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第百二話 予定の詰まった一日 ――訓練場編3――

8/31 ご指摘があった部分を考慮し、少し内容を改定しました


「よっしゃ、十回ヒット!! 俺の勝ちだな!!」


「くっ……。俺の負けだ」


 このままやっても勝負がつかないと判断した俺達は、一つルールを作った。

 内容は、先に有効打を十回当てた方が勝者というものだ。

 そして隊長さんは十回中四回俺に有効打を当て、俺は棍術の猛攻をすり抜けて十回攻撃を当てた。

 隊長さん、本気で強くなっててビックリした。

 隊長さんの有効打の中には、戦場だったら死んでいた攻撃もあった。

 正直、音楽学校占拠された際に戦ったヨハンよりかも手強いと感じた。あいつ、ちょっと口だけな部分があったからなぁ。

 うーん、とにかくいくら父さんに勝ったからとはいえ、俺もまだまだだな。


 俺達の試合を見ていた新米兵士さん達も、「見応えあった」だの「俺も二刀流か棍術覚えよう!」と言っている程熱狂していたようだ。

 隊長さんも結構強くなっているし、彼を見本に新米兵士さんも強くなっていくだろうな。

 男ってのは、何だかんだで強さに憧れるからなぁ。

 その憧れを胸に抱いて、是非頑張って欲しい。

 間違っても戦争で敗戦しないで貰いたい。非常に面倒な事になるしな!


「いやぁ、いい試合だったぜ、隊長さん!」


「くそっ、今度こそ勝てると思っていたのに、ハル君はさらに強くなっていたよ」


「まぁね! うちには相当名が売れてる剣士がいたしね」


「《猛る炎》を打ち破る《双刃の業火》か。ウィード家の血筋は恐ろしいな」


 血筋だけじゃないよ、努力もしてるよ?

 まぁ才能を購入したっていうズルはしてるけどな。


「また俺と戦ってくれないか?」


「ああ、いつでもいいぜ。俺の訓練にもなるしな!」


「うむ。よろしく頼む、ハル君」


 俺と隊長さんは握手を交わす。

 さてさて、時間も押しているし、そろそろアーバインの所に行こうかな?

 昼食はアーバインが用意してくれるらしいし、飯代が浮くのはいいな。

 結構運動もして腹も減ったし、去り際としてはいいタイミングかもな。

 俺は観客席に置いた愛剣の《レヴィーア(赤の名剣)》と《リフィーア(青の名剣)》を取りに戻った。

 

「……あれ? お、俺の剣がない!?」


 俺が大声で叫ぶと、周りの兵士さん達と隊長さんが全員青ざめた。

 そりゃそうだ、王様から賜った名剣二本を、この中にいる誰かが盗んだ事になるんだから。

 もしばれりゃ打ち首、最悪家族も巻き添えになるだろう。

 まぁ、俺もヤバイんだけどね!

 当然俺も必死になる!


「み、皆! 彼の名剣を探すんだ!! 不味いぞ!!」


「「「は、はっ!!」」」


 隊長さんが兵士さん達に指示を出して、皆でまずは観客席を探す。

 だが、誰も見つける事が出来なかった。

 何処だよ、何処へ行ったんだ、俺の剣!!


「お探しの剣なら、ここにあるぜ!」


 突然、訓練場の方から声がした。

 振り返ってみると、腰に俺の剣二本を帯剣しているライルが立っていた。

 ……えっ、俺の剣!!


「ライル! お前、何故ハル君の剣を腰にぶら下げている!?」


「決まっているでしょ、この剣はこんな無礼な奴に必要ないからですよ!」


 はぁ?

 よくわからん事を言い始めるライル。

 だんだん隊長さんのこめかみに青筋が浮かんできている。

 うわぁ、めっちゃ怒ってる。


「お前は、自分が何をしているのかわかっているのか!!」


「わかってますよ。その上で今からこの剣を賭けて、決闘を申し込むんです」


「何!?」


「こいつは、俺達兵士にとって憧れであり栄誉である勲章を、簡単に蹴りやがった。こいつは俺達の栄誉の証を侮辱したに等しいんですよ!」


 ……ああ、あの時の事か。

 なるほど、兵士にとってあの勲章はそれ程価値があるものだったんだな。

 で、ライル君は俺が授与を断った事に侮辱されたと思って、大変ご立腹って訳か。

 まぁ気持ちはわからなくはないが、だからって俺の剣を盗む必要はないだろうに!


「ハル・ウィード! この俺と戦え! 俺こそがこの剣の持ち主に相応しい戦士だ!!」


 ライルは、《レヴィーア(赤の名剣)》を鞘から抜いて、俺に剣先を向けてきた。

 こいつ、荒々しく素振りなんて始めやがった。

 腹立つな、すこーしキツいお灸を据えてやらねぇといけないな。

 今の一連の流れでわかった。こいつはまだまだ未熟。ただいきがっているだけのチンピラ同然だ。

 切り傷の一つや二つ、覚悟してもらわないとな。


「この馬鹿が! そんな事はさせない。お前は今から投獄する!!」


 隊長さんは訓練場にいる兵士さん達を引き連れて、ライルを取り押さえようとしたが、俺は敢えてそれを制止した。


「いいぜ、受けてやるよ。ただし、真剣での勝負だ。怪我をしても恨みっこなしだぜ?」


 俺は見下すように笑いながら言った。


「なっ、ハル君!?」


「俺の剣は俺が取り返すさ。かるーーーーーーーくお灸を据えて、ね」


 するとライルはカチンと来たようで、俺に何度も剣先を向けてくる。


「はっ! お前の強さなんてどうせこの剣のおかげだろうが! ぶっ潰してやるよ!!」


 うん、俺、この剣なしでさっき戦ってたよね?

 こいつの思考大丈夫かな?

 余計に負けられないな、これは。


「ん~、隊長さん。何か適当に剣一本頂戴」


「一本? 二本じゃなくていいのか?」


「はっ、あんな奴に二刀流なんてしなくてもいいだろう?」


「了解した」


 すると隊長さんは、壁に掛かっていた普通の長剣を手に取り、俺に投げてきた。

 危ねぇよ、刃がむき出しになっている武器をぶん投げて来るなし!

 まぁ、普通にキャッチするけどね。


 手に持ってみると、どれだけ名剣二本が素晴らしい剣かってのがよく分かる。

 本当に普通だ、何もかもが普通の剣だったんだ。

 でもこれでもあのバカに負ける事はないな。何か変な魔法とか使われない限りな。


「これが陛下から授かった名剣……。わかる、わかるぞ! 力がみなぎって来るぞ!!」


 そんな変な効能は御座いません。

 ただ気分が高揚しているだけで御座います。

 あんな頭がお花畑ハッピーセットな奴に、一秒でも俺の剣達を触らせたくねぇ。

 むしろ帰ったらしっかりと綺麗に洗ってやる!


「んじゃ、やろうか。勝利条件は参ったって言うまでか、気絶するまでだ」


「それでやってやるよ。その天狗になりすぎている鼻を叩き折ってやるよ、ハル・ウィード!!」


 こいつ、わかってるのか?

 銘を持っている剣の、恐ろしさを。

 未熟な奴が持つと、どうなるのかを。

 まぁわからないよな?

 俺はもう、どうなっても知らんからな?

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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