序章:クライマックスフェイズ 奈落樹が蠢く
■クライマックスフェイズ シーンPC:洋一 同行者:ほとり・覚醒
三人は結界に閉ざされた空を舞い上がり、中庭に降り立つ。
建物の中に分散した奈落の怪物たちは、幸いにしてまだ戻ってくるには至っていない。数はそこそこ残ってはいるが、さっきほどの大軍勢がひしめいているというわけではない
中庭の真ん中には、『奈落の樹』と化した『魔女の樹』が、歪に成長してゆらゆらと揺れている。
その枝の上で、ライムグリーンのお下げが踊った。
覚醒 :やっぱりいたね、しおの。
GM :「やあ、お帰りなさい、覚醒、それに、後輩ちゃんと……オマケ一人」意地悪く、枝の上の珠来しおのは笑う。その気配は明らかな奈落の邪気を放っている。彼女が奈落によって歪められた存在であることは、ほぼ疑いがない。
洋一 :「な、何だアンタ」
ほとり:「……『ウィッチレルム』の、ひと?」
覚醒 :「珠来しおの。元『侵蝕者』、って言えばアナタには分かるかな?」とほとりに。
GM :「そう、ボクはジュライ・シオノ。キミの先輩にあたるクエスター。……だった、って言った方がいいかな? そっちのオマケ君にわかりやすくいえば、悪い魔女とか、侵略者とか、そういうやつだね」
ほとり:「――そんな」指が震える。
覚醒 :「さーて、改めて話を聞きに来たからね、しおの!」ほとりんの前に出て、指を”ずびしぃっ!”と突きつける。
GM :「話、ねえ……覚醒、あまり期待してないけど、『約束』は思い出せた?」としおのは意地悪く笑う。ちなみに、もちろん思い出せない(笑)
覚醒 :「……サトリちゃんの知ってるしおのは、そんなイジワルじゃなかったと思うんだけどなー†」と誤魔化しておきます(笑)
GM :「ふふん」としおのはそんな覚醒の軽口を鼻で嗤う。「……さて、今はそんなことはどうでもいいよ」
覚醒 :「いいの!?」ちょっとショックを受けます。
GM :「今は、ね」覚醒のショックはさておいて、しおのは続ける。
「この『魔女の樹』は、もう取り返しが付かない。すっかり奈落に染め上げられて、あとはこの土地のマナをめいっぱい吸い込んでから、『ウィッチレルム』に雪崩れ込む。そうなれば、あの小さな世界はもうおしまい。全部喰らい尽くして、今度は奈落がこの世界、『ブルースフィア』を食い荒らす」
覚醒 :「『ブルースフィア』だけじゃなくて、『ウィッチレルム』も奈落に堕とす気……!?」
GM :「……残念だったね、後輩ちゃん。全部、仕組まれた罠だったんだ。キミが種を植えるところから……ううん、もっと前から、キミも、ボクも、逃れられない罠に捕らえられてる」
覚醒 :「ちょっと、それは……!」『ウィッチレルム』が『魔女の樹』の奈落化に絡んでいる? と思いつつも口にできない
ほとり:「……それは、本当ですか。ジュライ・シオノ。私が植えた種には、あなたの名前が、ありました」
GM :「うん。そうだろうね。そういう風に、仕組まれていたんだから……だから」
両手をぱっと広げて、下弦の月を映したような笑いを浮かべて、笑う。
「だから、裏切られた同士、あの小さな卑怯な世界に復讐しよう! 全部一緒に壊しちゃおう!」
ほとり:「……………………ッ」全身から力が抜けて崩れ落ちそうになる。周囲からみて、立っているのが不思議なくらい、触ったら砕けそうなくらいぼろぼろな様子で。
洋一 :ん。じゃあ、そんなほとりの肩ポン、と手を載せて、前に出ます。
覚醒 :お?
