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魔法と言う物、いや、魔法使いというもの その2

 前列から順に自己紹介が始まった。


 後で分かった事なのだが、肉体は十代後半が優れて居るが、魔法は知識と経験がものを言うので、高校生ならlv4でも秀才なのだそうだ。


 そうこうしてると、とうとう俺の番になった。


「藤波 勇人、魔法使いって、何かゲームの話しですか? 俺はやって居ないのでよく分かりません」


と言ってしまった。


(ハブられたらどうしよう)と、言ってから気づいて、少し後悔した。


 教室の空気が何か変だ。空気が読めない俺でも分かる。


 担任が俺をガン見している。


後で考えると、この時、鑑定の魔法をかけられて居たらしい。


「はあぁ~、お前、魔法使いの素質がないじゃ無いかぁ! 何故このクラスにいるんダァ~!」


 驚いて、大声で聞いてくる担任の陽子先生。


「「「「「ええええ~」」」」」


驚くクラスメイト。


 そう、ここは魔法学科Aクラスの教室で有る。素質が無い者が来る所ではない。


「んん、何かのミスと思うが、このクラスに席があるので、一応このままいる様に。

後で、校長に確認するので、後日、説明します」


担任の陽子先生の落ち着きを装った声が響く。


 何のミスなのだ? 俺はここに居ていいのか? 受験勉強が出来るのか?


 その後、何事も無かったように自己紹介が続いていった。


 聞くと、クラス全員が何らかの魔法使いなのだそうだ。俺みたいなのは、隣の2組には数名いるが、基本、魔法学科の生徒は魔法が使えるのだそうだ。

もちろん、その数名も魔法は使えなくても、魔法使いの素質は有るのだそうだ。


 その日の夜もお遅くに、校長から電話があった。


「今日の今日で原因はまだ分からないが、本人の希望する学科とは違う学科に入学させてしまって申し訳ない。

 ただ、他の学科も今はまだ4月なので空きが無い。

 各教室の定員は決まっており、オーバーすると違法になる。その為、今は移動できないが、学校としても早急に対処する」


との事だった。


 俺の親は恐縮してしまい、退学にならない様にだけ必死に頼み込んでいた。

43

 結果、入学取り消しとか退学にはならなかったが、他クラスへの編入は叶わず、このまま、魔法学科に在籍になった。


 翌朝、校門前には各クラブの勧誘係が立っていた。背の高い俺はバスケット部とバレーボール部に目をつけられたらしい。

断っても、断っても、教室にまでやって来て勧誘される。


「すいません、俺は受験勉強が有るので、バスケットボールとか遊んでいられないのですよ。また、何かあったら誘って下さい」


俺は丁寧に断ったつもりだったが、「遊ぶ」と言うワードが悪かった。


「誰が遊んでいるんだ。俺達は真剣にバスケットボールをやってるんだ!」

「お前! ちょっと来い」


バスケ部の先輩が、口の利き方を親切に教えてくれることになった。


 俺は体育館裏に連れて行かれ、上級生からの殴る蹴るの歓迎を受けた。


「バスケ部に入るって言えよ馬鹿!」


「言わないといつまでも続くぜ! 馬鹿!」


 一言、言われる度に蹴られたり、殴られたりして勧誘が続いた。


「うーん、聞きしに勝る馬鹿っぷりですね。まったく、勧誘するときの語彙が少ないですね。

 この状況でバスケ部に入部しても状況が変わるとも思えないのですが。それに何度も言っているように、私には受験勉強が有るので、バスケットボールなどして遊んでる時間は無いのですよ」


