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#2:TS娘とお付きのエルフと

あとがきに登場人物の設定を載せておきます

 田舎の貧乏貴族クレイドル家の次女クレア・クリス・クレイドル、それが今の俺の名前だ。この世界にイニシャルという概念はないが、あえてイニシャルを使うならCCCである。絶望の就活生ライフを送っていた俺がトラックに轢かれてこの世界に転生してから15年の月日が経った。

 

 なんでそんなに話を飛ばしたかって?答えは簡単、「ほとんど特筆すべきことがなかった」からだ。2歳のころ、庭で母の巨乳にしがみつきながらクレイドル家の長兄ハクト・フェグ・クレイドルの件の訓練を見ていた時、父ガルーダ・フェグ・クレイドルが「若いときに魔力を枯渇寸前まで使って回復させ手を繰り返せば魔力量は見る見る間に増えていく」とハクト兄さんに言っていたのを聞いて筋トレみたいなもんか?と毎日のように魔力を使って視力を強化して遠くの山の木の葉っぱを数えたり人に見られないように魔力を糸状に練り上げてあやとりをしたりして遊んだり、全身に魔力を循環させて身体強化の練習をしたりを無限に繰り返していただけだったんだもん。

 

 ちなみに視力の強化練習が功を奏したのか俺は目に頼らない魔力による視界を獲得したし、尋常じゃない魔力量もゲットした。その代わり目は見えなくなったし原因不明の不随を発症して車イス(自作)生活になったが魔力通せば動くし見えるし問題はない。寧ろどこかに嫁ぐ可能性が消えたから良かったまである


「クレア様、お茶をお持ちいたしました」

「ありがと、そこ置いといて」

「はい!それと……」

「フローラ?それ昨日もやったからね?俺は着せ替え人形じゃないって言ったよね?」

「クレア様?」

「……私は着せ替え人形じゃないの!」

「そんなこと言いながら結局着てくれるじゃないですか~」

「アンタが引かないからでしょうが!」


 彼女はフローラ。5年前、完全に視力を失った俺の生活の補助として奴隷市場から父が連れてきたエルフの女の子で俺が1番気を許している子だ。気が利くし礼節もしっかりとしてて愛想もいい……1日に1回俺を着せ替え人形にする趣味さえなければとてもいい女の子だ。前世の俺なら色々と勘違いして告白してフラれていたことだろう……フラれちゃうのかよ


「せっかくクレア様はかわいいんですから可愛い服を着ないのはもったいないです!」

「私はこのワンピースが気に入ってるからこれでいいの!……これでもだいぶ譲歩したんだぞ……TS舐めんなよ……」

「?最後の方何か言いました?」

「いいやなにも。それより今日は町に行きたいんだけど連れてってくれる?」

「町……ですか?あ、この前の「てんじ」の実験の件ですか?」

「ザッツライト。あと書店のおばちゃんと話をしてから服も買いに行きたい。……ちょっときつくなってきたから」

「またですか?!半年前に買ったばっかりですよ?!しかも大きめのサイズを!」

「成長したんだからしょうがないだろう……とにかくそういうことだからよろしくね」


 母からの遺伝なのか同世代の子達より2回り程大きい胸部装甲の話は置いといて……現在、俺は家の名前を存分に使ってクレイドル男爵領内にあるこの屋敷から徒歩5分くらいの小さな町「エルスラン」で点字と手話の実験をしている。日本にいた頃、点字や手話に興味があって一通り覚えているからそれを活用してみようという試みだ。ちなみに俺の手話の先生はオーストラリア人だったから俺の知っている手話は日本語ではなくオースランだ。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「しかしすごいですね!あんなに便利なものを思いつくなんて」

「なんとなくだよ。みんなの協力あってこそさ」


 農地の作物を眺めていると車イスを押してくれるフローラの思い出したかのようなつぶやきが聞こえた。実際、現地の人たちの協力あってこそだった。点字は50音だけで良いから良かったものの、手話はかなり難航したんだよなぁ日本にはない単語とかいろいろあったし。


