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誕生会と飛び入りと上位貴族達の事情

ポラックの街は、ラリックの街と同じくらいの規模の街である。



だが、ラリックの様にダンジョンがあるわけでもなく、地味である。

しかしポラックはすぐ先のオウドの村近辺で採取される薬草によって、薬、ポーションの街として知られていた。



そういや、ポラックまで一緒に乗り合い馬車に乗ってたじいちゃんも薬師だったな。

薬草買ってくれたし。



そうそう、ラリックのすぐ傍の村の名は、モスノというのだが、その近辺でも貴重な薬草が取れるそうで、じいちゃんもそこへ行ってた帰りに、乗り合い馬車に乗って来たみたいだ。

そこは、アビー達が例のバッタ狩りをしてたところだ。



薬師の話が出たところで、俺の薬師の修行がどうなったかを話そう。

激マズ青汁から、普通に飲める青汁にまで成長した。

効能は、以前が体力2回復だったのが、今は体力10回復までいった。


普通の冒険者の体力が50前後なので、これはこれですごいことなのである。

30~40回復出来るポーションが作れれば、十分売り物になる。

このまま精進したい。


ぶっちゃけ、聖魔法を使った方が早いのだが、ポーションが作れる様になれば、行く先々で売って金にすることが出来るので、頑張りたいのだ。



さて、ポラックの街は当初通り過ぎる予定だった。

しかし、今日俺の14歳の誕生日ということで、街に入り、ちょっと良い店で食事しようということになったのだ。



ウィルとエマが奢ってくれるというのだ。


ウィルの金はないはずだろ?と、思われるかもしれないので説明する。

全財産、マキシムさん達に渡したものの、被害者達は被害手当金と送迎により、ウィルの金は必要なくなったということで、騎士団、ギルドといった経由で、クランリーに旅立つ前に返金された。




では、誕生会と洒落こもう!


3人で、ポラックの街をぷらぷらそぞろ歩き、良さそうな店を探す。


丁度目に留まった瀟洒な佇まいのステーキ屋に目が惹かれる。

3人頷きあうと店に入り、個室を指定して座ると、すぐさまステーキを注文した。

何度も何度もステーキをおかわりして、食いまくった。


「お肉ー、いいよね、肉美味しいー」


「うん、串焼きもいいけど、ステーキ最高だな」


「俺、酒場で食いそこねたから、なお、おいひー」


誕生会そっちのけである、でも、それがいい!



食後、個室なので、遠慮なくだらけて座る俺達。

腹ごなしに、林檎酒やお茶を貰いまったりである……



が、



「何故ここにいる?」


エマが身構え、ウィルが俺の代わりに、風のシールドを一人づつ貼っていってくれた。


なぜなら俺の真横に、例の誘拐事件の女が、いつの間にか座っていたからだ。



「やだなー、シールドなんて貼っちゃって、あたしにもステーキ奢ってよ」


「いやいやいや、犯罪者がナチュラルに此処にいるんじゃねえ」


「えええ、あたしの処遇聞いたんでしょー、アケルー、説明してやってよー」



何やら名前を呼ぶと、いきなり女の隣にローブを羽織った人物が現れた。


ちっ、こいつら、認識障害、もしくは隠微を使ってたか?

だが、俺の索敵には緑の点しかない。

敵ではないのか?



「失礼した。

アロイス殿、ウィル殿、エマ殿とお見受けする。

見ての通り、隠微で近づいたご無礼、申し訳ない。


私はロラン伯爵家配下、アケル。

この者は、この度配下となったジェミ。

私達は、伯爵家と貴殿らを繋ぐ通達係りだ。

以後お見知りおきくだされ」



マジか、

伯爵家が俺に繋ぎとってくるのか…

てか、この女使って大丈夫なのか?



「心配には及ばない。

伯爵家は、貴殿を配下として拘束するつもりはない。

ただ、そう見えた方が、貴殿も色々な煩わしい誘いから逃れられるのではないか?


