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サイゴヒーロー ~魔を狩る人~  作者: 古蘭佐
第五章 主人公変更? 新しい主役はロイだ
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第九十二話 『復活した恐怖』

牢屋に閉じこまれたロイ、一体どうやって脱出するのか

 新元9月26日深夜、ネオシャンハイ某所の地下牢。ロイは、また拉致されて、牢屋に閉じ込められた。今回は人体実験ではないので、ほかにある理由は考えられる。まさかこの前の行動は、すぐさま軍にバレたのか。


 しかし、これ以上考えても仕方がない。ロイはやはりもう一人の囚人に気になる。かつて自分のお袋、および故郷のイデン出血熱感染者たちと同じく黒いあざを持っている。これを見て、ロイは思わずにゾクッとする。


 お袋の恐怖の顔は、再び頭に浮かぶ。しかも、今はもっと暗い環境、気味悪い牢屋。ロイは金縛られたのように、全く動けない。


「だ、誰……」


 しかし、あの囚人は先に声を出す。どうやらまだ自己を失っていないようだ。


「俺はロイ、新聞記者だ。ここはどこ? 俺たちはなぜ捕まれた?」


 囚人は無気力で頭を振って、


「わ、わからない。わ、私はただのプログラマーだ。仕事終わって、家に戻ったら、誰かが私を襲撃した。そして気がついたらここにいるんだ。」

「じゃあ、閉じこまれている時、誰かと会えたのか? 例えば、飯を送ってくれる人とか、尋問する人とか?」

「尋問? 拷問だよ……基盤を何処へやったと」


 よく見ると、確かに、黒いあざ以外に、その囚人に傷跡がいっぱいある。


「基盤?」


 試しに聞いてみたが、囚人は黙り込む。どうやら相手も何かの秘密を抱いているのようだ。


「それにしても、その黒いあざは何? 何か皮膚病でもあるのか?」


 囚人は頑張って手を上げ、自分の腕を見る。確かに、腕にも黒いあざがついている。


「わからない。ここ数日、熱でも出たのか。眩暈し、寒気もする。まさか、何かの病気?」


 症状は確かにイデン出血熱の初期症状と似ている。しかし、風邪なども同じだ。あの黒いあざがなければ、普通の風邪と考えていい。この囚人をこのままにするのか、それとも……


 悩んでいるその時、隣の牢屋から、人の声が聞こえてくる。


「よう、マイフレンド、先に俺を出してくれ」


 見てみると、自分と同じぐらい年齢の若者だ。迷彩服を着ている。


「ほら、俺には変なあざはないぜ。早く出してくれないかな」


 若者は袖を上げ、そして首辺りもロイに見せた。確かに蛇の入れ墨以外に、黒いあざがない。


「あんたはなぜ閉じ込められた?」


 ロイはロックを開錠しながら、迷彩服の男に聞く。


「わからねえよ。この辺りで適当にうろついたら、捕まられたんだ。でも、俺を開放するのは正解だぜ。出る方法は知っている」

「わかった。あんた、名は?」

「スティンガー」

「わお、かっけえ名前だな」


 ドアを開けると、スティンガーは牢屋エリアを出ようとするが、ロイはもう一人の囚人を担いで、一緒に脱出を図る。


「何するんだ? こいつ、何か変な病気にかかってるぜ。それに、足手まといにしかない」

「いや、まだ生きてるんだろう? 放っておけないよ。それに、今の状態だと、たぶんまだ大丈夫」


 イデン出血熱は体液伝染だから、体の接触だけは問題ないはず。それに、お袋の経験では、まだゾンビ化することもない。たぶん、親父の影響で、ロイはどうしても困っている人を見捨てることができない。スティンガーも仕方なく、一緒にプログラマーを担いて、牢屋エリアから出る。


