第一章:ミドルフェイズ (3)メモリー・ハック
■ミドルフェイズ7 シーンPC:ほとり
GM :さて、ここからは行動するPC次第でシーンPCを決定しよう。
今、登場判定目標値は10。まだレプラカーンの足を掴むことはできない。もう少し探り出す必要がありそうだ。
迷宮を単純化するには、更に誰かの記憶を探る必要がある。
とくに方針がないなら、適当に彷徨い歩く手もある。その場合は主に外野のNPCが登場することになるね。
ほとり:私たちの一番重要な記憶に関しては、すでにそれぞれ演出されたので、悩み所ですね。
洋一 :ふむぅ……洋一には正直これ以上面白い過去はないしなあ。
覚醒 :サトリちゃんはまだ蘇生後からしおのといた時期の記憶があるでしょうけれど、連続するのはちょっと厳しいかと思うので今回はパスでしょうか。
GM :ちなみに一応全員分、GMとしては一個ずつネタを考えてはある(笑)
洋一 :となるとさまよい歩いてみる?
ほとり:では私の過去に行きましょうか。……その『守護者』であってすでにリンクのある覚醒さんはまだしも、天野くんに見られると言うのは、ちょっと恥ずかしいかも。ですが(笑)
覚醒 :「ちょっとでもマズい場面があったらサトリちゃんがぱーっと目隠しするから大丈夫!」指をゴキゴキ鳴らしながら。
洋一 :「目っすよね隠れるの!?」
覚醒 :「それはよっちー次第かなー†」とけけけと笑う。先程の微笑みとはまた違った笑顔。
ほとり:「目隠しに、ゴキゴキと指を鳴らす必要はないと思いますけれども……」もしかして『下駄箱』みたいなこの世界独特のおまじないなんでしょうか。
GM :では、シーンPCは天然を炸裂させるほとりで。登場判定をどうぞ。目標値は10。
ほとり:では登場判定を……14。問題ないですね。
GM :では問題無く。おばさまのシーンか……ほとりが接しているシーンだからなあ。どっち向きのシーンが欲しい? 優しいおばさま、怖いおばさま。
ほとり:そうですね。現実世界で出会ったおばさまが厳格な社会人としての立ち振る舞いの場面が多かったので、優しいシーンの方が嬉しいです。
GM :ふーむ……じゃあ、こちらが想定していた、『ストランド・カニングフォークの樹』を植えるシーンを流用しようか。
そこにおばさまがいる、という路線で。
ほとり:それがよさそうですね。私も同じ事を考えていました。
GM :では……。
霧が晴れて、懐かしい光景が浮かび上がる。
それは、全員が見覚えのある広場だった。現在『ストランド・カニングフォークの樹』のある、『ブロッケン樹海』の畔。しかしそこには、あのイチイの樹(の亜種)の威容はなく、ただぽっかりとした広場の真ん中に、見覚えのあるカボチャの馬車と、見覚えのある二人の姿がある。
一人はこれは何も変わった様子のないヴァネッサ・エインセル。ぞろっとしたローブを纏い、まるで背中に定規が入っているかのようにぴたりと背を伸ばしている。
ではいま一人は誰か。ブルースフィア……現代日本流の洋装を纏った現在と違い、魔女然たる衣に身を包み、目の前の魔女と揃えたように……しかしどことなく強ばった様子で背筋を伸ばす、ストランド・カニングフォーク。つまりは、海部ほとりの姿である。
「これは、あの時の……」
現在のほとりが呟いた。この光景、覚えがある。およそ一ヶ月ほど前のことだ。
海部ほとりが、ストランド・カニングフォークと、秘密の真名しか名前を持っていなかった、最後の時期の記憶だった。
GM :『ブロッケン樹海』の一画にある、まだ樹の植えられていない広場に、ほとりとヴァネッサがやってきている。例によってカボチャの馬車を停めて。
ほとり:ちょっと緊張しています。
GM :ヴァネッサは箱に収められたイチイの樹(の『ウィッチレルム』近親種)の種子を、ほとりに差し出す。「受け取りなさい、ストランド。あなたの希望通りの種を用意できました」
ほとり:「はい。おばさま……これが『ストランド・カニングフォークの樹』の、種、なんですね」
GM :ヴァネッサが頷く。「ええ。貴女自身と繋がり、このウィッチレルムに実りをもたらす聖なる樹。あなたが自分で発芽させ、あなた自身とともに育てていかなくてはなりません」
なお、手段は、植えて、その後は『ウィッチレルム』の子供なら誰でも知っている発芽魔法と成長魔法を使う。なお、その手段は、子供時代に教わってたのは、こう、ト●ロがやってたような感じのあれ。自習してなければそれを再演することになる。
ほとり:「がんばります。……魔法の基本の、おさらいにもなりますし」
ちょっと強がって見せます……イチイは実は、二年越冬しないと発芽しないので、うっかり頼んでしまったんですが、他の子よりもハードルが高かったんですよ(笑)
GM :多分余分に【MP】を消費するだろうね(笑)
ほとり:だから実は『魔力が保つか』を、この時のほとりは心配している。と言う場面なんです(笑) その様子の場面が出てしまって現在の私が「……ああ、やっぱり。恥ずかしい」と少し慌てます。
洋一 :「え? いや、恥ずかしいところなんて……」
覚醒 :「分かってないみたいだから大丈夫大丈夫。サトリちゃんも恥ずかしいことだとは思わないし!」と言いつつ恥ずかしいの方向性が思っていたものと違って内心ちょっと肩すかし喰らったサトリちゃんです。
