すてーたす
「クッポ!」
ポンと現れたクッポが明らかに違う。
「ん?」
「クッポ・・付けちゃいけないものを装備したね」
「いいでしょこれ」頭に風船みたいなのが付いた。
「ギリアウト」
「何が?」
「名前といい、オマージュ・・いやギリパロディかな」
「何を?」
「言っちゃいけない気がする」
「?」
「ま、まあその頭から生えてるの丸じゃなくてハート型だしね☆」
「最高でしょ☆」
「可愛いね」鼻をツンツンと優しく触りながらお菓子の缶を開ける。
「私も変わったでしょ?」
「ううん全然!」
「え」
「見た目なんにも変わってないけど?」
「あ、中身」
「中身なんて見えないもん」
「それが・・見えるようになったはず!」
「ええー」
「私のステータス的なもの見て」
「クッキー食べてからね」
「今見ないとクッキーあげない」
「うう」よしよし、見てくれたらいっぱい食べていいから。
「わかった。ちょっと待ってね」
「・・・・」
「あ!ほんとだ。アリスのラブゲージとステイタス復旧してる!」
「でしょでしょ?教えてほしいなあ」
「ちょっと待ってね」
「全てゼロ!」
「うぐ」
「綺麗なスタートラインだね。まあマイナス状態だったわけだし」
「尋ねるの早すぎた?」
「なんでバグ直ったのかな」
「婚約解消して記憶取り戻したの」
「へー」
「まさかそんな薄い反応をされるとは・・。ちなみに私の何がわかるの?」
「可愛らしさ、かしこさ、健康、優しさ、意地悪、色気、根性」
「・・なんかすごいヤダ」
「なんでー?」
「他の言葉で表現してほしかった・・」
「ち」
「ち?」
「ちなみに・・私が誰をどれだけ好きかもわかったり?」
「わかるよ!別名浮気者ゲージ!」
「げっほ」
「何人も好きだったらばれちゃうね☆」
「ほんとだね☆」
「・・・」
モキュモキュモキュモキュ
「・・・」
モキュモキュモキュモキュ
「ちょっとだけ教えてくださいクッポさま」土下座した。
「ちょっとだけ?」
「色んな人に懸想してたらなんか立ち直れない気がするから、私が1番気になってる人を教えてもらう・・とか?」
「あ、そういう感じね。ちょっと待って」
「テオ!」
「わあ」
□ □ □
翌日、ほんのりテオのことを意識しながら登校する。昨日いなくなったことがひっかかるし、何故か顔が見たかった。ランチの時間になっても会えないし、今日はテオと一緒になる授業はない。会いたいと思っても会えないものだなと思いつつ帰宅。
翌日、今日はダンスの授業がある。テオに会えると思って楽しみにしていたけれど、テオはいなかった。
翌日、シャーロットとランチしているときに、アーサー兄様をテオを見つけた。いつもなら私達のところに来るのに、手を振っても来なかった。
翌日、美術がある。今日こそはと思っていたのにテオは来なかった。
さすがにおかしい。避けられているのだろうか。私を避ける理由ってなんだろう。私が記憶を取り戻した日以来なのだから、あの日の何かが原因?ジュードの記憶を取り戻し、もう私を好きなフリをしなくていいと思った?私をからかって遊ぶべきじゃないと思った?
そもそもテオは別に私に恋をしているわけではなかったし、記憶喪失になるまでは今ほど仲が良かったわけでもない。元に戻っただけ・・。
「まあ・・いいか」そう呟いた途端、なにか足りない気がした。
□ □ □
「お前さあ、アリスのこと避けてる?」
「あ、ばれた?」
「なんで?」
「アリスとジュードの邪魔しちゃいけないと思って」
「はあ?あんだけ邪魔してたくせに」
「記憶を取り戻したからね」
「記憶戻ってんの?」
「聞いてないのか」
「記憶を取り戻したのか・・・婚約解消したのにな」
「は?」
「正式に手続きしたよ、先週」
「なんで言わないわけ?」
「それ、俺に言ってる?それともアリスに?」
「アリスが誰にも言わなかったのか」
「シャーロットに言ってないなら誰にも言ってないんだろうし、理由は知らない」
「あーー!頭がすっきりしない」
「珍しいな。頭じゃなくて心だったりしてな」
「は?」
「お前でも苦手なことがあるって話だよ」
□ □ □
婚約解消したこと、助けてくれたテオにはちゃんと会って報告したかったけれど、避けられているならどうしようもなく。シャーロットに報告した。
「婚約解消した途端、記憶が戻るって皮肉ね」
「ううん。婚約解消したら戻るだろうって思ってた」
「どういうこと?」
「説明するのが難しくて」
「ふうん。・・それで?」
「うん?」
「ジュードのことを大好きだった気持ちも戻ってきたの?」
「・・・なんか過去のことになった感じ」
「あら、そうなのね」
「大好きは大好きでも・・もっと幼くて・・友達に近い感情かな」
「そう」
「なにも言わないのね」
「人の気持ちって変わるものよ」
「王子となにかあった?」
「そうね」
「そっか」
「なんか暗いね、私達」
「令嬢は暗さなんてまとってはいけないのよ」
「気に入らないことがあれば、微笑みながら思いっきりつねるのがマナーよね」
いつも通りとはいかないけれど、二人で小さく笑った。




