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転生したら天使のように優しい令嬢になったけどごめんなさいそんなに性格良くないので期待しないでください  作者: ブリージー・ベル (旧・瑚希)


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のどかな争い

春休みに入ってしまった。ウイリアムとあれこれ話したりしながらも、気がつけばテオを追い詰めるような何かがないかを考えてしまう私は、1年経っても性格悪いままなのかもしれない。


3回目にウイリアムに会いに行ったとき、意外な人物がいた。クマみたいな先生だ。ウイリアムの親戚で、バートという名前だと紹介される。元々医者で学校の先生ではないらしく、今は何か研究していて学園にはたまに来ているとのこと。


「面白い話を聞かせてくれる女の子がいるからと呼ばれたんだが、君だったのか」

「あれ。二人知り合いだった?」

「学園でたまたま2回出会ったことがあって、犬の事件のときに診察してくれた先生だとわかったの」

「学園では2回も僕が助けてもらったよ」

「そそっかしいもんね、バート」

「そんなつもりはないんだが」

「前髪長いからじゃないですか?」

「ああ、長いこと切ってないな」

「研究に没頭すると風呂も入らないしね」

「そろそろ切るよ」


何の研究をしてるのかわからないけれど、いつものように話しているとバートさんが細かい質問をしてくる。最後はまた参加したいと言って帰っていった。


テオとジュードからデートのお誘いを手紙でもらったけれど、ジュードとは日が合わず、テオのはマスク姿のイラストを添えて丁重にお断りした。まだ少し怒っているんだから。


□  □  □


短い春休みが終わり、今日から2年生。アーサー兄様とテオは最終学年だ。お兄様と一緒に通えるのもあと1年。また今年もお兄様の制服に合わせる。学園に着くと、春の強い風が吹いて髪を乱した。お兄様とクラス分けの表を見に行く。自分の名前を見つけて、クラスメイトの中にみんなの名前を探したけれど、私1人だった。でも、ディランとリジーと同じクラス!これはリジーを応援できるのではないだろうか。

お兄様と分かれて教室へと向かう。今年はどの授業を選択しようか考えていると、後ろから急に肩を抱かれる。


「だと思った」テオだ。

「アリス、怒ってる?」

「すこーーーしだけね」

「割と怒ってるね」

「だって、私の秘策を台無しにされたもの」

「だって、僕の顔を台無しにされたもの」

「私、そんな口調だった?!」

「僕にはそう聞こえるけど」

「ちょっと待ってね」

「うん?」

「ふふっ」

「なに」

「テオの顔を台無しにする呪いを思い出していたの」

「やめて」

「ふふっ。まだいけるわ」

「アーサーを思い出して」

「うっ」

「ついでにウイリアムも」

「ああー」

「僕の顔を見て」

「・・・」

「まだマスク姿に見える?」

「テオ、ちょっと屈んで」

「こう?」


 テオの頬を軽く引っ張りながら「この顔がマスクなら面白いのに」頬を引っ張っても美しいままだ。気がつけばテオが私の頬を引っ張っていた。ふと我に返って周りを見ると、みんな固まって私達を凝視している。慌てて手を離し、テオに背を向けスタスタ歩く。


 後ろで立ち止まったままのテオが私の頬の感触の余韻に浸って指先を確かめるように動かしていたとは知らない。


 教室に入るとリジーを見つけた。ディランの姿はまだ見当たらないけれど、小声で「ディラン様と同じクラスね」と話しかけると「そうなの!」頬を染めてキラキラと涙目になっている。


 そこへディランが入ってきたようで、リジーが「っ!」と息を呑んだ。私は背中をむけているのでわからないのに、リジーの目の動きでディランが移動しているらしいことがわかる。小声で「またね」と声をかけて自分の席へ移動した。



 翌日、みんなでランチをすることになった。ジュードもテオもシャーロットもいる。近況を話し、いつも通り楽しくランチを終えた頃、テオが私の頬について話し始める。


「アリスの頬って最高の触り心地だったんだね」

「は?」私とジュードの声が重なった。


「そうよ。お兄様知らなかったの?」

「お前は知らなくていいことだったのに」

「アーサーはわざと黙ってたわけか」

「当然だ」

「私はいつも堪能してるわよ」

「え、僕も知らなかった!アリス触らせて」

「ダメ」テオとジュードの声が重なる。


「いいよ、ウイリアム」そう言ってウイリアムに頬を差し出すと、テオが横から入り込んできて触る。


「テオに許可してない!」

「そんなあ」

「アリスの頬は誰も触っちゃダメ」

「うん、それ決めるの私だから」

「僕だけのものだったのに!」

「え、そうなの?」

「ふふん、俺は生まれたときから触ってるんだから、誰も俺には勝てないよ」

「勝負じゃないわ」

「私だって負けないわ!小さい頃からムニムニと愛でてきたんだもの!」

「シャーロット、勝負じゃないって聞いてた?」

「知らなかったことが辛くて震える」

「そんなに!?」

「知ってたのに黙ってた奴は罰を受けるべきだ」

「知ったからって触らせるわけじゃないわよ」

「え」

「テオには今後一切触らせません!」

「え」

「ふふん」胸を反らして得意気に微笑んであげた。


「あ、テオ死んだ」

「まあ、自業自得だな」

「1人ライバルが減って嬉しいわ」

「・・・みんなも禁止」


「ええっ!!」大合唱だ。


「私の頬がさわられすぎて育ったらどうしてくれるのよ!」

「だ、大丈夫よ」

「今まで触られてきて育ってないだろ?!」

「でも、シャーロットの頬は薄いのに私のは厚いのよ!?」

「それは元々よ」

「あ、そうなのね」

「濡れ衣だから、ペナルティね」

「い、いやだ」

「・・・」

「みんなで私の頬を見ないで」

「だから僕だけのものだってば!」

「私のものよ」

「俺のだって」

「僕、まだ触ってない」

「あ、ウイリアムどうぞ」


 ウイリアム以外の4本の腕が頬に伸びてきた。


「違う!」

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