GM :「しっかりなさい。貴女なら問題になる術ではありません」ヴァネッサは言い方は厳しいが、ほとりを落ち着いた視線で見守っている。
ほとり:一月前の私がちょっとひきつった顔で「そうですよね! こ、こどもでも使える魔法ですし」と無駄に強がるんです……(笑) じわじわ来るはずかしさ系。
GM :ヴァネッサ「……わたくしもかつて、その種を選んだのですけれどね」
ほとり:「え」驚いた顔になって「おばさまもだったんですか、私、その話知りませんでした」きょとんと、普段は見せない顔になっています。
GM :ヴァネッサ「……少し、力加減にコツがありました」こほん、と咳払いをして「殻が硬いので、子供向けの術では苦労するかもしれません。前半部分の詠唱をきちんと整理して、強化の呪印を組み込んでみなさい」
ほとり:「そうですね……”魔法はあなたといっしょ。大きくなぁれ”ではさすがに弱いので……」少し考え込んで「強化の魔法として"長い長い冬は終り"、時間経過の詠唱を組み込んで……"光が差し込む"と繋げる……というアレンジは、どうでしょう」
GM :ヴァネッサ「……やってごらんなさい」目を閉じて、あとはほとりに任せる態度。
ほとり:「はい!」
広場の真ん中で、かつてのほとり……ストランドの呪文の詠唱が始まる。歌うように、踊るように、妖精達に語りかけるように。
詠唱の高まりに、妖精球達が集まってくる。強いマナの力に引き寄せられ、周囲をくるくると踊る。
それらを慈しむように触れ、くるりと指先が弧を描いてルーンを描き、唱える呪文はさながら神々の呪歌の如く。
丁寧に、優雅に、しかし生真面目に。ストランドは一つ一つの所作を緻密に紡いでいく。
ほとり:「ああ、ここまで徹底しなくても、ちょっとだけ強くやればよかったのに。このあと、その、やり過ぎて、ちょっとみんなに驚かれちゃうんです」とあたふたし始めます……(笑)
洋一 :「…………」ちょっとでれっとしてる(笑)
覚醒 :「ほとりんはかわいいなあ†」(良い笑顔)
ほとり:それこそトトロの芽が飛び出るシーンみたく「ぽんっ」と出てくるところまでやっちゃうんですよ(笑)
GM :ではそれを拾おう(笑)
ストランドが呪文を唱えると、ぼん、と盛大な音を立てて種が割れた。
「きゃっ……!!」
衝撃波で馬車がぽんと跳ね、ストランドも足を取られる。それを尻目にしゅるしゅると芽が伸び、ぱっと小さな若木に育つ。
「あああ、やっぱり恥ずかしい……!」
尻餅をついて育った若木を見上げるストランドに、現在のほとりが、羞恥に頬を朱に染め、掌で顔を覆う。
そんな様子を、洋一と覚醒は愛でるように、もしくは見惚れるように見つめていた。
だから、三人はその事実に気づくのが遅れた。
尻餅をついたストランドの向こうから、目を丸くしてこちらを見ている、二人の人影に。
GM :さて、そこでトラブル発生だ!(笑)
広場の反対側に、当時はいなかった二人が立っている。同級生の二階堂君と五代ちゃんだ。
二階堂「……な……今ので見えなかった、だと……!? いや、そうではなくて、なんだ、これは……!?」
五代「あ、え、映画? 映画のロケとか!?」
洋一 :「うぇっ? にかちゃん!?」
覚醒 :そうか、一般人も巻き込まれてるのでしたっけ。
ほとり:「……え。天野さん、あれ、二階堂さんと五代さんでは。あ、過去の私、認識阻害魔法、こちらの世界ですからまだ、使ってません!」
*舞台裏*
GM :スカートの中は普通に隠してるんじゃないかな(笑)
ほとり:普通に魔法少女カラーの姿って言う事です(笑)
覚醒 :「そもそも一般人にこの光景という取り合わせが良くないかな!」そういえばどちらもサトリちゃんは面識がない!
洋一 :「え? いやそれは……バレる!?」んー……≪インビジブルハンド≫で土煙なり起こしてその間にコキャ(「気絶させる」という意味)?
GM :二階堂と五代は「……え、どうなって……海部と、そっくりの美少女……どうなっている!?」「ちょっと、天野、海部ちゃん、何が起きてるのか教えてよ!」と問い詰めてくる。
……はい、説得するなら交渉(意思)判定で11、これでとりあえず黙ってもらえる。
交渉(意思)とは、【意思】能力値を使用する判定であるが、「交渉」に分類される行動判定であることを示している。
アルシャード・セイヴァーでは≪セレブリティ≫など、交渉の判定にボーナスを得る特技がある。こういった特技が役に立つ状況であることを、予め明示しているわけだ。
洋一 :「あー、いや、これはその……」と言い訳。出目はともかく意思は5ある……なんとか……。
GM :がんばれ(笑)
ダイスを振る。出目は5。達成値10で、失敗!
洋一 :ホント今日ダメダメだ!?
ほとり:で、では私が……(ころころ)失敗です! ≪リトライ≫!(笑)
出目は4、≪リトライ≫で振り直しても5。これまた失敗である。
ほとり:「違うんです!」って慌てて口走りました!
GM :なんだかダイス目が全体的にひどいな……(笑)
覚醒 :「ここはゲーノージンの力の見せ所かな?」
意気揚々とダイスを振る覚醒、出目は3。失敗である。
覚醒 :見せられなかった!
