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最強のハンター、神の光を拾う。〜滅びゆく世界で俺はもう一度守りたい〜  作者: 蛮ニル
第3章 保護区潜入編

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【第40話 灰断レゾナンス】

挿絵(By みてみん)

 格納区の明かりは、意図的に落とされていた。


 外の街では朝の気配が広がり始めているが、

 この区画だけは夜の続きを引きずっている。


 作業台の中央に置かれているのは、

 分解されたアッシュフォールと、

 布の上に丁寧に並べられた円筒状の部品――エネルギーコア。


 バルドは腕を組み、無言でそれらを見下ろしていた。


 足音が、ひとつ。


「呼ばれたって聞いた」


 ルコールだった。


 外套を脱ぐこともなく、作業台の前に立つ。

 視線は自然と、布の上の武器へと吸い寄せられた。


挿絵(By みてみん)


「……今までのアッシュフォールじゃねぇな」


「勘がいい」


 バルドは短く答える。


 コアを指で軽く叩くと、鈍い金属音が返った。


「こいつは“強くなる武器”じゃねぇ。

 使うたびに、覚悟を要求される兵器だ」


 その言葉に、フォティの肩がわずかに強張る。


 バルドは続けた。


「今までのアッシュフォールはな、

 使えば使うほど削れていく鋼だった。

 無茶をすれば、その分だけ寿命が減る」


 視線を刃へと移し、静かに言う。


「だが、これは違う。

 力を溜めて、整えて、返す。

 使う瞬間だけ、答える構造だ」


 エネルギーコアの内部で、

 淡い金色の光が、かすかに揺れた。


 フォティの光と、同じ色だった。


「エネルギーは、常時流さねぇ」


 今度はフォティを見る。


「坊主が力を籠めれば、溜められる。

 一度に全部じゃねぇ。少しずつだ」


「……ぼくが、貯める?」


「ああ。

 だが、使うかどうかを決めるのはお前じゃねぇ」


 バルドの視線が、ルコールへ戻る。


「引き金を引くのは、こいつだ」


 ルコールは、アッシュフォールの柄に触れた。


 力を込めるわけでもなく、

 試すようでもない。


 ただ、そこにある感触を確かめる。


「……借り物の力を使う武器、か」


 短く息を吐く。


「悪くない。

 どうせ俺は、毎回それを使って戦ってる」


 バルドは、その言葉をすぐには肯定しなかった。


「一つだけ、確認する」


 低く、しかしはっきりと言う。


「この武器はな、

 切り札じゃねぇ」


 コアを見下ろし、続けた。


「坊主が溜めた力は、

 お前が振る一撃のためだけに使われる。

 外したら、終わりだ」


 格納区に、重い沈黙が落ちる。


「守れなかった時、

 取り返しはつかねぇ」


 ルコールは、しばらく黙っていた。


 やがて、静かに口を開く。


「……それでいい」


 迷いはない。


「覚悟が足りねぇなら、

 最初から振らねぇ」


 バルドは、ほんのわずかに口角を上げた。


「なら、名前を付ける」


 作業台の端に置かれていた刻印用のプレートを取り上げ、

 淡々と言う。


「もう“改”じゃねぇ」


 金属に視線を落とし、続けた。


灰断レゾナンスだ」


 フォティが、その名を小さく繰り返す。


「……レゾナンス」


「共鳴しなきゃ、ただの鋼だ」


 バルドは工具を取り、作業台に向き直る。


「だが、揃った時だけ――

 ほぼ切れねぇもんはなくなる」


 火花が散った。


 金色の光が一瞬だけ反射し、

 再び闇に沈む。


 鋼は、名を得た。


 それは完成ではない。

 だが――


 覚悟を持つ者だけが、

 手に取れる武器になった。


(第40話 了)

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