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第百十二話 予定の詰まった一日 ――親友再会編4――


「ようこそ、我が家へ!」


『………………』


 四人は俺の家を見て口を開けて呆然としている。

 まぁ家って言うより屋敷だしな、びっくりしてるだろうな。

 呆然としている四人は放置して、俺は家の門を開けた。

 すると、夜の闇の中に三つの人影があった。

 俺は剣を手に持った状態で、俺は人影に近づいていった。


「誰だ!」


 俺は声を掛けると、人影は敬礼っぽい動きをした。


「こんばんは、ハル君」


「あれ、その声……」


 剣から手を離して警戒を解き、俺は人影に近づく。

 そして近づいてようやく気が付いた、顔見知りの兵士さんが三人立っていたんだ。


「おお、よっす! どうしたのさ、三人とも」


「アーリア姫様のご命令で、この荷物の警護をしていたんだ」


「荷物?」


 兵士さん達の後ろを見てみると、白の布に覆い被されていた荷物達。

 何だろう、これ…………ああ、楽器の試作品か!

 わざわざ兵士さんに守らせてたんだな。そこまでしなくてもよかったのに。


「わざわざありがとう。疲れたべ? 良かったら休んでく?」


「そうしたいんだが、そろそろ勤務時間が終わるんだ。荷物を屋敷に運んだらお暇するさ」


「そっか、サンキューな!」


「いえいえ、どういたしまして」


 俺は親友達四人にも手伝って貰うように頼み、家の地下室まで運んだ。

 荷物は全部俺が指定した場所に置いて貰う事で、後々のセッティングがかなり楽になった。

 しかし結構な量の荷物だったから、全員で三往復してようやく運び終わった。

 兵士さん達は荷物を運び終わったと同時に、そのまま一礼して帰っていった。


「すごい荷物の量だね……。これが例の?」


 レイスが恐る恐る聞いてきた。

 一応皆にはどういう楽器を作っているかは軽く説明してあったが、具体的にはどんなものかは一切伝えていない。

 

「では、早速お披露目しようじゃないか! これが俺達バンドが演奏する楽器達だぜ!!」


 白い布を全部剥ぎ取ると、スタンドに立てられたエレキギター二つにベース、そしてシンセサイザーとドラム。

 そしてギターとベースに接続するアンプやエフェクターも、ちゃんとあった。


「何か、変わった形状のリューンだね」


「リューンより弦が太いのもあるよ!」


「これは……ピアノか? しかし鍵盤が上下に二段付いている。これはピアノなのか?」


「何かよくわからない初めて見るのもある! たくさん訳わからないのが付いてるんだけど!」


 眼鏡をかけ直しながらリューンを観察しているレイス、ベースに食いつくミリア、シンセサイザーに驚くオーグに物珍しそうにドラムを触るレオン。

 反応はそれぞれ。俺としては見てて面白い!


「ハルっちハルっち、早くどういうのか教えてよ!!」


「わかったわかった。そんなに急かすなよ」


 そういや、エレキギターの名前、どうしよう。

 別に電気の力を使っている訳ではなく、ほぼ魔法によって作られてるみたいだからなぁ。

 原理は魔道具と同様に魔方陣を刻んで魔力の導線で繋いでいるらしい。簡単に言えば魔方陣は基盤で、魔力の導線は他の基盤や部品に繋げる水銀のような役割をしていると俺は解釈している。

 魔方陣の大元は、俺の音属性魔法を《虹色の魔眼》を通して見たアーリアが魔方陣に書き起こし、そして改変を行ってアンプやエフェクターを通す事で音を歪ませたり多少変えたりする事に成功したんだ。

 短時間でこいつらが完成したのは、ほぼアーリアの功績だ。

 ドラムに関しては、足のペダル以外は魔方陣を一切使用していないから、それに関してはオーグの工場の従業員の努力が実ったってところだけどね。


 よし、こいつはほぼ魔道具と同じだから、《魔道リューン》にしよう!

 正直名前はダサいけど、今は目を瞑ろうじゃないか。


 とりあえず俺は一つ一つを演奏してみせた。

 魔道リューンに関しては、王族の皆さんにお聞かせした《津軽海峡冬景色》の即興アレンジバージョンを奏でた。

 アームをフルに使ってこぶしが効いたビブラートを奏でると、食い付いたのはレオンだった。


「やっべ、やっべ! これだよ、オレが求めていた音は!! あぁぁぁ、まさかハルが実現させてくれるなんて♪」


 そう言ってレオンが俺の手を握って握手をしてきた。

 まぁ元々リューンの時からギュインギュインさせようとしてたからな。きっとこいつが一番食い付くだろうなとは思っていたが、ここまでとは思っていなかった。


 次はベースだ。

 これに関しては特に何かの曲を演奏する事なく、即興で演奏してみせた。

 ピックを使わないフィンガー奏法、さらにはタッピング奏法を披露してみせた。

 ロックやメタルだとライブパフォーマンスとして結構使う演奏者は多い技術だから、是非覚えて欲しくて今披露している。

 これに食い付いたのはレイスだった。


「これは面白いね! 俺はあまり目立ちたくないから、演奏の土台になりそうな役割を求めていたんだよ」


 そんな理由かよ!