洋一 :……コキャろう(迫真)
GM :失敗したので、説得するのに全員【MP】を5D消費します……(笑)
洋一 :グワー!
覚醒 :【MP】……サトリちゃんは問題ないけどよっちーが厳しい……。
ほとり:話としては美味しいですけど、PTとしては大ダメージですよ、これ……(笑)
GM :では、とりあえずダメージ。
一律でGMがダイスを振り、17点の【MP】ロス発生となる。結果、残【MP】は洋一が37、ほとりが32,覚醒が18まで追い込まれた。
……さすがにこの判定で全滅は予想外である(笑)
洋一 :まあ、後で記憶消してもらうしか(笑)
覚醒 :わすれろーわすれろーどりーむー。
洋一 :「って事であとできちんと説明するんでその、今は」
ほとり:「お願いです。今は忘れてください……」
覚醒 :撮影と偽れれば良かったんだけど、サトリちゃん妙に真面目なところ発揮しちゃってツジツマ合わせで失敗!
GM :二階堂「あ、ああ……海部がそういうなら(ぽやー)」 五代「(む、むーー)」という様子で、二人はとりあえず納得してくれた。魔術措置によって外界認識を阻害しつつ、この幻惑迷宮から切り離すことができる。
覚醒 :あれ、フラグが立ってる?(笑)
ほとり:「恥ずかしいところをお見せしました……」
覚醒 :「いや……最終的に多分サトリちゃん達全員恥ずかしいことになっちゃったから……」疲れたような笑顔で。
GM :とりあえず、そんなわけで二人を鎮圧して、シーンエンドかな。
ほとり:はい……(笑)
洋一 :はぁい(げっそり)
まったく、大惨事である。
しかしこの場面を利用しない手もない。後々の展開のために伏線を忍ばせつつ、それを吹っ飛ばすようにイベントを差し込むこととした。
GM :さて、そんな疲労したキミ達には悪いが、シーンが終わるところで、もう一つイベントを挟ませてもらおう。
洋一 :……へ?
ほとりの魔術によって、幻影迷宮から消えていく二階堂と五代を見送って、肩を落とす三人の耳に、少女の声が飛び込んできた。
振り返れば、そこにはライムグリーンの髪をおさげにまとめた少女の姿がある。
クスクスと笑う、ライムグリーンの髪のおさげの少女。その面差しは、幼いながらも紛れもないジュライ・シオノのそれだった。
覚醒 :「!!」凄い勢いで振り返っちゃいそうですねそれは!
洋一 :「ん? ……アンタは?」
ほとり:「また、ジュライさん」
GM :振り返ると、そこにいるのは、十歳バージョンのジュライ・シオノに他ならない。楽しそうにクスクス笑っていたかと思うと、くるりときびすを返し、ぱりんと空間を割って向こう側に飛び込んでいく。
その向こう側に、何か異様なものが見える。
大扉だ。その表面に、覚醒と、しおのを意匠化したようなレリーフが刻まれている。
覚醒 :「しおの! 何がおかし―――え?」それは思わず茫然としてしまいそうな。
GM :キミ達が飛び込む前に、割れた世界は修復されて閉じてしまう。
ほとり:意匠化とは、似顔絵のように、二人の特徴をよく捉えている。と言う感じでしょうか。
GM :こんなポーズは嫌だと美しくやり直しを要求し、通ってしまった炭素冷凍のハン・ソロ状態の二人、みたいな(わかりにくい)
ほとり:わかりました。
GM :わかるんだ(笑) ともあれ、そんなものを見せるだけ見せて、しおのは姿を消した。
覚醒 :「……(あの扉は一体……そもそも、アレをサトリちゃん達に見せた意図は……?)」
GM :ともあれ、ここでシーンエンド!
■ミドルフェイズ8 シーンPC:覚醒 同行者:洋一、ほとり
GM :まず条件として、二階堂と五代を救出、さらにほとりの記憶を紐解いたことで、レプラカーン迷宮の深度は更に浅くなった。
ほとり:とても恥ずかしいシーンでした……。
GM :これにより、ここからレプラカーンの居場所を突き止めることが可能となる。登場目標値は10。つまり、レプラカーンをウラウラするだけなら、もういつでも可能になった、ということだ。
洋一 :「TTTをウラウラしに行くのは出来る、けど……ウラウラして解決すんのかな、これ」
GM :ここで、諸君には指針を決定してもらいたい。このままレプラカーンを取り押さえにいくか、それとももう少し探索していくか。探索を行うならば、「誰の記憶を探索する」と宣言をよろしく。それによって、次のシーンが作らる見通しだ。
なお、基本的に奈落に汚染された幻影迷宮は、シーンごとに明確な悪意をもってキミ達に攻撃を仕掛けてくる。時間が経過すればするほど、事故による消耗は発生していくだろう。……さっきみたいに(笑)
ほとり:大事故でしたからね……(笑)
覚醒 :ダイス目大爆発!(悪い意味で)
GM :なお、シナリオにおいて、ここでレプラカーンを殴って事件解決にしても、問題なく進展するようには作られているので、念のため。
覚醒 :ということはもう少し探索するとボーナスがある……?
洋一 :こぉ……さっきの二人の扉が凄い気になるのよねえ。
ほとり:『ウィッチレルム』の感覚では、もうレプラカーンをどうにかしないと、と言う気持ちと感覚はあるんですが。ジュライさんについての情報を知ることは、とても私たちにとって大切なことだと思います。
GM :見た感じ、二人のレリーフは『扉』になっているように見えた。全てが曖昧なこの幻影迷宮においては珍しいくらい。
覚醒 :あれが幻影の『外』なのではとも考えたのですが、そうでないのならもう少し探索してみたいところです
GM :んー、そうだなあ。非現実的な物体であったのは間違いない。幻影迷宮の外に繋がっているとしても、あんな特殊な、覚醒としおのの二人が絡んだオブジェクトが実在するとは思えない、かな。
洋一 :ロリジュライか、あの扉を調べたいのですが。その場合……絡んでそうなのはさとりほとり?
