【第62話 残された一本】
初執筆、初投稿、良い歳したおっさんなので完走できるように長い目で見守ってください。
ノリノリでイキマスヨ
【第62話 残された一本】
朝のギルドは、まだ静かだった。
二階奥、ギルドマスターの執務室。
集まっているのは、ルコール、バルド、ロウグの三人。
机の上には、書類と地図が広げられていた。
「王都内の教会だ」
ロウグが言う。
「建設された日が新しい順に並べた。記録は妙に整ってる」
「許可証も?」
バルドが訊ねる。
「王名義で揃ってる。略式だが、正式な国の認可だ」
ルコールは黙って書類を見ていた。
「……管理部署が違うな」
淡々とした声。
ロウグが頷く。
「宗務局じゃない。王城管理部だ」
一瞬、空気が沈む。
「城の通路、倉庫、非常口を扱う部署だ」
「教会の建設に関わる理由はねぇな」
バルドが鼻で笑った。
◇ ◇ ◇
扉が開く。
「やはり、ここだったか」
現れたのはオズマだった。
「宿に戻ったが誰もいなかった。話が進んでいるようだな」
「ちょうどだ」
ロウグが言う。
オズマは懐から一枚の紙を取り出した。
「昨夜、王城の古文庫で複写した」
王家の非常通路の配置図。
ルコールが目を細める。
「……教会の位置と一致している」
「王城以外の入口が、意図的に限定されている」
オズマの声は低い。
「通路に入るには、教会を通るしかない構造だ」
「入口を“信仰”で管理してるわけだ」
バルドが言った。
◇ ◇ ◇
「……待て」
バルドが地図を指でなぞる。
「ここだ」
全員の視線が集まる。
「まだ一本、残っている」
「王城でも教会でもない」
ルコールが言う。
「真下だな」
三人の視線が、同時に床へ落ちた。
◇ ◇ ◇
「……ギルドの地下か」
オズマが呟く。
ロウグは、ゆっくりと息を吐いた。
「正確には、俺が管理している地下倉だ」
「倉?」
「酒蔵だ」
一瞬の沈黙。
「正式な地下設備だ。個人的に使っているだけでな」
言い訳めいた口調だが、まだ取り乱してはいない。
事実は一つ。
そこはまだ、誰も確認していない。
何があるかも、何が失われているかも。
◇ ◇ ◇
「つまり」
バルドが口角を上げる。
「教会を通らずに行ける唯一の入口が、そこだ」
「……そうなる」
ロウグは短く答えた。
「調べる価値はあるな」
オズマが言う。
ルコールは無言で頷いた。
◇ ◇ ◇
バルドは地図を覗き込みながら、楽しそうに言った。
「なぁ親父」
「何だ」
「その酒蔵」
一拍。
「結構、いい酒置いてあるんだろ?」
ロウグは睨みつけた。
「……触るな」
「まだ触ってねぇよ」
だが、バルドの目は完全に“見つけた”目だった。
地下には、
王家の秘密があるかもしれない。
そして――
男の興味を引く“何か”も。
(第62話 了)
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