洋一 :「……わっけが判んねえ。けどよぉ~? 一つだけは判るっしょ」
GM :「何? オマケ君」
洋一 :オマケ上等! 「こんな気色の悪いモンを植えてなんか食い荒らすとか言ってるような奴が! そもそもそんな笑顔で女の子追い詰めるようなヤツが! マトモな訳ね~って事!!」
GM :しおのは「おっ」という顔でちょっと怯む。
洋一 :「だったら! やる事は一つだよなぁ~!!」
冷や汗は止まらない。額に張り付く前髪を、精一杯の虚勢でかきあげる。
背後を見れば、今にも壊れてしまいそうな、硝子細工のように儚いほとりの姿がある。
渾身の勇気を振り絞って、口元を歪めてみせる。不敵に笑っているように、見せることはできただろうか。
いや、どう見えるかはこの際どうでもいい。今大切なのは勢いだ。
「ナラクだか悪い魔女だか知らねえけどなァ……!!」
どこかの漫画の見よう見まねで、精一杯格好良く、いかにも強そうに見えるように。
「オレと!!」
親指を立てて、自分を示す。
「『ライジングフォース』が!!」
錆色の鎧が沸き上がり、燃える瞳で睥睨して。
「てめぇを……ぶっ潰す!!!!」
まるで鏡に映したように、そっくりそのままの仕草で……二つの指が、邪悪な魔女に突きつけられた。
覚醒 :くくっと笑って「アナタ大物になるよ、サトリちゃんが保証書付けちゃう」
洋一 :「ごちゃごちゃ細かい事は後にして……シンプルに行くっしょ? ほとりちゃん、アレ、放っとけねえっしょ」そのまま振り向き、ほとりにウィンクする。
ほとり:「……天野さん」
それでも、少女は泣きそうな顔をやめることはできずに。
弓を構えて。
「――私は、『ウィッチレルム』の魔女だから」
矢を手に取り。
「『ウィッチレルム』を、守りたいです。シオノさん」
願い=呪いを、矢に込める。
それが、魔女の魔法。異なる理を現す技。彼女の理を示す技である。
覚醒 :ほとりの様子に少しほっとした感じで微笑んで、しおのに向き直る。「現状、アナタが種に細工をしたって可能性が一番高いと思うんだけどな、サトリちゃんは。人を陥れる前に自分が誠意を見せないとね! 芸能界は甘くない!」と叫び、番傘を構えます。
GM :「……バッカみたい。そのまま呑まれてたら楽になれたのに」そう嘲るしおのだが、覚醒からは、しおのの口元が小さく微笑んでいるのが見える。歪な笑いではなく、人の微笑みを。ほんの一瞬のことだけれど。
覚醒 :……? 違和感を感じます。何故か少し、ほっとした心地を覚えつつ。
GM :そんな覚醒の違和感を振り払うように、しおのは大鎌を振り上げる。
「……じゃ、精々頑張って、この子の餌になっちゃいなさい!!」
と、しおのは魔女の樹に蹴りを入れた。
魔女の樹が、枝をざわざわと揺らす。根がもぞもぞと動き回り、植物ではあり得ない雄叫びを上げる。
『荒れ狂う暴威』と魔女の樹の咆吼が唱和し、びりびりと結界を揺るがす。
そして魔女、珠来しおのが指をぱちんと鳴らしたとき……
「んじゃ、格好良く決めてみせるッスよ―――――ぶっっっ潰せッ!! 『ライジングフォース』ッ!!」
≪URuaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!≫
錆色の闘士が吠え……決戦の火蓋が切られた!!