覚醒 :だとしたらサトリちゃんの記憶に潜ってみるが良いですかね。ほとりん二回目でしたし。
洋一 :サトリちゃんのはずかしい記憶、と。
覚醒 :「つまんない記憶だよー?(笑顔)」
ほとり:「ジュライ・シオノさんの情報とも一番繋がっているのは、覚醒さんだと思うので……ご、ごめんなさい」
洋一 :「あー、いや……見、見ない努力はするっしょ(汗)」
覚醒 :「大丈夫大丈夫。サトリちゃんとみんなの仲だからねー†」……ということでサトリちゃんの記憶に潜ってみますです。
GM :了解。では次は覚醒のシーンになるな。ではまず、登場判定よろしく。目標値は13。失敗するとあらぬ場所に出現する。覚醒は自分自身の記憶であるため+2。他のPCも覚醒にコネクションがあるので+2だ。
覚醒 :では、サトリちゃんだーいぶ!(ころころ)……13、成功!
GM :おっと、一発成功か。では……。
覚醒が明確に過去に戻るという意思をもって歩き始めると、そのうちに周囲の様子がおかしくなってきた。
道を妨げるように、茨が絡みついてくる。その隙間から、覚醒の過去の記憶……しおのと共に『守護者』と『侵蝕者』として戦っていた日々の記憶が覗いて見える。
茨にはルーンが刻まれており、ほとり曰く、これが魔女魔法の作用によるものであるというのは明らかだという。
「てれってってー♪ ビンゴっぽい記憶だねー」
戯けて口まねでファンファーレを奏でてみせる。
覚醒の記憶に触れることを妨げようと、魔女魔法が働いている……つまり、この先にあるのは魔女に関わる覚醒の記憶、だということだ。
ほとり:「間違いありません。魔女魔法の影響が働いています。たぶんジュライ・シオノさんの妨害です」
洋一 :「ジュライ……あのちびっこの、っしょ?」ちょっと首を傾げる。
覚醒 :「前回みたいに分身なのかもねー。そのうち年上のおねーさんみたいなしおのとか、おばーちゃんなしおのとか出てくるかも」
GM :さて、どうだろうね?
茨を切り払いながら進んでいくと、記憶の場面はどんどん移り変わっていく。そしてしばらく進んだところで、ぱっと視界が開けた。
そこにあったのは、先ほどしおのが消えた先に見えた、謎の大扉。
右手にしおのが、左手に覚醒が、手を取り合おうとしながら、しかし扉の継ぎ目に隔たれているような意匠のレリーフが刻まれている。
覚醒 :「……悪趣味ー。あとこーゆーのは事務所通してよー」ぶーっという顔。
GM :表面には細やかにルーンが刻まれている。そこにある文言は……そうだな。ほとりにはわかる。これは、記憶封鎖の魔法だ。ちなみに、ジュライ・シオノらしき姿は、ここには見当たらない。
洋一 :「開かない感?」ぐっと押してみる。
GM :あ、触れた?
その瞬間、扉をすり抜けた『何か』が、洋一の首めがけて真一文字に刃を閃かせた。
GM :演出なんで、避けていいよ(笑)
洋一 :「おわっ!?」じゃあこう、咄嗟に反応した『ライジングフォース』に後ろにぶん投げられ、辛うじて事なきを得る。
ほとり:慌てて駆けよって「気をつけてください! この種の魔法構造物は、罠を用意する事も簡単なんです」
洋一 :「う、うひぃ……ご、ごめん……」首筋をさすって出てきた何かを見る。
GM :扉からすり抜けて出てきたのは、カボチャだ。カボチャの頭で、そして黒いぼろぎれのマントを羽織り、金ボタンでその前を止めている。藁を束ねた両手には鋭利な鎌を担いで、首を刈り取り損なったことに不満そうに「ギギィ」と呻いている。
……いわゆる、ジャック・オー・ランタンというやつだ。
洋一 :「え、なに? これ……」
覚醒 :「とりっく・おあ・とりーと†ってことかなー……トリックじゃ済まなさそうだけど」
GM :「コノ記憶ニ触レルコトナカレ」ゲタゲタと笑いながら、カボチャ頭はキミ達にそう警告する。
ほとり:「おばさまが昔作ったものだと、いたずらっ子が謝るまで宙づりにされていました」と凄くシリアスな顔で言い放ちます。
覚醒 :「……あー、そういうの作りそう作りそう」
GM :「真名ノ契約ニ基ヅキ、コノ記憶ヲ封印ス。我ハ記憶ノ守衛ナリ。魔女ヨ、守護者ヨ、下ガリテ己ガ責務ヲ果タスベシ」カボチャはそういってキミ達に対して警告する。
覚醒 :「……なーるほど、そういうこと」要するに契約切れたことにより封印された記憶?
GM :そういうことだね。
洋一 :って事はここ、ジュライ無関係か?
