表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【悪役令嬢救済】推しの令嬢、守護します!  作者: 下田 暗
第1章 少年エドガー

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/14

推しの令嬢、守護します! 1-7


酒場に訪れた、ローブを身に纏った二人組の客とのやり取りを終え、エドガーはすぐに行動に移っていた。


父親、カリスに事情を説明すると、すぐに厨房を借り、料理の準備をする。


「――さて、上手く事は運んだし、作りますか!」


厨房に入るなり、エドガーは迷うわず、料理を作り始める。


(――会話したり、チラッと見えたローブの下のみてくれを見た感じ、あの二人はただのお客じゃないよな)


料理を始めながら、エドガーはつい先程、やり取りを交わしていた二人組の事を考え始める。


(間違いなく良いとこのお嬢様と、貴族様だろ……。

しかも多分、ガルバニア王国じゃない。

他所の国のお貴族様だ)


エドガーが話した、ローブを着た二人組は、エドガーの予想通り、貴族であり、エドガーは平民であった為、貴族とやり取りをした事が、生まれて一度も無く、兼ねてから貴族と交流したいと考えていた。


(――まさか、こんなチャンスが舞い降りるとは……。

LOVERSラバーズ』のゲームでは、貴族達との交流がメインになる。

平民の俺は、貴族社会の社交はまるで分からないし、参加できる機会なんて0に等しいけど。

パシフィニア学園に入学する前には、確実に調べておきたい事があったんだよな~~)


料理が得意ではないエドガーは、比較的簡単で、カリスとも既に何度か試作している品を作る。


(『LOVERS』のゲームでは、攻略対象に対して、贈り物を送る事が出来る。

ゲーム内で入手可能な贈り物に応じて、好感度が上がり、目的のルートに入り易くなる構造だった。

――そして、ゲームの中で、贈り物として見受けられたのは、「甘味」)


ゲームでの知識を思い出しながら、料理に没頭していると、材料も既に常備されていた事もあり、料理はすぐに完成する。


「――よしッ! こんなものか」


エドガーは、最後に見た目の色どりの為、ミントを天辺に添え、目的のコーヒーゼリーが完成した。


「父さんはこんな料理、聞いた事も見た事も無いって言ってたけど……、『LOVERS』のゲーム内には確かに存在してなかったなぁ~~。

――でも、ゼリーという食べ物は勿論、コーヒーも存在してる、ゲーム内にも存在してた」


エドガーは改めて、この転生した世界に異様さを感じる。


(ゼリーが普通に存在してるから、こういった派生した料理も、当然の様に誕生すると思うんだけどな……。

コーヒーゼリーの起源や、ゼリーの起源も知らないけど、コーヒーゼリーも含めて、ゲームに存在してなかった料理が軒並み確認できないのは、偶然とは思えないないし、奇妙だよなぁ。

――まぁ、今の所、俺にとっては恩恵しかないわけなんだけど……)


エドガーは、世界の構造を不思議に思いつつ、深く考える程、分からない事や疑問が増え、頭を悩ますだけだった為、すぐに思考は切り替え、深く探求しようとは思わなかった。


「さて、そんなコーヒーゼリーだけど……、貴族の方々のお口に合うか……。

目下の最大の課題は、そこだなッ!!

もっと言えば、他の甘味も食わせたい!!

――どの傾向の料理が好まれるとかも、分かれば尚良いな」


エドガーは出来上がった料理を、配膳する為のお盆に載せ、貴族の二人へと配膳する。


(パシフィニア学園に入学すると、国益や御家の利益の為、貴族同士の交流が増える。

――平民の俺が参加する事は無いが、個人の目的遂行の為には、個人的な貴族との交流は絶対条件になる。

しかも物語に登場する、主流なキャラの殆どは貴族。

贈り物を送れる機会があるのであれば、その瞬間を絶対にモノにしたい!)


2人組の貴族の元には、すぐに到着し、エドガーには少しだけ、緊張が走った。


かなでが目指すであろう、誰もが幸せになれる、最良のエンディングを目指す為ッ!

――まぁ、最初に目指すのは、バットエンドの多い、レアリー嬢の救済だけど…………。

ん? レアリー?? そういや、さっき老翁がレアリーとかって……、いや、まさかな)


料理の配膳が終わった段階で、エドガーは大事な事を思い出すが、エドガーにとって、この瞬間は大事な時間である為、すぐに雑念は切り捨てる。


「――これは……、ゼリーかな??

