第一章:クライマックスフェイズ 第十九番目の種子
■ミドルフェイズ10 シーンPC:洋一 登場:全員自動
GM :というわけで、過去の物語はこんな感じだったわけだ。どんなもんかな。
覚醒 :存外マジメだったんですねえしおの……。
GM :それがどうしてあんな愉快な子に。(覚醒を横目に見つつ)
覚醒 :真面目と真面目が反作用を起こしてオモシロコンビに!
GM :あとついでに、≪真名の枷:ジュライ・シオノ≫を思い出しました。
覚醒 :使うとGOODルートに進むのか、使わないことでGOODルートに進むのか、それが問題です……。
GM :全て使い倒して覇王ルートへ。
覚醒 :「アイドル界以外の頂点に興味ない!」
GM :どうしてこんな愉快な子に(覚醒を直視しつつ)。
幻影迷宮の脇道から、覚醒の記憶を引き出した直後のこと。
迷宮の霧に覆われた彼方から、地響きのような音が聞こえてきた。
霧に視界を閉ざされた、雲海めいた世界に、赤黒い光の線が迸る。天に、地に。それはまさに何かの木の根のように枝分かれして、この世界のあちこちに手を伸ばしているかのようだ。
「何だ、アレ……!?」
洋一が指さした先から、光の線が足元に迫る。それはいかにも危険な気配を漂わせていたが、いざ洋一の足に触れるかと思うと、まるで何かに弾かれるように軌道を逸らし、大きく迂回して何処かに走り去っていく。シャードのマナに弾かれたのであろう。つまりは、奈落の悪意の発露であるということでもある。
根元は遠い。だが、感覚的に「どっちの方」というのはだいたい把握できる。おそらくは、当初レプラカーンが陣取っていたであろう、幻影迷宮の最奥部だろう。
「……とうとうタイムリミット間近ってことかなー……?」
覚醒が、視線を光の根元に投げやりながら、ぺろりと唇を湿らせ、手首をきゅっと握って引き締めた。
洋一 :「なんかマジヤバい事になってるっぽい?」
GM :どこかから、甲高い小鬼の声……TTTの声と、幼い少女の、しかし悪意の満ちた声が入り交じった哄笑が聞こえてくる。
洋一の直感通り、これは明確に「マジヤバい」状況だ。
一応選択肢としては、当初の想定通りレプラカーンの居場所に向けてジャンプするか、もしくは強引に≪マリーシ≫などで外界に脱出するかの二択となる(笑)
覚醒 :「やっぱり急がないと、かな。二人とも大丈夫?」
洋一 :「ど、どうにか……?」【MP】不足で煙も出ないけど(笑)
覚醒 :回復が出来れば良いのですけどねえ……。
ほとり:「すこし、魔力が足りませんが、逃げるわけにもいかないと思います」
GM :1シーンかけて回復行動を取ってもいい。もちろん、それは相手に時間を与えることになるから、あまりよくない結果を招くことになるけど。具体的には強化チャートを一回分(笑)
洋一 :正直それをやってる余裕ももうなさそうだしねえ。「あー、うー……い、いや、やるっきゃねえっしょ、うん」逃げるわけには、とか言われたら背筋伸ばしちゃうよ! よ!
ほとり:天野さんに「『ウィッチレルム』のお薬です。少しは力が戻ると思います」とMPポーションを渡します。
覚醒 :「サトリちゃんもちょっと厳しいけど、急がないとね」って言いながらHPポーション1個くらいは使っておきたい。残り【HP】9……!
GM :アイテムの使用は自由だよ。
洋一 :「え?あー……うん、ありがとう」じゃあMPポーションをぐびっと。
ほとり:「味は気にしないでください」
洋一 :「(ぐびっぐびっ)ごぶぉ!?」苦酸っぱかった。ちなみに回復力は18。【MP】25になった。
覚醒 :こちらも……ぐは、【HP】7点回復で16点です。
GM :魔女薬の方は良く効いたようだ(笑)
回復量はともに4D。これで7と18は天国と地獄的な落差を感じる。
GM :では……移動を行うかい?
覚醒 :仕方ないですね、登場判定行きましょう。
GM :では、移動を行うなら登場判定、目標値は10。洋一はレプラカーンにコネクションがあるので+2を得て判定できる。誰か一人が成功すれば、それに同行して到着できるとしよう。
洋一 :であ……出てこい、TTT!(ころころ)……出目9,コネクションで+2して15。よし、行ける!
