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サイゴヒーロー ~魔を狩る人~  作者: 古蘭佐
第四章 新しい仕事は、吸血鬼退治だ
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第八十二話 『野良猟魔人』

劉凡菲の正体は?彼女は一体何をたくらんでいるのか?

 前回の続き、劉凡菲軽く一振りで全員をねじ伏せ、そして指から紫の光の玉が現れる。


「注射みたいに頭がちくっとするわよ。そして、今夜の出来事が、きれいさっぱり、ぜ~ぶわすれちゃう」


 そして光の玉は、五つに分裂される。どうやら、ノスフェラトゥ以外の全員の分を用意したのようだ。だが、劉凡菲が手を上げたその時、分厚い赤い扉が破られ、暗闇から人の顔が入ってくる。


 この顔なら、アンジェリナ達は知っている。ジェイだ。目を閉じて、全く無表情で、謁見の間で何かを探しているのようだ。そしてしばらくしたら、長い首の後ろに、本体がやってくる。


「ななななな、何それ?? キショ! 気持ち悪い!」


 怪物を見て、劉凡菲手元の光球が消え、取り乱し始める。


「フェイ、あれはジェイ。俺の友達です。今ウイルスで変異され、怪物になったんです」


 うつ伏せしているアイザックは、劉凡菲に説明する。


「ウイルス? 変異? なにそれ? 生物兵器なの? こんなの苦手だよ」


 と言ったら、劉凡菲は力が抜かれたのように、尻餅を喰って、地面に座る。これを見たのか、怪物は刃のような手を上げ、真っ先に劉凡菲に襲い掛かる。


 ぷすっと刺さったが、なぜか劉凡菲から何の反応もなく、血すら出ていない。まだ状況がわからない怪物だが、急に周りから数個の石板が現れ、同時にやつにぶつかる。一撃一撃はかなり重く、あっという間に、怪物の戦闘能力が奪われた。そして、後ろから、声が聞こえてくる。


「なんちゃって、あれは分身よ」


 後ろから現れた劉凡菲は、しゃべりながら帽子を取り、中から銀色の金属リングを取り出し、


「先のは冗談だけど、でも本当に気持ち悪いもんね。だから、触らずに倒す」


 銀色のリングから、白い光の柱が現れ、柱はリングを貫通し、劉凡菲は方側を掴んだら、もう片側は刃と化す。そして、その剣を振って、剣気で怪物の頭を切り落とす。さらに、劉凡菲は指パッチンして、二枚の石板が、怪物の頭を挟んで、ぺっしゃんこにした。


「うわああああ、フェイ、すごい、すごいすぎです。最高! 好きだ! 一生付いていきます!」

「あら、こんなところにファンと出会えるなんて、うれしいわ。これもなんかの縁だし。坊や、名前はなんていうの?明日目が覚めたら、ベッドの隣に……」

「フェイが?」

「あたしのサインが!」


「ばかたれ! あの怪物は死んでねえよ! さっきてめえが切ったのはあいつの触角だ!」


 劉凡菲とアイザックの戯言を聞いて、諸葛元は急に叫ぶ。


 頭が切られて、死体だと思われた怪物だが、急に起き上がり、素早くノスフェラトゥの元に駆けつく。そして体が割れ、巨大な口で、すでにボロボロのノスフェラトゥを呑みこむ。


 ノスフェラトゥを食べた怪物は、すぐ変異が起こる。ぐにょぐにょの赤い筋肉の上に、肌のような膜が現れ、そして“首”の切り口から、また新しい頭が現れ、あの坊主頭を見ると、現場の四人が同時に、


「「「「パクヒュンキュン!!」」」」

「くそ、あの野郎にやられるとはな。何って姿だ」


 パクヒュンキュンは、頭を下げ、己の姿を確認する。サイズは違うとはいえ、上半身は一応人間らしい姿に戻ったが、下半身は怪物のままだった。


 この前、屋上での戦いは、本当は二人の相打ちに終わった。ジェイの手刀で貫かれたが、致命傷には至らなかったため、パクヒュンキュンは火炎攻撃でジェイを倒した。しかし、最後の最後にジェイに噛まれて、彼もウイルスに感染され変異し始め、そして二人が融合した。


