#5:古代の遺物と誰得な知識と
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(出来れば感想とか書いてくれると嬉しいな)
「ピクニックに行こう!」
「かしこまりました。準備をしてまいります」
「……えらく急なんだな?」
香ちゃんをお迎えしてから2週間がたった。魔族とは聞いたいたけどまさかアラクネだと思ってなかったから彼女用の生活スペース改築しなきゃか?って考えたけどアラクネの中でも非常に珍しい人型に属する彼女はどうやら人間と同じような生活を送るらしく改築は必要ないと言われた。数日はめちゃめちゃ警戒されていたが何度か彼女と組み手をすると彼女はある程度信用してくれるようになったのだ。やはり拳。拳は全てを解決する
「領内でオーパーツの違法採掘をしてる連中がいるんだ。それが発覚したのが一昨日だからそろそろ行かないと持ち逃げされちゃう」
「確かに地方領主なら収入源は確保しておくべきだな」
「え?」
「……?何か間違っていただろうか」
「オーパーツってブラックマーケットにしかなくてさ。採掘された中からくすね…譲ってもらった方がお得なのよ」
「……譲ってもらったオーパーツはどうするんだ?」
「え?私が使うけど」
「……そうか。あれほど民に慕われていたから民のために使うものだと思っていたぞ」
「いくつかは領民に流してるよ?実験がてらだけど」
「ちょっと待て!今実験と言ったか?!領民で実験する領主がどこにいる?!」
「私領主じゃないよ?」
「そういう問題じゃない!貴殿がやっているのは人体実験なのだぞ?!」
オーパーツとは古代遺跡から出土する古代文明の遺物の総称でそのほとんどは研究都市に送られるため一般人がお目にかかることはほとんどない。ブラックマーケットに行けばほんのちょっとなら売ってるがとんでもなく高額で成金貴族どもが権力誇示のためにオークションするからさらに値段が跳ね上がる
「実験って言っても本当に軽いやつだよ。特定のオーパーツの効果実験……これ」
「それはKROじゃないか?!なんでそんな危険なものを!」
「けーあーるおー?」
一応フローラに聞いたり屋敷の書物を漁ったりしてオーパーツに関して勉強はしているがそんな単語は聞いたことがない。魔族特有の呼び方なのかな?
「古代文字の単語の頭文字をとってそう呼ばれている。たしか『Knowledge to reach omniscience』だったかしら」
おいおいおいフツーに英語じゃねぇかどーなってんだこの世界……しかもその文章最近見つかったなんとか文明遺跡の壁面に書かれてたっていう文章じゃなかったか?確か……
「天上に到達しうる神の知識……」
「貴殿は古代文字が読めるのか?!」
いやまぁ一応多国籍ビジネス学部卒ですので読み書きくらいはできるけど……なんて言えないよなぁ
「や、屋敷の書物を漁ってた時にたまたま見つけたってだけで……読めるってほどでは……」
「そ、そうか……ではなく!そんな危険な代物を領民に使わせているのか?!」
「いやまぁ大した効果があるわけでもないし……やばいやつなら真っ先に自分で試すし」
このオーパーツ……俺はお守りって呼んでたけどどうやらKROという名前らしい……はドラゴンの鱗のような素材でできていて表面を軽く叩くと宙にその効果が表示されるようになっているのだがその効果はなぜかローマ字で綴られていて初めて見た時大笑いしたのだ
「貴殿はKROの表示する文字が読めるのか?アレは知り合いの学者曰く、既に解析された古代語と同じ文字が使われているのに全く違う規則で並んでいるらしく未だ未解明の言語のはずなのだが」
「うん。読めるよ?面白そうなのは自分で試してしょーもないのは領民にお守りって渡してる」
「お守り……まさかコレも?!」
盤上遊戯がクレアから「これお近づきの印のお守りね」と渡され自分の首にぶら下げていたモノを慌てて手に取り軽く表面を撫でると宙に何かが表示された。それを見て絶句する盤上遊戯に何を勘違いしたのか「それはそれなりにいいやつだよ」とクレアが説明をした
「…………どのような効果か聞いても良いだろうか」
「『どんなご飯を食べてもお腹を壊さない』だよ。魔族、しかもアラクネがどんな物食べるのかなんて知らなかったから人間用のご飯食べてお腹壊さないかなぁって思って。けどちゃんとした食事だからね?それがあるからって変なもの食わせたりはしてないからね?」
「…………そういう効果のものばっかりなのか?」
「もっとしょうもないやつあるよ?『悪夢を見た時半分の確率で内容を忘れる』とか『くじ運が良くなる』とか『水風呂に入っても風邪をひかない』とか……レアな奴だと『服を燃やされても大事なところだけは燃えない』ってのもあったし使えそうなやつだと『毒キノコかどうかがわかる』ってやつとか」