覚醒 :よっちーのダイス目が好調なので今日は頼ることになりそうです……(気が早い)
GM :楽勝の様子。では、洋一が直感に従って霧の中を先導すると、やがて小高い丘のような場所に辿り着く。丘の上には石舞台のような雰囲気の巨石がいくつか並んでいる。要は、ストーンサークルのような雰囲気だね。
覚醒 :「これはまた、立派な墓石になりそうな」ストーンサークルを見上げて。
洋一 :「も、もうちょっと別の表現? みたいな……」
ほとり:少し雰囲気が『ウィッチレルム』に似ているような……。
GM :実際ちょっと似ている。それはおそらく、その広場の中心にいる存在の意識が影響しているのだろう。
ストーンサークルの中央には、ライムグリーンの毛並みの、小鬼……というには歪に巨大化したレプラカーンの姿がある。
「あはははは、来た来た」「来たね、ヨーイチのアニキ」と、少女の声と、小鬼の声が交互に同じ口から紡がれる
洋一 :「……と、TTT……?」
覚醒 :「……しおのとあの子が『混ざった』ってこと? そーゆーキメラ的なのはサトリちゃんの芸風なんじゃないかって思うんだけどなー?」
ほとり:「レプラカーンにこんな力があるなんて、聞いた事はありません……これが」さすがに怖気を感じて、警戒します。「――奈落の力、と言うこと、ですか」
GM :うん、TTTだ。そしてその肩から、にゅるっと上半身を生やして珠来しおの……ただしその年齢は十歳くらい……が笑う。「あはははは、そうはいうけど、覚醒はただの動く死体じゃない。ボクは違う。だって、そもそも形が定かじゃないんだからね」
そのしおのの表情は、先ほど覚醒と約束を交わしていた時の面影はない。より幼いというのに、より邪悪。明確な悪意をもってキミ達を睥睨する。
洋一 :「お、おい。TTTに何やったんだよ!さっさと戻すっしょこんなキモいの!?」
覚醒 :「……前のは『18』だっけ? ということは『アナタ』も……」
GM :「そうだよ、ボクはジュライ・シオノ-19。覚醒の知ってるジュライ・シオノじゃない。でも、紛れもなくジュライ・シオノだよ」
ほとり:「……それはどう言うことですか? 私が最初に受け取ったシードにも数字がありました」
GM :ジュライ・シオノ-19=ノイツェン「そんなこと、叔母さんに聞けばいいんじゃない? エインセルの鬼婆の姪っ子ちゃん」ケタケタと笑う。
ほとり:おばさまに……?
GM :「かわいそうに、まだ何も知らないかわいい魔女。でも大丈夫。ボクとここで一緒になれば、全部わかるし、もう悩む事も苦しむこともなくなる。……そう、覚醒の約束も果たせるんだ。まあ、そこのオマケ君はかわいそうな被害者ってことで……」
覚醒 :「サトリちゃんとの約束、ね……『ワタシを守る』だなんて、そんなことのためにこんなことをしているっていうの?」
GM :ノイツェン「そうだよ、もちろんそれだけじゃないけど。ボクに与えられた『使命』は、【覚醒の記憶を呼び起こす】こと。そのための手段として、ボクはこのレプラカーンを選んだ」
覚醒 :……各々が独自の『使命』を持って行動している……分身? 分体? それとも群体? いずれにしても、『本体』が……『ワタシの知ってるしおの』が、どこかにいるはず、か。
GM :ノイツェン「この子の力は凄いよ。ボクの力と合わせて、通常じゃ考えられないくらいの範囲の人間の精神と繋がることができる。そこに根を下ろして、記憶と精神に干渉すれば、手当たり次第に魂を奈落に堕とすことができるんだ。
素敵じゃない? 本当なら触れない人の心を、まるで飴玉をしゃぶるみたいに貪ることができるんだよ!」
洋一 :「そんな事のために……ってか終わったんならもういいだろ、離してやるっしょ!」
GM :ノイツェン「やーだよ。だって、この子便利なんだもの。……ボクの『使命』じゃない、ボクの……奈落の目的を成し遂げるために、こんな便利な道具、ないものね!」
覚醒 :……ジュライ・シオノの『意志』とは別に奈落の意志がある……? 本体のしおのがどうなってるのか、あんまり想像したくない状況っぽいかな……・
加熱していく洋一とほとりとは対照的に、覚醒は冷静に状況を分析していく。それは積み重ねた年月の差故か、目的意識の違い故か。
