種か楽しみにしてたのにー」
だが、不思議なことに、この後、俺達はオアシスから出ることが出来た。
何だったんだ、いったい、
この理不尽にちょっと憤ったが、この後は、ワーム狩りも、大進撃で快調に終えて、めでたくダンジョン全階層制覇ができたのだった。
『 り が う… 』
「なんか聞こえた?」
「いや、なんも」
「早く帰ろう」
こうして俺らが帰った後、
そう、後になって驚くことがあった。
「アロイス、俺、水魔法が使えるかもしれない。
鑑定してくれ」
「アロイス、あたしも水魔法生えたかもー
鑑定して」
「分かった」
『ステータス鑑定』
名前:ウィリアム
種族:人間
体力:44
魔力:62
知力:33
筋力:29
素早さ:27
攻撃力:42(+30、杖、効果)
防御力:85(+80、革鎧、ブーツ、マント、ダンジョン糸のシャツ、効果)
器用度:43
幸運度:31
スキル:身体強化・瞑想・杖術・乗馬・索敵・知覚・直観
魔法:生活魔法
:風魔法(中級)
:火魔法(初級)
:水魔法(初級)※精霊からの贈り物
称号:なし
凄いな、ウィル、また全体的に上がってる。
お、
ほんとだ、水魔法が増えてる。
紙に鑑定結果を書き、ウィルに渡す。
よし、次!
『ステータス鑑定』
名前:エマ
種族:獣人
体力:77
魔力:30
知力:29
筋力:79
素早さ:71
攻撃力:109(+30,手甲、効果)
防御力:102(+80、革鎧、ブーツ、ダンジョン糸のシャツ効果)
器用度:29
幸運度:22
スキル:剣術・体術・身体強化・瞑想
魔法:水魔法(初級)※精霊からの贈り物
称号:なし
エマもまた上がってる。
っ、
エマにも、水魔法が?
エマにも紙に結果を書いて渡した。
次は俺!
『ステータス鑑定』
名前:アロイス
種族:人間
体力:1054(+10ペンダント効果)
魔力:1116/1119(同)
知力:1019(同)
筋力:1009(同)
素早さ:1019(同)
攻撃力:102(+50体術・剣術・杖術・ペンダント効果・各所持武器等効果)
防御力:122(+120各武術・衣服上下・鎧・ブーツ・ローブ・ペンダント、ダンジョン糸のシャツ総合効果)
器用度:201(+100制御・ペンダント効果)
幸運度:142(同)
スキル:幸運、制御、瞑想、体術、剣術、杖術、錬金、馬術、薬師、マップ、逃げ足
魔法:生活魔法
:火魔法(中級まで使用可
:風魔法(中級まで使用可)
:水魔法(上級まで使用可)※精霊の加護付き
:地魔法(上級まで使用可)
:光魔法(上級まで使用可)
:闇魔法(中級まで使用可)
:聖魔法(上級まで使用可
:無魔法(上級まで使用可)
:空間魔法(中級まで使用可)
称号:賢者未満+20
俺もまた上がってる。
ん?
水魔法に精霊の加護?
そう言えば、ウィルとエマの水魔法も、精霊の贈り物って書いてあったな。
スキルはみんな瞑想が生えてた、よかった。
幸運度と賢者未満もまた上がってる…
俺のも書き留めておいた。
さて、隠すか。
『ステータス、隠微発動!』
名前:アロイス
種族:人間
体力:75(+10ペンダント効果
魔力:78/79(同)
知力:77(同)
筋力:57(同)
素早さ:60(同)
攻撃力:75(+50体術・剣術・杖術・ペンダント効果・各所持武器等効果)
防御力:112(+110体術・剣術・杖術・衣服上下・鎧・ブーツ・ローブ・ペンダント総合効果)
器用度:66(+10ペンダント効果)
幸運度:35(同)
スキル:体術、剣術、杖術、薬師、マップ
魔法:生活魔法
:水魔法
:地魔法
:無魔法
称号:無し
これが表向き公表する俺のステータスだ、常に発動させている。
今回のことは、精霊の願いを俺達が聞き入れたことに対する贈り物?
種が欲しかったのか?
なぜ、俺達に?
よく分からんが、波長が合った?
前世の賢者たるユリウスの見解も同じだった。
ダンジョンの件での、ドロップ品のギルドへの売却やら報告は、取り合えず後ですることにした。
そう、俺達は新しい魔法やスキルの把握が先だからだ。
なんにせよ、結果的には良かった、大成功だ!




