第三章:ミドルフェイズ (2)あいつとお前はおんなじだ
■ミドルフェイズ 4 シーンPC:洋一 登場:不可
GM :さて、場面は切り替わって、結界からはじき出されたばかりの洋一だ。
倉庫街の裏手で、突然洋一の目の前からほとりと覚醒が消えた。拳を固めて振り上げた瞬間くらいだろうか。
洋一 :「え、あ、あれっ?」
GM :周囲には、誰もいない。
洋一 :「……あ、そ、か。結界……え、あっ!?」周囲を見回して、状況確認。
GM :いや、そうじゃないな。黒服が周囲を警戒してるんだけど、洋一を見て一般人と見なして素通りする感じかな。しばらくしてどこからともなく黒服が現れて「……逃げられました」「シーカーは動作している。追撃するぞ」という会話をしているのが聞こえる。なお、懐には明らかに剣呑な武器が収まっているね。
ちなみにほとりや覚醒がどこにいったのかは、わからない。彼らに話しかけたりするかい?
洋一 :んー。話しかけ、はしない。
「……シーカー……発信機? またはぐれて……くっそっ!!」苛立ちをぶつけるように壁殴って「どうすりゃいい、いや、まずここ離れて……」
GM :ではその場を離れて一息ついたところで、洋一の携帯電話が鳴る。
洋一 :「うん?」どっからだろ。
GM :発信者は『二階堂俊彦』だ。
洋一 :「ニカちゃん……オレよか頭いいしな、うん」取ろう。
GM :二階堂「……天野か。今から会えるか?」と藪から棒に言ってくる。会うでしょ?(笑)
洋一 :会うよ。超会うよ!
GM :OK。では会う路線でいったんシーンを閉じよう。
洋一 :はーい。
■ミドルフェイズ 5 シーンPC:ほとり 登場判定:覚醒は希望すれば自動成功、洋一は不可
『異端十字軍』の襲撃を退けたはいいものの、二人は洋一とはぐれてしまった。
だが、それで良かったのかもしれない、とほとりは思う。今の洋一は戦う力を失っているし、彼には人間と戦う積極的な動機もない。最初から降りかかる火の粉を払うことに躊躇う理由のない覚醒はもちろん、必要ならばそれを辞さない覚悟のあるほとりとも異なる。
だから、これでいい。これ以上、自分の運命に誰かを巻き込みたくはないから。
――もしも、彼の運命もまた、逃れ得ぬものであるとしても。共に歩く理由は、『自分自身のもの』であって欲しいから。
だから、ほとりは足早に進む。揺るぎなく己を征く、覚醒の背中を追いかけて。
ほとり:はい。
GM :フューネラルコンダクターの追撃部隊から逃亡したほとりは……覚醒も一緒だろう。町中をあてどなく逃げ惑っている状態だ。
既に、先ほどの一件だけでなく、数回の襲撃を受けている。明らかに、どうやってかは知らないが、相手は君達を追跡する手段を持っている。
具体的には、ここから原因を排除するまで、君達二人はシーンの最後に先ほどと同じ襲撃を受けることになる。
覚醒 :「よくもまぁ飽きもせずに……」とぼやきながら演出≪ヒール≫を。相変わらず治らないけど。
GM :軽傷を負うくらいの被害は受けているだろうね。実ダメージはなくていいけど。あったとしても二人の≪ヒール≫はほぼ無尽蔵だもんなあ(笑)
ほとりはオーヴァーランダーの≪異界の魔力≫の作用で、覚醒は根本的に【MP】を使用しないビルドであるため、≪ヒール≫による消耗をほとんど無視できるのだ。
ほとり:「魔法的な追跡手段か、物理的な追跡手段か、区別つかないのが困りますね」
覚醒 :「んー、何とかしないと今後の動きにも支障が出ますねぇ……」
ほとり:「……ああ、いえ。考えてみたら魔法的な手段のはずですね。物理的な手段でしたら、結界を張った以降も正確に追撃を繰り返すのは難しくなります」
覚醒 :「……何となく、予想はつくのだけどね。正直なところ」
GM :ふむ。ではその予想が本当に正しいかどうか、二人とも【知覚】判定で目標値12としておこうか。失敗したら次以降のシーンで成功するまで原因究明が遅れる。
覚醒 :では早速……(ころころ)……11です。いちたりない!
