表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強のハンター、神の光を拾う。〜滅びゆく世界で俺はもう一度守りたい〜  作者: 蛮ニル
第3章 保護区潜入編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/102

【第51話 入都】

挿絵(By みてみん)

 王都の城壁は、遠くから見ても圧があった。


 白い石で組まれた壁は高く、継ぎ目が少ない。

 防壁というより、秩序そのものを形にしたような印象だ。


挿絵(By みてみん)


「でかいな……」


 フォティが思わず呟く。


「大きい、というより……閉じてますね」


 ミラは城門を見上げながら、静かに言った。


 その言葉に、ルコールは何も返さない。

 ただ、視線を前に戻した。


◇ ◇ ◇


 城門前の列は長いが、荒れてはいなかった。


 誰も割り込まない。

 誰も声を荒げない。


 順番が来ると、衛兵が淡々と声をかける。


「身分証を」


 ルコールが差し出す。

 続いて、オズマ。


 衛兵の視線が一瞬だけ止まった。


「……失礼しました」


 それ以上は何も言わない。


「滞在目的は?」


「ギルドへの立ち寄りと、短期滞在だ」


「問題ありません」


 荷の確認も簡潔だった。


 形式だけが、正確に消化されていく。


「通行を許可します」


 門が開く。


 それだけで、王都は彼らを受け入れた。


◇ ◇ ◇


 城門を抜けたところで、バルドが大きく伸びをする。


「さて。王都だ」


「思ったより、あっさりだな」


 ルコールが言う。


「王都はな、騒がないのが一番厄介なんだ」


 バルドはそう言って、くいっと親指で街の奥を指した。


「俺とオズマ、それにルコール。ギルドに行く」


「フォティとミラは?」


「観光でも、宿探しでもいい。一般人装うには、ちょうどいい」


 そう言ってから、フォティを見た。


「坊主」


「……なに」


「眠り姫を守ってたナイト様には、ちょうどいい仕事だろ」


「っ!」


 フォティは顔を赤くする。


「そ、そういう意味じゃ……!」


「どういう意味だと思った?」


 バルドが笑う。


「王都は人が多い。気を抜くなよ」


「わ、わかってるって!」


 ミラは二人のやり取りを見て、小さく首を傾げた。


「ナイト、ですか?」


「ち、違う!」


 フォティは慌てて否定する。


「ただ、一緒に歩くだけで……」


「ええ」


 ミラは穏やかに微笑んだ。


「一緒に行きましょう」


「……うん」


 その様子を見て、バルドは満足そうに鼻を鳴らす。


「よし。じゃあ後で合流だ」


◇ ◇ ◇


 王都ギルドは、街の中心近くにあった。


 人の出入りは多いが、雑多さはない。

 全員が「役割」を理解して動いている。


 受付の女性が、顔を上げる。


「いらっしゃいませ。ご用件は?」


「依頼の確認と、滞在登録だ」


 バルドが答える。


 手続きは迅速だった。

 余計な世間話もない。


 オズマが名を告げても、特別な反応はない。

 理解した上で、淡々と処理される。


「……ここでは、肩書きも道具か」


 オズマが小さく呟く。


「使い方を間違えると、切れるぞ」


 バルドが返す。


 ルコールは、周囲を見回した。


(静かだな)


 活気はある。

 だが、騒がしさがない。


◇ ◇ ◇


 一方、フォティとミラは人通りの多い通りを歩いていた。


「すごいな……全部、整ってる」


「はい。でも……」


 ミラは少し考える。


「迷いにくいですね」


「それ、いいことじゃないのか?」


「はい。でも……」


 言葉を探し、首を振る。


「いえ。気のせいですね」


 フォティはそれ以上聞かなかった。


「王都、嫌いじゃない?」


「いいえ」


 ミラは答える。


「静かです」


「……確かに」


 賑やかなのに、静か。

 それが王都だった。


◇ ◇ ◇


 それぞれの場所で、それぞれの役割を果たす。


 まだ何も起きていない。

 誰も疑っていない。


 だが、全員が――

 この街の中に、足を踏み入れた。


 王都は、彼らを拒まない。


 それが、何よりも特徴だった。


(第51話 了)

よろしければ、評価と気に入っていただければブックマークをお願いします。

執筆の励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