ほとり:「えっとつまり……もしかすると私と覚醒さんの契約が切れても、『記憶の封印』が行われてしまう……のでしょうか?」
洋一 :「そうなるっしょ……?」
覚醒 :「ま、あんまり今から考えたくはないけどねー」
GM :うん、魔女の常識として、契約が切れたのに真名預けてらんないからね。あらかじめ、契約が切れた場合、こうして記憶が封印されるようにされている可能性は高い、とほとりは判断できる。
ほとり:「うん……そうですよね。そうなりますよね。だとすると――覚醒さんがもしジュライ・シオノさんの真名を思い出すことが出来れば、過去になにがあったのか、思い出せる。と言う事にもならないでしょうか?」
覚醒 :「そういうコトだねー。そこが思い出せたら、しおのの目的やら何やらが分かる可能性も高いカモ」……ということで可能ならばまかり通りたいワケですが、どうすれば良いでしょうかね。
洋一 :「あー、えーっと……ウラウラ?」戦る気っぽいさとりんを横目に見つつ。
GM :本来、真名の契約はかなり強力な呪いであり、普通の魔法などで解除するのは極めて困難。シャードの加護ですら一発では足りないだろうと思える。だが……。
洋一 :だが?
GM :そうだな。ここは【理知】(情報:魔法or異世界)で判定してみて。目標値は12。
ほとり:理知判定値4に≪情報:異世界≫で+2して……(ころころ)15、成功です!
洋一 :優秀だあ。
覚醒 :流石はほとりん!
GM :うん、では現状についての一つの確信が得られる。今、幻影迷宮を介して、キミ達は記憶に物理的な力をもって干渉できる状態にある。この状態に限って言えば、真名の封印を行っている守衛を、実力で排除することも可能かもしれない。
……要約すると、本来殴れないものを、物理で殴れるということ。
覚醒 :レベルが上がった物理で殴れる!
GM :ただし、相手は相応に強力だ。ぶっちゃけ、加護に相当する力で対抗してくる可能性は極めて高い。
洋一 :強いミドル戦、ただしリターンは大きい、と
GM :そういうこと。だが、勝ち目がない話ではない。言うなればキミ達はサーバルームに手斧を持って侵入しているハッカーだ(笑)
覚醒 :ハッキングしろよ!(笑)
ほとり:ハックの意味には破壊工作が含まれますから、ある意味なんの問題もないですよ。
洋一 :ハッキング(物理)ですね。
覚醒 :な、成程……。
GM :というわけだ。さて、どうする?
GMの示した選択肢に、一行はしばし……というほども協議することはなかった。
覚醒 :ふむ。「さて、サトリちゃん的にはまかり通りたいと思うんだけど……二人はどう?」
洋一 :「あー……ほとりちゃんは、どうする?」(ちらりとほとりを見る)
ほとり:「これを決める権利は、覚醒さんにあると思います。覚醒さんの記憶は、覚醒さんのものですから」
洋一 :「……んじゃ、答えは決まりっしょ」髪の毛掻きあげて斜めに傾ぐ。
覚醒 :「そかそか。……じゃあ二人とも、お願い。サトリちゃんに力を貸して」番傘から刀を抜き放って構えながら。
洋一 :「OK、やる事決まったんなら気合入れていくっすよ?」
ほとり:「天野さんは、こういう時、頼もしいですね」
褒められてでれりとした表情を慌てて引き締め、洋一が斜めに体を傾ぐ。
ほとりが弓に矢を番え、カボチャの化物に狙いを付ける。
そして覚醒が、番傘から刀をすらりと引き抜けば、果たしてジャック・オー・ランタンはゲタゲタと哄笑を上げた。
「汝ラヲ盗賊ト認メタゾ」
そして、大鎌を掲げたカボチャの化物の背後に、茨が絡みついた悪魔のようなものが現れた。
洋一 :「うぉ増えたぁッ!? ……ええいそれでもやるっしょ頼もしいんだから―!?」ずおっと背後に『ライジングフォース』を出す。
覚醒 :「元々その記憶はサトリちゃんのものなんだから! 奪われたものを―――返してもらうだけだよ!」
GM :では……ミドル戦に移行しよう! 「違反者ヨ、退ガレ!!」
■戦闘 対『ジャック・オー・ランタン』&『茨の悪魔』
*初期配置*
[悪魔AB] 5m [JoL] 10m [PC]
GM :配置はこのように。JoLが『ジャック・オー・ランタン』の略称だ。行動値はジャックオーランタン10、悪魔が13。
ほとり:前のシーンで発生した【邪毒3】が、天野さんと覚醒さんに残っていますよね。気をつけないと。
洋一 :そうだった、うげぇ気持ち悪ぃ。
■戦闘前宣言
洋一 :戦闘前は装備展開。ダサいマーク入りジャケットをばさっと羽織ります。
ほとり:クロスボウをとりだして、『ウィッチレルム』の戦闘装束になります。魔法の装備はシートの記述通りですね。一番汎用性の高いものにしてます。
覚醒 :刀は構えたので影鎧を纏って戦闘準備!
■ラウンド1 セットアップ
GM :エネミーはこれといってなし。ジャックランタンが鎌を構え、逆腕に炎を灯す。悪魔は茨の弓を構えているね。
洋一 :≪剣王の城≫ー。「来い、『ライジングフォース』!」
ほとり:ありません。
覚醒 :≪夜の眷属≫! 「行くよ皆!」の声と共に数個の黒い人魂がサトリちゃんの周囲に浮き上がります。
GM :その眷属は、あの時死んだ仲間達に似ていたりするのかな。
覚醒 :あ、それいいですね。そうします。
GM :OK。数出した甲斐があった(笑) 特殊部隊の装いな眷属達がゆらりと立ちのぼる。……では。
■ラウンド1 イニシアチブプロセス
GM :行動値13で洋一……の前にいきなりで悪いですが。
洋一 :おう?
