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召喚魔法 その192


 教壇の上には、魔法陣が2つ書いてある。教壇を包み込むように大きな魔法陣と教壇の上にもう一つ魔法陣が書いてある。


 講義室の様子を撮影して居た、桜木が聞いてきた。


「あの魔法陣はなんて書いてあるのだよ?」


「俺に聞くなよ。先輩の方が専門だろ」


俺は、栃原部長代理の方を指差して続けた。


「外側の、教壇の周りのやつは結界だ」

「物理障壁と魔法障壁が張られるのだろう」


「中の魔法陣は、ゲートだな。異界との門を開くのと、何かを召喚する魔法陣だ」


俺は桜木に説明してやった。


「詳しいじゃ無いか」


「テストでは出ないが、授業ではするからな」


「授業でするのか?」


「講義だけだよ。歴史だからな」

「縄文時代や弥生時代の事を習うだろう」

「あれと同じだよ」

「で、教科書通りだと、呼び出す物は悪魔なのだがな」


「何が問題なのだ?」


「方法と謝礼がな」


「贄が要るんだ。生きた人間の魂だよ」

「その人の死後、永遠に悪魔の下僕として働かされるわけだ」


「ああ、聞いたことがあるよ」


「死神に迎えにきて貰えば、『復活の時』に神の御国に入れるのだが、悪魔の下僕じゃ、ずっと地獄で労働だよ。永遠にね」


「死んでいるんだから、別にいいんじゃ無いか?」


「今世の欲望の為に、来世、再来世の人生まで棒に振って、奴隷生活だよ」


「有るのか? 来世が」


「俺が知るかよ。お前の方が詳しいだろう」


「可能性はあるのだけどな。確証がないのだよ」


桜木が弱気な事を言う。今まで取材してきた事は何だったのか? と勇人は聞きたくなった。


その舞台に、一人の男が上がってきた。


「みなさん、大変長らくお待たせしました」

「そろそろ、準備が出来ましたので、皆様の望みを叶える時間がやって来ました」

「本日の望みを叶える人達は、こちらの方々です」


 司会者の男は、大学生にしては歳が行っている。院生をこじらせて、研究室に残っている先輩ってところか。


 その彼が、教壇横に座っている5名を紹介した。


「本日は見学されている方々も、次回は是非、ご自分の願いを叶えて見てください」


 こういう事に慣れている人の様だが、ホストとかプロの司会者とは違う、素人ぽさが残っている。そんな喋り方だ。


 係の者が、何やら祭壇らしきものと台の上に黒い布を掛けられた箱を持って来て、教壇の上に設置していった。


 次に、12人の黒いガウンを着て、顔は三角形のトンガリ帽子の目出し帽を被っている男が出て来た。

ぐるっと教壇の上の魔法陣を取り囲む様に並んだ。

 彼らは手に、十字架を逆さまにした物を刀の様に、顔の前に携えている。


 照明が落とされて、教壇の上のろうそくの灯りだけになる。そして、心臓の鼓動の様な音と、ズーン、ズーンと言った、地響きの様な定期的な音が流される。


スポットライトが講義室の入り口を照らし、馬、牛、雄山羊の被り物をした男達が、一人の女性を連れて入って来た。

 男達は皆マッチョで、被り物以外は着けていない。また、女性も一糸纏わぬ姿で、恍惚とした表情をしている。酔っているのか、薬でもやっているかの表情だ。


 その女性を祭壇の前に寝かせて、男達は整列している。男達の物は、既にエレクトしており、これから起こる事を予感させている。



「おい、藤波! これから何をするんだ?」


「教科書通りだ。あの女性は贄だよ」

「これから、歓喜の声を上げ続けて、悪魔を迎えるんだ」


「え? 歓喜の声って……。」


「まあ、そう言う事だ」



 祭壇個前に寝かされた女性の周りを黒いトンガリ目出し帽を被った男が取り囲む。


 歌舞伎か浄瑠璃の黒子の様な格好をしている男達が、黒いトンガリ目出し帽を被った男に一羽ずつ生きた鶏が渡されて行く。


 黒子は、男達の傍らで、十字架を持ったり、ナイフを渡したりして彼らの補佐をしている。まさに黒子だ。


「何が起こるんだ?」


「しらねぇよ。多分、悪魔降誕の儀式だから、人は殺せないけ、生贄を如何するのかってところだな」


桜木の質問に、俺は具体的な名前を出して返答することは避けた。


 案の定、鶏の首が次々と跳ねられ、その血を裸で寝ている女性にかけて行く。

前の方の席では、悲鳴が上がっている。

 そして、最後に雄の仔山羊が連れられてきて、首を刎ねられた。

次に臓物もかけられて行く。