「…………クレア」
「なに?」
「コレらは解明すれば世界の全てがわかるとまで言われるほどの品だ。そやなことを外で言おうものなら貴殿は間違いなく首を切られる。知識への冒涜だ!と」
「世界の全てはわからないと思うけど2つ以上を組み合わせると違う効果を発揮するんだ。内容はランダムな上に70%くらいはマイナス効果だけどね」
首を傾げる盤上遊戯の前にクレアが箱を持ってきて差し出した。中から適当に二つ選んでと言われ箱を覗くと子供の玩具箱のようにKROが詰め込まれていた。学者が見たら卒倒しそうだなとどこか他人事のように考えながら二つを選びクレアに差し出した
「魔力を練り込んだ糸で結びつけると効果が変わるんだけど……元々の効果は……『空腹に強くなる』と『氷の上で転びにくくなる』だねこいつらを組み合わせると…………よしできた。効果は……こっこれは?!」
出来上がったKROの表面を撫で、表示された文字を見て暮れの顔が驚愕と興奮の色に染まった。どうやら想定よりもいいものが出来たらしいことは理解できた盤上遊戯がにやけそうになる顔を必死に抑えながら尋ねるとクレアは興奮した表情のままそれをブローチにはめ込み盤上遊戯に差し出した
「ど、どうだったんだ……?」
「状態付与系統は見たことがない!香ちゃんすごい!……これは貴女が持っていたほうがいい。というか貴女の作品だからね」
「ありがたく頂戴する。……ところで効果を教えてもらってもいいだろうか」
「ごめん言ってなかったね『相手を発情させる』だ!状態付与タイプは少し前に出来た『相手に1日1回タンスの角に小指をぶつける呪いをかける』に続いて2つ目だ!」
「こ…………」
「こ?」
「こんなもの必要なぁぁぁぁぁぁい!!!!」
「あ゛あ゛あ゛あ゛?!」
魔族の手によって初めて生み出されたKROの効果が『相手を発情させる』という何とも恥ずかしいものだったという事実を後世に残してはならぬと判断した盤上遊戯はそれを床に叩きつけ踏み潰した
その後のピクニックでは恥ずかしさ、或いは怒りで力のコントロールができていない盤上遊戯と自分がいないところで楽しそうにしていたクレアを見て拗ねたフローラが派手に暴れ回りクレアが事後処理に車イスを走らせることになったのはまた別のお話である
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「報告します!先日の一件で行方不明となっていた風纏いが先ほど城に帰還いたしました!」
「それは本当か?!」
「ですが錯乱状態のようで地鳴らしの首を逆賊の首だと言い張っているようで……いかがいたしますか?」
「……眠らせて地下牢に1か月ほど放り込んでおけ。そのうち正気に戻るじゃろう」
「ほ、報告いたします!」
「今度はなんじゃ?!」
「先ほど帰還した風纏いですが突如何かの魔術が発動し……りゅ、龍金剛の結晶になってしまいました!」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ?!?!?!?!」
「至急、隠蔽工作を進めます。失礼いたします!!」
「私も失礼いたします!」
「人体を鉱物に錬成したじゃと……?忌術のなかでも生体錬成はトップクラスの難易度じゃぞ……魔族にも勇者が誕生したとしか考えられん……はぁやはり遺書を書いておこう……」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「……ここは……神殿……?」
「目が覚めましたか?」
「?!」
「驚かせて申し訳ありません……貴方は死んでしまったのです。本来なら魂の洗浄が行われ記憶も人格もリセットされ生まれ変わるのですが生前の行いを鑑みて私の独断で貴方を貴方のまま異世界に転生出来るようにはからいました。」
「異世界……ですか?ということはまさかチート能力も貰えたり……ないか」
「ありますよ♪」
「あるの?!」
「えぇ。貴方好みのスキルと強大な魔力を差し上げます。その代わりに魔族を滅ぼして欲しいのです。あの世界の魔族は温厚で平和主義者な人間族を滅ぼそうと画策しています。それを阻止して欲しいのです」
「……なら隷属のスキルが欲しい!」
「ありがとうございます♪……このスキルは視界に入った相手を意のままに操るスキルです。同時に隷属させるのは8人が限界ですがそれぞれを好きなレベルで隷属させられます。ですが本来、女神の介入は御法度なのです。ですからどうか内密にお願いしますね」
「わかりました。では世界救ってきます!」
「いってらっしゃいませ……勇者様」
「うふふふふふ……私を信仰しない魔族なんて必要ないのよ……さぁて次の子は誰にしましょうか♪」




