3
上にのぼりきると外に出た。
外は夕暮れのようなあかるさで、ぼくがいるところからすこしはなれたところでとても多くの蟻たちと、それより何倍もある大きさのものがなにやら戦っているようだった。
ぼくははじめての戦いを間近で見るのがこわいとおもいながらも、どうしても気になって横の草むらのほうからまわって見にいってみることにした。
急いで草むらからまわって草かげから見てみると、蟻たちが戦っているのはこどものカエルのようだった。
ぼくがまだちいさいころ、とうさんがたまに捕ってきてくれたことがあるんだけど、そのときのカエルはもっと大きかった。
いまのぼくにとっては同じくらいの大きさのこどもカエルだけど、蟻たちにとっては何倍も大きい相手なはずだ。
ぼくは”どうなるのかなぁ、蟻たちがカエルにやられちゃうんじゃないかなぁ”とハラハラしてきて、すこし見やすいように草むらから近づいてみた。
すると、カエルの背中ごしにさっき話していた女の子が見えた。
女の子は勇敢にも蟻たちの中でも積極的にカエルの足を噛もうとしていたようだった。
カエルも負けじとほかの蟻を攻撃していて、ぼくは胸がいままでにないくらいドキドキしてきた。
女の子に次いでほかの蟻の子たちもがんばってカエルを捕えようとしているようだけど、カエルの動きもあってなかなかうまくいかないみたいだった。
そんなとき、カエルの足から飛ばされてはなれたことで、カエルの目があの女の子をとらえたようだ。
カエルは女の子の体めがけてねらいをさだめているようにゆっくりと向きを変えた。
このままだと、たぶん、おそらく、いや、きっとあの女の子はカエルに攻撃されて食べられてしまうかもしれない。
そうおもってもぼくはどうしたらいいかわからなかった。
戦ったことがないし、糸が出せないし、兄弟たちもいない中でどうしたらいいのかわからなくて、もっと胸がドキドキしてきた。
そうこうしているうちにいよいよカエルがビュンッと動いた。
アッと思ったときにはぼくは自分でもわけがわからないまま思いっきり走り出していた。
そしてカエルのうしろから思いっきりぶつかったところで、またぼくの意識はなくなった。