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54 パーティ


 学園を無事卒業したレティシアは結局前回と同じで、教会所属の光魔法師として働くことを選んだ。


教会の研修が始まりひと月が過ぎた頃、エレインとアランの結婚が決まった。


 多分二人が結ばれることになったのは今世が初めてだと思う。レティシアは自分のループにも意味があった気がして嬉しかった。

 

 二人は王都のカフェで待ち合わせた。

 結婚後はエレインが子爵家を継ぎ、アランは騎士を続けるという。


「うちは領地も小さいし弱小貴族だから、私一人でも、回せるわ」


 そういうエレインは幸せそうだ。


「私も何かお手伝いできることがあったらいって」

「あら、何言っているのよ。シュミット伯爵家は大変でしょ?」


「大丈夫よ。父も母もリーンハルトもいるから」

「でも領地があの規模だと。あなたも支えてあげなくちゃ」

 それは妻の役目だと思うが。そういえば、リーンハルトの縁談の話は聞かない。


「そうねえ……」

 

 レティシアは言葉を濁す。


「それでね。結婚式はうちの領地ですることになったのよ。もちろんあなたも来てくれるわよね」

「ええ、喜んで」


 レティシアは心から祝福した。


「でね、王都でもアランのいる騎士団の人達や学園関係者も呼んでパーティを開きたいと思っているのだけれど会場がなくて。家の領地じゃあ、王都から離れているし。

 どこか教会の施設を借りようかと思って。あなた、心当たりない? 出来るだけ安いところ」


 しっかり者のエレインは安い教会の施設を借りようとしている。


「ああ。それならば、うちを使えばいいんじゃない?」

「え? あの大きなお屋敷で?」


 エレインが目を瞬く。


「でもご迷惑じゃない? それに家格からして分不相応で申し訳ないわ」


 普段は対等な友人同士として付き合っているが、公な場では厳正な身分制度がある。貴族令嬢のエレインはそれをわかっていた。


「何言っているのよ。会場に使うだけじゃない。ちょっとお父様に聞いてみる」


 レティシアは週末に家に帰った。早速父の執務室を訪ねると先客がいた。リーンハルトだ。


「あの、お邪魔ですか?」


 一応お伺いを立てる。


「別に構わないよ。珍しいなレティシアがここに来るのは。何か頼みごとでもあるのかな」

と義父に言われレティシアは赤くなる。確かに彼の言う通り頼みごとがなければここに訪ねて来ない。今度は義父にお茶でも淹れてこよう。


「あの、こんどお友達が結婚するんです。それで」

「家をパーティ会場に貸し出したいのだろう?」


 びっくりして義父を見たあと、リーンハルトに視線を移す。


「なんだ。あなたも」

「まあ、大事な戦友だし」


 考えていることは一緒だった。


「お前たちの大切な友達だ。家でパーティーを開こうじゃないか」

 

 オスカーが快諾してくれた。義父は身分にこだわらない。こういうところが父息子よく似ている。




 そしてエレインとアランの王都でのお披露目パーティはシュミット邸で開かれることになった。これはアランにとってもシュミット家が後ろ盾になるという意味で有利に働くことになる。後継者であるリーンハルトのことだ。それを見越しているのだろう。


 しかし、その日取りは奇しくもレティシアの誕生日の二週間前だった。ついうっかり安請け合いをしてしまってから焦る。その日まで生きていられるかどうかわからないし、その日に死んでしまうかもしれない。


「死ぬにしても日取りがあるでしょ。エレインのためにも、なるべく頑張って生きていなきゃ」


 レティシアは前向きに生きるため、教会での研修とアミュレット作りに勤しんだ。今回は学校の作業場ではなく、教会の作業場を使った。設備は数段劣るが、リーンハルトの死はトラウマになっていた。卒業まであの一室には足が震えて入れなかった。



***



 庭やサロンを使ったパーティーは華やかなものになった。学園関係者に騎士団、王宮の官吏など様々な人々が招かれた。


 そしてなぜかミザリーが自分の友人の令嬢達も呼んでいた。

 彼女たちがいるそこだけは、まるでお見合いのような様相を呈し、華やかに着飾ったミザリーは注目の的になった。


 レティシアは主役のエレインとアランより目立たないでほしいとはらはらしながらその様子を見守っていた。幸い父の差配ですぐに鎮まった。


 その後、関係のない令嬢たちは早めに帰り、ミザリーはしばらく会場にいたが、部屋に引っ込んでしまったようだ。

 人生を繰り返しているせいか、ミザリーのやることがとても幼稚に感じる。いったいどういうつもりなのだろう。


「姉がごめんなさい」

「ぜんぜん、これだけ騎士や官吏がいたら紹介したくもなるわよ。未来のエリートだものね」

といって気にしたようすもなくエレインは笑う。


 その直後、ちくりと胸のあたりが痛んだ。ちょうど形見の指輪とアミュレット身に着けている場所だ。嫌な予感がして、レティシアはエレインに断り化粧室に行った。取り出してみるとアミュレットは割れ、形見の指輪は無事だった。


「どうして?」


 レティシアは不安な気持ちを抱えてパーティ会場に戻った。






全65話予定です。予約投稿済みです。

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