GM :予想はつくだろうけど、残念ながら達成値が足りない(笑)
ほとり:こちらは……(ころころ)出目がよかった。15で成功です。
GM :OK、ではほとりは覚醒の失った右手のあたりに『糸』がついているのが見える。いわゆる運命の赤い糸とかそのあたりの、魔法的な奴だ。
つまり、FCの戦闘員達は、覚醒の右腕を媒介に、覚醒の居場所を≪ロケーション≫していると思われる。
覚醒 :ぅゎーぃやっぱりぃ!
ほとり:やっぱり。「覚醒さんの右手に『糸』がつけられています。おそらく≪探知≫の魔法を」
GM :逆に言えば、探知のネタが覚醒である以上、覚醒が一人で行動すれば、彼らがほとりを襲撃する可能性はぐっと下がる、ということでもあるね。
覚醒 :「あー……やっぱり。どうりで≪ヒール≫で治らないワケで」
ほとり:「……魔法で右手が戻らないのは」少し考えて「……マナの記憶を戻すのが治癒呪文の基礎原理ですから、『マナの記憶』を宿したままの右腕を保管されている。不死殺しの一種だと思います」
GM :そう、魔法的には腕がなくなっていない状態だからね。多分覚醒が右手を動かそうとすると、FCが保存してる奴がぴくぴくすると思う(笑)
……さて、このまま逃げ続けて目的を果たすか、それとも右腕を奪い返しにいくかな? まあどっちにしてもこのシーンの最後には襲われるけど!(笑)
ほとり:「触媒である右手を取り戻さない限りは、おそらく、繰り返し覚醒さんを追跡可能なのではないでしょうか」
覚醒 :「となると右腕を取り返すのが一番手っ取り早いってことですねー」
GM :ちなみに、糸の存在が明らかになったからには、君達が逆にそれを辿って逆襲することも可能になったわけだ。次の君達のシーンで、腕を持って動いているFCの部隊に襲撃を仕掛けることが可能になる。
覚醒 :「さてとー。ということでサトリちゃんは、向こうさんに乗り込む腹積もりなんだけど、ほとりんはどうする? 先によっちー探して合流しててもいいけど……」
と言いつつも、さっきのこともあるので、二人だけで会わせるのはちょっと気が引けるんですけどね。かといってこっちに巻き込むのもどうなのか。
ほとり:はっきりと困った顔をしてから「覚醒さんのお手伝いをします」と言います。「天野さんの事は気になりますが、狙いが私たちである以上、追跡の危険を排除してからの方が合流しやすいはずです……それに。
天野さんも私と同じで。きっと、少しだけ――時間が欲しいと思います」
覚醒 :「………うん。それじゃ、よろしく」ちょっと困ったように笑って、左手をほとりんの頭にぽふんと乗せます。ほとりんはなんだかんだ、覚悟は決まっているんですねー。
GM :では、そこでまたぽーんと結界子が投入され、君達をFCの戦闘員が襲撃してくる。運動判定(【体力】あるいは【反射】)で11に成功しないと<殴>4D+20のダメージを負うぞ。
覚醒 :(ころころ)……10、失敗!
ほとり:こちらも10で失敗、≪マジックシールド≫は……どうでしょうね?
