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「……曇っていますね」
「今日は曇りだからな」
「むぅぅ。やっと外に出られたと思ったのに太陽の光はお預けですか……。ま、曇りでもあそこに比べれば明るいですし空気も綺麗ですから今日のところはよしとしておきましょう」
地下深くに置かれた死刑囚のための牢獄。
お世辞にも整った生活環境とは呼べないそこから地上へと戻ったオワリはどことなく機嫌がいいように短い付き合いながらシオンには思えた。
「……明日は晴れらしい」
「ほんとですか! それは嬉しいですね!」
「僕は曇りの方が涼しくて過ごしやすいから好きだ」
「芸術性の違いを感じたのでコンビを解散しませんか?」
「そもそも僕はお前と組んだ覚えはない。ほら、くだらないこと言ってないで早く行くぞ。道中聞きたいことは山ほどあるんだからな」
「……はーい」
ポツリとどこかで聞いた情報源すら不確かな情報を呟くと途端にパッと顔を輝かせオワリが喜ぶ。
その表情だけを見れば誰も彼が史上最悪の死刑囚などとは誰も思わないだろう。
そんなことを考えながらシオンはシオンの「曇りの方が好き発言」に口元を歪め抗議の意を示すオワリを促しながら用意させた馬車へと乗り込んだ。
そんなシオンにしぶしぶといった様子でオワリも気のない返事を返してシオンに続くように馬車へと乗り込む。
そして、馬車は動き出す。
彼らの向かうべき場所へと。