俺は、丁寧にバスケ部の先輩達に断りを入れた。もちろん、蹴られて、殴られて、顔は腫れていたと思われる。


「何を!」


「ドゥわーっ!」


バスケ部の先輩の悲鳴が響き渡る。


 その時、バスケ部の先輩の鼻先を火の塊が飛んで行ったのだ。


 それでも、さすがに運動部員は反射神経が良い。

悲鳴を上げながらも、当たるか当たらないかギリギリのところを飛ぶ火の玉を体をスウェイして避けた。


「それ以上続けると、先生を呼ぶか、黒焦げにしますよ。どちらが良いですか?」


なんと、かっこよく登場して俺を助けてくれたのは、俺の前の席の桐崎だった。日本刀を肩に担ぎ、ニッコリと微笑んでいる。


「お前、面白いな。思わず撃っちゃったよ」


桐崎が、俺を見て笑っている。

 悪い笑顔だ。上級生を完全に無視して俺に話しかけてくる。


「誰だテメェ!」


「おい! 止めとけ。こいつら、魔法学科だぞ」


 上級生達は尻尾を巻いて逃げて行った。

良く、「尻尾を巻く」とかの表現が使われるが、そういう事が本当にあるんだなと妙に感心した出来事だった。


「ありがとう、助かったよ」


俺は、土が付いて汚れた服をはたきながら桐崎に礼を言った。


「あれが魔法かぁ? 初めて見たよ」


「お前、魔法が使えないのに強いな」


「いや、話せば理解してくれると思うのだが、先輩達は馬鹿なので、何度言っても理解できないみたいでね。そのうえ殴ってくるし」


「あははは、理解ねぇ。そりゃ、あの物言いではできないだろう」


桐崎は、笑っている。


「ところで、あれは何が燃えているんだ? 石油か? プロパンガスか?」


「まさか、それじゃ魔法じゃないだろう」


 その後、彼から魔法の事や学校のことを聞いた。

特に魔法の話は、勉強になった。俺には理解のできない魔法の仕組みや魔法使いの事を聞いた。

 驚いたことに、魔法使いが本当に居るのだった。


 始業式から一週間ほど経つと、大体クラスに友人が出来始めた。助けて貰った事もあり、俺は前の席の桐崎と仲良くなっていた。


 彼は、いつも日本刀を袋に入れて持ち歩いている。日本刀を使う事が彼の得意としている魔法なのだそうだ。だから、体育の授業レベルの剣道は強い方なのだが、剣道部員よりは弱い。別に剣道が強い訳ではない。魔法が日本刀を使う荒事なのだ。


 彼と色々と話すうち、魔法使いの情報が得れた。


 魔法使いには、


錬金術師、調教師、魔物使い、召喚士、魔導師、精霊使い、魔法使い、などが居るらしい。


 桐崎に見てもらうと、俺には、「錬金術師lv0」しかないらしい。


lvは、

0はゴミ、魔術師とは言わないレベル。


1は初心者。


2~3は未熟者。


4~6は一般成人。


7~8は達人レベル。


9~10は超人。


11~は神、が見た人はいないと言う。


高校生でlv4は、超エリートなのだそうだ。


俺は錬金術師lv0


 魔法も使えないし、精霊の助けも借りられないのだ。


 だが、世の中には便利なもので、魔法の道具と言う物がある。

予め、特定の魔法が使える様に、道具に魔法を付加して有るものだ。


 または、1回使いっきりで、「魔法用紙」に魔法を付加して有るものを言う。RPGで言う所の魔法のお札だ。


 ただ、俺の場合、そう言うものも使えないレベルだ。


lv0と言うのは、素質が無いこととは違い、素質のlvが測定できないほど 小さいと言うことなのだそうだ。


 授業は、まだ中学の復習程度、何も新しい事は習わないので、特に難しいことはない。はずだが、魔法学の授業が、何を言ってるかわからない。聞き慣れない単語と発音のオンパレードだ。


 クラスメイトたちは中学生の頃から習っているので、特に難しい事は言っていないそうだが俺にはわからない言葉だらけだ。


 俺の様に、高校生デビュー組みは他のクラス、2組に集められているので、今の時点で落ちこぼれることはない。つまり俺以外は……。



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