第九十一話 『イデン出血熱』
ロイは竹内家を調査してみたが
子供の頃から、すでにこの国に住んでいた。両親は中国文化が好きだから、生まれたばかりの俺を連れ、この土地に移民した。出生率が非常に低いから、子供を連れて移民することは簡単だったらしい。
最初は上海に行きたかったが、どうやらあちらですでに人があふれるぐらいいるので、育児環境を考えて、結局上海近くの町で落ち着いた。街の名前は、もう覚えてない。100億の人口を持つ地球にしては、珍しく人が比較的に少ない町だった。
親父は医者で、お袋は新聞記者、二人ともめちゃくちゃ忙しかったから、子供の頃、ずっと俺のそばにいてくれたのは、飼っていた犬だった。旺財っていう、結構かわいい雑種の犬だった。学校で年上の生徒にいじめられたら、旺財はいつも俺を救ってくれた。
平凡で、幸せな子供の頃だった。そのまま大人になって、そして憧れの医者になって、人生を満喫できると思ったが、その平凡な人生も、小学4年までだった。
ある日、両親は仕事に行かなくなった。もちろんめちゃくちゃ嬉しいが、テレビゲーム三昧ができなくなったから、ちょっとがっかりもする。
お袋は病気になった。具体的どんな病気なのかは、親父が教えてくれなかった。どうやら取材の時に感染されたそうだ。そして今病院はすでに患者がいっぱいになって、だからお袋は家で治療を受けることにした。感染される危険性があるから、絶対お袋の部屋に入るなって、親父は厳しく俺に命令した。
お袋の手料理が食えなくなったのが残念だったが、すぐいいニュースが入ってきた。学校の授業は中止され、もう行かなくていいみたい。これで、ずっと家でゲームができるから、めちゃくちゃ嬉しかった。
しかし、親父はまた忙しくなった。すぐまた病院に行くようになった。どうやら、あの病気はかなりやばくなったから、病院から、すぐ仕事に戻るように、親父に頼んだ。これで、親父は病院と家頻繁に往復することになった。そしてもどるとき、いつも缶詰など、食品や生活用品をたくさん持って帰る。当時はあの行動の意味が、理解できなかった。コンビニ行けばいいのに。
そして親父は結構怒りっぽくなった。些細なことで、俺を叱る。ゲームの音がでかいわ、歯が磨いてないわ。いつもやさしい親父でなくなった。俺が医者を憧れたのも、親父の影響だった。優しくて、近隣の人たちに慕われる親父はなぜああなったのか。
またしばらくすると、俺は外出も禁じられた。当時は、何か悪いことをしたと思った。
そして、ある日の出来事は、いまだに忘れられない。
あの朝、旺財のご飯を用意して、彼を呼んだが、全然返事がない。食いしん坊の旺財として、かなり珍しいことだった。家中探したが、どうしても見つからなかった。そして最後に、まだ見てない部屋と言えば、お袋の部屋だった。
前にも一度こっそりとお袋を見に行ったが、親父にばれて、めちゃくちゃ叱られ、殴られ寸前だった。しかし、旺財を探したいから、問題ないだろうと、当時は思った。
あの部屋のドアを開けると、あの景色はいまだに覚えている。お袋は、血まみれの旺財を、食っていた。
久しぶりに会えたおふくろは、変わった。肌にたくさん黒いあざがあり、肌色も変な色になった。瞳にまるで生気がなく、無表情で、旺財の肉を齧っている。
これを見て、俺を尻餅をくらって、そしてズボンが、ぬるくて、湿っぽくなった。なぜなら、お袋は、俺がこっそりクラスメイトと一緒に見たホラー映画のゾンビと、全く同じだった。
俺を見て、お袋は俺をハッグすることもなく、口を大きく開け、叫びながら、俺を押し倒して、そして俺をも食おうとした。
パンパン
二回の銃声、目を開けると、お袋の頭はもうふっとんだ。そして、そのあと何か起こったのかは、もう覚えていない。
お袋を殺したのは親父だった。どこから銃を手に入れたのかはわからない。そして目が覚めたら、親父はすでに部屋中の窓やドアを、木の板で塞げた。唯一の出口も、たくさんの鎖やロックを追加した。
親父はやはり毎日病院にいく。病院は結構大変だったらしい。そして俺に銃の使い方を教えてくれた。変な人が入ろうとしたら、躊躇ずに撃つべしと。特に、体に変な黒いあざをついている人、たとえこの人は親父であっても。
あれから、俺は祈るようになった。毎日、親父がちゃんと帰ってくるように、そして、体に変な黒いあざがないように。幸い、親父は無事だった。しかも毎回新しい缶詰を持って帰る。たまに缶の上に血がついていたけど、中身はおいしかった。
