第九十六話 『ながいたびがはじまる・・』
10月9日、アンジェリナと諸葛夢はいよいよ追放される。
諸葛夢が、アンジェリナにゲンコツ一発。
「なんでクソゲーの冒頭?」
「どうせ西に向かうもん」
「西遊記じゃないぞ」
雑談しながら、二人は引き続き車に荷物を積む。
新元4年10月9日、日曜日、10月4日の判決によって、アンジェリナと諸葛夢は、今日をもって、ネオシャンハイから追放される。
ここ4年、実際に追放案件は少ない。当てはまる事件自体少ないのももちろん、実際に高い崖を登ってネオシャンハイから出るのは難しいのが主な原因だった。しかし、アンジェリナとキムチェヨン、そして竹内唯を含め、キムのチームによって、ボルダリングロボット、もといボルダリングカーが完成したため、一応現実的になった。そして皮肉にも、初めての運用、追放されるのは、設計者・開発者の彼女自身だった。
試作機として完成したのは4台、アンジェリナはそれぞれ軽く塗装して、零号機から参号機まで命名した。今回使用するのは、黒い参号機だ。
朝一番、警察や新元学園の生徒はすでに現場に到着し、最後の調整や整備を取りかかる。アンジェリナと諸葛夢もすぐ到着し、荷物の整理を始めた。カイはまだ傷が全快してないから、もうしばらく休養する必要があり、回復したら二人を追う予定だ。
昼過ぎ、警察や生徒はほとんど昼食を取りに行ったが、アンジェリナと諸葛夢はまだ荷物を片付いている。そして、一人の老人がやってくる。
漢服を着用し、元気な老人だ。杖は持っているが、別に体を支えるために使われるためじゃなく、玩具感覚でもっている。
彼こそ、アンジェリナのおじいさん、ネオシャンハイ一の大富豪、司馬焱だ。後ろにメイド服姿のメイドが二人ついていて、この東洋と西洋の組み合わせは、いかに上海的な風味を醸し出している。
司馬焱を見て、諸葛夢は空気を呼んで一旦その場から去る。
「どうしても行くのか?」
急に司馬焱の声を聴いて、アンジェリナの頭がトランクリッドにぶつかる。
「その気があれば、わしはネオシャンハイの隣で別荘でも作ってやろうか。すぐ戻れるように」
アンジェリナは頭を撫でながら、
「いやいやいやいや、大げさだよおじいちゃん。すぐ隣で住む気ないよ」
「やっぱり、今回の追放は、果て、お前自ら仕向けたのかな?」
「やだな。アンジェリナは目的達成のために、二百人の命を奪ったってわけ?」
自分の孫娘はそんな人間じゃないぐらい、司馬焱はよく知っている。一生懸命論点をずらすアンジェリナを見て、彼は単刀直入に聞く。
「暗黒空間……」
「げっ!……もう知ってたんだ」
それもそのはず。ネオシャンハイほとんどの科学研究機関に、司馬焱は出資している。いくら最高機密とはいえ、彼は何等かの手段で情報を手に入れる。
アンジェリナの目的は、かつて成都の徳陽市という町に行って、あっちで発見されたストーンヘンジを調査することだ。あれはもしかして何等かのワープ装置で、もし再起動できれば、人類は黒い霧から逃げれるかもしれない。
しかし、ネオシャンハイ以外の地域に危険が多いし、若い男性と二人きりで長い時間の外出するのも心配だ、ということで、司馬焱は強く反対した。が、現在法院からの最終判決があって、やむを得ないことになってしまった。
だが、司馬焱は最後の最後もあきらめずに、アンジェリナはこうなるように仕向け、裁判長を買収したと主張する。命は奪わないが、買収など姑息な手段なら平気に使うのが、これもまた、彼のよく知っている孫娘だ。
「裁判長はそう簡単に買収できると思って?」
二人が言い争っているその時、また一人の女性がやってくる。五、六十代のインテリの女性で、彼女こそ、先日法院の裁判長だ。なぜか、司馬焱は彼女の前に頭が上がらないのようで、これでやっとアンジェリナの阻止をあきらめ、その場を後にした。
司馬焱が去った後、裁判長はアンジェリナに近づき、小さい声で、
「買収はしなかったけど、裁判の弁護は、かなり手加減したわね。病室間違った件は発覚したのに、健康証明の改ざんに全然指摘しないもの。」
4日の法廷では、看護婦が深夜病室巡回の時、アンジェリナの病室は無人のことを発覚したの証言があったが、あの時、彼女は剣魔百吼の襲撃を受け、病室内がめちゃくちゃされた状態だった。本当に彼女の病室を見に行ったら、証言しないわけがない。尋問の結果、看護婦は嘘ついていなかった。結局、病院内誰かが意図的にトリックを使って、看護婦に間違った病室に誘導した。それなら、健康証明の改ざんも、ほかの人がやらかした可能性が出てくる。
これを最初に指摘したのは、あの経験の浅い若い弁護士だが、アンジェリナ自分弁護し始めてから、全然触れてはいなかった。
「まさかと思うが、法院外の怒りの民衆も、あなたが雇ったのかしら?」
「いやいやいや、とんでもない出費になりますよ」
「まあ、いいわ」
荷物の整理はほぼ完成したと見て、裁判長は数歩後退して、ボルダリングカーと崖を見て、
「例の惑星、綺麗かしら?」
「めちゃくちゃ綺麗ですよ。うまくいけば、人類第二の故郷になるかもしれません」
これを聞いて、裁判長はちょっと頷く。人類の未来、危険な旅、未成年の少女に任せるのは不本意だ。他にも数個の先遣隊、ゾルド水晶調達チームを出したが、ストーンヘンジの再起動できるのは、もしかしてアンジェリナしかないかもしれない。意外な収穫はあったが、茶番以下の法廷で、あの判決を言い渡さざるを得なかった。
またしばらくすると、二人、厳密にいうと、古天仁以外、ほぼアンジェリナの友人たちが餞別しに来る。ロイ、アイザック、飛田俊ももちろん来た。トランクがいっぱいになるまで詰め込んで、いよいよ時間が来た。
「今日を持ちまして、司馬アンジェリナ、諸葛夢二名は、ネオシャンハイから追放する」
裁判長の宣告が終わったら、諸葛夢はボルダリングカーを起動し、崖を登り始める。車の先端から、ワイヤーが発射して岩に固定し、下から八本のアームが伸び、蜘蛛ロボットに変形して、どんどん登っていく。
ちょっと登ったら、アンジェリナが何かを思い出して、車窓を開け、下の古天仁に、指で四角の模様を描いて、
「古さん、あれはお願いね!」
古天仁も同じく四角で描いたら、たぶんハナちゃんの基盤のことだと理解して、上のアンジェリナにOKサインを出す。
しばらく登ったら、下の人々は蟻のように小さく見える。これを見ながら、アンジェリナはまた眠気になって、そのまま寝た。
また夢を見た。自分が巨大なロボットみたいなものを操って、怪物と戦っている。しかし、怪物が一撃で、ロボットを粉砕した。
(は! 夢か)
目が覚めたら、周りは真っ黒だ。もう夜なのかと思ったら、運転席に諸葛夢がいない。ドアを開け、車を降りたら、自分は別に崖の上ではなく、奇妙の洞窟の中にいる。
長い旅が始め、これから何が二人を待っているのか。
次回を待て!
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