GM :ジャック・オー・ランタンが≪アカラナータ≫。もちろん対象はPC三人。ジャック・オー・ランタンの手からあふれ出した炎が、渦を巻いて三人に襲いかかる!!
洋一 :ぎゃー……ん、んぅーん。≪オーディン≫するか、開幕≪アカラナータ≫なら耐えきれると踏むか。
ほとり:いえ。ここは消します。
ほとりはこの≪アカラナータ≫から続く茨の悪魔の攻撃で、【HP】が減ったところにモブエネミーの追撃、そしてミドルフェイズで負った【邪毒】によってブレイクまで追い込まれるのではないか、と予測する。
ほとり:なので≪アカラナータ≫の炎に氷の矢を番えて、中心を射貫きます。≪オーディン≫!!
GM :ち。では対抗できず。炎は霧散する。
覚醒 :「ほとりんサンクス!よっちーお願い!」
●13 洋一
洋一 :ムーブ:≪念力波動≫ マイナー:「念動魔手」装備 メジャー:「煉獄の炎」で後ろの二体を攻撃!
GM :ほいさ。どうぞ。
洋一 :「―――殴り飛ばせっ! 『ライジングフォース』ッ!!」(ころころ)……げ、魔導で11。
ほとり:≪リトライ≫です。
洋一 :な、なんかここの所俺っちにダイス厳しすぎるっしょ(泣) リトライして……うぐぅ、それでも12。
GM :ふむ……では抗魔判定。(ころころ)Aは13,Bは11……Bにヒットだ。
洋一 :「一体避けたッ!?」とはいえダメージ増加入れよう。+2Dして……<炎>35!
GM :おっと、それは一撃粉砕だ。
覚醒 :むう、エギる(≪エーギル≫を使う)のも手だったかもですね……。
ほとり:一体倒せれば問題なし。ですよ。冷静に行きましょう。
GM :では次、悪魔の番だ。
*戦場配置*
[悪魔A] 5m [JoL] 10m [PC]
●13 茨の悪魔A
GM :ムーブで5m後退、弓をつがえて……んー、ここは今攻撃してきた洋一に射撃。ちなみにこの悪魔、飛行している。(ころころ)命中15。
洋一 :回避11……めいちぅー。カバーして頂けると(平伏)
覚醒 :了解です。≪闇の外套≫でカバーアップ!
GM :ではダメージ。通ると≪BS付与:放心≫で【放心】が入る。ダメージは23の<刺>。さて、どうだ?
覚醒 :<刺>の防護点は18点なので5点通しですね。
ほとり:≪マジックシールド≫。13点低減します!
覚醒 :ありがとうございます。かきーんと弾いた。
GM :ち、弾かれたか。このタイミングの楽しい【放心】が!
洋一 :それがあるから絶対通せないよなあ。
覚醒 :「ほとりん援護ありがとー!」
ほとり:「攻撃はそちらにお願いします!」
覚醒 :「おっけー†」
●12 覚醒
覚醒 :まずはムーブで10m移動して、ジャック・オー・ランタンにエンゲージ。
GM :ほい
覚醒 :マイナーはなし、メジャーでぶった斬ります。……あ、出目11。≪戦闘適性≫あるのでクリティカルですねー
GM :げぶ、どうにもならん。
覚醒 :一気に決めるために更に「フォーメーション:ファランクス」の発動を宣言。人魂達が刀に集まり刀身が黒く染まります。
GM :カマーン!
覚醒 :クリティカルで2D増えて「ハイパー†サトリちゃん斬りだぁあああ!」……でも出目低ッ! 斬28。
GM :ざく。手応えは悪くないけど、まだ有効打には遠い。
覚醒 :「うあ、躊躇い傷程度……!」
ほとり:そんなに深い躊躇い傷ないですよ!(笑)
覚醒 :サトリちゃん的には躊躇い傷なんだろうなあと(笑)
*戦場配置*
[悪魔A] 10m [JoL・覚醒] 10m [PC]
●10 ジャック・オー・ランタン
GM :ふーむ、エンゲージされるとなあ……だが、ロジック的にも覚醒が優先だ。鎌を振り上げ、マイナーで≪攻撃増幅≫、メジャーで≪地を薙ぐ大鎌≫。
≪地を薙ぐ大鎌≫は、単純に範囲選択の対象に範囲攻撃を行う特技。1ラウンドに1回まで使用可能。特技名に行動内容を名付けることで、宣言だけで行動をイメージできる、という意図のものだ。
GM :対象は覚醒。命中値は16で……ここはためらわず≪ヘイムダル≫!
覚醒 :こっちに来たー! 対抗できません!
GM :「契約ヲ違エシ者ニ罰ヲ!!」そして≪トール≫で畳みかける! 62点の<神>ダメージだオルァ!
洋一 :……耐えてる?(笑)
覚醒 :【HP】65なんで、3点残った!
GM :ぐ、おのれ!
洋一 :「ちょ、もげかけてるっ!?」
覚醒 :「ぐぐぐ……ちょっとヤバげかな?」ぼとり。左腕が落ちた。
GM :かけるどころか、もげてるらしい(笑) 光輝く鎌の一撃を受けた左腕が半ば以上を断ち切られる!