ほとり:「……手当たり次第……。それは、この世界に取り込まれた人、誰でも……という意味ですか。
……二階堂さんや、五代さんも」
GM :ノイツェン「うん、まず最初はあの子たちだよね。ふふ、どんな味がするか、楽しみだなあ」にこやかに、無邪気に笑う。
洋一 :「…………」青ざめてよう。普通に生きてきた人間だと、もう理解がおっつかねえよ、こんな邪悪。
GM :ではそんな怯える洋一に対して、レプラカーンの手が伸びる。
洋一 :「ヒッ!?」
GM :「……アニキ、助け………て……」「あ、こら、馬が勝手に動いちゃダメだよ」ざくり、とノイツェンの手にした鎌の尻が、レプラカーンの掌を地面に縫い付けた。
ほとり:「――奈落!」
ほとりが珍しく激しい感情を露わにする。そんな少女の様子に、ジュライ・シオノ・ノイツェンは、無垢なる笑顔にこの上ない邪悪を湛えてケタケタと笑った。
「さて、もっとお喋りしようか。これからどうなるのか、未来予測を喋ってあげようか。それとも本体のシオノがどうなってるか知りたい? それとも……」
狂気じみた抑揚でまくしたてるノイツェンの周囲に、更に赤黒い光の束が広がって行く。より強く、より太く、より遠くへ。それは時間と共に明確に強大さを増していく。
――時間を稼いでいるのは明らかだ。それが感じ取れたからこそ、洋一は吐き捨てた。
「ちょ……あ……クソっクソっクソっ……!!」
俯いて、額に爪を立てるように掌で目元を覆って、何度も何度も悪態を吐いた。
「――ああ、分かったっしょ……やるっきゃねえって事も」
そう指の隙間から絞り出す声とともに、覗いたのは決意の眼光。
「マジおっかねえけどよぉ~~~ッ!! それでも!! "ブッ飛ばす"以外もうねぇって事もさぁ!!」
前髪を掻き上げ、精一杯の勇気を振り絞り、少年は邪悪のモチーフに相対した。
「奈落ってぇのが! ドイツもコイツもこんなのだってんなら!! TTTからひっぺがして纏めて月までぶっ飛ばしてやる!!
――来いッ! ライジングフォーーーーーーースッ!!!!」
咆吼が轟いた。そして、洋一の影から、天を指さす『力ある幻像』が起ち上がる。
その眼光は矢のように、その指先は運命を示すように、邪悪の権化に突きつけられた。
主たる、洋一とそっくりに。その勇気そのものを具現化したかのように。
覚醒 :「月が地獄になりそうだねー」たははと笑う。
ほとり:「急ぎましょう。まだ、急げばあの子やみんなは、救えます!」
GM :その意思を固めたならば、洋一のシャードから三角形の光が溢れる――。
再び、洋一のシャードから光が飛び出した。桜色に染まったその三つの光球は、それぞれを直線で結んで洋一の頭上に三角形を描く。
「また、『これ』かぁ」
覚醒が独りごちる目の前で、三角形が砕け、それぞれの頂点が三人の胸へと飛び込み、そしてそれに呼応するように、シャードが一つの確固たる指針を示す。
「……アイツを止めろ、か」
洋一の言葉は、まさに三人のシャードが告げた『使命』そのものを示していた。
GM そういうわけで、『使命』は【ジュライ・シオノ・ノイツェンを阻止せよ】だ。
そして同時に、キミ達の中に、新たな奇跡の力がわき上がる。追加加護をそれぞれ一つ選択してくださいな。
覚醒 :「……また『これ』かあ。これも何か関係してるのかな……」
追加加護は、洋一が≪トール≫、ほとりが≪ブラギ≫、覚醒が≪ミューズ≫を選択。前回と同様の流れとなる。
GM :光を受け取り、それを力として受け入れた時、そのシャードに、小さく囁く声が聞こえた。
『……あの子たちを、救ってあげて』
桜色の髪の少女と、薄衣を纏った神々しい少女の姿が二重写しとなった様が、一瞬だけ、見えた。
ほとり:「これは……あなたは、あの時の?」
GM :シャードに囁く声はその一瞬だけ。ほとりの問いかけに答えることもなく消えて、そして。
それを引き裂くように、ジュライ・シオノ・ノイツェンが哄笑をあげる。
「あはははは、しょうがないなあ、もう! それじゃあ、今すぐここで、みんなみんなバラバラにして、残らず全部食べてあげるよ!!」
ノイツェンがTTTの中に吸い込まれ、そしてその巨大化したツメが、しおのの使う鎌のように伸び上がり、そして――
さあ、ここからクライマックスだ!