■クライマックス戦闘 対『魔女の樹』
GM :エネミー配置は、以下のようになる。
*戦場配置*
[死霊] 5m [魔女の樹] 5m [奈落AB] 5m [洋一、ほとり、覚醒]
GM :死霊と奈落はミドルで戦ったものと同種。しおのは魔女の樹とセットになってる。魔女の樹は根をうねうねと動かして刺突する意思を感じさせるね。根が長いので、リーチが長そう。
なお、飛行状態は戦闘中にメジャーアクションで≪シールエリア≫を使用するか、飛行状態となる特技を使用しなければ、なれないものとする。
あと、ちょっと全員【知覚】を目標値11で判定してみて。
覚醒 :何だろう……(ころころ)
結果、洋一と覚醒が気がついた。ほとりは動揺していて注意力が逸れていたのかもしれない。
GM :では、洋一と覚醒は、魔女の樹の枝に、一つオレンジ色の未成熟な果実が下がっているのが見える。そこから強い力を感じるので、何らかの隠し球の可能性が高い。
洋一 :気をつけた方が良さそうッスね。
GM :では……ラウンド1、セットアッププロセスだ!
■ラウンド1 セットアッププロセス
GM :なお、行動値は 魔女の樹:5 死霊:10 奈落:6。
洋一 :≪剣王の城≫!
ほとり:ありません。
覚醒 :番傘を刀に変えて影鎧纏って戦闘態勢! 演出だけで「ダークブラッド」を使っておきたいです(笑)
GM :どうぞ(笑) エネミーは現在の所何もなし。
■ラウンド1 イニシアチブプロセス
●11 洋一
洋一 :ムーブ:≪念力波動≫ マイナー:MPポーションを飲む メジャー:「煉獄の炎」で奈落A、Bを攻撃。
GM :手堅いな。来い。
洋一 :回復量10点、それを一瞬で吹っ飛ばして……魔導の18! 「ぶっ飛ばせッ!! 『ライジングフォース』ッ!」
GM :つくづく、レベル3とは思えない燃費だな(笑) ……(ころころ)両方ヒット。
洋一 :「だいぶコイツの使い方もわかってきたぜぇ……ッ!! 殴ったもんが燃えるってならこうやってぇっ!!」地面をボコボコに連打。赤熱した地面が散弾のように弾け。「煉獄の炎」の効果を使用してダメージ+2D! (ころころ)……32の<炎>!!
GM :OK、そんな火力に耐えられる奈落の怪物ではなかった! 瞬く間に炎上し、灰となって砕け散る!
*戦場配置*
[死霊] 5m [魔女の樹] 10m [洋一、ほとり、覚醒]
洋一 :「"炎のシャワー"だ!! ぶっ飛べ!!!!」
GM :瞬時に奈落の怪物が消し飛んでいく。その圧倒的な蹂躙ぶりに「へぇ……」と魔女の樹の梢のしおのが、感心したように目を丸くしている。
●10 覚醒
覚醒 :「サトリちゃん発棺! ……宣言通り、ぶった斬るからね!」とムーブで10m移動して魔女の樹にエンゲージ、マイナーはなしで、メジャーで斬る!
GM :「どのくらい腕を上げたか、見届けてあげるよ」どうぞ。
覚醒 :命中値9で……てーい(ころころ) ぐ、低い。達成値13。
ほとり:元々の固定値が高いですから大丈夫だと思うのです。
はたして、GMの回避の達成値は10。覚醒の斬撃は命中した。
覚醒 :良かった(ほっ)
GM :枝で覚醒の斬撃を妨害しようとしたが、覚醒は華麗なステップでかいくぐり、切りつける。ダメージどうぞ。
覚醒 :ここで≪トール≫! 「サトリちゃんは!激おこですよ!」と叫んで刀身の奈落が膨れ上がります。
GM :「残念、その間合いは知ってる!」≪オーディン≫! マナを高めた瞬間、覚醒の足下から根が飛び出し、そのバランスを崩しにかかる!!
ほとり:でも、そこでこちらも≪オーディン≫! すかさずその根を射止めます。
GM :では対抗できない。「……ちぃっ!!」取り繕いきれず、しおのは黒目と白目が逆転した目を剥いて舌打ちする。ダメージどうぞ。
覚醒 :「ありがと!」とほとりに叫んでから樹に向き直り、「一刀両断! サトリちゃん†スラーーーッシュ!」と振り下ろす!(ごろごろごろ)<神>67! 結構高い!