「発案はクレア様なんですからもっと胸を張ってもいいと思いますよ?」

「胸を張る機会があったらそうするよ……それにしてもいい天気だね。日差しとそよ風が心地いい。」

「そうですね。そういえば今日は目隠しの布、いつもと違うんですね」

「あぁこれ?宿屋んところのリンカちゃんがくれたんだ。せっかくだから使わせてもらおうと思ってね。似合ってる?」

「えぇ!お似合いです」


 今のところ町の皆とは友好的な関係を築けていると思う。10歳ころから月に1回の定期視察を任されているから必然的にエルスランの皆と顔を合わせる機会が多く、仲良くなるのはそう難しいことじゃなかった。みんないい人ばっかりで良かったよマジで。


「アルスさんこんにちは。通していただけますか?」

「フローラさん!クレア様もこんにちは。今日は目の布いつもと違うんですね?」


 彼はエルスランの門番筆頭のアルス。槍術で彼の右に出るものはおそらくこの国の中に数人しかいないだろうと思ってしまうほど槍の扱いに長けている。見た目通りチャラいところが玉に瑕だが基本的にやればできる男だ。


「こんにちは。リンカちゃんから貰ったものでして。似合ってますか?」

「っ!は、はい!とてもお似合いです!……と、ところでクレア様……その、良かったら今晩うちでご飯でもどうですか?」

「あら、今からアキナさんとお話をしてくるのですが?」

「アッ…ナンデモナイデェス」

「彼女さんを悲しませるものじゃありませんよ?」

「ア~ル~ス~?何のお話かしら~?」


 噂をすればなんとやら。アルスの彼女、アキナのご登場である。この町を拠点にしていた元Bランク級冒険者で「不落の巨城」のアキナと言えばちょっとした有名人だが今では小さな町の酒場の店主だ。


「ヒッ!アキナ?!い、いやぁ……軽い世間話だよ!ほんとに!ですよねクレア様?!」

「……本当ですかクレア様?」

「えぇ、ただの世間話ですよ。()()()()()()を少々」

「ふぅん?……アルス、何か言うことは?」

「今日もとてもお美しいでございますアキナ様!」

「知ってる。それと敬語がおかしいんだよタコ助!誤魔化すならしっかり誤魔化せ!!!」

「ごめんなさい!!!(土下座)」


 町に入ってお嬢様モードの俺の目の前で繰り広げられる日常風景に和むこと数分、騒ぎを聞いて野次馬をしに来た書店のおばちゃんことジャーカルさんと目が合った。


「こんにちは。その後どうですか?」

「どうもなにもこの上なく順調さね。少し前に立ち寄った学者先生たちが絶賛してたよ。ついでにルベラ皇国全土に広めようって息巻いてもいたわね……そしたらクレアちゃんも有名人間違いなしよ!」


 うーん……なんとなくどっかのお偉いさんにパクられそうな気もするけど……まぁそん時はそん時か。別に称賛が欲しいわけでもないしね。いやでも不労所得とかあるんだろうか?手話とか点字の本出版して印税がっぽがっぽ作戦もありなのか?前言撤回!パクったやつ居たら最速でこの世から消し去ってやる!などと考えているとアッハッハと愉快そうに笑っていたジャーカルさんがひとしきり笑い、声のトーンを落として話し始めた。これはお仕事の話だな



「その時はこの町にもたくさん人が来ると良いですね」

「受け入れられる宿が2つしかないようじゃあ不安だけどねぇ!……そうそう、例の勇者様がこっち方面に向かっているらしいよ。随分な女好きって聞くからクレア様は気を付けておいた方がいいよ」

「それはついていって勇者の動向を探れっていうお上さんの指令ですか?」

「ただの情報共有さね。今回は特例だから協会もかなり慎重に動いてるからそっちは大丈夫みたいだ」

「なら、私は単独で動いて良いってことですよね?」

「まぁ本来現地の協力者がここまで協会の任務に参加してること自体が異例だから本来の形に少し戻ったって言った方が的確かねぇ」

「まさか4人で1勇者とカウントするなんて……驚きですよ」


 前回の勇者降臨から300年の年月が経ち、つい先日新たな勇者がルベラ皇国内で発見された。男女2人ずつの4人が勇者と認定され、魔王討伐の旅に出たのがつい3日ほど前だったから割とは速いペースで進んでいるのだろう。そしてジャーカルさんは勇者のサポートを行う団体、通称「協会」のメンバーであり、俺は非公式の現地協力者というわけである。