 少し歩いたら、だれかが戦っている音が聞こえる。こっそり上ると、武装兵士が囚人たちと戦っている。あの囚人たちの発狂している姿なら、ロイはよく知っている。


「ゾンビになったのか。どうする? 俺たち武器も持ってないぜ」

「慌てるな。マイフレンド、まずは待つんだ。俺たちは漁夫の利を狙えばいい」


 あるいは兵士たちに加勢するのも一つの手段だと思ったが、プログラマーの傷を見て、あの兵士たちもなかなかやばいと思って、ロイは諦めた。


 結局、兵士は勝った。そしてスティンガーの読み通り、ボロボロで、傷だらけ一人だけが残っていた。スティンガーはすぐ突進し、兵士の後ろを取って、ボキっと首を折った。


「気絶させるだけじゃダメ?」

「目が覚めたら大変なことになる。では、まずはちょっと寄り道しよう。ここはB3かB4だ。一番上のところに、たぶんもっと混乱な状況だ、今は。だから、まずはいい武器を手に入れようぜ」


 スティンガーの言ったとおりだ。さらに上を登ると、またあっちこっち戦闘音がする。三人はこっそりと迂回し、最後はある部屋に辿り着いた。


 死体安置所?


 部屋に入ると、ロイはまた思わずに背筋が凍りつく。ホラー映画、特にゾンビ映画で一番やっちゃいけいない行為は、まさに今自分がやっている。


 (ホラー映画の主人公たちよ。嘲笑いしてしまって、本当にごめんね。)



 それに、死体安置所になぜ武器があるのかが疑問だ。


 スティンガーはロイの疑問を無視して、まずは棚とかを動かし、ドアを塞ぐ。そして、数体の死体を取り出す。


「な、何するんだ?」

「この世に、最高の武器は、人間そのものなんだよ。マイフレンド」


 と言ったら、スティンガーは自分の指を切って、自分の血を死体たちにばら撒く。部屋が暗いせいか、どう見ても、血の色は紫だ。


 そしたら、しばらくすると、死体は次々と起こる。まさにホラー映画のシチュエーションだ。幸い今度ロイのズボンは無事だった。


「おかえりなさい、マイフレンド、どうやら、ボスは成功したのようだ」

「私は誰? ここはどこ」


 金髪オールバックの男は、頭を抱え、苦しそうに語る。


「心配するな。デザートイーグル。復活したばかりの時はみんなそうだ。能力も使えない。しばらくすると元に戻れる」


 ズボンの安否を確認したら、ロイはスティンガーに、


「ええっと、スティンガー、一体どういうことだ? この人たち、あんたの友達?」

「静かに!!!」


 しかしなぜか、デザートイーグルっていう名の金髪男は怒鳴る。


「私は大分目が覚めました。ボスは?」

「知らないよ。俺が目覚めたら、もういない。たぶんまた何か特殊任務があったんだろうな」


 デザートイーグルはロイ達を見て、


「こいつらは覚醒者ですか?」

「症状が出たからには、もう覚醒者のはずがない」


 スティンガーはプログラマーを指して語る。そしてまたロイに向かって、


「こいつはわからいないな。つい先来たばかりだ。でも、何かの能力も持っているわけじゃなさそうだ。しかし、あとで囮として使えるかもね。この辺りに、感染者たちはすでに暴れ出してるぜ」

「凡人だけを殺すウイルスの大流行か。まさに祭りですね。」


 デザートイーグルは笑う。正気が感じられないぐらいに、笑った。気が済んだのか、やっと笑いを止め、


「ヴァレリー、やつらを連れ、ここから出るとしましょう。まだやること、いや、見物したいことがいっぱい残っていますからね。」


 そしたら、巨大なタンクトップの男が、軽々くスティンガーの作ったバリケートをどかし、ロイとプログラマーを抑え、死体安置所から出る。


「デザートイーグル、あんたたちの力はまだ戻ってないから、これを持っていけ」


 スティンガーは数本の木の棒をデザートイーグルたちに渡す。先端は削られ、槍の形になっている。しかも紫色になっていて、毒々しい形だ。


 ロイ達を連れ、一行はさらに上に登るが、やっぱり上の階はすでに戦場と化していた。明らかに囚人ゾンビのほうが優勢で、あっという間に、兵士たちは全員やられた。しかも中の数人が、再び立ち上がって、ゾンビ軍団に入る。