後、このジェミだが、私が見張っているので大丈夫だ。

まあ、これでも性根はまともと判断した結果だ」



言われて、ジェミと呼ばれた女がてへっと、可愛いこぶって笑った。


金髪にくすんだ青い目のジェミと、ローブ超しに見える、灰色の髪と目をしたアケル。

くそっ、どちらも美人だな、だが油断はしない。



『サイレント』


アケルが風魔法で、この場の会話が外に漏れるのを遮断した。


「貴殿らとは、敵対が無い、共闘が可能と判断し、情報を共有することにした。

この度の、花収集の為の事件、グローリア辺境侯爵家によるものだ。

目的は浄化の儀で、御息女を筆頭聖女にする為とのこと。

ライバルになりうる平民の聖女の卵を消そうとしたのもグローリア家だ」



なんだって、ポポを? ふざけんなよ、

くそっ、



「それを助けたのも貴殿だったな。

グローリア家に睨まれているやもしれん」


「分かった、あんた達と共闘する」


「そうか、賢明だな。

我らと繋がることによって、貴殿の周辺の者に、火の粉が降りかかるのは防げるだろうさ。


グローリア家はあれでも愛国者だ、共闘は出来ずとも、敵ではない。

御息女を聖女に祀り上げ、王妃にと目論んでいる。

王家にその気はないのにな…


伯爵家は中立だ。

だが、国に危機が及べば、状況を読んで動く。

以上だ」




はあ、なんか色々面倒くさい…



俺のげっそりした顔を見て、アケルは、ふっと笑うと消えた。


残ったジェミが俺の耳元で囁く。


「アロイスく~ん、あの時はよくもずぶ濡れにしてくれたね~

まあ、でも、あんたのやり方嫌いじゃないよ。

これから、よ・ろ・し・く!」



そう言うと、ケラケラ笑いながら出てった。



俺、ウィル、エマ、しばらくぼうっと呆けてしまった。


とんだ誕生会になってしまった。



「あー、アロイス大変だったな。

まあ、でも、俺も頑張って今よりもっと腕上げて力になるよ。

さっきの人のサイレント、俺も覚えようかな」


「そうだねー。

あたしも強く成る為に、装備工夫して、やっぱり格闘に変更する。

この後、武器屋行こうよ」


「ありがとな、ウィル、エマ。

分かった、行こう、武器屋に」



そうだな、もっと強くならないとな。


さっきのアケルという魔法師、闇魔法と風魔法を使ってたな。

そうとう、腕が立つ。

実は、話をしながらこっそり、ステータス鑑定をしたんだが、真っ黒に塗りつぶされて見えなかった。

塗りつぶすのか、偽装じゃないんだな?



俺の疑問に、前世の賢者たるユリウスが答えた。



«腕は立つが、偽装までは出来ない。

故に、見せないよう塗りつぶしたのだろう

偽装には、光、闇、両方の魔法がいる»



そうか、俺は全属性だからな、気が付かなかった。

光だけの場合は、白く塗りつぶされるそうだ。

後は魔道具、アイテムを使うかだ。



ジェミのステータスは見えた。

こっちは、能力は、ウィルより上で、エマより下。

魔法は無魔法、そう言えば『バースト』を使ってた。


使用魔法は一つだったが、それでも使えるだけすごいことだ。

エマは使えないからな、何か考えないと。





宣言通り入った武器屋は、ダンジョンの街でもないのに、意外と品揃えがよかった。

まだ小さいエマの相談に、真剣に耳を傾けてくれて、好感が持てる。



「見てー、これすごーい」



それは、見たことのない武器だった。

手首、手の甲に嵌める鍵爪みたいなものだ。

爪を先に長く伸ばせる、伸縮自在の武器で、しかも、防御力にもなるという。


うん、獣の武器だ。

獣人のエマにピッタリ。


ウィルの方も、大きな魔石の填まった白い樹の杖を選んでいた。



「魔石が魔力を増幅させてくれるらしい。

後、杖術も上がるんだ、これに決めたよ」



ウィルは魔力回復ポーションだけで遣り繰りするのは大変だったみたいだな。

良い杖があって、良かった。



俺は、店内隈なく見たんだが、残念ながら欲しい武器はなかった。



「アロイスおにいちゃん、剣持っても、杖持っても、殆ど使わないしねー」


「勿体ないな、力も速さもあるのに」


「うん、こういうのは相性だからさ。

ピンときたら買うよ」



正直、異空間収納に、山ほど剣や杖があるので、特に必要は感じないんだよな。



この後も、魔道具屋を冷やかしたり、ぷらぷら歩いて、日も暮れた所で宿に帰った。

今日だけは、シーナを預けられる宿屋の大部屋を借りたのだ。

部屋で空間カスタマイズされたテントを出して、中で寛ぐ。



とんでもない飛び入りが途中入ったが、良い誕生日だった。



明日からは急ぎでクランリーに向かうぞ。

せっかくラリックに帰ったんだから、早く行って、早く帰る。



実は俺、帰りは一日で帰れるよう、仕掛けをして来た。


そう、空間接続だ。

ラリックの安全な場所に、【隠れ家】を設置し、隠微と結界を施した。

そして、家の中の部屋の一つに、魔法陣をセットしたのだ。


帰る時は、【隠れ家】に置いた魔法陣へと、帰還する魔法陣を、どこでもいいのでセットする。

今の俺は、まともな転移魔法が出来ないが、こうしておけば、一瞬で帰れる。

勿論、使い終わったら、現場の魔法陣は、消去する設定も加えておく。


ぶっちゃけ、接続は、魔法陣の転移とあまり変わらない。

ただ、普通の魔法陣転移よりも、難易度が下がるのので、今の俺はそちらを使うのだ。


今後の事を考えて、ユリウスには魔法陣を含む錬金術関連をもっと習いたいと思う。



«おお、どこでもドア~»



そうだな、正志。

前前世の正志の世界の空想話の方が、よっぽど凄い魔法に見えるよ。





さあ、ウィル、エマ、

明日からクランリーへ向けて、かっ飛ばすぞー

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