「どうやらまだマナが足りないようだ。マナは? もっとマナくれえええ!」


 と叫んで、劉凡菲のマナは一番たくさん持っていると判断したか、パクヒュンキュンは再度彼女に襲い掛かる。数歩ダッシュしたら、すぐ別の方向にパンチを繰り出し、ちょうど劉凡菲に命中した。


「また分身か? だまされんぞ」


 しかし、劉凡菲も事前にリングを盾に変形させ、パクヒュンキュンの一撃を防げ、結局無傷だった。


「へえ、念力で操る液体金属か? おもしれえ、アイドルは歌と踊りだけじゃねえってことか?」

「アイドルは、あんたが思ったよりはるか大変なのよ。覚えときなさい」

「減らず口が、液体金属は高温に弱いじゃねえか?」


 パクヒュンキュンの腕から、急に火が現れ、ビームのように、劉凡菲の盾に照射し、盾は一瞬して液体に戻される。盾がなくなったと見たら、パクヒュンキュンはもう一回パンチを繰り出す。


 ガタン!


 四散されたと思われる液体はすぐ劉凡菲の手元に戻り、また盾に変形し、パクヒュンキュンの一撃を防げた。そして次の瞬間、大量の石が劉凡菲の右手に集まり、巨大な石の拳になり、彼女はすぐこの拳で反撃し、パクヒュンキュンを吹き飛ばす。


金剛琢(こんごうたく)※を甘く見ないで」


 この一撃で、大したダメージを受けてないのようで、パクヒュンキュンは、すぐ立て直し、自分の拳に炎を纏い、再度劉凡菲に襲い掛かる。火のパンチ、石の拳、交じり合ってぶつかる。炎のパンチは金属の盾に、石のパンチは鋼の肉体に、あっという間に、二人は膠着状態に陥てしまう。


 劉凡菲が全力で戦っているせいか、気圧で押しているアンジェリナ達は、やっと解放される。そしてアンジェリナが起き上がった瞬間、諸葛元に引っ張られる。


「わわわわわ、げげげげ、ゲン君、こ、こんばんおはようございます。この度、どうもすみませんでしたあああ! ま、まさか、アンジェリナに復讐するの?」

「ああ、今でもてめえをバラバラにしたいぐらいだ。だが、今の俺様には、そんな力が残ってねえよ」


 と言ったら、諸葛元は座って、喘息する。


「へっ、な~んだ」とゲスい顔のアンジェリナだが。

「おい」

「しゅみましぇん!」


 アンジェリナはすぐ、しゃがんで諸葛元の状況を確認する。幸い大した外傷がないのようだ。


「でも、一体何が起こったの? ゲン君は確かに」

「あのアホの剣魔は俺たちのマナ回路を封じただけだ。別に俺が封印されたわけじゃねえよ。だが、今回ばかりは、あの女にやられた」

「あの女って、凡菲姉のこと?」



 話は一旦戻る。諸葛夢と劉凡菲は女幽霊と狼男の襲撃を受けた後、やっと脱出できると思えば、急に空に落ちって、そして謁見の間の戻された。そこにいるのは、玉座に座って、ぼーっとしているノスフェラトゥだけだった。


 諸葛夢は確認しようとしたら、急に劉凡菲から何か飛んできたと気づき、すぐさま紫色の光球を回避した。


「あ~ら、お見事、よく回避できたわね」

「前から警戒したからな」

「いつからあたしを疑ったの?」


 劉凡菲はゆっくりと、諸葛夢の前に立つ。


「結構最初からだ」

「うっそ」

「警備員なのに同僚もビルの情報もまったく知らない。」

「あたしはアイドルだから、偽装しちゃダメ?」


 諸葛夢はちょっと考えて、そして頭を振り、


「エレベーターを乗った時、あの覚醒者だけに効く結界。お前も電撃を受けただろう。あの時の演技はヘタクソだ」

「あたしは歌手、女優じゃないもん」


 劉凡菲は顔が赤くして、頬っぺたを掻く。


「それに、あの血の潮も、お前が作ったんだろう。だから魔幻空間と別に、地下駐車場の時から現れた。あのノスフェラトゥが言ってた野良猟魔人は、結局お前のことか。」

「わあ、夢ちゃん頭いい!」


 喜んでいるのように、劉凡菲は軽くジャンプして、ノスフェラトゥの隣に、


「じゃあ、この吸血鬼、あたしに譲ってくれない?」


 野良猟魔人は、どの組織も所属しない猟魔人のことだ。人類に害があるかどうかを判断したり、組織から指名手配依頼を受けたりはしない。その多くは、ただお金などのために、無差別に魔族を狩る。


