固定概念とは
「で、これはいったいなんの集まりですの?」
「アリスに婚約を申し込んだらしいよ、彼」
「ああ、婚約解消したのが噂になってるものね」
「お断りします」
「諦めません」
「さっきからこの調子で話が進まないの」
「好きな人とは誰のことですか?」
「うぐっ」
とっさについた嘘が自分に刺さる。「え〜・・っと」
「あら、自分の気持ちに気がついたの?」
「誰が好きなんだ?俺にまず教えて」
「アリス・・好きな人がいる?」期待を添えてうるうるした目で見ないで、ウイルちゃん。
ニヤニヤしないで、テオ。
えーっと・・好きな人がいるのは嘘でしたと白状した場合、ディランがぐいっと前に出てくるから却下。ジュードを好きだと答えると、ジュードと再婚約。ウイリアムを好きだと答えると、たぶんもう逃れられない。テオを好きだと答えると、たぶんわかってて助けてくれる。
・・でもそれでいいの?
「クッポに訊きたいぐらいだわ」ぼそっと呟いた。
ポンッ
「呼んだ?」
ひーーーーー!!え、出てきていいの!?
みんないるよ?もしかして私にしか見えない?
「やだ可愛い」
「なんだ?ペットか」
普通に見えてた。
「クッポ!出てきていいの?」
「え、いいよ」いいのね。そう・・ですか。
「アリスのペット?」
「いや、ペットではないんだけど」
「触らせて!」
「いいよー☆」
すんなり存在を受け入れられてる。まあ・・そもそもここは『100通りの恋☆あなたの思い通りにカスタマイズしてとびっきりの恋をしよう』って浮足立ってる世界だものね・・こんなカラフルな生き物がちょっと浮いてたぐらいで何か変わるわけではない・・のよね?
「で、そいつはなんなの?」
「えーっと・・」
「僕はみんなのラブゲージを把握してるキュートなアドバイザーだよ☆」
言った。・・え、言った?
「なにそれ面白そう」真っ先に飛びついたのがテオ。
「クッポ!消えようか」
「ええー」
「では消える前にラブゲージとやらを教えてもらいましょうか」
「ひっ。ク、クククッポ!今すぐ消えて」
「つーかまえた☆」ガシッとクッポを掴む・・・ウイリアム。
「クッポ!捕まっても消えられるでしょ?!」
「面白そうだからいる☆」
「じ、じゃあ私が答えちゃダメって言ったら答えちゃダメよ!」
「うーん?」
「返事は『はい』のみ!」
「はーい?」
「語尾をあげないで」
「はーい」
「で、君はなにがわかるって?」
「アリスの気持ちが誰にどのぐらいあるかわかるよ☆」
「それ、答えちゃダメ」
「なにそれ便利ね!いいじゃない!アリスの気持ちわかりにくいもの」
「ぜひ知りたい」
「クッポ、ダメよ」
「他にはどんなことがわかるの?」
「アリスへの好意がどれくらいかもわかるよ☆」
「それもダメな気がする」
「じゃあ僕のアリスへの気持ちを教えて!」
「ウイリアムは80だね☆」
「100の内?こんなに好きなのに?」
「ダメって言ったのに!」
「じゃあ僕は?」
「ディランは60」
「ひっく!」
「勢いの割に低いな」
「では僕の気持ちが100になったときは今以上に君のことが・・・」
「僕は?」
「ジュードは105」
「たっか!」
「さ、下がった・・」
「え、下がったの?100超えてるのよ?」
「負けた」急に萎萎と縮むウイルちゃんを「勝ち負けじゃないわ」と慰める。
「下がったって言ったよね」とジュードの視線が痛い。
「ちなみに俺のは?」
「アーサーは36!」
「家族はこんなもんか?」
「ちょっとだけ増していってる・・」
「アリスのも教えてよ」
「絶対ダメ」
「ダメってことは差があるってことだろう?」
「さ、さあ?」
「せめて1番興味がある人とない人ぐらい教えてよ」
「・・ある人はダメだけど、ない人ならいいわよ。ディラン様に決まってるもの」
「正解!」
「伸び代しかないね」
「伸ばすつもりがないと何度も申し上げています」
「どうしてそんなに頑なに拒むんですか?」
「私の友達があなたのことを好きだからです。誰なのかは言えませんが、彼女のほうがあなたのことを真剣に考えて大切にしてくれます」
「僕はその人に大切にされたいと思っていない」
「・・・」
「・・・」
困ってしまってクッポを見ると、テオとシャーロットに捕まって何やらヒソヒソ話している。
「こらそこ!」
「まって、今いいところだから」
「ダメー!何を聞こうとしてるの、待って!」
「ふむふむ」
「クッポ?」
「・・だよ」
「クッポーーー!?」
テオがニヤリと笑って私を見た。




