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第九十三話 野望への前進


「リリル!!」


「うん! 待機解除。《癒しの水》!」


 俺がリリルの名を叫ぶと、リリルはとある魔法を発動させた。

 水属性魔法の上級にあたる、《癒しの水》。

 水球に癒しの力を込める事で、遠方から対象を回復する事が出来るんだ。

 俺はこの試合が始まる前にリリルにお願いをして、速攻で発動出来るように空中で水球を待機してもらうようにしていた。

 そして水球が急降下してきて、父さんの傷口にびちゃっとかかった。

 父さんはそのまま地面に倒れ込んだが、傷はみるみる塞がっていくのが目に見えてわかった。

 流石リリルだ、回復魔法に関してはトップクラスだぜ。


「かはっ! ……まさかこんなに早く息子に追い抜かれるとはな」


「前から何度か勝ってるじゃねぇか」


「あれは模擬戦だ。俺はガチの殺し合いだったら、まだ俺が有利だと思ってたんだよ」


「残念でした!」


「ああくそっ! やっぱり悔しいもんだな。認めよう、俺の敗けだ」


 父さんに認められた!

 俺が、ついに、父さんを越えた!!

 俺は叫ばず、赤の名剣(レヴィーア)を掲げた。

 すると、一斉に歓声が上がったんだ。

 びっくりしたぁ、そういえば観客がいたんだったっけ。

 あまりにも戦いに集中していたから、すっかり忘れていたわ。


 左肩には、まだ父さんの剣が突き刺さっていた。

 骨をも貫いて、抉ってきたから神経も断たれた気がする。左手が全く動かない。

 普通だったら悲観するところだが、俺は大丈夫なのです!


「おーい、リリル! 俺に《ラブ・ヒーリング》かけてくれ!」


「えっ!? で、でも……皆の前……だ、よ?」


「めっちゃ痛いです。左手動きません。今すぐ治して欲しいです。ぶっ倒れそうです」


「わ、わかった!」


 リリルがとてとてと走ってくる。

 相変わらず運動神経は良くないなぁ。可愛いからいいけど!


 さて、リリルが顔を真っ赤にして、俺への気持ちを詠唱にして回復している間に、十歳になった俺達の変化を説明しよう。


 まずは俺!

 身長も伸びて、ようやくレイを越す事が出来た。

 筋肉も順調に付いていて、前世で言うところの細マッチョってやつだ。

 腹もシックスパックだしね。前世でこれは経験していなかったから、正直びっくりだ!

 まぁ毎日鍛練はしているから、スタミナも八歳の頃とは比べ物にならない位に向上したのも大きな変化だ。

 顔付きも心なしか顎がシャープになった気がする。おかげで色んな女子生徒から告白を受けている。

 もちろん、全てお断りをしております、はい。

 後は魔法だな。今までサウンドボールは約五キロ程の距離までしか飛んでいってくれなかったが、何と射程は計測不能になった!

 一応この異世界には望遠鏡やら双眼鏡があるから、それで実際に見てみたんだが……。

 地平線の彼方へ行っちゃったようだ。

 さらにはかなり集中が必要だった、すでに生成済みのサウンドボールを動き回っている相手に操作して吸着させるのが、俺が動き回っててもある程度は出来るようになった。

 流石に父さんクラスの強い敵だと、そんな隙を与えてくれねぇけどな。

 あっ、精通しました。子供作れます。どうでもいい情報だったな……。


 次はリリル!

 何と、そばかすが消えました!

 これでリリルさんは完全無敵の美少女へクラスチェンジしました!

 いやぁ、そばかすも可愛いと思ったんだけど、どうやら彼女は水属性の魔法で皮膚を活性化、そばかすを消したようだった。

 髪型は変わらずのふわふわ系だが、すでに大人の女性になりつつあるリリルには、不思議と妖艶さがある。

 その理由は、その凶器に近い胸だ!

 八歳の頃は推定Cカップだったが、今は恐らくEカップ!

 たまに上から見下ろす時に、リリルの深い胸の谷間が見えて俺の息子が激しく反応したのは、言うまでもねぇよな。

 十歳になっても、俺への気持ちは変わっておらず、よく腕に抱きついてくる。そして柔らかい胸の感触を俺は味わっている。

 この世界にはブラジャーなんて存在していないから、もうね、柔らかさダイレクトなのよ! いつも色々とお世話になっております!

 魔法に関しては特に変化はない。

 二年間、リリルはどのような花嫁修行をするのか、興味はあるんだけど教えてくれなかった。

 二年後に期待ってところか。


 そしてレイ!

 女子高生のお姉さんから、大学生のお姉さんにランクアップしました。

 こいつの色香が本気でパネェっす!

 レイも俺の事を本気で好きだっていうのが伝わるんだが、本当に年齢詐欺って言われてもおかしくない程の色気と美貌を兼ね備えている。

 前世のモデルやアイドルも、裸足で逃げ出すレベルだぞ? そんな女が、たまに二人きりになった時に瞳を潤ませて上目遣いで俺を見てくる事がある。

 うん、確信したよ。こいつはドスケベだってな!

