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サイゴヒーロー ~魔を狩る人~  作者: 古蘭佐
第五章 主人公変更? 新しい主役はロイだ
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第九十話 『悪魔のクローン』

うっかり軍事基地を侵入してしまったロイ、そこで見たものとは?

 暗い巨大な倉庫の中に、淡く光っているのは、五つの巨大なガラスのカプセルのみ。中には緑色の透明な液体と、巨大な怪物がある。若いの西洋人と中年の東洋人、二人の研究員が、記録しながら、雑談している。


「量産一号、生命反応なし、廃棄処分します?」

「そうだな。ガイドラインだと、処分すべきだ。しかし、A&E研究所はつい最近閉鎖されただろう? それにしても、あちらで一体何が起こったんだ?」


 中年研究員は、あるカプセルを見ながら、語っている。カプセル中の怪物は、体が半分しか残らず、しかも打撲傷が多数存在する。


「でも、あちらに送る前に、すでに生命反応なくなったのでしょう。なぜまた活動再開できたんですかね?」

「食管に人間の組織破片や毛髪が確認できた、か」

「おお、わかった! 死んでから、人を喰ったんですね!」


 中年研究員は、不思議な目線で若者を見て、


「そうだな。誰かさんがスプーンで一回一回口に運んでくれたんだろうね」

「きっといい人ですよね」


 中年研究員を頭を下げる。怒ったのか、笑いを我慢しているのかはわからない。しばらくしたら、ど真ん中、一番大きいカプセルを見る。中の怪物はほかの四匹より明らかにでかいが、さっきの一匹と同じく、全く生気が感じない。


「それにしても、何考えたんだ? 原形檮兀(とうごつ)※はまだテスト中だろう? なぜ任務執行させたんだ? 今はまだ完全制御できていないと、何べん言ったらわかるのか?」


 どんどん興奮してきた中年研究員は、ガラスのカプセルを叩きはじめ、若者はすぐ彼を抑え、


「落ち着いてくださいよ。上からの命令だから仕方ありませんよ。それに、どうやら李公公(りこうこう)※2の命令だそうですよ」


 これを聞いて、中年研究員は一応落ち着いたが、顔色はさらに悪くなって、淡い光しかない倉庫でもわかるぐらいに。


「またあの野郎か? で、今回の何たくらんだのか? どっかに、テロリストでもいっぱいいるのか?」

「いや、なんか、新元学園で、女子生徒を脅かすだけだそうですよ」

「はああああああああ?」


 中年研究員は、目玉が飛びだせそうに眼を大きくし、また興奮しだして


「ハロウィンマスコットか? うちの子はハロウィンマスコットか? 軍隊一個倒せる猛者だぞ……」


 これを言ったら、中年研究員は黙ってもう一回、檮兀というでかい怪物を見る。外傷と言える部分は胸元の二か所しかない。長くて浅い傷はあるが、あれは致命傷のはずがない。残ったのは、小さくて、深い傷だけだ。


「新元学園でも何かとんでもない武器か化け物を作ったのか?」

「でも、檮兀はさ、一体何の動物のクローンなんですか? いろんな動物の特徴があって、なんか怖い外見ですね。」

「バーカ、俺たちがクローンしたのは、動物なんかじゃない」


 そしたら、二人は頭を振り替え、暗いところに隠れてロイに向かって、不気味な笑いをしながら、


「俺たちは、悪魔をクローンしたんだよ!」


「うわああああああああああああああ!」


 悲鳴しながら、ロイはベッドから落ちる。どうやら、悪夢を見たような気がする。しかしよく考えたら、悪夢なんかではなく、本当のことだった。


 もちろん、悪魔をクローンしたってことは、中年研究員が若い研究員を脅かすの冗談だった、らしい。あの後、警備員らしき人物が倉庫に入って、カードキー不正使用のログが発見し、今は巡査中だったらしい。


