脱出
早速俺たちは王に直訴しに行った。
「なんだ?儂の部屋は掃除しなくてよいぞ」
冷たい目で言い放つ王に、俺は言う。
「アレクさんを解放してください。そもそもこの処遇は不当なはずです」
「不当ではない。儂が決めたことなのだからな」
王の言い分に湧き上がる怒りを抑えて言う。
「そんなにアレクさんが信用できないのなら国外追放でもすればいいでしょう」
「そういうわけにもいかんのだ」
「なぜです?」
王は窮した。しばらくの沈黙の後、王が口を開いた。
「とにかくじゃ。お前らは儂の言うことを聞いておけばいいんじゃ」
「このことがレヴィさんの耳に入ったらどうなるでしょう」
俺からレヴィという言葉が出た瞬間、王は少しひるんだ。
「別に伝えればいいじゃろ。何の問題もないわい」
言葉とは裏腹に、冷や汗が浮かんでいる。
「レヴィさんに伝われば、ムガルさんにも伝わると思いますが」
アレクさんの言葉に、王は観念したように言った。
「わかった。アレク、お前の自由を認めよう」
宿舎にて。
「意外とあっさり認めてくれましたね」
「そうでもないさ。レヴィさんとムガルさんの名前を出さなくちゃいけなかったんだから」
「レヴィとかムガルさんって、そんなに強いんですか?」
「そりゃもう。君がタメ口なのが不思議なくらいだよ。レヴィさんも向き合ってみれば底なしの強さだし、ムガルさんに至っては一人で王の直属部隊と緋団全員を合わせたのより強いと言われてるくらい」
それが本当だとしたらマジで最強だ。そりゃあ王も呑まざるを得ないわけだ。
2週間後、ギルドシティ。俺たちはレヴィと再会した。
「レヴィさん。お久しぶりです」
「おお、アレク。大きくなったな。もう私より大きいじゃないか」
レヴィが嬉しそうに言う。
「人間の成長は速いですから」
こっちも嬉しそうだ。
「あと、俺、緋団に入ることになったんです」
「お前ならやっていけるだろうな。アスカによろしく」
その二か月後にわかったことだが、アレクさんは緋団に入って間もなく副団長になったそうだ。レヴィ曰く『強さだけなら団長より上』だそうなので、当然と言えば当然だった。




