開き直る
「なによ」
「アリスって」
「何を聞いたの?」
「アリスが誰に1番好意があるのか」
「うぐ」
「誰でしたか?僕にも教えてください」
「どうする?アリス」
「・・・」
「黙っておいたほうがいい?」
「・・・もういいわ」
「え?」
「クッポ、私のラブゲージ言っていいわよ」
「やったー☆」
「えーっとね、ムギュ☆」テオがクッポの口を塞いだ。
「テオ、何してるの」
「アリスの秘密なのに」
「もう諦めた」
「なんか嫌」
「ふうん」
「とにかく!あなたを好きになることはありませんのでお引取りください」
「今日はとりあえず引き下がります」
とりあえずじゃなく永遠にがいいんだけどと言いたかったけれど、さすがに言葉にするとキツすぎるかと思いやめた。それにもうこの押し問答に疲れた。一刻も早く逃れたい。ディランが退室したあと、はああと大きくため息がでてテーブルに突っ伏した。
「あんなにも話が通じないことある?」
「アリス大丈夫?」ジュードが心配してくれる。
もう全てが不誠実な気がしてきた。ヒロインだからある程度は仕方ないにしても、この状況を作り出したのは私が誰かを選んで攻略しようとしていないからだと思う。決めた!
「クッポ!やっぱり私のラブゲージ教えて」
「はーい☆」
「は!?」
「ディラン10、アーサー35、ウイリア厶50、ジュード74、テオ75」
「・・・」
「ん?」
「なんだ。テオに追いつけそうだな」
「1しか違わないって・・」
あ、そういう感じなのね。怖くて尋ねていなかったけれど、さすが自分の数値。ストンと納得。それなら・・・
「ジュード!久しぶりに二人で街に行かない?」
「「え」」
「行く」
「いつにしようか」
「今日でも明日でも週末でも、いつでも大丈夫」
「じゃあ明日!」
私の強い意思に押されたのか、反対の声は上がらなかった。テオは片眉を上げて怪訝な顔で見てきたけれど。
□ □ □
土曜日だったのでお昼前にジュードが迎えに来てくれた。
「さあ!まずはどこに行く?」
「アリスはどこかに行きたい?」
「今日は久しぶりにジュードと二人で過ごして見たかったの。だから一緒にいられたらどこでもいいよ」
「アリス」
急に立ち止まったジュードを振り返ると「僕に関心がなくなったと思って、苦しかった」とほんの少し震える声で言うからびっくりしてジュードの手を掴む。
「あのね!まずちゃんと話したいからどっか落ち着けるお店入ろう!」
二人で選んだお店は2階に個室があり、食事もできる上品だけどあたたかい雰囲気のお店で、1番奥の部屋に案内されて料理を注文する。
「話って?」
「うん。数値聞かされてわかったと思うんだけど、私はどうやらテオとジュードに惹かれているみたい」
「ウイリアムは?」
「ウイリアムのことも大好き。ただ、向き合うならジュードとテオだと決めたわ。実はね・・」
私があおいとしての記憶を持っていること、2つの記憶があるせいで記憶喪失になっていたけれど、記憶を選んで取り戻したことを説明する。
「私にとってジュードもテオも大切な人なの。選んだとはいえ、テオが助けてくれた記憶も大切だしジュードが助けてくれた記憶も大切」
「だから・・私の気持ちを待っててなんて言わない。私がちゃんと二人を見て、勝手に好きになるから。あ、恋愛の意味でね。二人のことは大好きだから。私がどちらかを好きになった頃には二人とも私のことなんて興味ないかもしれないけど、それでもいいから。でもテオは別に私のことを恋愛の意味で好きなわけじゃなさそうだけど。って、ジュードも私のことを恋愛的に好きなわけじゃないかもだけど。それでもいいの、私が、新しい私がちゃんと好きになりたいだけで、決して傲慢な意味では・・どうしよう・・言えば言うほど気持ち悪いほどに傲慢な感じが・・」
「わかってるから大丈夫だよ」そう言って笑うジュードの笑顔がかっこよくてトクンと胸の横の血管が膨らんだような感覚がした。やっぱりジュードの笑顔は好きだなと思う。
二人でご飯を食べて、仲良く買い物をして、楽しい1日が終わる。寝る前、(ゲームみたいにいろんなキャラと何度でも恋できるって羨ましいって思ってしまう。だってみんな優しくてかっこいい。誰か一人と1回だけ恋愛なんて、素敵で憧れるけど実は損をしてるんじゃ?なんて思うのは私が浮気者だからなんだろうか)とか考えて落ち込んだ。大体、選ぶってなに。選んだ人に選ばれるとは限らないし、思い合えるなんて奇跡だし、好きになっても気持ちが離れることもあるし。
恋愛ってきっと特殊で特別。
だからこそあんなに異世界転生恋愛小説が溢れていたんだろう。同じような設定でも、みんな違いがあって面白い。溺愛ものとか好きだったのに、自分がやってることは全然違う。大好きな人にこれでもかというほど大好き大好きだと言われて大切にされたいし大切にしたい。もう、自分の気持ちがわからないからって濁さないわ。見極めてみせる!私の恋心。
とびっきりの恋してみせる
なんて考えた自分が恥ずかしくて布団に潜り込んだ。これぞ思春期よね。




