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サイゴヒーロー ~魔を狩る人~  作者: 古蘭佐
第四章 新しい仕事は、吸血鬼退治だ
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第八十三話 『煉獣ベヒモス』

 新元4年9月23日夜明、ドックビル屋上にある中世ヨーロッパ風城の塔に、劉凡菲は巨大なパクヒュンキュンと戦っている。片方は相手のマナ、片方は相手が呑みこんだ吸血鬼が目当てで、必死に戦っている。


 謁見の間に、ほかにいるのは、うかつに動けないアイザック、竹内唯、ウタレフ。そして、状況を説明しながら、対策を練る諸葛元とアンジェリナ。


 最愛のアイドルは超人的なパワーを持ったうえ、自分が一番嫌いな行為、他人の精神を操ることをやってしまうのをどうしても受け入れなかったアンジェリナだが、諸葛元の証言は完璧までつじつまが合っているため、信じるしかない。


「じゃあ、ゲン君はアンジェリナになんのよう?」

「このままじゃ俺たちはあの化け物に殺されてしまう」

「でも、凡菲姉は互角に戦ってるよ」


 諸葛元はアンジェリナの顔を掴み、戦場に向かわせる。


「よく見ろ、本当にそう思うのか?」


 確かに、もし本物の金剛琢(こんごうたく)なら、かなり強力なパオペイのはず。色んな形に変化して、劉凡菲の戦闘にサポートする。が、段々、劉凡菲の攻撃頻度が減り、防戦になってしまう。そして、呼吸も乱れ始め、体力はかなり消耗した模様。


「金剛琢はあの女に荷が重すぎる」

「じゃあ、アンジェリナの紫金鈴(しきんれい)を使ったら……」

「おんなじじゃねえかよこのバカたれが! それに、使い方は知ってるのか?」


 確かに、この前A&E研究所では、無意識に発動してしまったが、実際に使い方はわからない。アンジェリナは首輪についている紫色の鈴も握りながら、考える。


「手よこせ」

「ひゃう」


 諸葛元は、無理やりアンジェリナの手を引っ張って、そして握る。アンジェリナは、顔が赤くなり、ちょっと混乱する。突然、紫の光が、諸葛元の手から、アンジェリナの手に渡る。


「おおおおお、これは!! 目を瞑って、相手の邪気を感じ取って、そして投げればいいのね!」

「元○玉かこのバカたれ! 投げたら俺たちは本当に全滅だぞ!」


 続いて、諸葛元は、アンジェリナの掌に指で何かを書く。次の瞬間、光の玉が集まり、実体化した。形も変化し始め、やがて、一匹の小さい怪物になる。西洋竜のように、巨大な牛みたいな角と、コウモリみたいな翼を持っている。この怪物なら、見覚えがある。


「これは確かに、ゲン君と百吼が戦っていた時に使った……」

「ああ、俺様の煉獣だ。長い間マナで作り上げたものだ。すでに出来上がったものだから、金剛伏魔呪(こんごうふくまじゅ)でも効かねえ。名はベヒモスだ」

「あ、知ってる! よくラスダンで出てくる厄介な雑魚だね! 確かに竜王バハムートと同じ存在だったり」

「もうちょっとマシな解説はできねえのか」


 アンジェリナはちょっとてへぺろする。


「いいか。あの女の体力だと、金剛琢を使って持久戦は不利だ。あの石の拳もパンチ力が足りねえ。だが、この独立のマナで出来上がった煉獣なら話は違う。あの女に渡せ! 気に入らねえが、あの女は最後の希望だ。しく、じる、なよ……」


 と言ったら、諸葛元は倒れた。アンジェリナは慌ててすぐ彼の状況を確認するが、どうやら昏睡しただけだ。


「どっかの黒い服のツンデレ三つ目キャラも、自分の黒龍波を吸収したら、寝ちゃうよね」


 立ち上がり、戦場の状況を見たら、アンジェリナはやはり悩む。今の激戦状態では、いきなり挟んで、自分のアイドルと握手することは、到底不可能だ。なら、何かの策略が必要だ。


 一方、膠着状態の二人、パクヒュンキュンは確かにどんどん優勢になるが、金剛琢の防御は完璧すぎて、現に劉凡菲に傷一つもつけずに、かなりイライラする。そして、戦っている最中に、周りにうろついているアンジェリナに気付く。


 気づかれることに気付くアンジェリナはすぐ手を背後に隠すが、それでもパクヒュンキュンの目に誤魔化せなかった。はっきりとは見えなかったが、マナの塊であることは間違いない。なら作戦変更して、まず金髪小娘を喰って、そしてゆっくりと劉凡菲を喰えばいいと、パクヒュンキュンは画策する。


 そう考えたら、パクヒュンキュンはすぐ強力な一撃で劉凡菲を後退させる。そして体が割れ、中から金色の三角が現れ、劉凡菲に猛スピードで飛んでいく。


 これはノスフェラトゥの技だ。劉凡菲はすぐまずいと思ったが、結局三角の光に包まれ、どっかの異空間に飛ばされた。


 これで、邪魔者はいなくなって、パクヒュンキュンはすぐアンジェリナに突進して、巨大な手で彼女を捕まる。


「屋上の時は世話になったな」

「そりゃどうも」

「その手に持っているマナの塊をもらおうか」

「残念、外れ」


 アンジェリナは両手をパクヒュンキュンに見せ、確かに何も持っていない。おかしいと思ったその時、急に後ろから強力な一撃で、打ち飛ばされる。ベヒモスはグローブのように、アイザックの手に装備している。


 確かに非常に強力だ。ほぼ戦闘能力がないと等しい少年でも、装備したらあんなでかい化け物を数メートルにも吹き飛ばせるとは、もし劉凡菲に渡せたら、勝利は確実だ。


 なぜか、劉凡菲は必ず戻ってくると信じ、若者たちは時間稼ぎを試みる。竹内唯とウタレフもすぐ加勢してきて、四対一の局面になる。確かに、一人一人は弱く、全くパクヒュンキュンの相手にならなかったが、アンジェリナの指揮下で、うまくベヒモスをパスして、逆に強大な相手を翻弄する。


 しかし、アンジェリナは一つもミスを起こしてしまった。それは、結構前から、竹内唯の調子が悪かったこと。


 四人がベヒモスのグローブをパスしている間、パクヒュンキュンは先にそれを気づく。竹内唯に渡されたら、ぼーっとしてて、すぐには攻撃しない。その隙で、パクヒュンキュンはまず男の二人に襲う。頭を捕まってお互いにぶつからせたら、変えて竹内唯に向かう。アンジェリナは向こう側にいるので、パスは間に合わない。


 そして、体が割れたパクヒュンキュンは、竹内唯とベヒモス、一緒に吞み込んでしまう。


竹内唯とベヒモスが食われた以上。アンジェリナ達はもはや勝ち目がない?

次回を待て!

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