「しかし寂しくなるわね……もうそろそろ旅に出るのでしょう?」

「寂しい……というよりはクレイドル領での活動がやりづらくなるほうを憂いているのでは?」

「まぁ酷いお方。私たち領民と楽しげに接してくださるクレア様を好ましく思っていましたのよ?なんてね」


 想定よりかなり早いが勇者降臨の知らせが世界中に渡り俺の計画は始動可能段階に突入した。計画のために勇者たちの顔を覚えておく必要があるから彼らの顔を見てから旅に出るつもりだ。


「そんな他人行儀な言い方では女の子の心は動きませんよ?……勇者の出立と一晩ずらしてここを出ます。父には今夜お話をしておきますので」


 その後軽い世間話をした後外で待たせていたフローラと合流して服屋に寄った後そのまま屋敷に戻った。このように外に行くこともあるが基本的に用事がなければ屋敷の中でのんびりとしているのが昼間の俺の生活だ。貴族の娘ではあるが貧乏貴族であることと不随アンド盲目という病を抱えていることで特段することがないのだ。

 「病に侵されながらも懸命に生きる健気な娘」それが周囲の人間が俺、クレア・クリス・クレイドルに対して下す評価だ。無論そういう風に誘導したのは俺だし全部が全部嘘というわけでもないが意図的に隠している面もある。

クレア・クリス・クレイドル:主人公

種族:人間

年齢:15才

身長:158cm

性別:女


性格

好きなことにどこまでも没頭して抜け出せなくなるタイプ

能力・スキル

膨大な魔力量

血と血中の魔力を使って編んだ特殊な糸による攻撃

見た目

肩甲骨辺りまで伸びた黒髪

視力を失っているため目隠しのように布を巻いている

優雅なご令嬢のような外見と雰囲気

それなりのプロポーション

生い立ち

クレイドル男爵家に次女として生を受ける。4歳のころ突如として視力を失い、畳みかけるように翌年に腰から下が不随となるも専属の侍女のフローラの協力もあり、車イスや点字、手話の開発などフィジカル面以外での才能を開花させる



フローラ:クレア専属の侍女

種族:エルフ

年齢:20才

身長:160cm

性別:女


性格

人前ではいつもニコニコしているがふとした時に表情に影が差す本性隠してる系エルフ。何故かクレアに縁を感じており、彼女にのみ心を許している

能力・スキル

槍及び槍斧を使った対集団戦を得意としている

暗殺用に小型のナイフを使った格闘術もできる

見た目

腰のあたりまで伸びた白髪を頭頂部で結ってポニーテールにしている

ぱっちりとしていて若干つり目気味

剣士のような鋭い雰囲気

絶壁

生い立ち

???



ガルーダ・フェグ・クレイドル:主人公の父

種族:人間

年齢:50才

身長:180cm

性別:男


性格

口数が多い方ではなく口よりも剣で語るタイプ

見た目に反して単純で甘いためよく騙される

ロリコン気味

能力・スキル

剣術

見た目

ハゲ

開いてるのか閉じてるのかわからないほどの細目

元部下曰く「近くで見ると小さな山かと思うほどデカい」



バーガル・クリス・クレイドル:主人公の母

種族:人間

年齢:38才

身長:145cm

性別:女


性格

のんびり屋だが非常に洞察力に優れている。笑顔のまま怒るタイプ(かなり怖い)

能力・スキル

予知の一歩手前レベルの第6感

見た目

肩のあたりまで伸びたウェーブのかかった黒髪

やや細めのたれ目

母性溢れる優しそうな雰囲気

ロリ巨乳



ハクト・フェグ・クレイドル

種族:人間

年齢18才

身長:176cm

性別:男


性格

まっすぐな好青年。無意識にモテるタイプ

能力・スキル

太刀を使った神速の抜刀術

見た目

短く切りそろえた茶髪

母譲りの垂れ目

さわやか系イケメン

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