第九十三話 『地下牢の激闘』
発掘された怪物だが、これこそルイスの真の狙いだったが
前回の続き、死んだはずのデザートイーグルたちは、メンバーのスティンガーの血によって復活し、脱出する前に、かつての仲間、ルイスと出会った。ルイスの話では、もう一度牢屋辺りに戻り、浄水場の水道にウイルスを注入できれば、覚醒者ではない人間だけをゾンビ化するウイルスを拡散できる。
ちょっと掘ったら、デザートイーグルはルイスを疑う。しかし、彼女を問い詰めようとするその時、メンバーから、怪物が発掘できたとの報告が入る。
これを聞いて、ルイスはデザートイーグルを無視し、すぐ怪物を確認する。ちょっと緑っぽいものを見たら、すぐ興奮して、ちょっと手を振ったら、怪物は風船のように浮かび上がる。
体が半分しか残ってない死体だ。緑っぽく見えるが、よく見ると、本当は灰色だった。これを見て、ルイスはがっかりした。そして、いつもの大胆不敵の笑顔が消え、眉を顰め、ちょっと呟く。
「まさか、あなたたち人間は、もうここまでできたとはね」
しばらくしたら、あの自信満々、セクシーな笑顔は、再びルイスの顔に戻り、
「ま、いいわ。どうせあたしに関係ないこと」
「なにものです? 貴様は!」
堪忍袋の緒が切れたデザートイーグル、ルイスに向かって怒鳴る。
「どうしても知りたいというのなら、教えてあげるわ。情報料は、そう、あなたたちの命かしら?」
すると、妖しい風が巻き起こし、紫色の煙がルイスに纏まる。しばらくすると、煙が消え、現れたのは、紫色ボブヘア、露出度の高い着物、そして巨大な獣耳と尻尾を持つ女性だ。
「妖狐菖蒲、今後お見知りおきを。まあ、今後があれば、の話だけどね。」
「貴様、魔族か?」
デザートイーグルの表情はさらに険しくなり、顔に怒筋がいっぱい現れ、
「ルイスを何処へやった?」
「きゃは、あなた、あの女に結構お気に入りだね。でも、あの女はあなたたちボスの女じゃない? まさかのボスの女を寝取る気?」
扇子を振りながら、菖蒲はデザートイーグルを挑発する。
「貴様!」
「まあまあ、怒らないで、あたしはルイスっていう女に何もやってなかったのよ。」
うまく挑発出来て、満足そうな顔でデザートイーグルを見ながら、
「かわいそうなルイス。どっかのおっちょこちょい研究員君が、うっかり彼女を燃やしたの。生きたもまま燃やされて、あ~ら、こわいこわい」
「なっ! なら、なぜ貴様が知っている!」
あんまり自分の耳を信用したくないデザートイーグルだが、自分の耳より、目の前の女狐がもっと信用できない。
「彼女の灰に残された残留思念よ」
「ほざけ!」
そしてら、デザートイーグルのメンバーたちは、それぞれの手からいろんなエフェクトが現れる。火、水、電気、煙、全部菖蒲に照準する。ヴァレリーも、氷の鎧を装備した。
「デザートイーグル、どうやら俺たちの力も戻ってきた」
「あらあら、そこまで怒らなくてもいいじゃない。タダで穴を掘るぐらい、なぜムキになるのかしら? あ、そうだ。あなたたち、グレー・スネイクもテロ組織でしょう? ちょっと協力しない? あたしがこの町をめちゃくちゃにしてあげるから、ちょっと探しもの……」
「だまれ!」
菖蒲はまだ話しているその時、デザートイーグルは怒鳴って彼女を止める。
「魔族は我々覚醒者の敵だ!」
そしたら、デザートイーグルの合図で、全員菖蒲に襲い掛かる。色んな色や形の玉と光線が、地下牢で炸裂。デザートイーグルとヴァレリーも、すぐダッシュして、接近戦を挑む。
対して、菖蒲は軽く扇子を振って、飛び道具を打ち消し、そしてデザートイーグルとヴァレリーの攻撃を防御したり、回避したりして、全くダメージが受けた様子がない。
しかし、デザートイーグルたちは、全然焦ったりはしない。むしろ、戦えば戦うほど、興奮し始める。
「私たちの力は強化したのか? さすが始祖ウイルスだ。まさしく覚醒者の味方!」
