ボス部屋と意外な宝物
今日はいよいよ、5階層のオークとボス部屋挑戦だ!
「オークはゴブリン、コボルトよりもデカいし固い。
一撃で仕留めることが出来るまでは、まず顔、目を狙う。
隙ができたら、胸の魔石の辺りを攻撃してみてくれ」
俺は、ウィルとエマに、オーク戦のアドバイスをする。
「顔はエアカッターで狙うとして、胸はファイアーアローで狙うよ」
「あたしは、顔、胸と切り裂く」
二人それぞれシュミレーションを語った。
「分かった。
今日は全員に結界を貼る」
「「おうっ!」」
では、魔法を掛けて行こう。
『エリア結界』
ごっそり魔力が抜けていく。
だいたい4~5時間持つ。
ただしこれも、練度によるらしい。
『風のエリアシールド』
結界を掛けても、ウィルのシールドは練習の意味もあるので掛けるのだ。
『索敵』
最後に索敵を掛けて、5階層に降りて行く。
岩の壁に、石畳の床、饐えた臭い、オークの棲み処だ。
確か前回行った時は、広い場所に集団で居たな。
同じく、広場に密集したオークを見つけ、間髪入れず、魔法を叩き込む。
『ファイアーボール』
『ウインドブラスト』
俺とウィルがそれぞれ、広範囲魔法を放った。
焦げ臭い臭いと共に、オークが怒りの咆哮を上げている。
『ファイアーボール』
『ウインドブラスト』
接近するまで何度も叩き込んだ。
ゴブリンなら殲滅なのに、生き残ってるな。
しぶといな。
ここからは、近接戦だ!
剣で顔、胸を斬りつける。
ウィルは表情を引き攣らせながらも、オークの顔にエアカッターを放ち、胸にファイアーアローを叩き込む。
囲まれそうになれば、強風で押し返した。
エマは小回りを活かして、まず足の脛、飛び上がって胸、顔、と下から攻撃していた。
俺は剣でオークを倒せることが分かり、ちょっと感動している。
うん、もっと真面目に剣の鍛錬続けよう。
乱戦のようなそうようが繰り広げられているが、防御が完璧の為、怖いものはない。
ウィルでさえ最終的には肉弾戦のごとく杖で殴りまくっていた。
気が付けば大量の魔素を浴びていた。
普通は少数を誘き出して戦うので、こんな乗り込むような真似が出来るのも、結界のお陰だ。
大量の、オークの革と魔石が手に入った。
広場に居たオークを一掃した俺達は、その勢いのまま、先を進めて行く。
昼を過ぎたが、そのまま行く。
昼飯を食ってる場所がないので、片手に串焼きを持ち、食べながら進んだ。
これじゃ、全然足りないなが、我慢だ。
途中で魔力回復ポーションを飲み、結界等を掛け直していく。
快進撃のまま、いよいよ6階層に降りる階段入口が見えて来た。
ボス部屋は、その隣にある重厚な扉の先だ。
以前訪れた時は、入れなかった。
今日は…
扉に手をかけようとしたその時、突然人が吐き出されて来た。
6人位の男女パーティーで、顔だけは見たことがあった。
皆、怪我はないようだ。
俺達に気付いたリーダーが、立ち去る前に話し掛けて来た。
「お前達3人で挑戦するのか?」
「ああ、そうだ」
「エスケープボールは持って来たか?」
「持ってる」
「そうか、ならいい、気を付けて行け」
「分かった、ありがとう」
それだけのやり取りを終えると、パーティーは6階層の階段を降りて行った。
多分、踊り場で野営して、明日、先に進むか、帰るかするのだろう。
もう時刻は夕方だが、ここで間を空けてしまうと、また誰かに入られてしまうかもしれないので、強行突破してみることにする。
結界、シールド、状態異常耐性を全員に掛けてから、体力、魔力の回復ポーションを飲む。
「もし、キングの他、ジェネラルとメイジが出たら、二人に頼む」
「分かった、俺はメイジをやる」
「あたしはジェネラルと戦うね」
扉を開けた先に、玉座に座る、オークキングと左右に控える、オークジェネラルと、オークメイジが見える。
俺達が入った途端、ファイアーボールが打ち込まれた。
結界、シールドと貼っているが、熱そうなので、土の壁で受け止めた。
3人それぞれ、相手に向かう。
流石ボス部屋、オークの癖に、豪華な鎧や剣、ローブを纏っている。
この間は、2パーティーの7人相手に、キングが一頭だけだった。
今日は俺一人が相手だ。
重い剣が振り下ろされる、まともに受けるとこちらの剣も傷つくので、受け流すように払い隙を見て打ち込む。
キングもジェネラルも大層な全身鎧なので、俺は早々に魔法攻撃に切り替えた。
『エアカッター』
顔を狙うが、籠手で防がれた。
なら、
『ダークパレット』
ブゥォォオオオオオオオオーーーーーーーーッ!!
