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天災 冷酷無残  作者: 蒼蕣
26/28

社会問題

「で、何する?」

「外は火山灰が降り積もってるから出ない方がいい。できることといえば、何回もお風呂は入りに行くぐらいか?」

「え〜! それじゃ湊と一緒にいれないじゃん」

「んじゃあ何するんだ」

「な、なんでしょう」

「まあいいや。自由行動ってことで」

「はあ、つまんないな」

「被災者だからな」

芽衣は携帯をいじり始めるもすぐに飽きてしまった。

湊はテレビを見ながら、芽衣の愚痴を聞いていた。

「見ろ、都心はもう大変だ」

テレビには人々が大きなリュックやスーツケースを持って一方向に進んでいく様子が流されていた。

「みんな行く場所は決まってとにかく海がない場所みたいだ」

「被災者っていつまで被災者なの?」

「さあな、地震とか最近治ってきた感じがするけど、でも水の浸水がまだ止まってないからな。それが止まるまではずっと…」

「このままってこと?」

「まあここには海はないけど、その代わり富士山が近いから、もしかしたらまた移動するかもな」

「またこういう旅館だったらいいな」

「俺たちはたまたま職員の人たちと一緒に行動してるからいいけど、個人で避難してるところは寝床の確保だけで精一杯なはずだ。こんな温泉がいつでも入れるわけじゃないぞ。料理もあんな豪華な和食じゃない」

湊は少し冷たく怒りっぽい口調で言った。

湊の気持ちを察したのか芽衣はそれ以上何も言わなかった。

「地方でもどうやら日本列島から離れて近くの島国に避難している人がいる見たいだ」

「外国からは入国を拒否されてるんだったよね。島が沈んじゃうかもしれないのに外国は何もしてくれないの?」

「いや、寄付を募ったり食料品や日用品を安く売ってるらしい」

「でも一時的な避難場所として私たちを受け入れてくれても…」

「それは今問題となっている人口過多があるからな」

「人口かた?」

「ああ、どこの国も自国の国民を支えるだけで手いっぱいでこれ以上人口を増やしてしまえば、食べ物が足りなくなったり、住む場所が足りなくなる。それにそれらを改善するためにお金をつぎ込んで、財政危機に陥るかもしれない」

「そんな…」

「それに日本政府としても国民を海外へ行かせるのは反対なはずさ」

「なんで?」

「経済が完全に停止した今、国民を海外へ行かせる費用は莫大になるし、多分行ったら行ったで日本人がまた日本へ戻ってくるっていう保証はない」

「どういうこと?」

「島が沈まなくなったとしても浸水による被害は甚大だ。そこからまた一から生活を始めるのは大変だ。だったらとすでに社会が出来上がってる外国で職を探す方が楽なはず。そう思ってるはずだよ」

「日本を捨てるって言うの?」

「愛国心がないって言ってるわけじゃない。国より自分の生活を優先するのが鉄則。ただそれだけのことだ」

湊はそう冷たく言い放った。

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