GM :木の幹が三割強断ち切られ、梢を激しく揺らす! 「ちょ、うわ、まったく、遠慮がないなぁ!!」
覚醒 :「遠慮なんかしてたら、毎日が楽しめないからね!」
●10 死霊
GM :これは対象を洋一にしよう。くぱ、と口を開いて魔法攻撃。 マイナーで≪BS付与:狼狽≫ メジャーで<闇>属性魔法攻撃だ。
洋一 :ひぃ、来い
GM :(ころころ)……ちょっと低いな。魔法攻撃で14。抗魔どうぞ
洋一 :(ころころ)13だ。惜しい、ヒット
覚醒 :【狼狽】入ったら範囲攻撃ができなくなるね。でもちょっと分が悪い?
ほとり:……ここは≪リトライ≫です!
GM :どうぞ
洋一 :サンキュ、ほとりちゃん! (ころころ)……出目10,抗魔16だ!
GM :ち、避けられたか!
洋一 :「うひゃ? わっ! やべっ!」無様に当たりそうになりつつ、どうにか回避!
GM :「ふぅん、甲斐甲斐しいスタイルじゃない。……いけすかない」
覚醒 :「しおの、ヤキモチ?」ニヤニヤっと笑う
GM :「は、バッカじゃないの!」
●7 ほとり
ほとり:そして甲斐甲斐しさがまるでないかのように10mムーブで下がります(笑)
洋一 :何もそこを否定しなくても(笑)
ほとり:マイナーで≪剣魔連撃≫、メジャーで魔法攻撃を死霊に撃ちます。実体と魔法を同時に放つ!
GM :前の時と同じパターンだな。来い!
ほとり:(ころころ)魔導値14!
GM :(ころころ)く……ヒットだ。
ほとり:ダメージは、19点<雷>です。
GM :ちぃ、あと2点低ければ! 死霊は砕け散る!
ほとり:(今も、ちゃんとできてる――!)
*戦場配置*
[魔女の樹・覚醒] 10m [洋一] 10m [ほとり]
●5 魔女の樹
覚醒 :「二人ともいい感じ!将来有望だねえ」
洋一 :「すっげえ、マジヤバいっしょほとりちゃん!」
ほとり:「本当に危険? 魔女の樹が動くから、ですか?」
洋一 :「え? いや……あ、いや、来るっしょ!」通じてねえ(笑)
GM :では実際ヤバイ攻撃を仕掛けよう。ムーブなし、マイナー≪攻撃延長≫で10m射程を伸ばし、メジャーは10+10m射程の物理攻撃。対象はほとりで、これを≪ネルガル≫で拡大。場面三名を足下から突き上がる錐のような根が襲う!!
洋一 :ぐ、ほとりを守れないがその≪ネルガル≫には≪オーディン≫!
GM :ち、通る。
洋一 :「やべっ! 止めろ、『ライジングフォース』っ!!」≪UuuuuRararararararararararara!!≫ 突き上げる根を連続して殴りつける!
GM :では根が片っ端からへし折られるが、数が多くてほとりには届かない! 達成値は……ち、低い、14か。ここは≪ヘイムダル≫で確実にいく!
洋一 :「ほとりちゃんっ!?」
ほとり:≪マリーシ≫
GM :ちぃっ! そういえばそうだった!!
洋一 :アッ
GM :対抗手段なし、回避された!
ほとり:「砕けた中から来るものなら、見えます」
覚醒 :「……今の回避ステップ、しおのに似てたかな」
GM :「……ふん、目覚めたてにしてはいい動きしてるじゃない」
……というわけで、ラウンド1 クリンナップ。とくにないな。ではそのままラウンド2セットアップだ。
■ラウンド2 セットアッププロセス
洋一 :こっちは特になっしん
覚醒 :大丈夫です
ほとり:大丈夫です。
GM :ではそのまま、ラウンド2のイニシアチブプロセスに入る。
●11 洋一
洋一 :「後はテメーだけだぜ、悪い魔女!」ビシッと指を突きつけて、ムーブ:無し マイナー:無し メジャー:魔女の樹に「煉獄の炎」……達成値は魔導の16!
