魔法世界へフルダイブ
2025年8月。俺が今手にしているのは最近SNSで流行りのフルダイブ型ゲーム機(Wizard―ウィザード―)
自分がまるで小さい頃に憧れた魔法映画の主人公みたいになれるって話題だったからゲーム会社でそこそこの地位のある親父に頼み込み早速手に入れてもらった「よし、やってみるか」ディスクを専用の機械に差し込み、それと電波で繋がっている専用の眼鏡を掛けてボタンを押す「楽しみだな」
―身体が宇宙空間に入ったかのように暗闇に包まれていくのを感じる。暫くすると辺りが明るくなった「ん、うぅん」目を開けると小さな可愛らしい妖精が飛んできた「初めまして、私はこの世界をガイドするファンと申します。始めに設定を行いますのでお名前、年齢を教えて下さい」と、どうやら俺のアバターを作ってくれるらしい「名前は黒騎リョウ。19歳、彼女欲しいけどいない歴=年齢...ってそこまではいいか」余計なことを口走ってると「はい、設定完了です。顔や身長は現実世界の貴方様に似せてありますし、性格も変わりませんのでこの世界でも彼女は出来ないかと...あ、私も余計な事を口走りましたね。さあ早速ゲームを始めましょう!私を呼ぶ時は名前を呼んでくださいね。では、魔法の世界へいってらっしゃい!」あの妖精に少し腹が立ったが何をいう暇も無く俺は再び暗闇に包まれた。
―始まりの街―
「ふぅ…ここがネオナート」草に寝そべった形で目を開けた俺は自分がネオナートと呼ばれる始まりの街に移動させられた事を理解する。起き上がり辺りを見廻すと薄暗いオレンジ色の灯りの中お洒落なお店が立ち並び、とんがり帽子を被った如何にも魔法使いって思える人達がテラスやバルコニーでお酒を飲み、ガヤガヤと楽しそうだ。早速妖精のファンを呼び出しガイドしてもらうことに「ファン、俺はこれからどうしたらいいの?」フルダイブは初めてではないが勢いで買ってしまったこのゲームのことを実は良く分かっていない俺は訪ねてみた「はい、この世界は特にラスボスとかはいません。敵は動物のような魔物だけで人間同士で戦うことはルールに違反します。ここからは杖や剣などの武器を揃えて、ブラックゲートと呼ばれる魔法トンネルを潜り街の外に出て冒険をしてもらいます。途中で仲間を見つけても良し、好きな街を見つけて住んでもよし、どうぞ好きにして下さい。あ、それとこの世界には強くて可愛い2名の人気魔法使いが存在します。その二人を探しに行くのもいいかもしれませんね。名前は確か…ミア様とリア様だったような。姉妹との噂もあります。情報によると強い殿方が好みとの事なので今の貴方には到底付き合うまでは無理かと思われますが一目見るくらいは出来たらいいですね」また気に触るような言い方をされた俺の中で反抗心のようなものがメラメラと湧き上がってきた。「強くなれば可能性あるんだな?その人気魔法使いぜってえ手に入れてやる」宣言した。言霊ってやつを信じて俺はこの世界での目的を明確に決めた(ミア様とリア様を手に入れて結婚する…!!)
―「いらっしゃいませ」俺とファンは有名な武器屋に入り杖とホウキを手に入れることに。色々と選んでいるとファンが「この杖なんてどうです?」とシルバーの杖を勧めてきた。杖が飾られている脇にある説明を読むと―持ち主に自信を希望を持たせる―杖に移る自分の顔を見つめながら微かな相性を感じ取り「これにしよう」ホウキは飾りみたいなものだからなんでもいいと言うのでローブと帽子が付いてくる初心者お買い得セットで購入することに。選び終わり外に出ると、なにやら外が騒がしい。「どうしてこんな所に」「噂の?」「モデルみたーい」「現実もあの顔と変わらないってことでしょ?」「可愛いー!」…通行人も立ち止まり釘付けになって見ている。あれがミア様とリア様。「美しい!!!」俺は叫んだ。「ミア様リア様握手して下さい!」通行人をかき分け周りの白い目は気にせず二人の前に行く。「ええ、いいわよ」「ありがとうございます」二人は少し驚きつつもニコッと笑い手を握ってくれた。「じゃあ魔法生活を楽しんでね」「また何処かで」二人が去っていった後、頭の中に花畑が広がり、とろけた顔の俺をみてファンが「周りの目くらい気にしてください」と呆れた様子だったのをお構いなしに「よーし強くなるぞおおおお」こうして19歳恋愛経験なしチェリーボーイの非現実世界での恋の爆進撃が開幕した。
みなさん始めまして!星乃ラムです。初めて書く小説はVRMMOの世界!1話目を読んでくださり有り難う御座います!好きな子を前にすると色々考えて結局行動出来ない人も多いですが、この主人公は好きな子を目の前にしたらいてもたってもいられない子ですね。どうぞリョウ君の初彼女ゲットまでの道のりを最後まで応援してあげてください。宜しくお願いします!!