【第10話 歩き出す光】
初執筆、初投稿、良い歳したおっさんなので完走できるように長い目で見守ってください。
月曜日が基本固定休なので、月曜日更新を目指していきます。
本日雨天のため我駆け抜ける。
※2026/01/12 イラストを変更しました
【第10話 歩き出す光】
――風が冷たい。
焼けた地面に倒れていたフォティは、
頬を撫でる風の感触で、ようやく意識を取り戻した。
耳の奥で、残響が鳴っている。
叫び声、閃光、そして――セナの声。
「……セナ……?」
かすれた声が漏れた。
返事はない。ただ、灰が舞う音だけが聞こえた。
ゆっくりと上体を起こす。
目を開くと、そこにはかつての世界とは違う光があった。
白い。
けれど、眩しくはない。
世界が粒子のきらめきでできているように見える。
木の残骸、地面の割れ目、遠くの山影まで、
すべてが淡い光の線で形を取っていた。
「……これが……“見る”ってこと……。」
その呟きは、自分に向けたものだった。
初めて“世界を見た”少年の声。
胸の奥で、微かに震えるような温かさが広がる。
だが、同時に胸を刺す痛みもあった。
セナの姿は、どこにもない。
焼けた焦土に残るのは、白い灰と風の音だけ。
フォティは立ち上がった。
足元の粒子が揺れ、靴底を包み込むように光る。
歩けば、その光が跡を描いていく。
「……生きてるなら……きっと、どこかにいる。」
呟きながら、手を胸に当てる。
そこに何かが“あった気がする”――そんな温もりが残っていた。
理由は分からない。けれど、胸の奥がかすかに熱い。
まるで、心臓の奥で光が脈を打っているようだった。
その時、足元の光の粒の中で、
一瞬だけ“青い輝き”がちらりと瞬いた。
「……いまの……?」
しゃがみ込み、手を伸ばす。
けれど、その光は風に溶けるように消えていった。
――それが、セナの残した光の欠片だとはまだ知らない。
フォティは空を見上げる。
視界の端に、淡く揺れる青い残光。
誰かの“記憶”のように、空へ伸びていた。
フォティはその光に手を伸ばした。
粒子がふわりと反応し、道を照らす。
光の線が、東の空へと続いている。
「待ってて、セナ。
今度は、僕が……見つける。」
風が吹いた。
灰が舞い、光が揺れ、世界が息を吹き返す。
フォティは歩き出した。
まだ頼りない足取り。
けれどその背に、確かな“光”が宿っていた。
(第10話 了)
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