■クライマックスフェイズ 対『ジュライ・シオノ・ノイツェンおよびTTT』
■戦闘前宣言
ほとり:魔女装束に戻ります。
洋一 :装備展開しっぱなのでなし。
覚醒 :番傘を取り出して抜刀! 同時に影鎧を纏います。
GM :OK。エネミーはとくになし。
*初期配置*
[茨の悪魔AB] 5m [TTT] 10m [PC]
GM :茨の悪魔は前に戦った奴と同じだ。TTTの行動値は7,茨の悪魔は13となる。
洋一 :聞くだけ聞いてみようか。必要なら≪運命の予感≫込みで、TTTから奈落を引っ張りだす方法を。
GM :OK。では、まず現在のTTTには、とある特技の効果により、≪BOSS属性≫が付着している。これを無効化した上で倒すことができれば、TTTを救済することができる。
●≪AE:BOSS属性付与≫
タイミング:常時 種別:AE
対象:本体 射程:なし 代償:なし
効果:所持するAEが「本体」とするエネミーに≪BOSS属性≫を与える。この効果は所持するAEが倒された場合失われる。
GM :AEとはアドオンエネミーの略。前回の『嗤う果実』のような、≪BOSS属性≫を付与するアドオンエネミーが付着しているということがわかるね。
*戦場配置*
[茨の悪魔AB] 5m [TTT・JS19] 10m [PC]
GM :というわけで、アドオンエネミーJS19(ジュライ・シオノ-ノイツェン)の存在が感知できる。
洋一 :「―――其処に居やがるっしょ!」
GM :ノイツェン「わあ、危ない危ない、じゃあしっかり隠れておかないとね!」
■ラウンド1 セットアップ
GM :……というわけで、本当に隠れる(笑) JS19が魔女魔法≪絶対領域II≫を使用する。
●魔女魔法 ≪絶対領域II≫
タイミング:セットアップ 種別:ビ、魔女魔法
対象:自身 射程:なし 代償:なし
効果:使用者を隠密状態とする。この状態では加護以外の手段では標的として選択することはできない。
範囲(選択)攻撃を範囲として使用し、攻撃に巻き込むことは可能とする。
この効果は、≪ガイア≫の加護によってそのラウンド中消去することができる。
ほとり:「魔女魔法の気配がします! 気をつけて」と私は一般的な警戒の声を上げます。
覚醒 :……あれ、魔女魔法ってことはもしかしてこれって≪真名の枷≫で無効化できたり……?
洋一 :……よね。
ほとり:そのはずです……(笑)
覚醒 :成程そういうギミックでしたか。今回は使った方が良いパターンと信じて!
「そういうこと……しおの、これでアナタに何かあったとしたら全力で謝るから……今は!」
絶対領域に消えようとするJS19に対して≪真名の枷:ジュライ・シオノ≫を使用! 魔女魔法を封印します!
GM :了解、効果期間は何ラウンドを指定する?
≪真名の枷≫は、使用時に効果時間を任意に設定することができる。
最小1ラウンド、最大値はシーン終了まで。この特技自体が1シーンに1回しか使用できないため、この効果時間の長さがシーンの展開を左右する……かもしれない。
プレイヤーは舞台裏で、この時間について相談する。GMの罠を疑いつつ、この時点では判断材料がないため、確実に戦闘が終了しているであろう期間を効果時間に設定することとした。
覚醒 :じゃあ、10ラウンド指定します。「範囲:声の届く範囲」とはいえ、流石に無限は本体に何かありそうで怖いので……。
GM :了解。ではそこで、TTTがカウンターで特技を使用する。
洋一 :お?
●オリジナルエネミー特技 ≪忘却の悪戯≫
タイミング:オートアクション 種別:魔
対象:単体☆ 射程:10m 代償:10【MP】
効果:特技を宣言された直後に宣言する。意思判定で対決を行い、勝利した場合、使用された特技の効果を消去する。この効果は1シーンに2回使用できる。
GM :≪忘却の悪戯≫を使用する。【意思】判定で対決!
覚醒 :うぐぅ、【意志】ですか……
GM :背中からぼろっと翼が生えて、咆吼とともにぱたぱたと複雑に蠢く。くらえ、忘却の妖精魔法!
ちなみにこの演出、そろそろお察しの人もいると思うが、古き良き名作RPGの演出を踏襲している。
達成値は11、ちょっと物足りないのでGMは≪バルドル≫を使用して達成値を補強した。
GM :達成値31との対決となる。
洋一 :う、うぉぉ、どうしよう。
覚醒 :クリティカル化でないのなら自前のエーギルで達成値を20下げられますが……。
GM :≪バルドル≫は達成値を上げるのと、ファンブルを打ち消すだけなので≪エーギル≫で相殺できるね。
覚醒 :≪オーディン≫よりは≪エーギル≫でしょうか。使っても問題ないでしょうか?
ほとり:そうですね。≪オーディン≫と≪エーギル≫の合わせ技なら、相手の達成値を0に追い込める。と言う状況には出来ます。……こちらの防御手段も大きく減ってしまいますが。
洋一 :さとりん【意思】3だしねえ……出目で8が出る、と思えるかどうか
GM :さあどうする?(口元だけのコマで一文字ずつ)
洋一 :と、言うことで≪オーディン≫しちゃおう! ≪バルドル≫を打ち消す!
GM :ち、対抗なし! では達成値11!
