選択の時(1)
家に戻ってすぐ、湊はテレビをつけた。
ー富士山の噴火および、度重なる地震により被害は全国に広がっています。中継を繋ぎます。増子さん!ー
ーはい。こちら東京都内のスーパーです。ご覧ください。商品がほとんどありません。多くの人が買い込みをしているためと思われます。食料品はおろか電池、ティッシュ、マスク、懐中電灯なども売り切れが続出しています。また海と隣接している地域から内陸部に移動を開始していることから商品の搬入が滞っているという情報も入っています。以上ですー
—続きまして神奈川県内のとあるレストランに金城アナウンサーがいます。金城さん!—
—はい。私は今こちらの“麗”(うらら)という日本食のお店にお邪魔しているのですが、ご覧ください。テーブルや椅子などがこのようにぐちゃぐちゃになっています。また箸置きや調味料なども床に落ち、散乱しまっています。それに加え窓ガラスが割れてしまい、店内に火山灰が入ってしまい、休業を余儀なくされてしまっています。この周りの飲食店も同様の被害が出ている模様です。以上神奈川県からお伝えしましたー
—はい。最後に千葉県の九十九里浜付近にいます、板倉アナ!—
—はい。こちら板倉です。ご覧ください。目の前に見えますのが九十九里浜です。火山灰が降り積もって海水が灰色になっています。えー地元の人から、昨日より明らかに海が近づいてきている怖いという声を聞きました。そのためこの付近の住人はいち早く内陸部へ避難し、今はほとんど人の姿は見られません。数時間前の地震、私はこちらにいたのですが、その時海から波が大きくなって迫ってくるように見えました。千葉県ではすでに海岸沿いの都市に避難勧告が出されています。以上九十九里浜からお伝えしましたー
—はい。このように富士山噴火の影響は全国各地に影響が出ています。農家さんの中には野菜や果物などが火山灰に埋もれてしまい、商品として出荷できないという声もいただいております。また外に買い出しに行った人の中には火山灰を多く吸い込んでしまい、救急搬送された方も見られます。また海岸沿いで避難勧告が出された大分県の中津市では空き巣被害が見られるとのことです。これから状況が急展開する恐れもありますので随時ニュースをお伝えしてまいります−
「本当にやばそうだな」
「ねえ、どうする? 私たちも避難する?」
「いや、俺たちは内陸部だし、まだ大丈夫だろ」=このまま『天災・冷酷無残』を読み進めてください。
「よし、避難しよう」=『天災・愛別離苦』の第13部分からご覧ください。
というわけで、読者の皆さんに今後の展開を選んでもらいます。本文でも述べましたが、「避難しない」を選ぶ方は引き続きこの『天災・冷酷無残』を読み進めてください。「避難する」を選ぶ方は『天災・愛別離苦』の第13部分から読み進めてください。『天災・愛別離苦』の第12部分までは『天災・冷酷無残』と同じです。皆さんの決断がよかったのか、よくなかったのかそれは最後の最後までわかりませんので、それまで楽しんでください。
*この物語はフィクションですので、どちらが正しい選択なのかというのを説いてるのでありません。今回の選択で避難するを選んだとしても実際同じようなことが起きた場合は、その時の状況に応じて臨機応変に対応しなければいけませんので、決して鵜呑みにしないでください。あくまでフィクションとして今後もお付き合いください。