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サイゴヒーロー ~魔を狩る人~  作者: 古蘭佐
第一章 新学期一日目は忙しすぎる
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第八話 『ギャツビー先生』

林宇は、彼の知っている情報をアンジェリナ達に教える。

「新元学園も?」

「ああ、数日前、俺はほかの学校にていさ……ゴホン、見学しに行ったところ、数校の倉庫も火事があって、所持の旧メディアは全部焼失されたんだ。気になったから、残った数校にも行ったが、結果みんな同じだった。新元学園なら大丈夫かなと思ったら、まさかな……」

「ほかの学校って、人為的放火の痕跡あったの?」


 林宇は頭を振って、


「さあ、そこまでは調べなかったよ」

「じゃあ、ここのものは大丈夫なの?」


 これを聞いて、林宇は自信満々で答え出来ずに、


「たぶん大丈夫だよ。」

「お前のこのロボットたち、エアガンの弾はちゃんと装填した?」


 急にしゃべり出す諸葛夢にまたびっくりする林宇。


「あったりまえだ。昨日の夜はちゃんと確認したよ」

「でも、空っぽだ」


 諸葛夢はロボットの肩辺りから、マガジンらしいボックスを引っ張り出して、林宇に見せる。


「あれ、本当だ、なんで?」


 林宇は慌てて他のロボットにもチェックしたが、ほかにも数台弾切れの機体があった。


「空っぽじゃなきゃ、アンジェリナ先接近したとき、とっくに発砲したんじゃない?」

「え? 弾切れは知ってたの?」

「うん。アンジェリナも、現段階のロボットなら簡単なプログラミングしかインストールできないと踏んだわ。警備用ロボットなら、侵入者にまずエアガンで恫喝して、射撃して、そして弾切れになったら接近攻撃する。特に今のロボット動きが遅いから、真っ先に接戦するのはないと思うけど、この数台のロボットの武器に新しく使った痕跡があったよ」


 林宇はすぐまた確認する。確かに、数台ロボットの手持ちの武器に擦り傷や土など、つい最近使用した痕跡があった。


「早く倉庫を確認したほうがよさそうだな」


 これで、林宇も事態の重大さを理解したのように、三人を連れて倉庫に向かう。


 幸い、同業中学の倉庫は無事だ。


「よかった! ここは無事だったのね。」

「でも、俺の鉄甲軍団は確かに誰かと交戦したな。」

「とにかく、倉庫のセキュリティーをもっと厳重にしとかないと!」


 林宇はちょっと考えて、そして頷く。


「わかったよ。別の場所で厳しく保管するよ。」

「じゃあ、約束通り何枚借りっていい?」

「だめだ」


 アンジェリナは不満そうに、


「なんで? 約束違うじゃん!」

「俺は話は聞くといったが、貸してやるとは言ってない!」

「あ、ズルい」


 林宇は、急に表情が一変、


「司馬のお嬢様よ。あんたはやっぱり甘いな。今ネオシャンハイの高校や大学は、もはや学び舎ではなく、企業なんだ。だから同業中学にとって、新元学園はライバルみたいなもんだ。」