 黒子が、その血を女性に塗りたくって行く。文字どうり、頭の先から足の爪に至るまで、丁寧に塗られて行く。

胸も、女性のところも、丁寧に塗られて、女性は恍惚の表情をしている。


 俺のモノもエレクトしてくる。男子高校生だから、AVは見ているが、少し前で生でされると、童貞高校生には我慢が出来ずにいた。


 唾も飲み込めない状態で、男二人が見ている横で、女子高校生達も同じだった。


 司会者がマイクをとって話し出した。


「エロエムエッサイム、エロエムエッサイム……。」


最初は語りかける様に話していたが、いつの間にかゆっくりと詠唱している。

それに合わせて、前の方の席からも詠唱の声が聞こえてくる。


「藤波ぃ。何て言っているんだ?」


「ああ、ヒンズー語とヘブライ語と多分セム語と後は分からん」


「なんて言っているんだよ?」


「悪魔にな、『帰依します。賛美します。』を多分、各言語で繰り返しているんだ」


「効果あるのかな」


「中の小さい魔法陣が開いたら本物だ」

「ただし、代金は、死後に永遠に続く奴隷生活だけどな」


 あたりに響いてた呪文が変わった。

真ん中で寝ている女性のオッパイや陰部が黒子によって揉まれている。

その女性は、愛撫を嬉しそうに受け入れている。

 と、筋肉質の大男の馬のマスクを被った男が、女性の両の足の間に跪き、ことに至った。 寝かされている女性は、より一層のヨガリ声を上げている。


 もちろん、勇人達は、自分も経験がないし、他人の行為を見るのも初めてである。それも、血達磨状態の裸の女性をみんなでいたすのである。こんな現場を経験ある方が可笑しいのだが、勇人達は、エロチズムに興奮してしまっていた。


 馬のマスクの男が、中で逝きはてると、次は牛のマスクの男だった。

もちろん、シャワーも何もない。そのままいたされている。

 女性は歓喜に打ち震えている。


 司会者が、唱える呪文を誘導して盛り上げている。それに合わせて、見学者達が呪文を唱えている。


 次々に呪文を変えて、唱えられていく。


 遂に、ゲートの事柄を匂わす呪文に変わった。「川を渡って来い」とか、「深淵の淵より」、「暗黒の」などの単語が聞き取れる。


「何を言ってるか、全然分からないな」

「藤波、解るか」


桜木がボヤいている。


「俺に聞くなよ。先輩に聞けば良いだろう」


俺は、桜木の反対側にいる栃原部長代理を指差して言う。


「聞き辛いだろう」


「知らん。だからと言って、素人の俺に聞くな」


遂に、山羊頭の被り物の男がいたしている。


「俺達は、一体何を見さされているんだ?」


「お前が誘ったのだろう? お前が考えろよ」

「まるで、まな板ショーだな」


「ああ」


 中央の魔法陣の色が徐々に黒くなって行き、遂に真っ黒になった頃、講義室内は臭い匂いで満たされた。硫化水素とメタンの匂いが主だが、色々なものの腐敗臭と排泄物の匂いだ。


「エロエムエッサイム、エロエムエッサイム、……。」


詠唱は続いている。


 司会の男が、山羊頭の男に下がるように手で合図を送ると、女は、手と足で山羊頭の男を離さないようにしている。

 男の微妙な動きで、男が離れる事を感じ取ったのだろう。


 山羊頭の男が、女から離れると、物はまだエレクトしたままだった。


 中央の小さい魔法陣の黒い闇がもこりと持ち上がり、ドンドンと大きくなっていく。

地上に出た部分から色を帯びて行き、形を取って行った。


 悪魔だ。黒緑の肌に金色の目。濃いグレーのツノが生えており、コウモリのような羽根を背中に生やしている。


 それは上半身が出てきたら、手を使って自ら這い出て来て胡座をかいて座った。

座っていても天井に頭が当たりそうである。座位で4、5mは有りそうだ。


 そして、それは彼女を片手で抱き寄せ、自分の方を向かせて、大きくなったモノでいたした。明らかにサイズが違うのに、どうして入ったのかは解らない。


 それが、座ったまま腰を振ると、女性は歓喜の声を上げている。


「まるで、白黒ショーだな」


桜木がつぶやいた。


「なんだよ。それは」


俺は、白黒ショーの意味を知らなかったので、話が噛み合わなかった。


ありがとうございます。

ブックマーク100名になりますた。

一応、底辺を脱出できました。


これも皆様のおかげです。

感謝しています。

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