第九十五話 『ネオシャンハイ大裁判』
アンジェリナの裁判の話
10月5日、水曜日、晴
久々の日記だ。急にまた日記を書きたくなったのは、今日法院で行った裁判をどうしても記録を残したかったからだ。正式の記事は、キャサリンが書くし、発表の内容は、たぶん実際の行ったことと違いがあるから。
今朝、ネオシャンハイ法院は、すでに怒りの民衆に囲まれた。多くの人は、いろんな言語で、『ネオシャンハイから出ていけ』『死刑』などと書いてある紙や垂れ幕を持っていた。内容から見ると、どうやらアンジェリナ達を声援しに来たわけじゃなさそうだ。
これを見て、俺は別に驚いてない。裁判の内容はすでに知っている。どうやらすでに一部の新聞紙やラジオで報道されたそうだ。だから、かなりの市民が集めた。
隔離観察で偽の健康証明を作り、不明なウイルスを拡散し、結果、ドックビルの惨劇を起こした。被告人、司馬アンジェリナ、諸葛夢二名。
実際、ドックビルの報道読んで、かなりひどい事件だった。そもそもネオシャンハイでは、パラダイスシティと呼ばれる反面、一部の行為に対してかなりセンシティブで、やらかしたら追放される。隔離なしで、感染のまま市内に入ってくるのはその中最も重い違法行為だ。
イデン出血熱を実体験した俺はもちろんトラウマを持っていたが、果たして本当にそこまでやる必要があるのかと、疑問を持っている。特に、被告人は未成年者の場合。
今日の裁判はかなり特殊なせいで、傍聴席にいるのは、一人の老人を除いて、ほぼ新聞記者だけ。キャサリンの話では、かの老人こそ、ネオシャンハイ大富豪の司馬焱で、アンジェリナのおじいさんだそうだ。
裁判開始直後、検査側が証拠などを挙げた時、すでにいろいろおかしいと思う。主な証拠は二か所にかない。一、入院期間、二人は病院から消えた時期があるのと、健康証明に改ざんの痕跡がある。二、ドックビルのライブでは、参加者リストがあり、ほかのメンバーたちは全部近頃ネオシャンハイから出た記録もないし、アンジェリナと諸葛夢は参加者リストに載っていない。消去法ということで、あの惨劇を巻き起こしたのはあの二人しかいないということだ。
正直言って、法律素人の俺から見ると、あの証拠といい、あの推理といい、全部穴だらけだ。それに、たとえ本当にアンジェリナ達はウイルス無自覚感染者であっても、学校のほかの生徒に伝染してないし、今日の法廷でも、特に何かしらの予防対策を施してない。
俺の感想としては、完全に冤罪だ。民衆の怒りを鎮めるため、無理やりドックビルの責任を彼女たちに転嫁した。現に、軍が生物兵器の開発をやっている。他にも、ゾンビウイルスを研究しいる輩がいるかもしれない。例えば、軍が黒幕で、彼女たちはスケープゴートだったら、ネオシャンハイも、なかなか黒い。
裁判の前半は、大体俺の予想通りだった。検査側の主張に対して、被告側はほぼ反論しなかった。被告側の弁護士は、そうね。俺が一か月ぐらい法律勉強したら、彼よりできるかもしれない。
しかし
なぜか、ずっと黙っていたアンジェリナが、いきなり自分の弁護をし始めた。彼女が指摘するのは一点だけ、あの証拠品のライブ参加者リスト。第一、あのリストに載っていないのにドックビルに行った人間なら、アンジェリナと諸葛夢以外にもいる。その中の一人は、人気アイドル、フェイこと劉凡菲だ。
フェイ自身健康問題がなさそうだが、やっぱり彼女も証人として召喚された。色紙を忘れて、いまだに後悔している。やっぱりかわいい。そろそろ三十のはずだが、見た目は二十歳以下。
フェイの話では、彼女の知っている限り、ドックビルのライブは特にどこかの会社や専門組織が主催したわけではなく、単純にファン活動だそうだ。確かにファンから、彼女のマネージャーに相談したことはあったが、今回は、実際に招待もらったわけではない。ただ、自分が出演のガセを聞いて、好奇心でこっそり見に行った。
彼女の証言を聞いて、アンジェリナは次の疑問点を叩きだす。証拠品の参加者リストが、綺麗すぎ。ドックビルのあの状況では、紙切れをそこまで綺麗に保存することは無理だ。もしプロの会社げ運営してないとしたら、検査側がどこからリストを入手したのか。場合によって、リスト自体が偽造の可能性もある。
検査側が検討した結果、リストの入手場所を提示した。あの場所を聞いて、俺とキャサリンは、同時に目玉が地面に落ちた。
故・新聞記者、ストーンこと、孫石の家だ。
まさか、ここまで来て、キャサリン憧れの先輩の名前が出てきたとは。
すでに自殺とされたストーンの死、今日の案件と関連性が薄いと思うけど、なぜか、裁判長は検査側の異議を認めず、当時の現場写真などの提出を要求した。なぜか、裁判長はかなりアンジェリナを贔屓しているのは、俺の気のせいかな?