「同業中学だけに、同業者ってわけね!」

「うれせえ! とにかく、俺にはここのものをライバル校に貸す権限がない。それに、たとえ責任の先生に相談しても、結果は同じだ。お前らはもう帰れ!」


「わ、わかったわよ。じゃあ、アンジェリナ達はこれで失礼するね。林宇も、ロボット開発がんばってね。林宇なら、きっと格好いいロボット作れるんだから!」


 アンジェリナは爆発寸前のカイを抑えつつ、三人は倉庫を後にした。


 同業中学の入り口で、林宇が追ってきた。


「おい、司馬のお嬢様、待て!」

「え? 林宇、どうしたの?」

「その、学校の物は貸してやらんが、プライベートの物なら大丈夫だろう。ほら、地下の時拾ったものだ。」


 林宇は、一枚のCDをアンジェリナに投げた。透明の箱の中にCDが見え、その上に、マーカーペンで“小説”と書いてある。


「だが、一つだけ約束してくれ、同業中学より先に新メディアの開発成功を発表はすんな」

「旧メディアのデータ修復は?」


 林宇はちょっと考えて、


「あれはこっちの業務外だ。勝手にしろ」

「ありがとう林宇、やっぱ林宇いい友達ね!」

「誰があんたなんかに……」


 帰ろうとするアンジェリナだが、急に何か思い出し、


「あ、もう一つ、聞きたいことがあるんだけど」

「は? 何が?」

「林宇の研究成果って、あのロボットたち?」

「ああ、なんか文句あんのか?」


 アンジェリナはちょっと考えて、眉を顰め、


「でも研究成果を使って研究成果を守るっておかしくない? 一発で奪われちゃうかもしれないじゃん」

「げ」

「こういうときは、ちゃんと仲間や友達を頼んで一緒に守るの。」


 そして、じろりと林宇を見て、


「もしかして、林宇はここでも友達ができてない?」

「う、うるせえよ! でもってなんだよ!」


 慌てる林宇を見て、アンジェリナはちょっとゲス笑いをして、


「だめだよ、友達作らなきゃ」

「オカンか!」


 冗談もそろそろだと思って、アンジェリナはいつもの微笑みに戻り、


「アンジェリナ、また遊びに来るね。それまで、友達100人作っといて!」

「オカンか!」


 ほかの二人を連れて車に向かうアンジェリナの後ろ姿を見て、林宇は呟く。


「やっぱりこいつ嫌いだ……あんただけに絶対負けたくないよ。司馬のお嬢様……」


 一方、三人は車に戻り、ハナちゃんに新元学園に戻るように指示した。カイは車の前に、いっぱい挟んだ広告用紙を片付けながら不満そうに愚痴る。


「なんだよ。二、三十分しかたってないだろう。なんでそんなにたくさんの広告が! どれどれ、部屋賃貸? 家賃めちゃたかっ! 宗教勧誘? 何教、い、いお、イオガンルブン教? 名前覚えにくっ、入教者にもれなく卵一箱プレゼント、なんでやねん。あと、動物保護組織、動物を大切にして、卵を食べないで、って、この二人がであったら絶対喧嘩なるな……」


 カイの愚痴を聞いて、アンジェリナは彼を慰め、


「まあまあ、みんないろいろ大変なんだから。」

「でもよかったね。ほしいもの手に入れて。」


 アンジェリナはポケットから、もう一枚のディスクを取り出し、



「そうよ。旧メディア二個ゲットだぜ!」

「え? 二個? あのリンウとやらは一個しか渡してなくね?」

「倉庫で先お前を抑えていたとき、盗んだんだ。」


 諸葛夢は答えた。


「し、失礼ね。アンジェリナは盗んでないよ。借りるだけ!」

「いつ返す?」

「死ぬまで借りるぜ!」

「魔○沙か」


 急に二人の会話に追いつかないカイであったが、頑張って話題を変えようとする。


「まあ、でもよかったんじゃない? これでギャツビー先生も失望せずに済むんだろう?」

「ギャツビー先生、ねえ」


 この名前を聞くと、アンジェリナが急に沈黙し始める。


「どうしたの? 嬢様?」

「う、うん、何でもない……」


 アンジェリナは苦笑いをした。なかなか言い出せない。なぜなら、彼女は今朝のギャツビー先生を疑っているからだ。


 仲のいい先生を疑ってしまったというより、あんまりにも荒唐無稽すぎて、自分にも信じてない。


 今朝ギャツビーと会ったとき、彼からのあいさつは夏休みは楽しんだかい。しかし、アンジェリナは夏休みほとんどの時間は実験室でほかの生徒と一緒に過ごした。ギャツビーもよく知っているはず。確かに冗談好きな人ではあるが、もしそうでなければ、今朝のギャツビーは、誰かが変装したニセモノになる。


 奇想天外だとわかっても、アンジェリナはやっぱりそう考えずにいられない。


 再び学校に到着したとき、駐車場にパトカーが二台停まっている。どうやら警察は来たようで、三人はすぐ電脳研究室に向かう。


 研究室の中に、生徒は若干変わったが、やっていることは前とほぼ一緒。異変に気付く生徒もごく一部いるが、全部倉庫入り口の先生と警察に追い払われた。


 倉庫のドアに封印シールが貼られている。


 しかし、パトカー二台来たのに、そこにいる警察は一人だけのようで、ギャツビー先生もいない。


 若い警察官に事情を尋ねてみたら、三人はびっくりする。


 学校鬼路で、殺人事件が起こった。


火事のあとは殺人事件? 学校鬼路で一体何が起こったのか。

次回を待て!

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