GM :抗魔判定。六ゾロが出れば……(ころころ)出なかった、ヒット。「……こりゃちょっと危ないかなあ……」
洋一 :「全力で……ぶっ飛ばせッ!! 『ライジングフォース』ッッ!!」≪トール≫!
GM :通る。さあ来い。
洋一 :……色々足して52の<神>!! いきり立って両の拳での連続ラッシュ! ≪UuuuuRauraurauraurauraurauraurauraッ!!≫
GM :うむ、さすがに七割方幹がへし折れる。だがそこで……樹の果実がくるり、と”振り向いた”
洋一 :「―――なっ!?」
覚醒 :「く、ここで―――!?」
GM :ボスの【HP】が半減したので、オリジナルオートアクション特技≪完熟の刻≫がアンロック、同時に使用。効果は1シナリオに1回、アドオンエネミー『嗤う果実』が未行動状態で魔女の樹に追加される。
アドオンエネミーとは「本体として指定したエネミーを強化する役割を持つエネミー」だ。「本体」の移動と同期して移動を行うこと、基本的に「本体」の能力を強化する特技を持つこと以外は普通のエネミーと変わりない。セイヴァーズ!! ローカル……というよりはGMローカルのデータで、詳しくは巻末を参照のこと。
この『嗤う果実』については、高い行動値による場面攻撃能力が与えられている。攻撃力は低いため防御特技を使用すればダメージを無効化できるが、≪ヘル≫が乗れば防ぎようがないし、ダメージが通れば【放心】のバッドステータスを付与することができる。地味に鬱陶しいアドオンエネミーだ。
*戦場配置*
[魔女の樹・嗤う果実・覚醒] 10m [洋一] 10m [ほとり]
GM :果実には歪な顔が浮かび上がっており、それがゲタゲタと笑い始める。未行動状態で配置され、行動値12! 即座に行動するぞ!
と、GMは一見意気揚々としているが、本音では遠い目をしていた。
なぜなら、パーティにはこの状況において極めて有効な札が残されていたためである……。
ほとり:「私の植えた樹から、こんな醜悪な奈落が」とこちらはやや呆然としています。
GM :では、『嗤う果実』の行動の前にイニシアチブプロセス。割り込みはあるかい?
洋一 :……≪ミューズ≫れと言われてる感(笑)
GM :(来なくていいぞ! マジで!)
来たら致命的な結果になるとわかっていても、それを誤魔化すわけにはいかないのがGMの立場である。おのれ。
覚醒 :ではそこに≪ミューズ≫!
GM :ちぃっ!! どうぞ。
覚醒 :「させない!」と刀身の奈落を開放して樹と実を抑え込み、「今のうちに!」と洋一に。
洋一 :OK、回復した分でもう一回できる! ムーブ:≪念力波動≫ マイナー:前髪を立てる メジャー:「煉獄の炎」!! 対象は樹と果実両方だ!
GM :だから「前髪を立てる」って何だよ(笑) 来い!
洋一 :(ころころ)……命中判定は魔導の18!
GM :まずは魔女の樹の抗魔判定、と(ころころ)……このままでは当たるな。≪マリーシ≫でこれは回避。
洋一 :≪ブラギ≫で≪オーディン≫復活する? ≪ガイア≫で消してもいいけど。
ほとり:ここはせっかくなので≪ブラギ≫を使います。自分の≪オーディン≫を蘇らせて、即座に≪オーディン≫使用!! 「それをこの世界には解き放させない!(≪オーディン≫)」
GM :くぅ! では打ち消される。そして『嗤う果実』の抗魔も……無理だ、ヒット! そして……当然、来るよな(笑)
洋一 :無論≪ヘル≫!