ほとり:ここで≪クイックヒール≫≪魔女の秘薬≫です。対象は覚醒さん、4D+4回復で……23点回復。
●世界魔法:ウィッチレルム 「魔女の秘薬」
オートアクションで使用。直後に使用する回復効果のある特技、アイテムの効果に+1D。
薬草知識などの豊富な魔女の秘薬を併用して効果を高める魔法装備だ。
覚醒 :回復を受けながら左腕を拾ってくっつける。ぐっぱーぐっぱー。問題なし。「ほとりんありがと!」
ほとり:数人の妖精がそれを丁寧に縫い合わせます(笑)「お礼は妖精たちに!」
覚醒 :「うんうん、みんなありがと!」
●8 ほとり
ほとり:そのまま≪剣魔連撃≫と「妖精光球」で悪魔を狙います。
GM :了解、どうぞ
●世界魔法:ウィッチレルム 「妖精光球」
『ウィッチレルム』に出現する光の妖精を召喚し、標的にぶつける攻撃魔法装備。また、装備中はこれを光源としても使用可能。
対象の目を眩ませて、続くリアクションに対しペナルティを与える。
ほとり:倒せなくてもかすればリアクション-1ですから、天野さんが楽になる。魔法攻撃で魔導値13です。
GM :振り直しの手札はないはずだな。とりゃー……抗魔判定8。もらった。
ほとり:19点<光>。目潰しのようにそのまま悪魔の目の周りを、光の球がくるくる周り出します。
GM :半分以上削った手応えがある。そして「妖精光球」だから、次のリアクション-1か。鬱陶しそうに弓を振り回しているね。
■ラウンド1 クリンナップ
洋一 :【邪毒】ー。
覚醒 :【邪毒3】を喰らっているのでここでダメージですね
GM :そうなるね。値はこっちで出そう。(ころころ)8点の【HP】喪失発生。
身体を蝕む奈落によって、少しずつ、覚醒と洋一の体力が削り落とされていく。
■ラウンド2 セットアップ
パーティ、エネミーともにセットアップはなし。そのままイニシアチブプロセスに移行する。
●13 洋一
洋一 :ムーブで5m前進。マイナー:口の端を拭う メジャー:魔法攻撃。対象は悪魔A。
GM :アクションの細かい男だ(笑) どうぞ。
洋一 :「に、逃げたってよぉ―! そこは俺の射程内だぜ!」あー、いや。マイナーで魔手を外す。これで魔導値が1上がるから……(ころころ)魔導の16!
GM :抗魔は12、ヒット!
洋一 :「燃やしちまえっ! 『ライジングフォース』っ!」炎の26!
GM :消し飛んだ! 茨の悪魔はぱっと燃え上がり、朽ち果てる。
*戦場配置*
[JoL・覚醒] 5m [洋一] 5m [ほとり]
●12 覚醒
覚醒 :【HP】に不安があるところですがポーションを使うべきかどうか……まあ、2本あるし1本使いましょう。マイナーでHPポーションを使って、メジャーで斬ります。
ほとり:どうしてもその戦闘スタイルはそうなるんですよね……。
覚醒 :まずは回復分。17点回復して、【HP】35。左腕の傷口にだぼだぼとぶちまけます。
GM :結構治ったな。
覚醒 :そして刀を構え直してメジャーで攻撃。「今度はすぱっと行っちゃうよー!」……命中20!
GM :(ころころ)ムリ。ダメージどうぞ
覚醒 :念のためにと「フォーメーション:ファランクス」を宣言。人魂が再び刀に集まります。
「サトリちゃん†すらーっしゅ!」(ころころ)……ぐぬ、やはりダメージロールが振るわない。<斬>23。
GM :ふむ、半分削った手応え。裂けた頭から炎がぼぼぼぼと吹き上がる。
覚醒 :「むーん……ギリギリ骨までってところか……」
洋一 :「……燃えてる?」
GM :燃えているね。
●10 ジャック・オー・ランタン
GM :んー、悩ましいけどここはやはりロジックに従おう。ムーブなし、マイナー:≪攻撃増幅≫ メジャー:≪地を薙ぐ大鎌≫で覚醒を攻撃。
果たして、攻撃は命中。ダメージは<斬>の38が覚醒に加えられる。
これにほとりが≪マジックシールド≫を使用。7点のダメージを減少させた。
ほとり:動きに対応して即座に鎌を逸らすように矢を撃ちます。弾いたところがキラキラと光る。
覚醒 :<斬>の防護点は19なので、12点通った。残り【HP】は15……「うう、くっつけてもらったばかりの左腕がまた取れそう……」
●8 ほとり
ほとり:さりげなく覚醒さんが【邪毒】で一撃圏内なので≪キュア≫を宣言します。
覚醒 :「む、気分が楽になった。ほとりんグラッツェ!」
ほとり:私が全力で倒しにいくのも選択肢なんですが、ルール上、その後の【邪毒】で戦闘不能になりかねないんです……(笑)
GM :ほい、移動はなしね。ではクリンナップ。【邪毒】は洋一だけか。
ここで出目が走り、なんと【邪毒】ダメージは16点。
GM :おう、一撃戦闘不能な値が来たぞ(笑)
ほとり:治してよかったー!(笑)
覚醒 :グラッツェマジグラッツェ!
