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梅雨への扉

作者: ノリ次長

テレビさえあれば、いつでも、どこでも、誰でも梅雨を呼び寄せることができるようになった過程を、ぼくは幼少期からの経験としてまざまざと語ることができる。

はじめは、8ビットの低速歳時器で、ちょっと空をどんよりさせることができる程度だったのが、みるまに16ビット、32ビット、64ビットになり、停滞スーパーハイウエー構想がささやかれ、そこからはITDN(T:Tsuyu)、ADTL(T:Tsuyu)、それっと梅雨と、雪だるまが瞬く間に梅雨を受けて溶けるように、とどまるところを知らなかった。

弊害はむろんある。梅雨は太陽熱と、比熱が大きく、相転移する流体熱媒体であるH_2Oとの一定の交互作用を人為によって制御してやることではじめて出現する。リーマン予想の証明によって有名になったように、熱は特異点(スパイク)をきらう。かつて、停滞公社が梅雨発生産業を独占していたころは、歳年による大きなリズムで梅雨が発生していた。それがいまでは、各家庭、各個人が持つポータブル歳時器が、巨大な梅雨をほんの数十㌢間隔で召喚することができるようになった。停滞公社による梅雨(旧梅雨)は熱帯から寒帯への熱輸送が主要な目的であったが、こんにちではそうした大目的を斟酌することなく、タップ一つで原子爆弾何個分という熱をCTC発生に回すことができる。太平洋を渡った隣国での台風発生兵器の発展も懸念されているようだ。

だが、そんなことがなんだろう。ぼくたちが生きているのは、王政復古のお御世なのだ。

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