現場の写真など見たら、アンジェリナは一発で自殺ではない可能性を提示した。使われたコップとスリッパ、事件当日はほかの客がいたはず。そして、窓の縁に変な糸が擦ったのような痕跡、あれも密室を作るためかなり初心者的なトリックだ。
ここは特に彼女がすごいのではなく、あとで彼女の指摘したことを聞いたら、正直に言って、俺だって指摘できるはず。問題は警察はなぜ当時気づかない。単純に経験不足だといいけど。
そして、そしたら、またびっくり人物が登場。入社してから今まで一度も会えなかった、わが新聞社編集長趙偉が、自分はあの日の訪問者だと、自ら名乗り出した。
五、六十代インテリ風貌の男だ。服も結構素朴で、ポケットに数本のペンがいれている。彼の証言だと、ストーンと仕事上、かなり友好的な関係で、あの日も仕事相談のために訪問して、話が終わったらすぐ新聞社に戻って仕事再開した。殺人の動機はない。
これは、キャサリン昔の話と一致する。確かに、ストーンは編集長から、ある記事の許可をもらって、かなり興奮した。
しかし、アンジェリナはあきらめなかった様子で、ひたすら編集長に攻めた。そして、なんと、編集長のミスを掴んだ。要約すると、編集長は社内の記事を細かくチェックして把握することをアピールするため、最近の重要記事や出来事を数個例を挙げたが、その中、フェイのラジオに関する話がまずかった。
なぜなら、現在は短波の無線しか使えず、ラジオといっても、昔みたいな放送局の大きな信号アンテナもない。設備にもよるが、よくてもせいぜい1キロぐらいの距離しか届けなくて、多くは数百メートルしかない。
ここの問題は、編集長が言ってたフェイがラジオ番組で言ったネタは、本当は一回しか言っていなくて、しかも当時のラジオ番組は、ストーン家周辺にある小さな局で、時間もちょうどストーン死亡推定時刻のちょっと前、つまり犯人の犯行の時だった。あのラジオ局の放送範囲内で住民はそんなに多くはない。編集長はあの時間あの範囲内のどこかにいるというなら、調べばすぐわかる。
では、次の問題は、もし編集長が本当にストーンを殺害していたとしたら、動機は何か、そして本当に22日ドックビルの惨劇に関係あるかどうかが問題だ。
傍聴席の人々は、ほぼ全員が息を止め、編集長の次の証言を待っていた時、まさか、法廷の天井が破られ、でかい怪物が降りてきて、一撃で編集長を縦で両断した。
この突然の乱入ハプニングによって、法廷はパニック状態に陥った。警察や、俺とキャサリンみたいな、命知らずの一部の記者以外、全部外に逃げた。あと、アンジェリナと諸葛夢もそのまま残っている。怪物は目と鼻の数メートル先なのに、二人は全然慌てる様子がなかった。A&E研究所の時ですでにわかったが、諸葛夢は手を出すときが来た。
二人はちょっと握手して、なぜか一瞬眩しい光が放つ。そして次の瞬間、諸葛夢は高く跳んで、一撃で怪物をペシャンコにした。十数秒の時間で、騒動が終わった。
以上は今日の裁判だ。このまま報道されることはないかもしれないので、日記帳に記録しておく。今週の仕事も早く終わらせる必要がある。なぜなら、日曜日は、アンジェリナと諸葛夢を送別する。
ストーン殺害事件、怪物乱入でめちゃくちゃされた裁判だが、結局、アンジェリナと諸葛夢は、ネオシャンハイから追放される。
結局追放されるのか。ではロイの話は一旦終了して、次は、二人の冒険話だ。
次回を待て!
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