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夢想家の妄想で無双化できるか  作者: 和谷幸隆
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第5話 Dランクダンジョン攻略

肩慣らしにDランクのダンジョンから攻略してみることにする。

今の樹は16歳でDランクに上がったばかりだったが、Aランクの記憶が混ざった経験や技術があればCランクも可能かもしれない。

だが身体と精神のバランスがまだ整っていない状況だ。

まずは今何ができるのか確認し今後の計画を立てなければならない。



「この辺に新しいダンジョンは無いかな・・・・?」



スマホを操作してダンジョン情報を検索する。



「お、車で30分くらいのところに1時間前に出来た迷宮型があるな。とりあえず行くか。」



2029年。ダンジョンが初めて発生したとされる年だ。

厳密にいえば1999年に小さな隕石が地球に落下した際に地球のマナが活性化し、そのマナ濃度が徐々に高まる。

一定濃度に達したマナに指向性が与えられた結果、ダンジョンが発生した。

なぜこのような形で生じたかは諸説あるが、とりあえず人間の負の感情エネルギーと結びついたとされる。

負の感情と言っても普通『実体』は無い。それが人間を害するイメージに変換される。

人間を襲うモンスターはそうして形作られる。

だからダンジョンに出現するモンスターは我々の想像するファンタジー世界のそれであるのだ。

ちなみに日本では西洋風のモンスターから日本の妖怪まで全世界で最多の種類のモンスターが確認されている。

これは日本人がゲームやラノベによるイメージを大きく受けていることに起因するようだ。


迷宮型ダンジョンはダンジョンRPGをイメージすると分かりやすい。

最奥にダンジョンコアがありそれを守るボスがいる。コアを破壊すればそのダンジョンは消失する。

ダンジョンに出るモンスターは魔石を核にしており倒すと魔石を残す。

魔石はマナが固形化されたもので今では活用方法が研究され燃料としても使われる。

車や電車も魔石で動くものが開発されたため探索者の主な収入源になっている。



「とりあえず適当に戦ってみるか。」



まずは感覚を取り戻すために適当に戦ってみようと迷宮を進むとゴブリンが1匹現れる。

同じゴブリンでもダンジョンのランクによって強さが変わる。

D級の場合は120cmくらいの体格にナイフや棍棒を装備していることが多い。


ゴブリンもこちらに気づき走りながら棍棒を振り上げる。

そのこん棒が振り下ろされる前に間合いを詰めて横薙ぎをするとゴブリンの身体はあっさりと寸断され魔石を残して消える。



「思った以上にやれるな・・・マナの容量は大きくないけど使い方は覚えてる感じか?」

「効率的に使えるからマナを身体や武器に流すのがスムーズだ。」


「普通のDランクだったら一撃で致命傷を与えられても身体ごとスパっと斬ったりはできないんじゃない?」


「そうだな。とりあえず身体の動かし方もマナの使い方も『覚えてる』」

「これくらいのダンジョンなら一気に攻略も出来そうだな。」



低ランクのダンジョンとは言え、通常は複数の探索者が入りまずダンジョンのモンスターを間引く。

勿論、コアに溜まったマナによってモンスターは復活するが徐々に減っていく。

何日かかけてモンスターが減ったところを進みボスを倒しコアを破壊するのがセオリーだ。

ダンジョンと同ランクのソロ探索者が一気にコアまで行くのは普通はできない。



「魔法も使ってみるか・・・」



最初のゴブリンを倒し、その後も進む間に4匹のゴブリン一振りで次々と倒していた。

3匹のゴブリンに遭遇したときにファイアアローの魔法を試す。

3本の矢をイメージし放つ。その3本がゴブリンに直撃し一撃で霧散させる。



「・・・魔法も『覚えている』ようだ。」



アロー系は攻撃魔法の基礎で魔法を使う者ならほぼ誰でも最初に覚える。

だが覚えたての時は1本、速度も遅くゴブリン相手にも必中とまではいかない。



「魔法の制御能力も引き継いでるみたいだな。」

「剣も魔法もこのまま成長すればAAAクラスに手が届くか?」



これだけ有利な状況にもかかわらず『前世』でみてきた天才たちと比べると勝てる自信は無い。



「まだそんなこと言ってるの?」

「樹が比較してる相手達ってたしかに天才かもしれないけど、才能より血筋が大きいでしょ?」

「探索者の子は遺伝で親のマナ関連能力も受け継ぐことが多いから。」

「親が最低でもAランクの人達で樹の親はCランクだっけ?」

「本人の才能や努力もあると思うけどスタートラインが違うわけ。」

「だから樹に才能が無いわけじゃないわよ。」

「それに、記憶だけじゃなくてマナ関連の経験が引き継がれてる今だったらきっと勝てるわ。」


「分かった分かった。あまり卑屈にならないよう気を付けるよ。」

「実際同じ年代だったら総合力で今の俺より強い奴はたぶんいないと思う。」


「そうそう。過信はいけないけど、オレツエー、サイキョーってくらいの気持ちでいいんじゃない?」



その後も余裕を持ってダンジョンを進んでいく。スライムにゴブリン、ウルフなどDランクダンジョンで出会う、

基本的なモンスターを剣や魔法すべて一撃で倒し足を止めずにダンジョンコアまで到達する。

ダンジョンコアがある部屋はホール状になっていて通路より広い。

ダンジョンの複数のルートから繋がっており見る限り6ルート出入り口があったがどうやら一番のりだったようだ。

コアに溜まったマナがまだ多い状態だったためボスは強化されボス以外にも複数のゴブリンが出現していた。

ボスはゴブリンの強化個体で身長は道中あったよりも大きく150cm程度、鎧に戦斧を身に着けていた。

それに加え20体のゴブリン。本来であればDランクだったら5人くらいのパーティーが適正だと思われる。



「数が多いけどどうする?私も手伝おうか?」



これまで傍観していた葉月が声をかけてくる。



「今の身体に慣れてきた。俺だけでいい。」


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