 精通した瞬間に性欲も沸き上がってきたもんだから、俺は理性を保つのが本気で辛かった。

 スレンダーなモデル体型だが、胸も恐らくCカップはあるであろう。俺のおっぱいスカウターは正確だ、間違いない。

 それでもいつもリリルと比べていて、羨ましがっていた。

 十分レイも魅力的なのに、それ以上求めてどうするんだよ……。俺の理性が持たなくなるだろ!

 レイの剣術については、より鋭さを増した。

 それに加え、レイは《ゴッドスピード》をまさに極みの境地にまで持っていったんだ。

 俺ですら、あの魔法を使われてしまったら、対処がとっても面倒くせぇ。

 二年間の花嫁修行は、基本的には剣術らしい。これも再会時のお楽しみってやつらしい。


 最後に、アーリア!

 アーリアは一ヶ月に一度位村に来て、俺と音楽系の魔道具の打ち合わせをしていっては帰る。

 あまり身体的に成長はしていないけど、腰まで伸びているストレートの銀髪が幻想的なまでに美しく、且つ《虹色の魔眼》がとても綺麗だから、お人形さんみたいなんだよ。ゴシックロリータの服装がかなり似合うだろうな。

 別に俺はアーリアとは付き合っていないが、今後は王都で深く関わりがありそうだから説明した。

 毎回去り際に抱き付いて来るが、やっぱり何とも思わない。

 そんな俺の反応を見て、自分へ気持ちが向いていないのを察知しているのだろう、「いつかわたくしに振り向かせますわ」と柔らかい笑顔を見せた。

 何でそこまで俺に拘るんだろうか。

 あいつは王女様なんだし、男なんて選り取り見取りなんじゃ――あぁ、無理だ。

 忘れてた、《虹色の魔眼》は忌み嫌われているんだった。誰も迎え入れないし、アーリアの眼の事がばれたら王様、王太子様共々処刑されちまう。

 あの戦争大好きな第二王子が王になっちまったら、この国は芸術を捨てて戦争ばっかやる軍事国家になるだろう。

 それだけは死守しないといけない!

 

 ……そういう事か。

 やけに王様から「うちのアーリアはどうだ?」って手紙で頻繁に言っているけど、魔眼を恐れない一般庶民の俺と結婚させる事でアーリアは王族でなくなる。

 形式上の勘当になるから、王家と繋がりがなくなる為、もしアーリアの魔眼がばれちまっても「もう王家の人間ではないから余は知らん」って言えるのか。

 なっかなかえげつない事を考えるなぁ。これだから政略ってのは嫌いなんだよ。

 まぁ王様自身いい人だし、形式上勘当にするだけだろうからそこまで酷い訳でもないな。


 ふと、現実世界に意識を戻してみると、俺の治療が終わった。

 左肩に突き刺さっていた剣もいつの間にか抜けていて、完璧に傷も塞がっている。

 血も大量に失ったはずなのに、あまりにも体調は快調だ。

 これも《ラブ・ヒーリング》の効果なんだろうか。


「ハル……」


「ん? レイ!」


 いつの間にかレイが俺の隣にいた。

 そして返り血やら俺の血でべっとりになっているにも関わらず、レイは俺に抱き付いてきた。


「心配、したよ」


「悪かったな、心配させちまって」


「ハルぅ」


「おいおい、服に血が着くぞ?」


「いいよ、そんな事は今はいいんだ。無事でよかった。そして――」


「うん?」


「勝利おめでとう。ハルの夢、問題なく追いかけられるね」


 目尻に涙を浮かべ、レイはにっこりと笑った。

 こいつ、本当卑怯だ。

 

「ハル君、おめでとう! 離れ離れになるのは寂しいけど、私達も絶対に修行して、二年後には必ず会いに行くから!」


 リリルも俺に抱き付いて来て、上目遣いで決意を言った。

 二人の意思は固い。

 俺も、この二人を悲しませるような事はしたくないな。

 俺の意思の強さと、二人への愛情の度合いが試される。


「ありがとう、二人共。俺は王都に行って、もっと大きな男になってくる! そして再会した時は、結婚しよう」


「「うん!!」」


 時の流れは残酷だ。

 二年も離れてしまうと、気持ちすらも離れてしまうだろう。

 実際前世で二年間連絡を取らなかった友人に連絡してみると、お前誰だって言われる位忘れ去られてしまう事だってある。

 もちろん、そんな風になる訳がないけど、ある程度は今より愛情は薄れるだろうな。

 だから、ここを離れるまでに、二人となるべく傍にいようと思う。

 愛が白けてしまわないように、な。




 そして、一週間後。

 村の学校の卒業式を終えた俺は、王都へ旅立つ。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

次回、村を離れて王都へ拠点を移します。

ハルが自分の意思を以て成り上がっていく様を、是非見届けてください!

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