黒いね?」


始めて見るであろうコーヒーゼリーに、貴族の老翁は、不思議そうに料理を見つめながら訪ねる。


「はい、ゼリーです、甘味になります。

調理する際にコーヒーを使用してますので、色は黒いです。

ゼリー本体は苦いので、上に掛かっているシロップと共に、お召し上がりください」


「いきなりデザートか……。

まぁ、甘味は得意ではないんだが……」


貴族の老父は、少しだけ不満を零すが、酒場の少年の料理に、そこまでの期待をしていないのか、すんなりとデザートを口に運んだ。


老翁と共に、来店したレアリーと呼ばれた令嬢は、先に食した老翁をじっと見つめ、料理の感想を待った。


「上手いッ!! これはいいッ!!」


コーヒーゼリーを口にした老翁の一言目は、称賛だった。


老翁は目を丸くし、驚いた様子で、コーヒーゼリーを見つめた後、エドガーへと視線を移す。


「これを少年が??」


「はい。 口に合い、良かったです。

お店に来て最初に出す料理が、甘味になってしまった事、大変申し訳ございません。

子供作る料理ですので、簡単な物になってしまい、こちらの甘味を出さざるを得ませんでした」


貴族だと確信しているエドガーは、より一層丁寧に、老翁へと対応し、年端もいかない酒場の生まれの少年に、老翁は一層興味を持ち始める。


「凄いな……。

――いや正直、食べた事も聞いた事も無い料理だった為に、あまり期待しては無かったんだが…………。

君のお父さんが発案かい??」


「いえ、こちらのコーヒーゼリーは私がッ……」


老翁の質問に、エドガーが丁寧に答えようとした途端、テーブルを挟んで、老翁の対面に座るレアリーが、エドガーの言葉を遮り、声を上げる。


「不味いわ」


たった一言、レアリーの言葉は短かったが、エドガーと貴族の老翁が会話を中断させ、二人がレアリーに視線を向けるには、十分過ぎる言葉だった。


エドガーと老翁の注目を浴びながら、レアリーは続けて話す。


「甘味なのに、全然甘くない。

色どりも、フルーツが乗っているゼリーと比べたら全然だし、美味しくない」


レアリーは、エドガーに対して嫉妬し、少しだけ我儘で言っている部分もあったが、フルーツが乗る色どりの良いゼリーの方が、美味しいという思いは本心だった。


「こんなデザートで、料理ができるなんて言えるのなら、私だって言えます。

料理はまだ学習してませんけれど、一日あれば、優に貴方を超えますね」


「お、おい……、レアリー……」


エドガーに対して、厳しい意見を述べるレアリーに対し、コーヒーゼリーを認めた老翁は、レアリーをたしなめようと声を上げようとする。


年頃の子供が、一生懸命に料理し、酷評されれば、その殆どがショックを感じるところだが、エドガーはレアリーの言葉を寧ろ喜んだ。


エドガーは、好機と言わんばかりに、不満げなレアリーに提案しだす。


「お客様……、まずは、口に合わない料理を出してしまい、申し訳ございません。

――ですが、私の作れる料理、そしてこの店でしか食べられない料理は、まだまだ御座います!

これから先、お出しする料理は、全部が私の力、100%で出来た料理では御座いませんが、必ず、お客様が唸る物をお出し出来るかと思います!!」


エドガーの提案に、老翁は興味深そうに相槌を打ち、レアリーは、自信満々なエドガーが気に食わないのか、眉を顰め、訝しむようにエドガーを見つめた。


そして、そんなレアリーにエドガーは引く事無く、発言を続ける。


「――もちろん、先程発言しました、料理に関して言えば、同い年には負けないという発言を撤回するつもりは御座いません。

私の力だけで作った料理に関しては、引き続きお客様に判断いただければと思います」


「言ったわね……。

絶対に美味しいなんて、言わないんだから」


エドガーの挑発にも思える言葉に、レアリーは、今までの品のある口調から、少しだけ年相応なものを見せ、エドガーに向ける視線は、敵意を向けるものに近かった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