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転生したら天使のように優しい令嬢になったけどごめんなさいそんなに性格良くないので期待しないでください  作者: ブリージー・ベル (旧・瑚希)


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キスについて

美術の時間。これもまずは描いて実力を見るとのことで、汚れ防止にスモックを配られる。これがなんともダサい。どう着ればマシになるのかと唸っていたら、テオがスタイリッシュに着こなしていた。よく見ると、ウエストを絞っている。割烹着からエプロンに変化した感じ。息をするようにかっこいいんだなと感心する。

渋いオジサマの胸像をいくつかのグループに分かれて取り囲む。まずはデッサン。それぞれ鉛筆を走らせる音が溢れる中、たまに吐息が混じるのはテオに見とれている女子が多いからだろう。


テオのおかげでジュードが婚約破棄について考えてくれている。この先、ジュードを好きになるとしてもやはり一度リセットしたい。できればジュードの記憶を取り戻したい。

無心で鉛筆を動かしているとあっという間に授業が終わった。うん、まあまあかなと出来上がりを眺めていると「上手いね」とテオの声。テオのデッサンを見せてもらうと、飛び抜けて上手かった。センスが違う。


テオと二人、のんびり回廊を歩く。今日は全ての授業が終わり、もう帰るだけ。早い時間だからか周りに人もいない。


「昨日ありがとう」

「ウイリアムには驚いた」

「ね。ウイリアムらしいけど」思い出してクスクス笑ってしまう。

「笑い事じゃないかもしれないよ」

「え?」

「あいつ、誰より衝動的だ」

「あ。そうね・・キスするところだった」

「危機感持っておこうね」

「うん、気をつける」


キスぐらいなんてことないという気持ちもある。ジュードとしたらしいし。記憶ないけど。そのせいかファーストキスだからという乙女心はあまりない。乙女失格かな。最初だから大事?誰とするかが大事なだけじゃないの?

 ほら、ジェットコースターも初めて乗ったときより、2回目3回目のほうが緊張感はないけど、最初のジェットコースターが1番楽しくて嬉しい思い出というわけでもないでしょう?

 記憶にないファーストキスにこだわりはない私だけど、誰とでもするのは貞操観念がないと思ってしまう矛盾。だって頬とはいえ3人にキスした。あれ?誰よりも私が衝動的なのでは・・


「テオは何回ぐらいキスしたことあるの?」

「しゅっ」テオからなんか変な音がした。さすがテオ、動揺してもすぐに立て直して「知りたい?」って尋ねてきた。

 これきっとわたしが【別に】とか引くだろうと思ってる気がする。ならば・・


「知りたい」にっこり笑って答えを望む。



(テオ)


 だろうね。そう来るだろうと思ったよ。【数えきれないほどだよ】そう答えるのがいつもの僕だ。でも、僕も変わる。


「2回」



(アリス)


・・少ない。テオがたった2回?どういうこと。それに【想像に任せるよ】って答えられると思ってたのに。その2回は誰と?テオからしたの?好きな人と?


「はっ!アーサー兄様と?!」

「まだ僕とアーサーをくっつけたいのか」

「くっつけたいわけじゃないわ。ただ、お似合いなだけよ」

「まさか僕とアーサーがキスしてる想像した?」

「あ、今するわ」

「待て」

「あと少し」

「呪いのマスク」ぼわんとマスク姿のお兄様とテオがキスしてるシーンが浮かぶ。


「耽美から喜劇に」

「ん?」

「なんでもない。想像が台無しになった」


「ねえ、それって良い思い出?」

「ひとつは良い思い出で、もうひとつは嬉しくない思い出かな」

「ふうん」

「尋ねておきながら興味ない感じなのが嫌なんだけど」

「嫌な思い出もあるなら、ほじくっちゃだめだと思って」

「良い方の思い出は掘り下げても大丈夫だよ」

「じゃあ・・・誰と?」


「アリスと」

「・・・はい?」


「やっぱり忘れてるね。この傷ついた気持ちをどうしてくれる?」

「ちょ、ちょっと待ってね」必死に記憶を手繰る。どこだ。どれだ。


「ちゃんと思い出す。ヒントをちょうだい」

「テオにいちゃま」

「昔はぼくのことをそう呼んでたね」

「うん。懐かしい」

「時間切れ。宿題にするよ」


 テオと分かれて馬車に乗り、しばらく走ってからふと綺麗な宝石箱に入っていたピンクのガラス玉の指輪が浮かんだ。どうしてその指輪を思い出したのかもわからないまま家に着く。

 テオにいちゃまと呼んでいたのは何歳までだったっけ。着替えを済ませ、宝石箱を取り出す。小さくて小指の途中までしか入らないかわいい指輪を眺めていると、ルナが入ってきた。ルナにたずねてみようと思ったら「ジュード様からお手紙です」と言われて受け取り、かすかに震える手でイーストン公爵家の紋章の封蝋をペーパーナイフで外す。


「この週末、手続きに来るって」声まで震えてしまった。

「何の手続きですか?」

「婚約解消だと思う」

「お嬢様!!」

「そっか・・決心してくれたのね」

「本当にそれでよろしいのですか?」

「わからない。こんなことをしてジュードを失うかもって思ったら怖い」

「だったら!」


「この1年私の気持ちはどこにも動かなかった。テオが言ったの『婚約で縛り付けてるから自由に動けない』って。このままジュードと婚約していてもジュードが幸せじゃない気がして。ジュードに幸せでいて欲しい。もちろん、私も幸せでいたい。今、辛くて苦しくても未来で心から笑っていたいって我儘かな?」

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