結果、覚醒へのダメージは35点、ほとりへは30点。覚醒はもちろんほとりも耐久力はそれなりにあるため、二人とも素直にダメージを受けて、≪ヒール≫による回復を行うこととした。
ちなみに、この類いのダメージ処理は、ダメージロール直前と直後のタイミングを用意し、かつ回復行動はシーン終了時に一人一回のメインプロセスを認める形で処理している。
覚醒 :「流石にこっちから突っ込むなら、多少の無茶は必要経費ですかー……」
GM :では、回復処理は適当に。ここでシーンエンドで、次の出番では右腕奪回のシーンとなるよ。
■ミドルフェイズ 6 シーンPC:洋一 登場判定:不可
どうしなければいけないのかは、わかっている。
どうしたいのかも、わかっている。
だが、どうすればいいのかわからない。したいことが多すぎて、それらが相反することで、そして彼女がそれを望んでいないようにすら見える。
だから、洋一は頼った。自分と同じ願いを持ち、その方法を間違えた少年の呼びかけに。
なぜ、間違えたのか。どうすれば良かったのか。今もまだ、同じ願いを掲げられるのか。
二階堂俊彦の家のマンションの屋上。遠くの空を見上げる彼の背中を前にして、洋一は投げかけるべき問いを選びあぐねていた。
洋一 :はい―(胃を抑えつつ)
GM :高校近くのマンション、その屋上に洋一は呼び出された。二階堂の家がある建物だ。
その屋上で、二階堂は手すりに背中を預け、洋一を待っていた。
「……来たか、天野」と、少し消耗をうかがわせる顔色で、二階堂は洋一に語りかける。
洋一 :「ニカちゃん……ちょっと、やつれてねえ?」軽く眉を潜めて。
GM :二階堂「心臓を抉られて、そこを奈落に塞いでもらっていたんだ。命があっただけでも御の字だよ」その発言だけで、彼が前回の事件を完全に把握し、記憶を残していることが窺える。
洋一 :「……覚えて、るんだなあ」なんとも言えねえ、の表情。
GM :二階堂「……実のところ、記憶は長くはもたない気がしている。治療の方は問題ないが、俺の知識と力は完全に付け焼き刃のものだ。アビスシード……『シャドウガイアの瞳』だったか? あれが失われた以上、俺の力はどんどん身体から抜けていっている。つまり、逆に言えば。
……俺には、まだ≪ラプラス・デモン≫と『ヴォルカニックレイジ』が残っている、ということだ」
洋一 :「だけど、あの力はやばいんじゃ……」
≪ラプラス・デモン≫はシャドウガイアに与えられた”未知を計算する”能力だ。それは計算であるために、その構成要素を恣意的に隠蔽されることで事実と大きく異なる結果を導き出し得る。
つまり、≪ラプラス・デモン≫の示す情報を鵜呑みにすると、それはシャドウガイアを利する結果に誘導される可能性が高い。だからこその、洋一の発言である。
GM :二階堂「かもしれない。だが、今は使う時だと思った。……今、ストランド……海辺ほとりと灰岡覚醒は、覚醒の腕を取り戻すために行動している。七瀬結節点の≪アヴァロン≫の攻防は一段落し、また『異端十字軍』は攻めあぐねているところだ。……まだどうにか≪ラプラス・デモン≫は生きている」
洋一 :「そっか、無事なんだ……」複雑な表情で「……なあ、そのえーと、シャドウ・アウラ? がナニ考えてるかとかは」
GM :二階堂「……俺の知識は、奴によって植え付けられたものだ。つまり、俺の奴に関する情報は、奴にとって有利になるように誘導されている。……それでも聞くか?」
洋一 :「……聞くだけ、聞きたい」
GM :OK。では可能な情報収集は以下のようなものだ。
●シャドウ・アウラの目的 目標値:10/14 使用能力値:【知覚】・【幸運】 分類:情報収集(分析) 情報:魔法、学問
洋一 :【知覚】と【幸運】は両方4。10が出ればいいんだけど……(ころころ)6か。財産は2だし、これでひとまずOK。
GM :了解。ではまず基本情報を提示しよう。失敗していても、二階堂が示してくれる情報となる。
サクラダ・アウローラに取り憑いたシャドウガイアの目的は、”青髯”の保有する奈落を乗っ取ることにある。
しかしシャドウ・アウラ自身にはクエスターなどの一定以上の力を持つ対象に干渉する力はない。そのためクエスターを焚き付け、自らが”青髯”奈落球に到達するための道を開拓させようとしている。
洋一 :あ、連れてっちゃアカンやつだ。
GM :で、情報収集の結果、以下のより詳細な情報を得ることができる。これは洋一が直感するものだね。