「餌を出しなさい」


 デザートイーグルの命令を聞いて、ヴァレリーはロイ達を、ボールのように前に投げる。そしたら、ゾンビたちはすぐロイ達を囲み、噛み始める。その隙に、デザートイーグルたちは、紫色の槍でゾンビたちを刺す。刺されたゾンビはすぐ痙攣し始め、そして活動停止する。ヴァレリーも力任せに、数体のゾンビを殴り倒した。数分で、十数匹のゾンビを、5人で倒した。


 パチパチパチパチ


 上の階段から、拍手の音が伝えてくる。拍手しているのは、洋服スーツ姿、メガネの金髪女性だ。


「ルイス? いないと思ったらやっと来ましたか。ボスは?」

「ボスはウイルスのサンプルをもって先に本部に帰ったわ。あたしはボスの代わりに、指令を伝えに来た」


 

 ルイスはゆっくりと階段を降りって、


「今までの資料では、始祖ウイルスの拡散スピードが遅すぎるわ。だから、あんたたちは、ここでちょっとした穴を掘りなさい。この地下牢の下には、浄水場からの、最もメインとなっている水道が通ってるわ」

「つまり、飲用水を汚染できれば」


 これを聞いて、デザートイーグルは思わず興奮し始めた。


「しかし、なぜ直接浄水場を攻撃しないの?」


 メンバーの一人が、勝手に口を挿んで、疑問をする。


「あんた、バカだね」


 ルイスはメガネを上げ、


「直接攻撃したら警戒されるわ。バレたら水道の給水自体が停止される。これで汚染できないじゃない? 本当に脳筋ね」


 デザートイーグルは怒ったメンバーを抑え、


「まあ、ボスの命令ですから。必ずやり遂げましょう。それに、ルイスの話はごもっともです。」


 すると、全員を連れ、ルイスの指示通り、地下牢の辺りで、穴掘り工事を始める。


 ほかのメンバーが穴を掘っているとき、デザートイーグルは、こっそりルイスを見る。


 白いスーツで強調されたボディライン、黒いストッキングに包まれ、むっちりの美脚。そして何より目を惹くのは、あの大人ぽく、セクシーな顔つきだ。男なら、だれもが垂涎するのだろう。


「ルイス、そういえば、私たちが死んでから、どれぐらいの時間が経ったのです?」

「わからないわ。10日ぐらいかしら?」

「そうですか。10日前、地下墓地の時も、同じ服だったんですね」


 デザートイーグルは、再度ルイスの服装を見て、確認する。そして彼女の表情は微妙に変わっていることを気づく。どうやら答える気はないのようで、デザートイーグルは引き続いて語る。


「私たちが本部からネオシャンハイに辿り着くには、一週間ぐらいがかかりましたね。ボスはかなり慎重な人です。本部からの命令がなければ、そんな指示はしませんよ。なら、どうやって、10日間でいったん本部に戻って、そしてまたあなたがここまで来たのです? 


 本部からほかのメンバーが伝言しに来たとは言わせませんよ。私たちの居場所はそう簡単に突き止めることはできないはずです。私の勘違いならいいですが、納得できる説明をいただければ嬉しいです」


 これを聞いて、ルイスはくすっと笑った。


「あら、さすが副チームリーダー、観察力は鋭いわね。でも、あたしの目的は達成したわ。ご・く・ろう・さん」


 と言ったら、メンバーの一人は、急に叫び出した。


「か、怪物だ!!」



ルイスは一体何をたくらんでいる。そして怪物とは?

次回を待て!

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