大ピラミッドの石を積み上げることは不可能なのか? ⑤
平均2.5トンの石灰石を230万個。
これが大ピラミッドの凄さを示す言葉となる。
そして、これをクフ王の23年といわれる治世年数で割ってみると、一日あたり270個を積みあげなければならない。
仮に50年という治世年数の長い方の説に従っても、一日あたり126個の据え付けが必要となる。
大ピラミッドの建造は古代エジプト人には無理という説を唱える者の根拠がこれとなる。
つまり、これほど重い石を人力だけで短時間に運搬するのは不可能だということになる。
だが、実際に大ピラミッドは存在する。
そこで登場するのが超古代文明となる。
物語を書く者にとっても、物語を読む者にとってもこれは非常に魅力的で多くの支持を受けている。
ただし、この意見には弱点がある。
その力によって運搬されたという最低限の証拠さえ示されていないのだ。
現代よりも優れた超古代文明の力によってその石が運搬されたという唯一の証拠が「古代エジプト人ではできないから」ではさすがにそれを主張するのは苦しい。
この説にとって都合の悪い話はまだある。
ピラミッドに積まれた石積みは見た目以上に雑なのである。
もちろん内部空間だけ見れば驚くほど緻密さを感じる。
だが、核となる部分の積み方は非常に雑。
現在の建築ではあり得ないほどに。
まして、現代の技術を超えたという超古代文明の技術を使ったものとは思えない。
つまり、妄想力で推測するにしてもこの説に基づいて話を進めるのは難しい。
ということで、話はふりだしに戻る。
クフの治世年数に様々な意見があり、しかも、それが大きくかけ離れているのには訳がある。
ハッキリと書かれていないのだ。
これから後の時代のものになると、〇〇王の治世〇年とい記述された碑文が多数発見されるのだが、この時代のものは皆2年に1回おこなわれたことになっている家畜頭数確認記録から想定しているからだ。
一応、第19王朝時代のつくられたパピルスにはクフの治世年数は23年とある。