覚醒 :そしてサトリちゃんの≪エーギル≫を使います。そちらの達成値はゼロだ!(どどーん)
GM :対抗なし! 達成値ゼロ! ではリアクションどうぞ。
覚醒 :ここでファンブるということだけはしたくない……!(ころころ)……11、成功! 危ないところだった。
GM :では抵抗! レプラカーンの悪戯は空振りし、≪真名の枷≫が効果を発揮する。
身を隠そうとした瞬間、びくりとジュライ・シオノ・ノイツェンが震える。
体が強ばる。喉のあたりに手を伸ばし、引っ掻くようにしてその呪いに抗おうとするが、しかし敵わない。
真名に基づく呪い。それは魔女にとって存在そのもの、呼吸の術を奪うのと同じくらいの脅威となる。
「……覚醒、キミ、枷を……使ったね!!」
憤怒の形相を浮かべて、ジュライ・シオノ・ノイツェンは叫んだ。
「忘れたの? サトリちゃんは、しおのの『守護者』だからね!」
ふふん、と余裕を見せる覚醒に、ジュライ・シオノ・ノイツェンはちっと幼子の容貌に似合わぬ舌打ちを打つ。
『ふん、でもいいさ。このレプラカーンの力と、ボクに満ちる奈落の力は止められない!』
更に一回り巨大化したレプラカーンが、激怒と苦悶が入り交じったような咆吼を上げた。
GM :――というわけで、魔女魔法≪絶対領域II≫は発動しなくなった。更に効果時間中、JS19が行う魔女魔法は発動せず、魔導判定は全て自動的に失敗となる。
覚醒 :よし、これで隠密は消せたけど……しかしサトリちゃん、セットアップ特技を使ったことで≪夜の眷属≫が次ターンまで持ち越しに。防御力も攻撃力も格段にダウン!
ほとり:≪夜の眷属≫を使ってないと言うことは、前提に≪夜の眷属≫が含まれる「ファランクス」シリーズも使えないはずですよね。
覚醒 :なんだよね。辛い!
洋一 :気を取り直して、≪剣王の城≫!
GM :データ的にはここで洋一のライジングフォースが『ズァッ』っと出現だね。OK。
■ラウンド1 イニシアチブプロセス
ほとり:初手で≪クイックヒール≫≪魔女の秘薬≫を宣言します。対象は覚醒さん。おばさまから習った早撃ちの技法で、素早く魔女の秘薬を覚醒さんの頭上に撃ちます。
GM :OK、どうぞ。
ほとり:回復量は……23。光が注ぐとマナが体に補充されてゆくのです。
覚醒 :29まで回復。「ぅおっと! ほとりんありがとー!」
●13 洋一
洋一 :んーむ。後ろに撃つ、か……≪ガイア≫を≪ネルガル≫にして一層狙うか? いや、とりあえず……その場でMv:念力波動 Mn:念動魔手装備 MJ魔法攻撃。
GM :カマーン!
洋一 :(ころころ……)出目5か。むぐぐ。魔導の13で
GM :ふふふ、その出目なら避ける目もあるぞ……茨の悪魔Aは9,Bは……惜しい、12!
洋一 :あっぶねえ、「煉獄の炎」のダメージ増加も入れて、4D6+24の<炎>ダメージだ!
「ぶっ飛ばせ!!ライジングフォース!!」≪Uraaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!≫ (ころころ)……35点!
GM :つまりまた一撃粉砕か!
覚醒 :粉砕! 玉砕! 大喝采!
GM :炎に包まれて、茨の悪魔が燃え尽きる。
覚醒 :「ナイスよっちー!」とサムズアップ
洋一 :「ハァッ、ハァッ……!」
ほとり:「さすがです。天野さん!」
*戦場配置*
[TTT・JS19] 10m [PC]
GM :さて次、行動値13の茨の悪魔はいなくなったので……覚醒か。
●12 覚醒
覚醒 :さて、サトリちゃんはムーブで10m移動してエンゲージ、マイナーで最後のHPポーションを使ってから、メジャーで斬りかかります。
*戦場配置*
[TTT・JS19・覚醒] 10m [PC]
覚醒 :まずは回復量が……14で【HP】43まで回復。そして命中判定……19! 「ジュライ・シオノ-19! 覚悟してもらうよー!」
GM :JS19「この……動け木偶の坊!」 回避できないので、≪マリーシ≫!!
覚醒 :ぅぐぅ。
洋一 :オデ(≪オーディン≫を使うの意味)って貰う?
ほとり:うーん。実はこのパーティ、≪ブラギ≫と≪イドゥン≫以外、もう共通防御リソースがないんですよね。
ただ思いっきりこの一撃に≪トール≫も含めて叩き込むならありだと思います。
覚醒 :そうですね、≪トール≫入れるならファランクス分は誤差の範疇ですし。
GM :なお、JS19は見るからにひ弱そうだ。だって十歳児だもん!