もう少し時間が経って、ある日、まだ寝ていた俺が親父に起こされ、すぐ服を着てその場から出るって親父は言っていた。
久しぶりの外出だった。外はまさにカオス状態。町中あちこちは壊され、壁にいろんな変な色の液体に塗りつぶされ、地面にたくさんの人が倒れていた。普通の人もいるし、お袋みたいな人もいる。
親父はゆっくりと車を運転していた。町中にたくさんの車があって、みんな全部同じ方向に走っていたから、どうやら目的地は全部一緒だったらしい。そして車の中の俺は、銃をもって、変な奴がこっちに走ってくるかどうかを、警戒していた。
どれぐらい走ったのか。最後、俺たちはバリケートがたくさん設置された場所に辿り着いた。周りに軍人姿の人がいっぱい。そこで、俺の銃は没収された。
宇宙服を着ていた人たちは、変な機械をもって、俺たちをチックした。赤いライト光ったらそのまま残って、緑色ライト光ったら外に出られる。幸い、俺と親父は緑色ライトだった。
しかし、なぜか、親父はある紙きれを俺に渡し、そしてまだ元の方向に戻った。そこに彼の、杭州の知り合いの住所が書いてあった。そして、軍人姿の人達は、子供である俺を、あの住所に送ってくれた。
「才能は神様からの贈り物、だがこれは決して自分だけのために使ってはいけない。自分を必要とするところがあれば、自分の力で助ける人がいれば、助けてやれ」
っていうのは、別れる前に、親父からの、最後の言葉だった。
あれから、あちらで一体何起ったのかは、わからない。ニュースや新聞を見たが、イデン出血熱のパンデミック報道はされたが、俺の知っていた症状と全然違う。たくさん出血して死亡するとだけが書いてあったが、ゾンビ化などは、全く言及されたことはない。
周りの新しい友達やクラスメイトに教えたが、信じてくれる人がいなかった。逆に、嘘つきのロイというあだ名が点けられた。俺は決して嘘なんか言っていない。
真実を求めてあの町に戻りたかったが、すぐ第三次世界大戦が暴発し、しかもあちらは核ミサイル攻撃を受け、今はすでに廃墟になってしまった。
しかし、諦めずに調査したら、俺はある情報を手に入った。どうやら当時、上海でもそれなりのイデン出血熱患者が出た。なら、パラダイスシティのネオシャンハイに行けば、何か手がかりがあるかもしれない。
そして、いろいろな準備をして、俺はやっとネオシャンハイに辿り着いたが、これもまた、不思議な事件が連続だった。
…………
……
…
夢?
目を覚めたら、ロイは暗い牢屋の中にいる。
長い夢を見た。子供頃の出来事はなぜか再度見てしまった。しかし、その前に、今自分の状況を確認したい。
頑張って回想したら、確かにtakeuchi旧宅に不法侵入し、編集者の失踪はストーンの死や軍の秘密に関係あるかどうかの手がかりを探してみたら、ある人物と出会ってしまった。
銀髪、赤い目の若者だった。確かにA&E研究所の時も、彼がその場にいた。超人的な身体能力と戦闘能力を見せたが、今度はまた新しい芸を披露してくれた。真っ暗の環境で、目が光る芸だった。
幸いロイは彼を覚えていたので、首が捥げられるまえに、アンジェリナの知り合い、そして事件調査のために来たことを伝えて、死ぬことを免れた。
しかし二人の争いが、takeuchi家の娘を起こしてしまい、やむを得なく外に逃げ出した。銀髪の若者は、二度とあの家に入るなって警告を残し、その場から去った。
しばらく調査不可になったから、ロイは仕方なく、自宅に戻った。しかし、部屋の電気を付けた瞬間、目の前が真っ黒になって、あれからは何が起こったのかはわからない。
また拉致された?
この経験は確かに晨曦病院の時と似ている。周りを確認してみると、向こうの牢屋にも人がいるが、小さい声で呼びかけても、全く返事がない。
牢屋のドアを確認したら、A&E研究所の電子ロックではなく、普通の錠前だ。そして、キーピックもまだちゃんと持っている。それなら、簡単に開錠できた。
では、向こうの牢屋を確認する。せめて、今どこにいるのか、もしかして相手がわかるかもしれない。
向こう牢屋の人は、びくともしない。幸い、ちゃんと息があって、まだ生きている。ちょっと押してみたら、ロイはびっくりする。
この人の首に、ロイはよく知っている、黒いあざがたくさんある。
黒いあざ? ならこの人もイデン出血熱の感染者なのか?
次回を待て!
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