GM :「動きがいい……しかも、予想より力が強い。そうか……『彼女』の力か!」
覚醒 :「(『彼女』……?)」
洋一 :「サンキューほとりちゃん、さとりちゃん! ……『ライジングフォース』! コイツは殴ったものを”燃やす”能力! だったらよぉ~! さっきからしこたま殴ってたモンがあるよなぁ~!?」
ダメージは38の<神>。さらなる一撃を叩き込んだ瞬間、歪んだ木の枝が耐火限界を超えて、果樹を巻き込み燃え上がる!
GM :くっ、それは魔女の樹はまだ健在だが、果実が焼き払われた!
*戦場配置*
[魔女の樹・覚醒] 10m [洋一] 10m [ほとり]
GM :「あちち、熱っ熱っ!?」炎上する枝から離れてしおのが舞い上がる。
覚醒 :「しおの、アナタ……」ちょっと呆れたような顔をしますがすぐにきりっと戻し、「―――行くよ!」
●10 覚醒
覚醒 :そのままメジャーで魔女の樹を斬るだけ!
GM :カマーン
覚醒 :せいやー!(ころころ)命中達成値17!
GM :(ころころ)……回避判定届かず、ヒット。
覚醒 :斬21! 「これで、どうだぁー!」
GM :かなりギリギリまで削ったが、まだ!
覚醒 :「く、足りない……!?」
●7 ほとり
ほとり:ムーブありません。マイナー≪剣魔連撃≫。メジャーで魔法攻撃を撃ちます!
GM :カマーン!
ほとり:「カニングフォークの魔女は――奈落を、認めない」……魔導達成値15!
GM :抗魔判定は4と2Dで…12、ヒット!
ほとり:ダメージは<雷>18点! 「届いて!」
GM :うむ、雷防御は7ほどあるんだが……合計ダメージが184になりまして、そして【HP】は180だ!
覚醒 :届いた?
GM :うむ、届いた。魔女の樹は炸裂する雷に灼き焦がされ、内部から弾ける!
洋一 :「っしゃぁっ!」
覚醒 :「強烈ぅー。思わず死体が蘇っちゃいそう! ってそれじゃダメなんだけどね†」
GM :樹に穿たれた洞の中に、浮かび上がるクルミ大の『レルムシード』。これが、くるりと回転すると、かっと目を見開き、隠されていた姿……『アビスシード』の姿を露わにする。
ほとり:「まさか、あんなところに……」
洋一 :「アレが元凶かよ……」しおのんを見る。
覚醒 :「成程、『アビスシード』……奈落の種が植えつけられてたってコトかな。種の中に種ってマトリョーシカじゃあるまいし」
GM :これを破壊することで、完全に魔女の樹……奈落の樹は滅ぶだろう。
洋一 :破壊する方法は?
