表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら天使のように優しい令嬢になったけどごめんなさいそんなに性格良くないので期待しないでください  作者: ブリージー・ベル (旧・瑚希)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/68

賭け

卒業パーティでアリスに着てもらいたいドレスを早くから準備してきた。僕の瞳の色をベースに細部はアリスと一緒に決めたりして、それを着たアリスを見たかったけれど、出発の日が卒業パーティより早くなるようで、アリスにはドレスの相談を一度もできていない。


「王子だって普通に恋したいだろうな」


 シャーロットのことを好いていてくれたが、シャーロットは王妃になるより自分らしくいられる恋を選んだ。そうなると、自分の娘と婚約させようと動き出す家が増え、数人の候補の動きが激しくなる。その争いに巻き込まれたのがレイラだ。シャーロットのせいで候補に上がったものの、本人にその気がない。


 元々好きな相手がいるようで、婚約者に選ばれたくないと避けているのに、その美しさと家柄で周りから最有力候補だと見られ、陰湿な嫌がらせを受けるようになってしまった。


 妹が原因なのもあり、護衛の真似事のようなことをするときに「想い人に誤解されないか?」と尋ねたら「学校にはいない人だから」と言われ、「あなたといることで少しは焦ってくれると嬉しいのだけど」と、打算と期待も兼ねて本人から頼まれ、アリスからまた離れなければならないタイミングだったこともあり、そのまま学校外でも護衛らしいことを数度こなした。


 見た目も良いし、性格も穏やかで優しい王子なのに、シャーロットにもレイラにも逃げられ、外遊前に婚約者を決めることができていない。もちろんアリスに手を出すことは許さないと釘も刺したし根回しも手を尽くした。


 結果、シャーロット以上に惹かれる相手は見つからず、卒業パーティに出席する必要もないことになる。もし出席することになればアーサーとシャーロットの仲睦まじい姿を見なきゃならないのは結構きついよな、と思う。


 そしてジュードは外遊に同行するのを断った。アリスの側にいるためだろう。だけど、僕は行くことを選んだ。やりたいこともあるし、自分ができることを考えた結果だ。不安がないと言えば嘘になるが、今のアリスなら大丈夫だとも思える。


 悪巧みしたり、意地悪しようとしたり、なかなか自分の気持ちに素直になれなかったりするのに、僕がお願いすることはできるだけ応えようとしてくれて「他の人を好きになることもできる」と言い切るアリスの強さ。


 他の人を好きになることもできる


 こう言えるのは「他の人を好きにならずにいられる」からだ。自分の意志で誠実でいられるのだろう、僕を好きでいてくれる限り。そう思った。


 しばらく離れることを選んだが、僕の体と心が激しく抵抗してくる。悶々とした日々を過ごしていると、レイラが「最後の賭けに出るから協力して」と言ってきた。


□  □  □


「イレーヌ様?」


 温室の前を通りかかったとき、強く言い合うような声が聞こえて立ち止まる。まさかこんなところで喧嘩?と不安になり、思わず開いたままの扉から中を覗き込んでしまった。

 そこにはどんなときにも優雅なイレーヌ様と、こちらに背中を向けて立っている男性がいて、二人の距離はかなり近い。入ってきてしまったけれど、このまま盗み聞きなんてダメよね。そう思っているのに


「とにかくダメ!」


イレーヌ様の強い声で、中の方へと足を進めてしまう。たくさんの植物がある中、大きな葉っぱの陰からそっと伺っていると


「1度だけ」


 待って。あの背格好に銀色の髪・・クマっぽい。バートさんかしら。聞いたことのない絞り出すような声。


「あなたのその自己満足のための行為で、周りの人間が何人も傷つくかもしれないの」

「私の人生は我慢だらけだよ」

「ならば最後まで我慢を通してみせなさい」

「・・・」

「あなたの望みは叶わないの。口に出して玉砕したいって思うのはエゴよ」

「そうだろうな」

「周りも巻き込んで傷つこうとしないで」

「・・・」

「何度でも同じことを言うわよ」

「イレーヌは正しいね」

「正しい意見ばかりでごめんなさい」

「・・・」

「本当はあなたの気持ちを応援してみたいのだけど・・。無理なのよ」

「わかってるよ」


 バートさんから離れ、いつもの優雅な足取りでイレーヌ様は出ていった。呆気にとられてしまい、その場から動けないでいると、今度は扉のそばで男女の話し声が聞こえてくる。


「あなたのことが好きなの」

「困ったな」


・・・。テオの声。相手は・・レイラ様?


「あなたの心が別の人にあることはわかっているの。だから私を愛人にして」


・・ものすごいセリフが聞こえた。どうしましょう・・出ていったほうがいい?


「そんな関係で君は幸せだと思うの?」


・・テオのセリフがなんか変。何がどうとまではわからないけど、違和感がすごい。


「ええ。それでいいの」



「ダメだ!」


 違う方向から声がした。バートさんがコツコツと足音を鳴らして近づいてきて


「そんなことを言われたら、諦められなくなる!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