ィライウォスとの決闘
「モア様、宜しいでしょうか?」
どうぞ。
・
行きましょう。
ーー「それ」がどこかわからない。
聞くしかないな。
何か知ってそうな奴は、こいつしか思い当たらない。
ァリシアティヌ嬢が気に入った「それ」はどれですか?
「えぇっと…確かココに…ぁあ!こちらです。
ァンジェリカ様へのお誕生日の贈り物でした。その小箱を見た途端とても気に入られて。」
ーー…これって⁈
魔術の痕跡はここから…あぁ、恋のまじないのはずが、眠りの呪い…。
あぁ…魔術師が粗悪だったのか…。
深読みし過ぎた…残念。
そんな魔術師を遣うファロン家に同情する。
「あまりに気に入られていたので、ァンジェリカ様が差し上げたのです。」
原因は、おそらくこの小箱でしょう。
小箱を開けた事で、魔術がかかったようです。
「そう、ですか…。」
ーーたぶん魔術師が箱を開ける様に暗示でもかけたんだろう。
でも、その相手がァンではなく、ァリシァティヌだとは簡単には気付けない。
昨日と同じように風を起こす。
今日はちょっと強めに。
「ぁ、モァ…。」
ーー廊下でァンと会った。
これでも、ァンから声をかけて来ただけ成長してると思う。
「ァリスはどぅですか…?」
明日までかかりますね。
ーーもうしばらく眠り姫でいてもらわないと…。
ァンと静かに廊下を歩いていた。
中庭の近くの廊下を歩いてると、不機嫌そうな男がこっちに向かって来る。
「ア''〜!ァンジェリカ!?
ソイツか!?
ソイツに会いたいが為に例の店に通っていたのか?!」
ーーそうなの⁈絶対違う。
ァンとは1度しか会ってはいない。
ァン、何か言われてますが…?
「いぇ、違ぃますぅ…。」
ーーえぇ''‼︎
いまいち否定に欠ける返事…。
「ァ・ン。
ウチのフラレンスを気安く呼びおって!
気にいらん!!
胡散臭いし!どうせ金目当てで来たんだろッ?!!!
何者でもない卑しい者がッ!
ーーほぉ…。好き勝手言ってくれる…。
!!
隣りで勢いよく扇子を閉じる音がした。
「ィ、ィライウォス!!
モアは、大切なワタクシの大事な友人です!
今までァリスの為にここまでしてくれた人がいたでしょうかッ?
アナタは、見つけられなかったじゃないですかッッ‼︎
モアを悪く言わないでッッ‼︎」
ーーあぁ、喧嘩が始まってしまった…。
「ァンジェリカ!
やっぱりソイツに気があるのか!?そんなに庇って!!」
「ち、違うって言ってるでしょ!
モアに勘違いされたら…ァッアナタどぉしてくれるのッッ?!」
「フンッ!!」
!!
ーー何か投げつけられた。
何これ⁇
「貴様に決闘を申し込む。お前が勝ったら言った事を訂正してやる。
フラレンスを賭けるつもり気はな い。
まぁ、俺がきっと勝つがな‼︎
不戦敗でもいいぞ!ァッハハッハハッ‼︎」
ーー''ッ。
いちいち、腹立つ。
受けて…ぼろっぼろにしてやるよ。
慎んでお受けします。
ーーやれるも者ならやってみろっ。
「では、これよりイライウォス様とモア様の決闘を行います。ルールは相手を殺さない事!
では…ォン・ハセルド…アレィ!!」
!!
ーーえ?
え⁇
待って!
待って!
待って!
弱過ぎないッ⁈
右。
左。
右。
簡単に避けれてしまう。
あぁ、退屈…気を付けないと剣を弾いてしまいそう。
上手く負けたフリをしないと…。
上。
中。
下。
上。
>>きっ
>>きっ
>>ぎっしゃあぁぁあ
剣を滑らし、ぎりぎりで避ける。
相手の剣が上手く地面に刺ささる。
つい、片膝を着いてしまった様に膝を折る。
ーー我ながら、凄技!
負けました。
ーーここまでやればみんな信じる。
負ける役も簡単じゃない。
下手な奴はできない。
何年も稽古が必要。
「ィ…ィライウォス様の勝利です!」
「ィライウォス様お強いッ!」
「息を飲む戦いでした!!」
「フンッ!やはり俺の勝ちか。
お前はァリシァティヌのことが済んだら、この城に近づく事を禁する。
破ったら、殺す!!」
わかりました。
ーー上手く負けてやっただけありがたいと思え。