GM :一方血反吐を吐く洋一である。
洋一 :「ごぼぁ」(笑)
覚醒 :「ああっよっちー!」
洋一 :残り18だな。「な、何か胃に穴が開いたように痛く……!?」
■ラウンド3 セットアッププロセス
特に誰も行動がないので、そのままイニチアチブプロセスに移行する。
●13 洋一
洋一 :ん、んぅー……メタ的には凄く炎耐性がありそうだが。
GM :ぼぼぼぼぼぼ(燃え上がる効果音)
洋一 :「あー、くっそ、こっち余裕で見てるしハラ痛いし……っ!」 ムーブは無し、マイナーは左手魔法を「念動魔手」に変更、メジャーで殴る(魔法攻撃)。(ころころ)……魔導の16で。
GM :こちらは14。ヒット。
洋一 :おし。「――でもよぉ! さっきから切られてるって事は!! 殴られれば痛いんだよなぁアンタ!!」壁に埋め込むように<殴>で29!! ≪――ウゥゥラァッ!!≫
GM :お、さすがに効くな。『ライジングフォース』の拳が八割方ジャック・オー・ランタンの頭を粉砕する。だがまだ燃え上がっているぞ!
●12 覚醒
覚醒 :とにかくまずは斬りかかるしかないか……回復はせずにメジャーで斬りかかります……21!
GM :ヒット。全身を炎に包まれながらかくかくと震えている。
覚醒 :悩んでてもあれなので三度「フォーメーション:ファランクス」を宣言。「ここが踏ん張りどころ! 皆、頑張ろう!」と人魂を集める。これで【HP】が9!
GM :カマーン!
覚醒 :「サトリちゃんてぃっく†斬ああああああああああん!」<斬>の33! どうだ!
GM :OK、それで合計ダメージ96、ちなみに【HP】は80!
覚醒 :ヒュー!
GM :それで戦闘終了だ。では……
ほとり:最後のメインプロセスで、天野さんに≪キュア≫しておきます!
GM :あ、どうぞ(笑)
■戦闘終了
GM :ジャック・オー・ランタンは真っ二つに切り裂かれ、自らの炎に包まれて朽ち果てていく。「契約……ヲ……違エル……カ……」
覚醒 :「お勤め、ご苦労様!でも、サトリちゃんにとっては契約よりも大事なものがあるから……!」とどめの一閃!
GM :覚醒の斬撃が、その背後にあった扉をも切り裂く。
粉々に砕け散る扉。そしてその向こうに、全員が見覚えのある場所が見えてくる。
ほとり:「みなさん、無事ですか……えっ」
洋一 :「おえっぷ……あれは?」
見えてきたのは『ユプサリア・ルキオ(魔女学院)』の講堂。見覚えのある魔法陣。その上に立つ覚醒、そしてそれに相対する魔女が一人。
ライムグリーンの髪、ブラウンとダークグレイの異色光彩。かつての、覚醒の記憶にある珠来しおの……ジュライ・シオノだ。
覚醒 :かつての『守護者の契約』の場面ですね。
ほとり:「『ユプサリア・ルキオ』の講堂? じゃあこれは――ジュライ・シオノさんが契約を結んだ時の、光景ですか」
GM :そうだね。そしてジュライ・シオノはかつての覚醒に告げる。
「魔女、ジュライ・シオノの名において、灰岡覚醒に守護を委ねる。我が魔力は守護者の血。我が魔術は守護者の肉。汝、守護者、覚醒。我が名を受け取るや、否や?」
覚醒 :「―――灰岡覚醒、『守護者』として真名を預かります」ほとりのときと同じように、かつての私が答える。
GM :では、二人の間に力の繋がりが生まれた。
そして覚醒、キミに新たな特技を与えよう。
――≪真名の枷:ジュライ・シオノ≫だ。
ほとり:『真名を知る』と言う条件を満たしたからですね。
覚醒 :これはつまり、現在のサトリちゃんに、ということですね?
GM :そう。キミはジュライ・シオノの真名を思い出した。故にキミは彼女の魔女魔法を禁じることができる。
対象以外の条件は、すべてほとりに対するものと同じだ。
覚醒 :了解です。なるほど、こう来ましたか……(笑)
GM :そして、記憶は続く。儀式を終えた覚醒に、ジュライ・シオノが少し申し訳なさそうに近づいてきて。
「……ボクは、キミを守るから。役割からしたらあべこべだけど……今度こそ、絶対、守るから、ね」
そう言って、手を差し出す。
覚醒 :「……貴女がそう望むのならば、そのようにすればいい。ワタシは、ワタシの役目を全うするだけです」無表情で握手に応えます。
GM :ジュライ・シオノ「……うん! これはボクの約束。これから、よろしく」
その言葉とともに、記憶が、霧散した。
洋一 :「――――」あまりの違いに思わず振り向く。
ほとり:「覚醒さんに、いったいなにが……」
覚醒 :サトリちゃんはちょっとどこか恥ずかしそうにはにかんでます。
洋一 :「え? あ、いや……‥え!?」
覚醒 :「なぁに、その顔」と二人を見て微笑みます。どう見ても上機嫌な顔で。
GM :では、そんな笑顔でシーンを一度閉じよう。
■ミドルフェイズ9 マスターシーン
幻影迷宮の奥底。歪に肥大した小鬼が身を震わせる側で、ライムグリーンの髪の少女が微笑む。
「取り戻したね……覚醒。これでボクの【使命】は果たされた」
くっくっと喉を鳴らす。側にいる小鬼の背中を宥める、あるいは躾けるように撫でる。
「……だから。ここからは、ボクの……奈落の時間だ」
指をぱちんと鳴らし、ジュライ・シオノ-19が手を伸ばす。その手は小鬼に吸い込まれ、体が、そしてつま先までもが小鬼の中に溶け込んでいく。
さっと、その体毛がライムグリーンに染まった。小鬼が雄叫びを上げる。幾重にも響くその咆吼は赤黒い光条へと変じ、霧の空を、中空を、そして不確かな足場を駆け抜けていく。
そして、幻影迷宮が軋んでゆく……!!