 今回もまた、どっかの変態愛好家が吸血鬼の剝製が欲しがるのか、あるいは永遠の若さを求めるおじさんおばさんが依頼したのかはわからない。いくら殺人を犯したとはいえ、そのまま渡すわけには行けない。


「なに悩んでるの? 無表情のくせに、悩むと顔に書くタイプね。夢ちゃんは。もし断るっていうなら、野良猟魔人のルールを則り、強いもの勝ちって行こうか。あたしに勝てる自信があるのかしら?」


 と言っている途中に、ノスフェラトゥは急に玉座から転んで落ちる。そして苦しそうに喘息する。


「だ、誰だ? この私に幻覚を見せたのは?」

「あたしよ。どう? どうあがいてもあたしたちを殺せず、逆に女お化けに返り討ちを受けた気分は? 目には目をはには……」

「貴様!!!! ゆるさん!!!!」


 ノスフェラトゥは、なぜか急に怒り出し、すぐ玉座隣の劉凡菲に襲い掛かる。だが、なぜか、劉凡菲はちょっと手を上げたら、空中で止められた。


「夢ちゃん、あたしたちの決闘は、後にしましょう。まずは、こいつをおとなしくにしなくちゃ」


 劉凡菲は軽く手を振ったら、巨大な気流が諸葛夢を壁際に押す。そして壁から、生きているのような石が生まれ、あっという間に諸葛夢を拘束し、どうあがいても、抜け出すことはできない。


 諸葛夢を片付いたら、劉凡菲はノスフェラトゥに向かう。まずは空中でかかと落としを繰り出し、まだ停まっているノスフェラトゥの地面に叩き落す。そして先に着地した劉凡菲は、弓歩(きゅうほ)の掌底突き、まだ落ちている途中のノスフェラトゥを吹き飛ばす。十数メートルとんだノスフェラトゥは、壁にぶつかって嵌められた。


「ああ、依頼人が生きたままの吸血鬼が欲しがらなければ、あっという間に解決できるのに。あたしって、意外と手加減が苦手なのよ」


 と言ったら、地面からたくさんの石が浮かび、劉凡菲の手に集まり、二個の巨大な拳になる。関節がないはずだが、劉凡菲はやはり拳にぽきぽきして、


「早く気を失ったら、痛さも感じらないよ」


 無数の石のパンチが、土砂降りのように、ノスフェラトゥに降り注ぐ。ちょっと反撃を試してみたが、手を上げたら、すぐ劉凡菲の足に踏まれ、そしてまだ重いパンチに見舞われる。


 楽しそうにノスフェラトゥを殴っているその時、外から足音が聞こえる。そして、若者の声も、微かにする。


「やばっ! 今日の観客かしら? どうしよう、アイドルは暴力女だと誤解されちゃったら、ファンはドン引きよ」


 悩んでいる劉凡菲はちょっと諸葛夢を見て、


「あ、そうだ。そうしよう」


 また重いワンパンで、ノスフェラトゥがしばらく抜けられないぐらいに、壁に打ち込む。そして、すぐ諸葛夢に前に駆けつく。


「夢ちゃん夢ちゃん。あの吸血鬼はあと一息よ。最後のトドメは、夢ちゃんに頼んでいいかしら?」

「お前の願いは聞くとでも思うのか?」

「思わないよ。だ、か、ら」


 劉凡菲は親指を上げ、指先から紫色の光球が現れる。そしてこの光球を持て、諸葛夢の眉間に刺す。


 ※西遊記のおける、太上老君パオペイ。一説では、作中最強のパオペイの一つで、そのためか、孫悟空は結構苦戦した。


劉凡菲に操られ、ノスフェラトゥと戦った諸葛元。しかし、もっと手ごわい相手を勝てるのか。

次回を待て!

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