覚醒 :年齢設定が細かいのは何かあるのですかねえ……。とにかく、ここは出来れば速攻で決めちゃいましょう。
ほとり:やってしまいましょう。≪ブラギ≫から≪オーディン≫。魔女魔法の扱いなら、私だって負けません。
GM :対抗手段なし。『うぐ、エインセルの姪っ子めぇ……!!』
覚醒 :「ほとりんありがと! それじゃあこっちも……!」と≪トール≫を宣言。無理やり人魂達を呼び出して刀に集めます
GM :≪トール≫も通る。ダメージどうぞ。
覚醒 :「ゴッド†サトリちゃん†フィニーーーッシュ!」
ほとり:……なんだか自分が成仏しそうなかけ声ですね。
覚醒 :(素知らぬ顔でころころ).……<神>属性65点ダメージ!
GM :ちぃぃぃぃ! 防御修正は10あるのに【HP】が一気にゼロだ! でも最後っ屁に≪タケミカヅチ≫。……30点返ります……(笑)
洋一 :すげえ脆いな!?
ほとり:いえ。でもここで仕留めてないと、加護持ちだったみたいですし、危険でした。
GM :『ぐ、ぎぃっ!?』 ざっくりと刀で抉り取られ、ジュライ・シオノ・ノイツェンは動きを止める。おのれ。
覚醒 :「絶対腐敵! サートりーんオー!」とかポーズ決めてる間にべしっと喰らう。あいたた。回復のおかげでまだ立ってる。
GM :だんだんよくわかんない方向に来てますよ覚醒さん。
覚醒 :サトリちゃん技名はネットで調べてるので意味はよく分かっていません! PLは別として!
●8 ほとり
ほとり:ここは5m後退します。マイナーで魔法装備を交換。「疾風の翼」を装備します。
●世界魔法:ウィッチレルム 「疾風の翼」
「世界魔法:ウィッチレルム」の魔法装備の一つ。射程距離は5mと短いが、<斬>+7という1レベル魔法としては破格の攻撃力修正を持つ。また、装備中使用者は飛行状態となる。
*戦場配置*
[TTT・覚醒] 10m [洋一] 5m [ほとり]
GM :ち、やらしいな。どうぞ。
ほとり:浮き上がった空中から、翼の作り出す風を集めクロスボウに乗せて――魔法攻撃! 魔導値10で……(ころころ)
出目は六ゾロ。
ほとり:あ。クリティカルです!
もちろん対抗できず、クリティカルヒット。そこに洋一の≪トール≫が乗り、38点のダメージ追加。
洋一 :「今なら―――捕まえろ、『ライジングフォース』っ!!」ガッシとTTTを抑えこんで、照準する時間を稼ぐ。
GM :「………ギギギギッ!!」歯ぎしりして動きが止まる。
ほとり:そうすると羽の生えて飛んでいる私が『ライジングフォース』の視線から見えるわけですね(笑) ダメージは……出目14で自前が<斬>26,≪トール≫分で<神>64点です!
GM :く、素通しだ! 痛い痛い。風の魔法をモロに受けて赤黒い奈落の血を吹き上げる。しかし痛みを堪えてふりほどき……。
●7 TTT
GM :ムーブは意味がないな。マイナー:オリジナル特技≪縦横無尽:2≫、メジャーは白兵攻撃。
●オリジナルエネミー特技 ≪縦横無尽:2≫
タイミング:マイナー 種別:-
対象:自身 射程:なし 代償:8【MP】
効果:そのメインプロセス中に行う白兵攻撃の対象を二体に変更する。1ラウンドに1回使用できる。
GM :白兵の射程は10mあるので、洋一と覚醒両方を攻撃できる。
覚醒 :ぐぐぐ。
GM :なので両方を攻撃。(ころころ)……命中達成値は19。
洋一&覚醒:(声を合わせて)むーりー。
GM :ではそこにもちろん、≪ヘル≫!
洋一 :ぎゃーす!
これを打ち消す手札はなく、<神>58という大きなダメージが炸裂する。
GM :TTの腕が伸び上がり、右手が覚醒を、左手が退く途中の『ライジングフォース』の胸を引き裂く。
洋一 :「ゲホッ!?」『ライジングフォース』が引き裂かれた部分と同じ場所から血を吹いてブレイク。も、もうこれで【MP】気にしなくても……(汗)
覚醒 :「―――!」反射的にシオノ-19に刀を投げつける! ≪タケミカヅチ≫! 58点まるっと喰らって下さいませー!