サクラダ・アウローラに取り憑いたシャドウガイアの目的は、”青髯”の保有する奈落、そしてサクラダ・アウローラの≪ガイア≫をまるごと乗っ取ることにある。
”青髯”奈落球は≪ガイア≫のマナを求めているため、シャドウガイアを宿すシャドウ・アウラは”青髭”奈落球と同一化し、サクラダ・アウローラを飲み込んで巨大な奈落へと進化することができるはずである。
しかしシャドウ・アウラ自身にはクエスターなどの一定以上の力を持つ対象に干渉する力はない。そのためクエスターを焚き付け、自らが”青髯”奈落球に到達するための道を開拓させようとしている。
GM :という感じ。ここまでが、達成10の情報となる。
洋一 :思惑に乗ったらボスルート直通の代わりに融合強化、かー。んーんー。
とりあえず推論こねこねしてから、改めてニカちゃんにほとりんが誘惑されてるという事を伝えよう。
GM :二階堂「……お前はお前の判断を信じろ。自分の目と耳と身体で感じたそれが、おそらく一番正解に近い」
洋一 :「とは言え……ホントどうしたらいいんだこっから」(頭ガシガシ)
GM :二階堂「……思ったより、厄介なことになっているみたいだな」二階堂は、洋一が力を使えなくなっていることを察しているようだ。
洋一 :「考えても訳わかんねえや……ただ、前みたいに……いや、前以上に、幸せになって欲しいってくらいなのに、さ」軽く見えるように意図して作ってる口調も崩れ、前髪がヘタレる。
GM :二階堂「……それで俺は失敗した。彼女を救うということだけに頭を乗っ取られて、肝心な事を見失っていたんだろう」
洋一 :「肝心なこと、かぁ……」
GM :二階堂「そのことを言い訳するつもりはない。ただ、彼女に怒られたあの言葉は効いたよ。誰かを幸せにするのと、誰かが幸せになるのは、似ているようで、結構違う」
洋一 :「――――でもやっぱり、自分の事を度外視は、認めたくねえよ」
GM :二階堂「……度外視と、優先順位を付けるのはちょっと違うんじゃないか? 要は力が足りなくて、自分に回す余力がないってだけだ。それに。
……俺からすれば、お前も彼女の同類だ」
洋一 :「うぇっ?」(きょとん)
GM :二階堂「いつだって、お前はそうだった。他人の顔色ばかり伺って、バランスを取ることばかり気にしている。……お前は、その人の輪のどこにいる?」
洋一 :「…………」
目を丸くする洋一に、二階堂は小さく溜息を吐き出す。
(これは、道化役が必要か)
髪をくしゃ、とかき回して、精一杯ぎらりと眼鏡の下の視線を光らせた。
GM :二階堂「……お前もまた、序列の中に自分を入れてないんだよ。それでいいと思ってる。……そんな奴に全部預けないといけない俺の身にもなれ、ヘタレ野郎」
洋一 :「へ、ヘタレ野郎!?」
GM :二階堂「ヘタレをヘタレと言って不都合があるか? 特別な力を最初から与えられておきながら、それを使いこなす力を持っていながら、それを使えなくなってる奴を、ヘタレと言わなくて何と言えばいい」
洋一 :「む、むぐぐ……」
*舞台裏*
ほとり:結構鋭いですね、二階堂さん。
洋一 :言われてみれば、洋一も自分度外視なとこあるなあ。
GM :というわけで、言い合いにするか、それとも殴り合いにするか。洋一に任せるよ。
洋一 :是非殴り合いで!(即答)
覚醒 :夕日の河原をバックに!
GM :では、そういうことになった。
洋一 :「……ああそうだよ! ヘタレだよ流されまくってるよ口調もぶっちゃけ周りに合わせてただけだよ!! ってか正直ニカちゃん殴り倒した時も心情半分くらいそっちよりじゃあったよ!?」
GM :二階堂「……………」二階堂は黙って聞いている。
洋一 :「ああっくそ……っ。だけど、どうすりゃいい……足りねえ分を補えってんならそれで良い、でも……」そのための力がない。その源に気づけない。
GM :二階堂「……荒療治が必要なようだな」
二階堂はふらりと手すりから身を離して、一歩、二歩と洋一に歩み寄り、胸ぐらを掴み上げて……頬を思い切り殴り飛ばす!
洋一 :「ぐっ、この、いきなり……っ」頬抑えて数歩よろけて。
GM :二階堂「どうした? 殴られても黙ったままか? ああ、お前は基本そういう奴だな。相手が強く出たら、それに対してすぐに角を引っ込める。ずっとそうしてきたし、これからもそうなんだろうさ」
洋一 :「ッ! てめえ……っ!」カッとなって殴り返す!
