表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強のハンター、神の光を拾う。〜滅びゆく世界で俺はもう一度守りたい〜  作者: 蛮ニル
第3章 保護区潜入編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/103

【第41話 許可なき道】

挿絵(By みてみん)

 ギルド本部の奥にある窓口は、いつもより静かだった。


 騒がしさがないわけではない。

 ただ、ここでは無駄な声が削ぎ落とされている。


 ルコールたちは、すでにギルドマスター直々に調査依頼を受けていた。

 書類の上では、これは正式な案件だ。


「調査依頼につきましては、こちらで受理されています」


 受付の女性は、机上の書類に目を落としたまま告げた。


「ただし、国境を越える場合は――入国許可証の発行が必要になります」


 淡々とした口調。

 事務的で、感情は挟まれていない。


「発行自体は可能です。ただ、多少時間がかかります」


「どれくらいだ」


 ルコールが短く問う。


「早くて数日。状況によっては、もう少し」


 急ぎの調査には、長い。


 フォティは黙って聞いていた。

 胸の奥に、説明のつかない違和感が残る。


 ――光が、遠い。


 理由は分からない。

 ただ、前へ進もうとするほど、何かに遮られている感覚があった。


「許可証は、後からでも届くんだな」


 ルコールが言う。


「はい。発行され次第、ギルド経由で現地支部へ連絡は回せます」


 それで十分だった。


「じゃあ、それでいい」


 ルコールは即断する。


「俺たちは先に行く」


 待つより、動く。

 それがこの男の選択だった。


◇ ◇ ◇


 格納区は、相変わらず広く、静かだった。


 中央に鎮座するスカイハウルは、

 鋼の獣の名にふさわしい威圧感を放っている。


 飛べば早い。

 越えられない距離は、ほとんどない。


 だが――


「使えねぇな」


 バルドが先に口を開いた。


「検問で引っかかる。内部を見られたら終わりだ」


 改修痕。

 武装。

 非正規の部品。


 どれも潜入調査には致命的だった。


「あれは“入る船”じゃねぇ」


 バルドはスカイハウルを見上げて続ける。


「帰ってくる船だ」


 ルコールは否定しなかった。


 ただ、黙ってその船を見つめる。


 近道はある。

 力を示す手段もある。


 だが、今回はそれを選ばない。


挿絵(By みてみん)


「……地を行く」


 短く、それだけ言った。


 フォティもまた、空を仰ぐ。


 遠い。

 だが――

 進むべき光は、地の先にある気がした。


 選択は、終わっている。

 行く準備も、整っている。


 あとは――

 歩くだけだった。


◇ ◇ ◇


 格納区の奥。

 簡易医療区画は、静まり返っていた。


 明かりは落とされ、

 白いシーツだけが、淡く浮かんでいる。


 ――微かな音。


 息を吸う、小さな音。


 指先が、わずかに動いた。


 ゆっくりと、瞼が開く。


 ぼやけた視界。

 知らない天井。

 知らない匂い。


「……」


 声は、出なかった。


 けれど――

 胸の奥で、何かが確かに揺れていた。


 遠ざかっていく気配。

 動き出そうとする光。


 それを、追うように。


挿絵(By みてみん)


 少女は、一人で目を覚ました。


(第41話 了)

よろしければ、評価と気に入っていただければブックマークをお願いします。

執筆の励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