 幸いロイは結構暗いところで隠れていて、結局発見されず、あの場の人たちが帰ったら、すぐモンスターたちの写真を撮って、逃げ出した。カードキーはバーの入り口辺りに捨て、林宇に悪いことをしてしまったと、かなりの罪悪感を感じた。


 そしてベッドで、いろんなことを考えた。


 軍にかかわるのなら、撮った写真などは公開できるのか。そしてもし本当にA&E研究所にも関係があったら、あちらの調査もできなくなるのでは? そして何より気になってたのは、悪魔のクローンの一言。あれは本当に冗談だったのか。そう考えていると、ロイは寝てしまい、そしてあの悪夢を見た。


「やべえ、もう遅刻じゃねえか?」


 もう昼近くの時間になったことに気付き、ロイは顔を洗って、すぐ新聞社に駆けつける。


「ご、ごめん、ちょっと寝坊しちゃった」

「え? う、うん」


 ロイの上司であるキャサリンはかなりお人よしなので、元々叱られるとは思わなかったが、この反応はやはりおかしい。そしてよく見ると、鳥の巣の下にある、目が赤い。


「ど、どうしたの? まさか、誰かにいじめられたのか? 誰だ? 俺がぶん殴ってやるぞ」


 これを聞いて、暗いキャサリンも、くすっと笑って、ある原稿をロイに見せた。


「昨日、あなたが警察に連行された後」

「いやいや、俺は犯人じゃないから」

「とにかく、これを書いた。でもやっぱり駄目だわ。副編集長は発表できないって」


 内容をちょっと読むと、銃火器が無効化についての記事だ。相変わらずきれいな文章で、書いているものも、たぶん事実だ。


「でも、副編集長は、こんなもの発表したら、民衆は大パニック。だから、こんなこと教えなくていいって、やっぱり、あたしはストーンみたいになれないね」


 ロイはちょっと溜息をし、席に座り込む。副編集長の意見はあんまり同意できない。ロイも、民衆に真実を伝えるべき信条を持っている。弁論ならいくらでもできる。しかし問題は、武器無効化の話題なら必ず軍などに繋がってしまい、そして結局檮兀っていう人造の怪物に辿り着く。


 でも、それと同時に、ロイはうれしい。どうやらキャサリンはちょっとやる気が出た。午後の仕事を終わって、本当は残業になるが、ロイは急に閃いて、先に上がった。


 TAKEUCHIの旧宅だ。あちらならまだ何か別の手掛かりがあるかもしれない。本来なら午後の時間でお邪魔したいところだが、最近の仕事の量だとなかなか難しい、なら仕方がなく、深夜になってから再度訪問とする。


 夜結構早い時間で、部屋の電気は消された。ロイはキーピックでドアをこじ開け、中に侵入する。二階には女の子が住んでいるから、とりあえず地下室を先に調査することにした。


 立派な不法侵入なので、ロイは全力で息を殺し、懐中電灯で下に降りる。地下室には確かに貯蔵室があって、中にはいろんな古いものが置いてあった。ならここで、TAKEUCHI家の火事や失踪にかかわる手がかりがあるかもしれない。


 しかし、ちょっと探したところで、懐中電灯の電池が切れた。幸い、代わりの電池が持っているから、真っ暗の環境で、ロイが電池交換しようとしたら、なぜか人の気配がする。


 まずい、女の子が降りてきたのか?


 すぐ身を隠すロイ。しかし、降りてくる人物は、別に地下室の電気を付けたりはしない。その代わりに、一対赤い光が浮いている。


 これは、人の目?



 ※ 中国神話、四凶の一つ。兀の字は、本当は木変に兀だが、今の入力方法では入力できない。

 ※2 宦官(かんがん)のこと。中国古代、宮廷で奉仕する男子。生殖器が除去し、去勢された男だから、現代は蔑称と認識される。ただ、女性の場合、旦那のお父さんも公公と呼ぶ。


赤く光っている目? もしや?

次回を待て!

よかったら、評価していただければ嬉しいです。

次回の更新は、4月4日、日曜日です。

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