表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/176

秩序釣り

餌に使うのはどうだろう。アルフの作戦を要約するとそうだった。

脱走者をパンデモニウムが許すはずがない。団内の秩序を管轄するオーダー級が処断に向かっているはずだ。オーダー級はその役割ゆえに精神操作の系統の武具を持つ。

精神操作系の武具とはつまり精神に干渉する効果を持つものだ。ラクドウの記憶を歪め敵対するようにしたり、ヴェインから知識と意識を引き抜き生き人形としたり。その行動はカーディナル級にすら及ぶ。パンデモニウムがカーディナル級"呪殺"のシャオリーを操り人形にしたのはオーダー級の身分を隠した彼女の部下であった。

そういう奴らの集団なのだ、オーダー級とやらは。

「…つまり、ヴェインにあんなコトしたヤツの情報が得られるカモシレナイ…ってコト?」

ラピス島の巫女をあぁしたのは確実にオーダー級の誰かだ。同じオーダー級ならば同僚の情報くらい多少知っているはず。

つまり脱走者を餌にし、のこのこ処断しにやってきたオーダー級を捕まえる。そこから情報を吐かせようというのがアルフが思いついたことだった。

保護したのではない、餌にするために手元に置いたのだと見方を変えればいくらか憎悪は宥められるだろう。あれらは餌として使う道具なのだ。

「…まぁ、ソウダネ」

パンデモニウムの人間など八つ裂きにしてやりたい感情に変わりはないが。アルフの言うとおりに道具とみなそう。道具なのだから利用して使い倒して、用が済んだら打ち捨てよう。捨てた後がどうなるかなんて知らない。ごみとして燃やしてやろうか。

「それならば、ベルミア大陸へは皇女殿下が向かわれますか?」

アッシュヴィトたちはキロ島が"コーラカル"に加入するために呼び出しただけで、その加入の話がまとまれば帰らせる予定だった。ベルミア大陸へは適当な人物を派遣するつもりだったのだが、行くと言うならその役目、負わせよう。ベルミア大陸へ出立し、4国家ノーブル・コンダクトどもを説得して同盟に加わらせる役目を。

「イイヨ。やる。…やるなって言われてもやるケドネ」

ノーブル・コンダクトの説得は事のついでで、アッシュヴィトの本命はオーダー級の捕獲なのだが。

「それなら頼みましょう。準備ができ次第出立を」

ベルミア大陸で何が起きたか。分析して解析して整理した情報は逐一報告する。カガリはゆるりと頭を下げた。


「師匠、クラルテクランってどういう奴らなんだ?」

出立前に情報収集だ。こちらで情報収集と整理をするから準備はここでやれと会議室の隣の部屋に通された。

聞くところによるとベルミア大陸の支部はクラルテクラン(透明の者たち)というのだそうだ。

4国のどの色に染まらず、そして隠密する不透明な集団である。閉鎖的かつ排他的なベルミア大陸の中で活動するため、彼らは徹底的に存在を秘匿する。まさに透明という言葉を体現したかのように、その実態はつかめない。なのでアルフも彼らについてはまったく知らないのだ。

本部である"アトルシャン"の最優秀観測士であるユミオウギなら知っているだろうか。さすがにまったく知らないわけはないだろう。問題はどこまで情報を教えてくれるかだ。何を話し何を言わずにいるか。観測士なら情報収集は自分でやれと言って何一つ教えないまま放り出すかもしれない。

アルフの危惧を見通したユミオウギは、さてどこまで教えてやるべきかと考えながらゆっくりと口を開いた。

「まず」

4国それぞれに支部がある。それらはすべて4国どの支部もクラルテクランの名を名乗る。各国それぞれに独立した支部があるというよりは、"ベルミア大陸担当"というくくりで立てた支部が各国に散ったという感じだ。各国にあるのは支部の支部と考えていい。

その中心はベルズクリエ国にある。ベルズクリエ国は閉鎖的なベルミア大陸にあって比較的開放的で活動がしやすいからだ。そして規模としてはシヴァルス国、アルフェンド国がそれに続き、ヴィリア国にある支部が最も小さい。

そして今、彼らはパンデモニウムからの脱走者を保護してベルズクリエ国に集合した状態である。地理的に対角線上にあるヴィリア国の支部は集合が遅れるが、いずれ全員が集まる手はずとなっている。

「ここまでは?」

「ん、大丈夫」

猟矢たちも頷く。猟矢にとっては過去に書いた創作のあれこれとほぼ一致している内容であった。

全員が話の内容を飲み込んだことを確かめ、ユミオウギは話の続きを再開した。

「内訳は…今何人だったか……」

集めたのには理由がある。大破壊はアルフェンド国で起きた。そのアルフェンド国にはナルド海の西海を守護するナルド・レヴィアの神殿がある。偉大なる大海竜は対岸のディーテ大陸にある(つがい)の雄竜の神殿に身を寄せている。雄竜の神殿を擁するミーニンガルドの領主がその保護をしているから雌竜は安全だ。

問題は神殿そのものがどうなったかだ。神に通ずる海竜の力を用いた神殿があの大破壊によって壊されていないかだ。そうでなくとも爆発で拡散した濃密な魔力が何らかの影響を及ぼす可能性だってある。その調査のため、アルフェンドの隣国かつ比較的自由に動けるベルズクリエ支部が調査に向かう。

つまり調査任務でベルズクリエ支部の人数が減る。パンデモニウムからの脱走者を保護しなければならないし、たとえシヴァルス支部を空にしてでも戦力を集めておきたいということだ。

他にも情報収集だとかで出払うだろうし、支部に常駐しているのは数人だろう。猟矢たちには彼らと合流してもらい、そして目的の達成をしてもらう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