GM :データ上は死者に鞭打つサトリちゃんである(笑) 58点貰いました。
覚醒 :そしてボロボロと崩れ去り土に還るサトリちゃん。ぼとりとシャードが地面に落ちる。
洋一 :「土に帰った―!? げほっ」
覚醒 :――からのブレイク。ずぼっ! と土の中から腕が出てシャードを掴んで「ふう、死ぬかと思った」と這い出してくる。
GM :「…………」刀を頭に喰らって動かなくなってるノイツェンと、TTTがリアクションに困っている。
ほとり:「元気ですね。覚醒さん」
覚醒 :「あ、刀返してねー」と引っこ抜きます。ずしゃり。
洋一 :「…………」(ぽかーん)
覚醒 :「うん、さっきより快調なくらいー」実際【HP】が3点程回復しております。
クリンナッププロセスはとくになく、ラウンド2に移行する。
■ラウンド2 セットアップ
GM :エネミーはとくになし。
覚醒 :≪夜の眷属≫を使用します。「かもん皆!」と黒い人魂達を改めて召喚。
GM :一緒に生えてきたんだな(笑) では。
●13 洋一
洋一 :これは下がるべきか。ムーブで3m下がって、マイナーで指突きつけて、メジャーはTTTに魔法攻撃。
「助け方とか難しいことはわかんねぇけどよぉ~……出て行きたくなるまで"ブン殴る"ってのは良い案だよなぁ~!?」
ほとりちゃんはまだ未ブレイクだし、こっちのほうがいいかなって。(ころころ)
*戦場配置*
[TTT・覚醒] 13m [洋一] 2m [ほとり]
洋一 :(ダイス目は4)……むぐ。
ほとり:≪リトライ≫をどうぞ。私の残り【MP】6点です。
洋一 :おっと、サンキュ! (ころころ……出目3)おい。おい。
GM :ダイスが無情だなあ……。
洋一 :≪火事場の馬鹿力≫。13に……。
GM :了解……(笑)
しかしGMの出目もいまいちだった。達成値10でヒット。
覚醒 :良かった……良かった……。
洋一 :こわかったぁ。
GM :TTT「ア、アニキ……ギギギギ」
洋一 :「我慢しとけよTTTッ!!」 <炎>28点! ダイス目が一気に弱ってきた。
GM :25点通った。拳を鍵爪で受け止めるが、爪が何本か弾け飛ぶ感じだな。
●12 覚醒
GM :TTTはもうかなりぼろぼろだ。あと1~2撃という感触がある。
洋一 :「ウゥゥラァッッ!!」燃える拳で思い切りぶん殴って隙を作った! 作ったんだよ!
GM :作られた。さあ、こい。
覚醒 :「後は任せて!」 念のためムーブで飛んでおきましょう。マイナーはなし、メジャーで斬る! 「そろそろ終わらせるよ!」
宣言を裏付けるように、ダイス目は11。≪戦闘適性≫のある覚醒はクリティカルとなる。
覚醒 :ここでやっと「フォーメーション:ファランクス」を発動! 人魂達が刀に集まる!
洋一 :では、≪ヘル≫も載せよう。(ころころ)……ダメージダイスはいいなあ、22点の<神>化ダメージ増加!
GM :うぇ、≪ヘル≫としてはかなりきついな!
≪ヘル≫のダメージ増加は5Dなので、期待値は17.5。22はかなり頑張った数字だ。
洋一 :「へ、へへっ! こんだけ殴ってりゃよぉ~! だいぶ熱くなってるだろぉ~!?」『ライジングフォース』の拳を受け止めてた腕全体が燃え出して、TTTに大きな隙を作る!
覚醒 :「よっちーありがと! これで行けるはず!」とダメージ行きます。「ハイパー†サトリちゃん†クラアアアアアッシュ!」
クリティカルと強力なダメージ増加を帯びた一撃は、実に62点の<神>ダメージ!
GM :おう!?
洋一 :やったか!?
GM :それはさすがにきつい! 合計ダメージ209到達、そして【HP】は180! 倒れた!
