ギルド
ごちゃごちゃしている。これが第一印象だった。家一つとってみても、石、レンガ、木、土、と統一感がない。歩く人も四種族全部だ。
「ギルドシティ。ギルドの本部がある、武人の街よ。まずはあんたをギルドに登録しに行くわ」
「あいあいさー」
ギルド本部は一目見てそれとわかる、教会風の大きな建物だった。
「大きいでしょ。でも私もあんたも中には入れないわ。規則だから」
「じゃあ登録はどうやって?」
「窓に手紙を投げる」
レヴィは石に『異世界人』と鉛筆で書き、上に投げた。ほどなくして、窓から紙が落ちてきた。名前と転生した日にち、希望職種を書く欄があり、よくわからん空欄があった。
「ここには血を落とすの」
すぐに書き終わり、レヴィが石に括り付けて上に投げる。
「なんか拍子抜けだな。登録するときに試練とかあるもんだと思ってたよ」
「ん?なんか勘違いしてるっぽいけど、今のは異世界人登録であって、ギルド登録じゃあないよ。ギルドに登録されるには、審査官に審査してもらわないと」
「なんだ、そうなのか」
その後、旅に必要なもの一式と不斬刀を買った。買った、といってもギルドメンバーは店で売っているものなら何でもタダでもらえる特権があり、レヴィにもらってもらったのだ。
「買い物も終わったし、お風呂に入ろう。職業柄なかなか入れないし」
ちなみに、これまではレヴィの風スキルで肌の汚れを落としていた。レヴィ曰く「エルフのいないパーティは川の水沸かしたり濡れたタオル使ったり大変そう」だそうな。
「ここが銭湯だ」
んー。思ってた銭湯と違う。カラオケみたいだぞこれ。
「個室なの?なんか大浴場みたいなのをイメージしてたんだけど」
「結構一般的だよ、個室風呂。大浴場もあるところにはあるけどね。特にギルドメンバーは荷物が高価なのと血の気が多いので盗難防止と喧嘩防止を兼ねて個室に入ることが多いかな」
「なるほど。じゃあ俺はこっちか」
俺がレヴィが入ろうとしている部屋の隣に入ろうとすると、
「何やってんの?あんたは私と一緒に入るのよ」
「へ?」
カイト、コンランチュウ。
「だってあんたお金持ってないじゃない」
「そりゃあそうだけど」
「私と入るの嫌ならそこ使えるように頼んであげてもいいけど」
めんどくさい。と顔に書いてある。
「嫌じゃないけど......」
「ならいいじゃない。早く入ろ」
押し切られてしまった。ひょっとしてこの世界では混浴が普通なのか?てか個室で二人だけって。お嬢さんそのうち悪い男にひどい目に遭わされますヨ。大丈夫デスか。
そんな心配をよそに、レヴィは躊躇なく服を脱ぎ始めた。