GM :エキストラ扱いなので宣言だけでOKだよ。
洋一 :壊したい人いればどうぞ(笑)
ほとり:では、私が。クロスボウを巻き上げ、もう一本矢をつがえます。
指先でつまんだ矢に、呪が満ちる。機械弓用の太矢がほんやりと黄色く輝き、振り抜き構える銃口が、光跡に沿って小さな雷光を放つ。
まっすぐに構えた機械弓、その照星の先に、歪に震える『アビスシード』を捉えて。
――否、震えているのは、弓を構えるほとりの腕か。
いびつに歪んだ己が使命を葬る、その行いに畏れるが故か。
「大丈夫。アナタは何も間違ったことはしてないよ」
後ろから、覚醒がほとりの両肩に手を置いて、囁く。
わずかに瞑目する。息を吸い込み、吐き出す。そして再び目を見開いたとき、そこには揺るぎなき歪なる種子があって。
「さようなら。私の、使命」
呟き、引き金を引いた。
「……やれやれ、しょうがないか」
魔女しおのが肩を竦めるのと、ほとりの矢が『アビスシード』を刺し貫くのは、ほぼ同時。
『GHHHHHHHHHYYYYYYYYYY――!!!?』
軋むような悲鳴を上げて、『アビスシード』は砕け散り、そして。
魔女の樹もまた、灰になって、消失した。
■戦闘終了
洋一 :「ふ、ひー……これで、っと」一瞬くらっと立ちくらみする。
覚醒 :「おっとっと、お疲れ様。初陣にしては上出来過ぎたよ」と洋一の背を支えます。
GM :そうして労い合うキミ達の頭上で、やややけっぱち気味の拍手が贈られる。
覚醒 :「……しおの」彼女の方に向き直ります。
GM :そうだね、珠来しおのだ。彼女は上空に浮遊して君達を見下ろし「やれやれ、ボクの負け。完敗。折角の樹がパァになっちゃった」と、さばさばと言って肩を竦める。
ほとり:「待って、どうしてあなたは、こんな事を!」
GM :「言ったはずだよ。この忌々しい運命から、ボク達を解き放つため。キミは、その運命の軛にかかることを、自ら選び取ったんだ」
そう言うしおのは、その足先からぼろぼろと崩れ始めている。
覚醒 :「!? ちょっと、アナタ……!」
洋一 :「な、ちょっ!?」
GM :「『ジュライ・シオノー18』。キミ達が滅ぼした『レルムシード』の名前だよ。……そして、ボクの名前でもある」そう言いながらも、しおのの身体の崩壊は止まらない。
覚醒 :「しおの――――それじゃあ、アナタは」
洋一 :「いやいやいや!? マジヤバいっしょ! いいから治せよ! オイ!?」≪運命の予感≫を使用。救う手段ぶっちゃけあります?
レジェンドの特技≪運命の予感≫。これはGMに対し直接質問を行えるというものだ。
本来知るはずのないことを、ガイアの囁きか、もしくはレジェンドならではの直観で知ることができる。
GM :このジュライ・シオノ-18救う手段は、ない。ただし、この崩壊は、ジュライ・シオノの死ではないということはわかる。
覚醒 :分身というか分体というか、要するに彼女はシオノ本体ではない、と?
GM :そうだね。本体ではない。本体は……別のどこかに、ある。
洋一 :「な、何だ!? 死ぬ、ってわけじゃない? いや……」
GM :「……これが、いずれ来るキミの運命。キミを捕らえる軛は、まだまだ終わらない。いや、今始まったばかりなんだ」
ほとり:「……運命? 軛?」
GM :「またね、後輩ちゃん。キミが全部諦めて、『こっち側』に来るのを待ってるよ」
ほとり:「私も、その軛の中に?」
洋一 :「…………」
覚醒 :「運命のクビキ、か……アイニクだけどサトリちゃんは、運命なんて信じられないんだよね。『死んだ人間が生き返る』なんて、運命でもなんでもないんだから」
GM :「そう。覚醒、キミはそれでいいよ」としおのは笑った。
そして、最後に。
「オマケ君、キミが……鍵かもしれないね」
呆然とする洋一を眺め、それだけ言い残して、ジュライ・シオノ-18は砕け散り。
結界が、消えた。
消え去ったジュライ・シオノ-18の方を見て、覚醒は呟く。
「だから、そのクビキってのが何なのかは知らないけど。
それが誰かを日々を苦しめるなら……そこから『覚醒め』させてあげるよ。
サトリちゃんなりのやり方で、ね」
そう言って、彼女は少しだけ、微笑んで見せた。
ほとり:ふっとここで体を突き動かしていた力が抜けて、ほとんど「どさり」という感じに膝をつきます。
洋一 :「はー、はー……ってうぉっ! ほとりちゃん!? やべっ! 病院! 病院に!!」慌てて駆け寄る!
GM :では、ほとりを助け起こそうとしながら、いざとなると触るのに戸惑っている洋一のカットを最後に、シーンエンドだ。