 まぁレイスは本当そこまで目立ちたくないみたいだから、いいかもしれないが……。

 ベースはベースでかなり重要なポジションだから、ちゃんとしないと逆に悪い意味で目立つんだけどな。

 ミリアはというと、レイスにべったりでベースをいじくり回していた。

 うん、末永く爆発し続けていろ。


 お次はシンセサイザー。

 本当は色々な機械を作ってプログラミングとか出来るようにしたかったが、そうなるとアーリアが過労死しちまう。

 だから簡易的につまみを作って、捻る事で音を変えられる機能を作って貰った。

 さらに、変えた音を最大五つまで保存できるボタンも作成し、わざわざその度につまみで音を変更する必要をなくした。

 実はこいつで、とある曲を再現する事に成功した!

 それは、前世のモータースポーツであるF1でよく流れるあの曲、《T SQUARE》の《TRUTH》だ。

 流石にドラム音までは打ち込みで再現出来なかったが、つまみで高音領域を広げる事で可能になったんだ!

 この曲は本当に名曲だ。

 俺はあらかじめ音を五つ保存させていたので、切り替える事で上手くこの曲を再現できた。

 やっぱり食い付いたのは、ピアノを自力で思い付いたオーグだった。


「確かにうちの工場で何か謎なものを作っているなと気になっていたが、こんな素晴らしいものだったとは!!」


 ちなみにこれらの楽器は全て、オーグの工場で製造していた。

 ただしオーグはピアノの部分でかなり忙しかったようで、代わりに代理責任者を立てて任せっきりだったらしい。

 つまり、これらの楽器全て、オーグは初めて見たらしい。

 

 そして皆がドラムの所に集まって、一斉に指差した。


『何これ?』


 まぁ知らないと訳わからない楽器だよなぁ。


「実際見てもらった方が早いから、演奏してみるぜ?」


 俺は両手にスティックを持って、椅子に腰掛けた。

 さて、何を演奏しようかなぁ。

《淀屋橋ブルース》を個人的にはやりたいが、現在のドラムセットだとあからさまに足りないし、《SynchronizedDNA》という二人組ドラムユニットじゃないとこの曲は難しいな。

 う~ん、ドラム単体だとアドリブでソロをやるしかないよなぁ。

 俺は最初ゆっくりめにリズムを刻む。

 右手は左側にセットした《ハイハット・シンバル》を一定リズムで叩き、《スネアドラム》でハイハット・シンバルを三回叩くと同時にスネアドラムも叩くという感じで演奏をする。

 

「なるほど、恐らく全体のリズムを取りやすくする為の楽器なんだな。金色の円盤が音のアクセントを付けている」


 おっと、オーグが正解に近い事を仰ったぞ。

 段々音楽の事がわかってきてるじゃないか!

 ただし残念!

 リズムを取りやすくするのは正解、だが、こいつのポテンシャルはそれだけじゃない!


 俺はリズムをエイトビートで奏でていたのを、テンポアップさせる。

 こっからは、高速のメタル演奏だ!

 フットペダルの両方を交互に両足で踏んでツインバスを高速でドコドコと鳴らし、《タムタム》や《フロア・タム》を力強く叩く。

 さらにはツインバスを維持しながら、スネアドラムを超高速で両手で叩き、その合間に素早く《クラッシュ・シンバル》にも手を出す。

 はは、超楽しい!

 これはかなり腕の筋力、足の筋力、そしてスタミナが問われるんだが、この世界で剣の訓練を行っていたおかげか前世よりスムーズに叩きやすく、足なんて余裕で高速ツインバスを維持できる。さらに疲れにくい。

 いやぁ、異世界での剣の修行の成果がここでも現れるとは、一石二鳥だぜ。


 最後にクラッシュ・シンバルを叩いて演奏の締めとした。


「ふぅ。まぁこれがドラムだ。どうだった?」


 皆口をポカンと開けて呆けている。

 そして、皆が口を揃えて感想を言った。


『凄いけど、何かうるさい』


 だよねぇ。

 それが普通の感想だよ。

 だったら、よさがわかる方法がある。


「じゃあ、試しに皆で演奏してみようか!」


『……え?』


 皆の動きが、固まった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

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