【第17話 墜落地点の光】
初執筆、初投稿、良い歳したおっさんなので完走できるように長い目で見守ってください。
月曜日が基本固定休なので、月曜日更新を目指していきます。
※2026/01/14 イラストを更新しました
【第17話 墜落地点の光】
――光は、まだ消えていなかった。
夜明け前の空を染める青白い残滓。
山岳帯の稜線を越えて、その光は地上へと落ちていた。
冷たい風が、焦げた草原の匂いを運んでくる。
フォティは足を止めた。
風に混じる焦げの匂いが、どこか懐かしかった。
胸の奥が痛む。
そこには“温もり”があったはずなのに、今はただの痛みとして残る。
「……あれは……」
遠くの谷間に、崩れた機体が見えた。
黒煙を上げ、翼が半分だけ残っている。
その周囲には、青い光がうっすらと漂っていた。
フォティは、無意識に歩き出していた。
足元に転がる金属片、焼け焦げた木々。
耳の奥に、どこかで聞いたような声が蘇る。
――ルコ兄、逃げて。
――あの子を守って。
思考と記憶の境界が、霧のように曖昧になる。
光が導くように揺らめく。
崩れた機体の前で、フォティは立ち止まった。
熱気が肌を刺す。
それでも前に出た。
焼けた鉄の隙間に、淡い光がまだ息づいている。
フォティの掌が、その光に触れた瞬間――
光の粒子が彼の体を包み、微かな映像が脳裏をよぎった。
――セナの声。
――ルコールの叫び。
――空を裂く閃光。
息が詰まる。
胸の奥が熱くなる。
何かが、自分の中で目を覚まそうとしていた。
「……ルコ兄……」
初めて、自然にその呼び方が口をついた。
言葉は震えていたが、確かな意思を帯びていた。
光が静かに収束し、掌に温かい欠片が残る。
それは割れたペンダントの破片。
青く、淡く、まるで心臓の鼓動のように脈を打っていた。
「……まだ、生きてる。」
その一言が、空に溶けた。
フォティの瞳に、光の映り込んだ空が広がる。
風が、髪を撫でていった。
焦げた草原の先、陽が昇る。
彼はもう、迷ってはいなかった。
進むべき道を、光が示している。
ルコールを、そしてセナを――取り戻すために。
(第17話 了)
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