「あ~ら、どうやらまだ何もわかってないよね」
これを聞いて、菖蒲は口を挿む。
「何?」
「始祖ウイルスは、確かに魔力回路を持たない人類をゾンビにする力がある。しかし、別に死んだ人を生き返らせないわ」
攻撃を回避しながら、菖蒲は丁寧にデザートイーグルたちに説明する。
「何が言いたいです?」
「わからない? 始祖ウイルスで復活したとても思って?」
そして、ちょっと怪物の死体を見て、急に何かひらめく、
「そうね。ちょっとした実験でもしようかな」
ちょっと力を入れて、扇子を振ると、無数の風の刃が、デザートイーグルたちに飛ぶ。男たちは全力で躱すが、やはり数人が切られ、かなりの血が出た。そして飛び出した血は、怪物の死体に付く。
デザートイーグルたちは、そのことを気にせず、すぐさま再度菖蒲に攻撃を仕掛ける。火の玉、木の破片、鋼鉄如くの拳、氷に包まれたパンチ、一斉に菖蒲に飛んでいく。力は明らかに先よりも増したが、結局菖蒲に傷一つが付けずに終わった。
「あ~あ、もうやめた。汗かいちゃったじゃない。人類の男は、びっしょぬれの女を見て、興奮すると聞いたわ。本当に変態だね。ま、嫌いじゃないけど」
そして、菖蒲は怪物の死体を見る。かなりの血に浴びわせたが、別に復活する様子はない。
「おかしいわね。なぜウイルスがあの怪物に効かないのかしら? ま、所詮人類の作った不完全なもの。それにしても、探したいものが見つからずに、今日は本当にがっかりだわ。もう早く戻って寝よう。夜更かしは肌によくないわ」
「逃げる気ですか? 今日は生きて帰れると思うのですかね?」
これを聞いて、菖蒲はまたくすっと笑う。
「やっぱりあなたは面白いわね。名残惜しいけど、あたしは本当に帰るわ。でも、帰る前に、ちょっとしたプレゼント。愛しいルイスに会いたい?」
「まだほざくのですか?」
「ほざいてないわよ。彼女の灰はちゃんと持ってきたわ」
すると、菖蒲は尻尾から、小さな小瓶を取り出し、小瓶を溢すと、中から灰が落ちる。
「あの焚焼炉から彼女の灰を集めるのに、結構手間をかかったのよ。感謝しなさいな。では、あなたたち、これからの相手は、ルイスちゃんよ」
ちょっと呪文を詠唱したら、灰はどんどん増え、そして形のある固体になって、やがて、人の形になった。最後になったのは、灰色のルイスだ。
「あたしの魔力で作ったルイスは、結構強いよ。さあ、ルイスちゃん、あなたの相手はこの男たちよ。やっておしまい」
すると、灰色のルイスは、咆哮しながら、デザートイーグルたちに襲い掛かる。
「あ、そういえば、先の話はまだ途中だったわね。あなたたち、魔力を使えば使い程、体内のウイルスが活性化して、ゾンビ化のスピードが加速するの。つまり、全力戦って、このルイスちゃんを倒し、そしてゾンビになるのか。あるいは、魔力使わずにルイスちゃんに殺されるのか。まあ、本当、悩むわね」
ちょっと戦場を見て、菖蒲は再びルイスの姿に変化し、上に登る。数歩あるいたら、振り返って、
「あ~あ、本当は最後まで見届けたかったのに、でも、豪木ちゃんの宿題も確認したいし、残念ね。では、アデューオス」
菖蒲の話は、デザートイーグルたちはすでに聞く余裕はなかった。なぜなら、灰色のルイスは思ったより強く、そして、しぶとい。灰で作ったせいか。体が自由に変形できるし、攻撃を受けても、大したダメージがないようだ。
しばらく戦ったら、火の玉を打っているグレー・スネイクのメンバーが、急に悲鳴を上げる。デザートイーグルたちが彼を確認すると、なんとスティンガーはすでにゾンビとなって、狂ったのように、彼を捕まり、そして噛む。
菖蒲にとって、下から伝わってきた悲鳴は、まさしく最高の音楽だ。しかし、歩きながら、やっぱりちょっと気になることがあって、
「でもね。もし始祖ウイルスはあたしの魔力の影響で活性化して、あたしがいないと、彼らの変異がとまったら、面白くないわね」