GM :頬に受ける。それを受け止めたままニヤっと笑って「どうした、そんな腰の引けたパンチで、病人一人殴り倒せると思っているのか!」と罵倒して、そのまま胸ぐらを掴んで頭突き。
洋一 :「ボロッボロのくせに強がってんじゃねぐっ!」頭突かれてのけぞり、こっちからも頭突きを返す! 「こっちだって! 向こうにもダチも助けてくれた人もいるし!! こっちにゃお前やガッコの皆もいるし!! いきなり選ぶか引っ込めって言われてっ!!」ぐぐぐっと押し返す。
GM :額を激突させたまま、渾身の力を込めて、額から一筋の血を流しながら 二階堂「そんな事情を……俺が、他人が、知ったことか!!」
怒りが、嘆きが、理不尽に憤る魂が燃え上がる。人の諍う恐怖と、ほとりの悲しげな顔に畏縮していた心が暴れ出す。
所詮、人間は生物で、心はエンジンなのだ。どんな理由であろうと、まず動く力がなければ、何もできない。
目の前にいる存在がわかりやすく理不尽であり、怒りを受け止めてくれる相手であることがわかるから。
――洋一は心を爆発させる。
洋一 :「ああクソ誰も彼も勝手に解ってて勝手に諦めてて!! ずっとずっと最初から腹たってるんだよこっちはァァァッ!!」
GM :二階堂「そうだろうな!」ストレートを頬に撃ち込んで洋一を引き離し、切れた唇から血をぺっと吐き出す。「馬鹿がどれだけ考えたところで、頭でっかちの理屈は覆らん!!」
洋一 :「だからって切り捨てるしかだの他に方法は無いだの力が足りてないだの殺すしか無いだのっ! 嫌なんだよそんなの……っ!」目に流れ込んだ血がそのまま頬に伝う。
GM :二階堂「ならっ」その流れた血のあたりに拳を打ち付けて「お前がっ! 何とかっ! してみせろ!!」一言一言ごとに力を込め、そして気合いとともに拳を振り抜く。その勢いで足下がよろける。
洋一 :「言われる、までも……ッ!!」こっちもふらつきつつ殴り返し、そのままノックダウン、かな。
GM :では洋一の拳を受け、二階堂はそのまま大の字に倒れる。
洋一 :「…………」太陽を仰ぐようにしてばったり。
GM :二階堂「…………」はぁ、と大の字になったまま溜息をついて「……柄にもないことをしたな」と嘆息する。
洋一 :「……まー、クールなニカちゃんらしくねーっしょ」へらっと笑って身を起こす。「だから次はオレも、あんましないコトしてくるっしょ……我侭、やってくる」
GM :二階堂「腰巾着がスタイルの天野らしくもない。ああ……見舞いに来た一ノ瀬がな。お前の様子がおかしいと言っていた。お前が環を繋いでいないと、しっくりこないんだそうだ」
場を繋ぐ、手を結ぶ。その場の調整役。それは果たして悪だろうか。
そうではない。二階堂は確かに洋一を否定した。だがそれは、洋一が立ち止まっているからであって、洋一のありかたそのものを否定したわけではない。
調整役であることに間違いはない。大切なことは、意思の所在。それこそが、天野洋一をヒーローたらしめる唯一の武器なのだと。
洋一 :「すぐに戻るっすよ、そっちに。ほとりちゃんも連れて」笑って胸に手を当て、思い出す。「”胸の中で、本当の答えが見えたら。迷うな――――希望を捨てなければ道は開ける”」
GM :二階堂「……やっぱり、らしくもないな」苦笑して、そのまま目を閉じる。
洋一 :「らしくもないけど、ちょっとヒーローになってくるんで」
だから、まだ答えも力も見つからないけれど。前に進まなければいけないことはわかるから。
洋一は黄金のメダルを手に握り、どこかの映画で見たフレーズを――とんでもない意訳だが、洋一の意思を顕すには相応しい言葉を掲げた。
洋一 :「―――『死ぬほど驚け(リヴィング・デイ・ライツ)』っしょ」