今度は防いだ籠手が闇の霧で溶かされる。
剝き出しになった腕を斬り飛ばした。
返す刃で目を潰す。
無力化したところで、首を撥ねた。
やった!
キングの魔素が俺に吸収される。
その後に残った魔石と革、鎧を回収した。
さて、二人はどうなった?
ウィルはメイジの魔法攻撃をひたすら躱していた。
魔力を全部使わせるのか?
メイジの攻撃が途切れたところで、顔に強風を吹き付けた。
ひるんだ隙に、ファイアーアローを胸に叩き込む。
一度、二度、三度と叩き込むとメイジは倒れた。
大丈夫だな。
エマは?
エマとジェネラルの戦いは対格差が大きいので、巨人と小人のようだ。
ちょこまか動くエマを追うジェネラル。
エマは散々追いかけっこをした後、不意をついてジェネラルの肩まで駆け上がり、顔に手甲武器で切り刻む。
倒れたジェネラルの頭を潰して見事仕留めた。
「みんな、やったな!」
「おうっ」
「やったよー」
ジェネラルの剣と魔石、メイジの杖と魔石、それらも回収した。
それが終わると、玉座の前に宝箱が現れた。
3人ワクワクである。
まあ、中身は金のインゴットなのだが。
『知覚』
うん、罠無し。
『アンロック』
パカンッ
「「「おおおおおお!!!」」」
中には煌めく金のインゴットが入っていた。
「ん?
まだ、何かあるぞ」
それは、赤い石の填まった古びたペンダントだった。
『鑑定』
※亜人の隠れ蓑
石に触れ、「人化」と唱えれば、変身できる。
同じく石に触れ、「戻れ」と唱えれば元に戻る。
「これって、まさにエマの為のアイテムだな」
「ああ、エマ、身に付けて唱えてみろ」
「分かった、『人化』」
えっと、耳も尻尾も隠してるので、見た目分からないな…
俺らが戸惑っていると、エマがニコリと笑った。
「大丈夫、耳も尻尾も消えてるよ」
俺は念の為、エマのステータス鑑定をしてみた。
姿が変わっても中身は一緒だった。
人化しても、能力は変わらないな、すごいぞこれは。
「でも、これって、人以外の者じゃないと意味ないよな。
まるで、俺達の、いや、エマの為の宝物だな」
確かにウィルの言う通りだ。
不思議だが、これでエマは格段に、人の世界で生活しやすくなった、良かった。
この後は、ボス部屋に空間テントを建て、野営することにした。
リポップするまでは安全地帯だからな。
今日は祝いだ、と、ステーキを出した。
まあ、昼飯も抜きだったから腹減ったし。
ヒルダさんのところで大量に注文しておいたのだ。
「お肉ー、お肉最高ー」
「ステーキ食うぞー、野菜もちっと食うぞ」
「それにしても、噂は本当だったんだな。
帰ったら、ギルドに報告しないと。
でも、スライム階層のスクロールや、エマのペンダントはギルド長にだけ報告しよう」
「そうだな、他の奴が聞いたら不審に思われそうだもんな」
俺の言葉にウィルも頷いた。
なんにせよ、俺達は異様にツイてるからな。
«幸運のスキルが影響しているかもしれないな…»
前世の賢者たるユリウスが、脳内でそう呟いている。
ユリウス自身も知らないスキルなので、確信はないのだろう。
«幸運すげーよな。
緑柱石の5億円はシビレたぜ»
前前世の正志からしたら、法外な値段だよな。
でも、5億円じゃなくて白金貨5枚だからな。
ステーキをたらふく腹に納めた俺達は、早々に休むことにした。
「まあ、何はともあれ、まだ2階層分、残ってる。
6階層、7階層と、コンプリートして行こうぜ」
「「おうっ!」」
気合は十分、明日も6階層から、挑戦だ!