と呟きながら、菖蒲は最初の階に戻った。ゾンビの死体の山から、何かが動いている。そして、下から、黒い手が出る。ロイの手だ。
話はちょっと戻るが、グレー・スネイクの囮になって、たくさんのゾンビに攻撃されたが、あのプログラマーが必死でロイを庇ったから、幸い一命を取り留めた。
ロイは死体の山から抜け出し、そしてプログラマーを探す。しばらく探したら、やっと見つけ、そして彼を引っ張り出す。かなり噛まれたから、すでに傷だらけだ。まだ生きているが、たぶんもう救えない。
「助けてくれて、サンキューな。何か、遺言でもあるのか」
「い、今はそんな場合じゃない。早く下に戻って、やつらは、やつらはネオシャンハイの水源を汚染しようとするんだ!」
「そりゃ大変! でも、まずは何か武器でも探すのかな。あいつらは結構強いぞ」
「こ、これを持っていけ」
プログラマーは、懐から、二本の短剣を取り出し、ロイに渡す。たぶん翡翠で作られたのか、緑色の変な形の短剣だ。そしてなぜか、ロイが短剣を手にするとき、力が湧いてくる。
「お、おお、これで勝つる! サンキューな!」
ロイはすぐ下の階段に向いて、走り出す。そして、また戻る。
「な、なぜ戻るの?」
「そういえば、あんた、今苦しくない? せめての情けだ。いま楽にしてやろう」
と言ったら、ロイは短剣をプログラマーの首に刺さろうとする。
「や、やめ、わ、私はあとで、自分でやるから」
「そう? そうだよね。俺も本当は手が出せないよ」
「早く、ネオシャンハイを」
「そうだな」
と言ったら、ロイはすぐ下の階段に向いて、走り出す。そして、また戻る。
「ま、また何か?」
「そういえば、名前はまだ聞かなかったな」
「(うるさいわね)は、ハワードです」
「ハワードか、よろしくな。俺は……」
「いいです。興味ないです。早く下に行ってください」
そんなに元気だったら一緒に行けばいいのに、と呟きながら、ロイは三度目に下に降りる。
牢屋辺りの戦闘は、そろそろ終止符を打つ。うかつにマナを使えないデザートイーグルたちは、かなり苦戦を強いられたが、やっとのことで、ヴァレリーは灰色ルイスを捕まえ、氷の力を使って、彼女の体を凍らせる。
完全に凍らせることが難しく、デザートイーグルもすぐ加勢し、後ろから彼女を抑える。やっと一通り凍ったことを確認し、二人はすぐ避ける。もう一人、最後のメンバーが、電気の球を打ち出し、無数の電弧がルイスの体中に走る。やがて、氷は解け、彼女の体は崩れ、再び灰になった。
しかし、まだ終わっていない。デザートイーグルは、すぐ地面に落ちっていた。スティンガーが作った毒の槍を拾い、すでに変異し始めの二人を殺した。そして槍を捨て、上に登る。
ちょっと登ったら、ロイと対面した。それなり鍛えたロイが、すぐ短剣を取り出し、デザートイーグルに攻撃を仕掛ける。いくら特殊能力者とはいえ、能力が使えないうえ、体力がかなり消耗されたデザートイーグルは、勝つのが難しいと判断したのか、
「や、やめてください。私はもう戦わないです。部下たちも全部下で死んだ。これ以上やっても意味がありません」
そしたら両手を上げ、投降のサインを出す。これを見て、ロイも短剣を下ろし、
「水の汚染工作は? どこまで進んだ?」
「汚染工作などありませんよ。全部あの女にはめられたんです」
「女?」
ルイスに化けた菖蒲がやってきたとき、ロイはすでにゾンビの下にいる。だから、彼女のことは知らない。ロイの表情を見て、デザートイーグルはちょっと口を動いて、ロイの後ろを指す。
「この女ですよ」
完全に子供だましの技だが、この状況で、ロイも結構神経質になった。デザートイーグルの思惑通り、後ろに振り向いたら、あっという間に短剣が奪われた。
そして、短剣を手にしたデザートイーグルは、すぐロイの首に刺さる。
短剣が奪われ、ロイの危機一髪、果たして彼の運命はいかに
次回を待て!
よかったら、評価していただければ嬉しいです。