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転生したら天使のように優しい令嬢になったけどごめんなさいそんなに性格良くないので期待しないでください  作者: ブリージー・ベル (旧・瑚希)


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観察力

「あなた達、何をしているの?」

優雅な佇まいにピリッとした厳かな声色に、サロンにいる全員が小さくなったような気がした。


「あの・・これは・・」答えても答えなくても窮地であることがわかっているのだろう、声がか細い。


「例えどんな理由があろうとも、対象者に関することで1対1以上で集まって会話することが禁じられているとお話しましたよね、アリス様」


「はい」


「あなたは呼び出された側だと思いますが、呼び出された時点でわたくしに報告するべきでした」


「はい」


「そちらの3人はなぜルールを守らなかったのでしょうか」

「・・・」

「どんな想いを抱えていようと、マナーやルールが守れないのは美しくありません。決められたルールの中で他人を不快にしないというマナーを守って動けてこそ人間は美しいのです」

「・・・」

「決められたルールに納得できないのであれば、改善点を提案なさってください」


 何も答えられない3人へ向かって歌うように優しく語りかけるイレーヌさまの神々しさがさらに増す。


「わたくしいつも疑問に思いますの。振り向いて欲しいからと努力をしたり、話せることが嬉しくてその機会を大切に思い、執拗に追いかけたりしない姿は評価につながりますが、自分の想いのほうが強いからとそれを対象者や対象者が好意を抱いている相手に押し付ける姿の醜さにどうして気が付けないのかしら?と」


「自分の欲を相手に押し付けたり、相手をコントロールしようとする人間が本当に人間を愛せていると思いますか?」


 イレーヌ様が紡いだ言葉の意味をちゃんと理解できたか自信はないけれど、イレーヌ様の描く学園生活はきっと私では想像できないような崇高なものなのだろうと思った。


 呼び出しに応じてしまった私は叱られたけれど罰はなく、クロエ達は自分たちの醜い行為を心から理解できるまで反省文を書き続けるという罰を受けることになった。


□  □  □


 冬休みが始まった。今年の冬は暖かく、雪が降る気配がない。


 ジュードとテオを誕生日に招いていいかと両親に相談すると「ジュードはわかるけれど、テオはどうして?」とお母様に訊かれた。


「どちらも私にとって大切な人ですから」とっておきの優雅な微笑みで答えると、「あら、アリスが素敵な受け答えをできるようになったのね」と私以上の優雅な笑みで返される。お母様にはまだまだかなわない。

 二人が来るかどうかはわからないけれど、雪が降らなければ来てほしいと手紙を出す。どちらの手紙にもジュードとテオを誘っているという文を添えて。

 どちらからも「雪がなければ行く」との返事が届いたのが誕生日前日だった。


 誕生日当日のお昼前にジュード、テオの順に到着し、ジュードを案内している間にテオはアーサーお兄様が案内した。家族だけの昼の食卓に、テオとジュードが混ざる。ジュードは母と、テオはお兄様と談笑し、私と父はたまにどちらかの会話に参加する。食事が終わり、両親以外の4人でアーサーお兄様の部屋で寛ぐことになり、私の部屋からカードやボードゲームを抱えて行く。


 私はアーサーお兄様の隣に座り、アーサー兄様の前にテオ、私の前にジュードが座る。

ゲームに飽きたらソファに移動して、男性同士の闘いを眺めた。ジュードも対戦しているとき以外は私の隣に来る。テオとお兄様はずっとテーブルについて楽しそうにゲームを続けていた。


しばらくしてテーブルに戻り、アーサー兄様の隣に座り兄妹の顔が並ぶ。お兄様の真剣な顔を眺め、カードと見比べる。強いカードを持っているときの顔と、弱いカードのときの顔を見極める。

 それを明確に見抜いているらしいテオ。なのに、勝敗は五分五分だ。


「ねえ、お兄様の表情って読める?」ソファに戻りジュードにこっそり尋ねてみる。

「良くないときに出るクセも見当たらないし、僕は読めない」


「じゃあ私の表情は読める?」何気なく尋ねたけれど、ジュードがぷいっと横を向いてしまった。

「え?」

「・・読める・・かもしれない」

「そんなに表情にでてるの!?」

「僕にしかわからないような小さい変化だと思うよ。でも・・」

「でも?」

「クセはわかりやすいかも・・」


「私・・何を?教えて!」

「いやだ」

「教えて!」

「ダメ」

「どうして?!」

「教えたらそのクセを意識してやめるだろう?」

「や、やめない」思いっきり嘘だけど、この際構わない。


「嘘だね」

「ヤメマセンヤメマセン」

「こら、変なカタコトで嘘をつくな」


このやりとりが楽しくて二人で思いっきり笑い合っていると、お兄様とテオが「何々?」とソファの方にやってきた。私のクセの話題を提供したら、二人にも気付かれて勝てなくなってしまいそうなので、「カタコトで遊んでただけ」と答えておいた。


気がつけば外は真っ暗になっていて、パーティの時間まであと1時間。使用人も準備を終えたら少しだけおしゃれをして集まる。逆に私達はドレスアップはしない。私の誕生日の祝いではないので、パーティが始まる前にとジュードとテオがプレゼントを渡してくれた。


同時に開けると比較になっちゃうからと、二人とも後で1人で開けてと言うので、大切に部屋にしまう。


そして私はひとつの結論に達した。



「テオはアーサー兄様のことが好き!!」



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