巨大化したレプラカーンの、ライムグリーンに染まった毛皮を引き裂いて、覚醒の刀が一閃する。
衝撃で、ジュライ・シオノ・ノイツェンが弾き出され、石柱に叩きつけられて、落ちる。
奈落に汚染されたTTTは、黒く染まった血を吹き出しながら倒れ、そしてみるみるうちに小さく……洋一の半分にも満たない小人の姿を取り戻した。
洋一 :「へ、へへっ……た、助かった、のか?」
覚醒 :「ほとりん! その子をお願い!」
ほとり:「はい!」
ほとり:TTTに駆け寄って、傷口に幾つか香油を塗って≪ヒール≫を使います。
GM :傷はもちろん浅くはないが、しかし命に別状はなさそうだ、とほとりには判断できる。
覚醒 :サトリちゃんはシオノ・ノイツェンの方に向かいましょう。
GM :十歳児なジュライ・シオノ・ノイツェンは、石柱を背に、黒い血にまみれた咳を繰り返している。もちろん、生物としては長くない。それ以前に、彼女は輪郭を危うくしている。この形状を維持できなくなっているようだ。
GM :ノイツェン「……はは……やられちゃった。強くなったね、覚醒」 こふ、と黒い血を吐き出しながら。
覚醒 :「……アナタには色々と聞きたいことがあるのだけど……やっぱり、時間はないみたいだね」
GM :ノイツェン「どっちにしても時間はないんだ。ボクは……そういう役目のために生み出された『化身』だからね」
覚醒 :「……やっぱり『分身』か」その可能性が一番高いとは思ってましたけれど。
GM :ノイツェン「当然でしょ? 本物のジュライ・シオノは覚醒なんかよりずっとセクシーだったんだから。こんなちんちくりんじゃない」
覚醒 :「さて、どうだったかなー」たははと笑って。「……『本体』はどこに? 今、どういう状況なの?」
GM :ノイツェン「……それを教えるのは、ボクの役目じゃない。でも……エインセルの鬼婆に聞いてごらん。……ジュライ・シオノ-1(アインス)のレルムシードが、どこに植えられたのか」
覚醒 :「……ジュライ・シオノ・アインス、か……」
ほとり:「おばさまがそれを、知っていると言うのですか?」
「それを見出せば、自ずと答えは見えてくる……」
ほとりの問いかけにはにやりと嗤うだけで答えず、ジュライ・シオノ・ノイツェンは、ごふ、と血を吐くように咳をする。すると、その胸のあたりから袈裟懸けに切り裂かれたように、下半身が光の飛沫となって消し飛んだ。
「うわっ!?」
洋一が悲鳴を上げる。ジュライ・シオノ・ノイツェンは、もはや思うように動かない肩を竦めるように身じろぎしながら、戦く洋一の視線に沿って、自らの体を見下ろした。
「時間切れか……残念」
「……一応、お礼は言っておく。しおのについての記憶が戻ったのは、アナタのお陰だから。『ありがとう』」
「……ふふ」
覚醒の感謝に、皮肉げに微笑んで。
「じゃあね。もう少し……遊びたかった、なぁ」
そう無邪気に呟いて、再び咳を一つ。
それが引き金となったかのように、その体は崩れ去った。
輝く結晶、きらめく飛沫。まるで最初からガラス細工か何かであったかのように、粉々の輝く欠片となって消し飛んで――。
後には、一つの種子……『レルムシード』らしきものが残された。
「……こんなのが、遊びなのかよ……」
洋一が、恐れと怒りと悲しみと、様々な感情がないまぜとなった呻きを漏らした。
覚醒 :「……言葉に意味なんてない。奈落は全ての生命の敵。アレにとって、起こす行動の全てが、そのためのものになるってだけ」
GM :半ばから断ち切られた種子は、外から寄生するようにして、歪な触手……『アビスシード』が食いついているのが見て取れる。
放っておいても破壊されるが、とどめを刺してもいい。
覚醒 :刺しましょう。刀でずしゃっと。
GM :では『アビスシード』は、粉々のガラス片的なものとなって、砕け散った。
ほとり:「……奈落にとって、生命は侮辱し、汚染するものなんです。奈落はそう言う、在り方しか出来ない」
GM :そう言うほとりの腕の中で、レプラカーンは身じろぎする。治療の魔法が功を奏したのだろう。意識を失ってはいるが、もう生命に別状はない。
覚醒 :「サトリちゃんみたいなダークワンは、例外中の例外ってだけだね。もっとも、サトリちゃんが本当に死んじゃったときとかは、どうなるか分からないけど」くくくと皮肉気に笑って。
GM :……ただ、問題が1つ。幻影迷宮を作り出していたレプラカーンが気絶し、それに力を注いでいた奈落が滅ぼされたということで。
霧に覆われていた幻影迷宮が、端から砕け始めている。
洋一 :「……っと、それよりやべえ崩れる壊れるっ!?」
覚醒 :「急いで出ないとだね」
ほとり:「私たちはどうにかなりますが……この世界に取り込まれている人達は!?」
洋一 :「……あ」……ががが≪ガイア≫―!?
GM :別に使わなくてもいい路線だったけど、ではそれで(笑) 『ライジングフォース』が空を駆ける。洋一の曖昧な願いを叶えるべく、光の速度で駆け巡り、取り込まれた人々を拾い上げていく。
洋一 :「よよよよしこれで全部っぽいから」一つ頷き「逃げるんだよぉ~~ッ!!」
覚醒 :「『ライジングフォース』優秀だぁ! 誰だ暴威とか言ったの! サトリちゃんだ!」と楽しげに。
ほとり:それなら――その人たちも術にのせて、崩壊する世界の向こう側に矢を撃ちこみます。≪マリーシ≫!
砕けていく世界を光の矢が貫き、その軌跡に向かって人々と、そして三人を抱えた『ライジングフォース』が駆け上がる。
そして世界が閉じ、幻影迷宮は永遠に失われた。




